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No.34559の一覧
[0] ゼロの出来損ない[二葉s](2012/08/13 02:16)
[1] プロローグA エンチラーダの朝[二葉s](2012/08/13 22:46)
[2] プロローグB テオの朝[二葉s](2012/08/13 22:47)
[3] 1テオとエンチラーダとメイド[二葉s](2012/08/12 23:21)
[4] 2テオとキュルケ[二葉s](2012/08/13 02:03)
[5]  おまけ テオとタバサと占い[二葉s](2012/08/13 23:20)
[6] 3テオとエンチラーダと厨房[二葉s](2012/11/24 22:58)
[7] 4テオとルイズ[二葉s](2012/11/24 23:23)
[8]  おまけ テオとロケット[二葉s](2012/11/24 23:24)
[9] 5テオと使い魔[二葉s](2012/11/25 00:05)
[10] 6エルザとエンチラーダ [二葉s](2012/11/25 00:08)
[11] 7エルザとテオ[二葉s](2012/11/25 00:10)
[12] 8テオと薬[二葉s](2012/11/25 00:48)
[13] 9エルザと吸血鬼1[二葉s](2012/11/25 00:50)
[14] 10エルザと吸血鬼2[二葉s](2012/11/25 01:29)
[15] 11エルザと吸血鬼3[二葉s](2012/12/20 18:46)
[16]  おまけ エルザとピクニック ※注[二葉s](2012/11/25 01:51)
[17] 12 テオとデルフ[二葉s](2012/12/26 02:29)
[18] 13 テオとゴーレム[二葉s](2012/12/26 02:30)
[19] 14 テオと盗賊1[二葉s](2012/12/26 02:34)
[20] 15 テオと盗賊2[二葉s](2012/12/26 02:35)
[21] 16 テオと盗賊3[二葉s](2012/12/26 02:35)
[22]  おまけ テオと本[二葉s](2013/01/09 00:10)
[23] 17 テオと王女[二葉s](2013/01/09 00:10)
[24] 18 テオと旅路[二葉s](2013/02/26 23:52)
[25] 19 テオとサイトと惨めな気持[二葉s](2013/01/09 00:14)
[26] 20 テオと裏切り者[二葉s](2013/01/09 00:23)
[28] 21 テオと進む先[二葉s](2013/02/27 00:12)
[29]  おまけ テオと余暇[二葉s](2013/02/27 00:29)
[30] 22 テオとブリーシンガメル[二葉s](2013/02/27 00:12)
[31] 23 テオと救出者[二葉s](2013/02/27 00:18)
[32] 24 サイトとテオと捨てるもの[二葉s](2013/02/27 00:27)
[33] 25 テオとルイズ1[二葉s](2013/02/27 00:58)
[34] 26 テオとルイズ2[二葉s](2013/02/27 00:54)
[35] 27 テオとルイズ3[二葉s](2013/02/27 00:56)
[36] 28 テオとルイーズ.[二葉s](2013/03/22 22:39)
[37] 29 テオとルイーズとサイト[二葉s](2013/03/24 00:10)
[38] 30 テオとルイーズと獅子牙花.[二葉s](2013/03/25 15:13)
[39] 31 テオとアンリエッタと竜巻[二葉s](2013/03/31 00:39)
[40] 32 テオとルイズと妖精亭[二葉s](2013/09/30 23:46)
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[34559] 22 テオとブリーシンガメル
Name: 二葉s◆170c08f2 ID:dba853ce 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/02/27 00:12



 アルビオンでの冒険も終わり、皆は平凡な生活に戻りました。


 とはいえ冒険の前と全く同じに戻ったわけではありません。
 
 ルイズは前に比べ、すこしサイトに対して優しくなりました。
 サイトは前に比べて、びっくりするほどに剣の練習に励みました。
 キュルケやタバサやギーシュも大きな変化が無いように見えて、あの冒険で何処か成長した様子でした。
 
 そしてエルザも例外ではありません。
 テオと一緒に学院の庭にある木陰で、いつものように過ごしながらも、彼女の心の中は大きく変わっていました。
 
 彼女は決意していたのです。強くなってテオの役に立とうと。
 はっきり言って自分の力は微力です。少なくともテオやエンチラーダに比べればそれこそそこらの雑草程度の力でしょう。
 しかし、少しでもテオの助けになるならば、少しでもアクションを起こすべきだとエルザは思っていました。
 
「えい、えい」
 思い立ったらすぐ行動。
 エルザは桶の中に色々な物を混ぜてそれをこね回して居ました。
 
「…エルザ?一体何をしている?」
 その奇妙な行動に、隣に居たテオが不思議そうに問います。
 
「強くなろうと思って、えい…えい…」
「強くなる?よくわからんが、その桶の中の物をかき混ぜると強くなれるのか?何混ぜてるんだそれ」
「カエルの汗と、アマニタ茸の傘と、ヘビの頭と、大蜘蛛の腹と…」
「待て待て待て待て…何を作ってるのだ?」
 エルザが混ぜている物のあまりのおどろおどろしさに、テオは思わずその桶の中を覗き込みました。
 
「毒。コレを爪に塗れば、どんな相手もイチコロよ!えい、えい」
「…いやいや。毒ってお前、強くなるっておまえ…うわあ、素手でかき混ぜちゃってるよ」
「これさえあれば…ふふふふ」
「使い魔の趣味が毒手とか…正直主人としては引くのだが…その趣味なんとか読書とかにならんか?」
「えい…えい」
 テオの言葉もどこ吹く風で、エルザは毒をかき回していました。
 
 いかにも物騒ですが、ある意味でそれは平凡なテオとエルザの風景とも言えました。
 なにせ、この二人は平凡でないことが平凡なのですから。
 
 しかし、そこに少しばかり、二人にとっても平凡ではない出来事が舞い降りました。
 二人の前に一人の人間がやって来たのです。
 別にテオとエルザの前に来たのが、エンチラーダやキュルケやタバサであれば、それは別に不思議な事ではありません。平凡な一日の範疇から飛び出ることは無いでしょう。
 
 しかし、テオとエルザの前に現れた人物、それはサイトだったのです。
 
 突如現れた彼に、テオとエルザはなぜこの男が一人で自分たちの前に現れたのか首を捻りますが、その後の彼の一言が更に二人を混乱させました。

「なあ宝探しに行こう!」
 そう言われた二人は自分の耳を疑いました。


 宝探し。
 少し幼稚な気もしますが、別に悪いことではありません。
 現代社会とは違い、トリステインには事実として宝が眠っていることがあります。
 其れを探すということは別段不思議なことではなく、行楽としてさほど悪い選択肢でもありません。

 テオが自分の耳を疑ったのは、其れに自分が誘われたこと。更には自分を誘ったその相手が、サイトだったことによるものです。

「なぜ吾を誘う?」
 テオは不思議そうに聞き返しました。

 サイト。
 ハッキリ言ってテオはサイトが嫌いです。
 しかも其れを露骨に態度で表してきました。

 それなのに目の前のこの男は笑顔でテオを宝探しに誘っているのです。
 一体どういう神経ならば自分を露骨に嫌う相手を前に笑顔で行楽に誘えるのか、テオには不思議でなりませんでした。

「なぜって…テオこういうの好きそうだから?」
「…まあ、確かに嫌いではないが…嫌だぞ?吾は、お前と二人で旅行するなんて」
「いやいや、二人じゃねーよ。俺とギーシュとキュルケとタバサ、あとシエスタで行く予定なんだ」

 その言葉にテオは少しばかり思案をしました。
 サイトと一緒に行くのはとてもイヤでしたが、他に何人もメンバーが居るというのであれば、四六時中サイトと顔を合わせる必要もなくなります。
 宝探し自体はとても楽しそうなので、之は一緒に行っても良いのではないかとテオは考えました。

「まあ…どうしてもというのであれば…」
「よし、決まりだな、じゃあ今から出発だ…」
「今から!?」
「うん今から」
 今からと言われてさすがにテオも面食らいました。
 行き当たりばったりなテオでもさすがに準備期間なしで旅に出るとは思っていなかったのです。
 
「なら急いで準備せねば、エンチラーダは何処だ?」
「エンチラーダならいま街に買い出しに行っているよ?」
 毒の入った桶に蓋をしながらエルザがいいました。
 
「あああ、そうだった!吾が本を買ってくるように頼んだのだった!」
「ああ、大丈夫、旅に必要な道具はシエスタが用意してくれてるっていうから、テオ達は着替えだけ用意してくれば良いよ。それともやっぱりエンチラーダさん待った方が良いか?テオがエンチラーダさんとじゃなきゃ出かけないって言うなら待つけど…」

 それは特に他意のない、ただ何となくサイトの口から出た言葉でしたが、テオはその言葉に少し気分を害しました。
 まるで、その言葉は、エンチラーダがいなければテオは何もできないのではと言っているようにも聞こえたからです。

「それではまるで吾があいつ抜きでは何も出来ないみたいじゃないか!吾は一人でも行けるぞ」
 苛立った表情でテオはそう言いました。
「私も行く!」
 エルザもそう言ってぴょんと立ち上がりました。
 
「エンチラーダには書き置きを残しておこう。なに、吾がエンチラーダ抜きでも何ら問題ないことを証明してやる。このトリステインに眠る全ての財を吾一人で見つけ尽くしてくれるわあ!」
「あ、そうじゃあ、身支度が済んだら校門に集合で」

 テオの叫び声に対して、サイトは軽い口調でそう返しました。





 かくして、テオは初めてエンチラーダ抜きでの遠出をするに至ったのでした。


◇◆◇◆


 トリスタニアの街の表通りから少し外れたとある酒場。
 まだ、昼間だというのに薄暗いその酒場は、すでに数人の客が酒を飲んでいます。
 表通りの酒場に比べ、その酒場は幾分か品位が低いようで客たちは思い思いに騒いでいます。

 賑やかな酒場の二階には、幾つかの個室がありました。

 宿として存在する部屋ですが、大抵は性欲を持て余した男が、金貨を片手に酒場に屯する女性を連れ込む部屋となっています。
 そして、極々マレにですが、その部屋はそれ以外の使われ方をします。
 
 例えば密会など。
 
「アンタの予想外れたね」
 とある一室の中でそんな声が響きました。
 
 無作法な口調ですが、その反面どこかに気品を含んだ声。
 それは、フーケの声でした。

「なぜ、そんなに嬉しそうにするのです?」
 笑顔のフーケに対してエンチラーダがそう言いました。
 
 そう。
 今まさに、エンチラーダとフーケはそこで密会をしていました。
 連れ込み宿と言うのは秘密の話をするのにウッテツケの場所なのです。
 
「いやさ、何となくさアンタの言うことは絶対間違わないような気がしててさ。それが少しばかり怖かったもんだから、ああアンタも人並みに間違うんだなあって思って、少し安心した」

 フーケのその言葉にエンチラーダは小さくため息をつきました。 
「ですから、私は『現時点ではドチラが勝つのかはわかりませんと』言っていたはずですが…」
「『個人的にはあの使い魔は負けるような気がします』とも言っていただろう?」
「…ええ、言っていました」
 そういうエンチラーダの表情は変わりませんでした。
 変わりませんでしたが…、なんだか悔しそうな雰囲気を出しているような気がして、フーケはそれがたまらなく可笑しかったのです。

「ほら、私が学院に居た頃からアンタは完璧超人だったからね。なんだかやっぱりアンタも一応は人間だったわけだ」
 そう言ってフーケはテーブルのエールを一口飲みました。
 
「そんなことより、指示書の内容は実行していただけていますか?」
「当然、しっかり実行中だよ…しかしまあ、何を頼まれるかと思えばこんなこととはね…」
 そう言ってフーケは指示書をひらひらとはためかせ、今度はエールの隣にあったナッツをひょいと上に飛ばすと、それは放物線を描いて彼女の口に入りました。
 
 ゴリゴリと音を立てながらそのナッツを食べたフーケは、表情を真剣なものにして、エンチラーダにこう尋ねました。
「1つだけ聞いて良いかい?」

「はい、なんでございましょう」
 フーケの真剣な表情にも反応すること無く、いつもどおりの調子でエンチラーダはこたえます。

「なんでこんなことを?」
 それは。エルザが抱いたそれと同じ疑問でした。
 
 なぜテオを裏切れるのか。
 長年仕えて来た主人を、さも当然のように裏切れるのか。
 フーケにしてもそれは理解出来ないことだったのです。
 
 確かにフーケは悪党です。自身もそれを自覚しています。
 しかし、それでも悪党には悪党なりの仁義があります。
 人を裏切れば信用をなくします。
 信用をなくせば裏の世界ですら生きていくことができなくなるのです。
 
 それを理解出来ない程にエンチラーダは愚かな人間ではない事をフーケは知っています。
 であれば、理由があるはずです。世間の信用をなくしてでも人を裏切る大きな理由が。

「ただ生きたいんですよ、この世界で」
 エンチラーダの口から出た言葉、それはフーケの予想外の言葉でした。

「生きたい?」
「そう、生きる。ただ当たり前なことですが、それが兎角難しいことだということは貴方も知っていると思います」
「…」
 フーケは考えました。
 そう、ただ生きる。

 とても単純で、誰もが一番に持つ欲求です。

 しかし、そのただ生きるだけが、意外と難しいのです。
 なにせこの世界で、人間は、実に簡単に死んでしまいます。
 
 病気で死ぬ、
 事故で死ぬ、
 戦争で死ぬ、
 幻獣に食われて死ぬ、
 亜人に襲われて死ぬ、
 盗賊に襲われ死ぬ、
 飢えて死ぬ、
 毒で死ぬ、
 絶望に死ぬ。

 ただ生きる。その当たり前なことが、この世界では簡単では無いのです。 
 ですから、エンチラーダの言う「生きたい」という気持ちはわからないでもありません。

 しかし、フーケには腑に落ちない点が一つ。

「今のままじゃ生きられないのかい?」
 エンチラーダはすでにテオのメイドという立場を手に入れています。
 アレほどに頼り甲斐のある主人はまず居ないでしょう。
 確かに足が無いというあまりにも大きなハンディキャップは持っていますが、
 それを補うだけの能力も有しています。
 彼の庇護下にあれば、相当にその立場は保証されているようなものです。
 彼に付き従っている限り、彼を裏切るまでも無くエンチラーダの安全は約束されているようにも思えます。
 
「今のままも良いのですよ。良いのですが…」
 フーケの言葉にエンチラーダは顎に指を当てて答えます。

「より、良く生きたいと言う欲求は、持ってしかるべきでしょう?」
 そう言ってエンチラーダは笑いました。

 より良く生きる。
 それはすなわち今以上に良い環境で生きるということです。
 つまり、それは。
 
 単純に裏切ることで利益を得たいということ。
 まるで、裏切りのリスクを理解しない三下のゴロツキが端金のために人を裏切るような。
 そんな単純にして幼稚な理由。
 
「そんな単純な理由で…」
「ええ、単純です。しかし、世の中と言うのはえてしてそういうものなのでは?人間の行動基準なんてとても単純なものなのですから」
 エンチラーダはさも当然と言った口調でそう言いました。
 
「…」
 その言葉に、フーケは黙ってしまいました。
 フーケはエンチラーダに反論する言葉が見つからなかったのです。
 なにせ、エンチラーダの言っていることは、けだし至言であったのですから。
 
 人間は兎角単純な行動原理に基づいて生きています。それすなわち、欲求です。人はいろいろな欲求・欲望を持ち、そしてそれを満たすために行動します。生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、自我欲求、自己実現欲求。人の欲求には再現が無く、どんなに良い暮らしをしている人間であっても、更に良い暮らしを求めます。
 
 どんなに外面を繕った所で、人間の本質は欲を満たすことにあるのです。
 
「今より良く生きたいという欲求は誰もが持つものでしょう?私は、私は、それを手に入れるためならば、大抵の事はいたしますよ?」
 薄暗い部屋の中で響くそのエンチラーダの言葉は。
 
 フーケの心の何かをざわめかせる、何やら不思議な響きと迫力を持っていました。


◇◆◇◆


 タバサとエルザは息を潜めて木のそばに隠れていました。
 二人の視線の先には、朽ち果てかけた寺院がありました。
 
 それは十数年前に放棄された開拓村の寺院でした。
 荒れ果て、今では近づくものもおりません。
 
 人間の手を離れた寺院は、寂しくもその反面で何処か理解しがたい美しさも醸し出しています。静かな世界に佇むその寺院は、なにやらそれだけで尊厳な雰囲気なのです。
 
 しかし、その寺院を包む静かな世界は、ある爆発と共に終わりを告げました。
 キュルケが放った魔法が、寺院の前にあった木を燃やしたのです。
 
 すると、すぐにその寺院の中から出てくる影がありました。
 
 それはこの開拓村の住人に村を放棄させた原因。
 オーク鬼でした。
 
 身の丈2メイルほど。
 体つきは大きく、醜く太った体を毛皮で包み、まるで豚のような顔を左右に動かしながら飛び出てきたオーク。
 好物は人間の子供という、どう考えても人間との共存不可能なこの生き物は、人々にとって大きな脅威です。
 特に魔法の力を持たない開拓民達ににとっては如何する事も出来ない存在でした。
 結果この村は捨てられ、オークの住処となっていたのです。
 
「ぶいあ!ぷいあ!」
「ぷぎ、ぷぐ、くふあやく!」
「ぶぎ、ぶ、ぶ、ぶるぐとむ!」

 オークたちは特有の鳴き声で会話をしながら、突然燃え出した木を指さした後、辺りを見渡しました。
 
 その様子を見ながらタバサは少し思案をします。
 想定していたよりもオークの数が多かったのです。
 
 オーク鬼は知能こそさほど高くありませんが、とても大きな体と、力。そして強い生命力を持っています。
 如何なメイジであっても、無策に戦えば簡単に蹂躙されてしまうでしょう。
 
 
 そのとき。
 オーク達の前に、青銅製のゴーレムが7体姿をあらわしました。
 
 ゴーレムたちは先頭のオークに突進し、手に持った短槍を突き立てます。
 オークの腹に槍の穂先がめり込み、オークは地面に倒れこみました。
 
「ちっ」
 その様子を見ていたタバサが小さく舌打ちをしました。
  
 それは打ち合わせに無い出来事でした。
 本来ゴーレムが出てくるのはもう少し後のこと。
 
 予定外にそれが現れたということは、そのゴーレムの作り主、即ちギーシュが先走ったのです。
 
 実際ギーシュの攻撃はさしたる効果をあげていませんでした。
 ゴーレムの槍は確かにオークに刺さりましたが、その傷は浅く、ゴーレムはオークの反撃で簡単に潰れてしまいます。
 
 このままではマズイと思ったタバサは呪文を唱えました。
 タバサが得意とする、トライアングルの魔法ウィンディアイシクルの呪文です。
 その魔法は手負いのオークに見事あたりその息の根を止めるに至りました。
 
 そしてその直後別方向から放たれた火の玉がほかのオークの頭を燃やし尽くします。
 タバサとキュルケの攻撃は実に効果的でしたが、それ以上に攻撃を続けることが出来なくなってしまいました。
 強力な魔法は連続しては使えないのです。
 
 仲間を殺されたオークは怯みましたが、同時に自分達が相手にしているメイジがさほど多くはないことに気が付きました。
 
 オーク鬼たちはメイジの恐ろしさを理解していましたが、その反面で、メイジといえど平民の人間と同じく力いっぱい殴れば簡単に殺せると言うことも知っていました。
 勝機は十分にある。
 その思いがオーク達を奮い立たせました。鋭い嗅覚を頼りに自分たちの敵の居場所を探し当てます。
 そしてオークたちは走り出しました。
 
「うぎいっぷ!ぶぐとらぐるん、!」
「ぎゃぎゃ!ぷ!ぶるぐとむ!」
 奇っ怪な叫び声を上げながら、オークたちはどんどんとタバサ達が居る方に迫ってきます。
 
 しかし、その目の前に姿を現す2つの影がありました。
 
 それは一人の人間と、サラマンダー。
 つまりはサイトと、キュルケの使い魔のフレイムでした。
 
 オークたちは一瞬驚きましたが、その走る速さを緩めることはありませんでした。
 確かにサラマンダーは強敵ですが、勝てない相手ではありません。そしてその隣の杖を持たない人間などは、もはや眼中に入れるまでもないか弱い敵です。

 オークは勢いそのままにサイトに向かって棍棒を振り下ろしました。
 しかしその棍棒はサイトに当たること無く、地面にぶつかります。
 
 そしてそのまま、そのオークは倒れこみました。
 サイトの剣が、その首筋を切り抜いていたのです。そのままオークは起き上がること無く絶命します。
 しかし、その隣に居たオークがその事実を理解することはありませんでした。
 なぜならそのオークもまた、サイトの剣によって体を貫かれていたのですから。
 
 目にも留まらぬ早業で、サイトはオークを屠っていきます。
 隣にいたフレイムも、炎をオークに吐きかけて殺していきます。
 オーク達は一瞬でその数を減らしました。

 オークたちはパニックに陥りました。
 まるで普通の人間に見えるその男は、鎌鼬のように素早くオーク達を切り刻んでいくのです。
 あるオークは勇敢にもサイトに立ち向かい、あるオークは標的を隣のサラマンダーに変え、そしてあるオークは逃げるようにその場を離れようとしました。
 
 サイトに立ち向かうオークの運命はどれも同じでした。皆一様に切られその生命を落とします。
 サラマンダーに立ち向かったオークはもっと悲惨だったかもしれません。
 斬られて一瞬で命を消すこと無く。サラマンダーの炎に悶えながら死んでいったのですから。
 混乱した状態で勝てるほどにサラマンダーは弱い幻獣では無いのです。
 
 そして、ある意味で一番不幸だったのは、そこから逃げるようにして、寺院の門。すなわちタバサたちがいる方向に走ったオーク達でした。
 
 そのオークが、寺院の門を出て直ぐ。近くの木陰からある影が飛び出てきました。
 それが小さな人間の女の子であるとオークが気づいた瞬間には、オークの視界は真っ暗に染まっていました。
 
「そぉい!!」
 エルザが桶をオークに投げつけたのです。

「ぷぎいいいいいいいいい!!!!!」
 桶は見事にオークの頭に被さり、突然真っ暗になった視界にオークは暴れます。
 すると、足を滑らせその場に倒れてしまいました。しばらくその場で立ち上がろうとオークはもがきますが、その動きは次第に弱々しくなって行きました。
 
「ぷ、ぷぎゃ…………ぷ…」
 その桶に入れられていたのは毒でした。
 今朝ほど、テオの前で捏ね合わせていたあの毒が入った桶をエルザはオークに投げつけたのです。
 毒の効果はバツグンのようで、生命力の高いオークの動きは、ついには止まってしまいました。

 同じく門の外に出ようとしていた別のオークは、とつぜん動かなくなった仲間に驚きましたが、自分の直ぐ前にいる人間が小さな女の子であることに気がつくと、棍棒を振り上げながらエルザへと襲いかかって来ました。
 
 そして、ここに居たすべてのオークたちの中で一番に不幸だったのはこのオークでした。

「全く、我が使い魔の初めてのオーク退治に感動しているというのに」

 そんな声が聞こえたかと思うと、次の瞬間にはオークの視線が一段低くなりました。
 オークは何が起きたのかわからず辺りを見渡すと、自分の直ぐ後ろに見慣れた物があることに気が付きます。
 それは。
 自分の足でした。
 今まで自分が下を見ればあったはずのその足が、なぜか自分の後ろに在ったのです。
 
 オークは思わず、その足に向かって手を伸ばそうとします。
 そして、その時になって初めて、オークは、自分の腕がその肘より先が無いことに気が付きました。
 オークは叫び声をあげようとします。しかし、叫び声を上げるために必要な顎と舌が、いつの間にか口とは違う場所に落ちて居ました。
 そのオークが何かをしようとする度に、それに必要な部位が、体からそげ落ちて行くのです。
 
 体中を激痛が走りますがそんなことは気になりませんでした。そんなことよりも、体がどんどん無くなっていく恐怖で、オークの心はもう壊れそうになっていました。
 
「タイミング以前にだ、お前はエルザを狙ったろ?このメンバーの中で、吾の使い魔であるこの少女を狙ったろ?つまりだ、お前は吾の物を壊そうとしたわけだ。つまりな…吾を侮辱したも同義だ」
 そんな声がオークの耳に入って来ましたが、オークはそれを理解することはできませんでした。
 ただ理解出来たのは、自分はとても悪い選択をしてしまったということでした。

 その廃村に居たすべてのオークの中でも、そのオークが一番に苦しい死に方をしました。
 ただ、エルザを標的にしたという、それだけの理由で。

 そのオークが、絶望の内に死ぬのを見届けると、テオはさっとエルザの方を振り返りました。
 もう、テオの脳内からはオークという存在は消え去っていました。

「良ぉお~~しッ!よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし!りっぱに殺れたぞ!エルザ」
 そう言いながらテオはエルザの頭をこれでもかと言うくらいに撫で回していました。
 エルザはその顔をテオの肩に埋め、苦しそうにもがいています。
 直ぐ隣のタバサはそれを冷めた目で見て居ました。

「おーい、こっちは終わった…って、なにこの状況」
 その場にやって来たサイトがその光景を見て、少し後ずさりました。
 
「まったく、ギーシュったら全く段取りが…って、うわ、引くほどの溺愛ぶり…」
「しかしだね僕は…うわああぁ」
 キュルケとギーシュもすぐ近くまでくると、テオのその異様な様子に顔をひきつらせます。
 
「みな揃ったか?宜しい、一同エルザを讃えろ、今日はエルザが一人でオークを倒した記念すべき日である。吾は今日という日を吾の祝日とし、未来永劫語り継ぐ事をここに誓う!!」
「吾の祝日って何よ?」
「文字通り吾の考えた祝日だ、毎年この日になったら吾が勝手に祝う。仕事も勉学も休んで朝から晩までパーチーだ!」
「それただのサボりの口実じゃねえか」

「何とでも言え、とにかくエルザのおかげでオーク退治が出来たのだ、皆感謝するように!」
 テオはそう言って胸をはりました。

「感謝って…まあたしかにオークを一匹退治してくれたのはありがたかったけど」
「でも、それを言ったら皆それぞれオークを退治していたし…」
「って言うかテオ?アンタだったら一人でここのオークを一掃できたんじゃないの?」
 
 キュルケのその言葉にテオはため息をつきながら首を横に振りました。 
「はあ、君は本当にわかってないな。全く、全く持ってダメだ、ダメダメだ。吾が一人でオークを退治しては、エルザのためにならないだろう?今回のこの戦いはエルザが戦って初めて意味があるんだ。エルザが強くなるための訓練なのだから」
「そもそも。それが問題だと思うのよ、いくらテオが守っているからってこの子を戦闘に混ぜるのはマズイと思うんだけど?」
 キュルケのその言葉に、他のメンバーも頷きました。
 
 テオがすぐ傍で守ると言っても、エルザは小さな女の子です。戦闘に参加させるなんて、どう考えても危険に過ぎます。

「エルザが強くなりたいというのでな何事も経験だ。実戦に勝る訓練なしと言うだろう?」
「それはそうだけど…でもいくら何でもこの子に実戦は早すぎるんじゃない?」
「いや、むしろこういったことは早すぎるくらいで丁度よい」

 確信を持った表情でテオがそう言いますが、やはり皆は納得がいきませんでした。
 
「でも、このこメイジじゃないんでしょ?訓練で万が一ってことも有るわけだし…」
「メイジの子供だってその年で実戦はしないと思うよ?」
「確かに危険だわな」
「やっぱり私と一緒に隠れていたほうが良かったんじゃ…」
 一同はエルザの参加に否定的でしたが、一人だけそれを肯定する人間が居ました。

 タバサが一言。
「私は…私はいいと思う」
 そう。ガリアの花壇騎士として実戦の世界にいるタバサは、テオとエルザの行動が正しいものに思えたのです。
 
 嘗て王族として育ったタバサが突然放り込まれた実戦の世界は、とてもとても大変なものでした。
 だから彼女は自らの経験から痛感していたのです。早く実力を付けることの大切さ。そして自分の今の環境がガラリと変わる可能性。

 この世界は危険に満ち溢れています。
 エルザがテオの庇護下から外れる可能性がゼロでは無い限り、少しでもこの世界を生き抜く実力を持つことは決してエルザに取ってマイナスにはならないと、タバサは確信していたのです。

 生きる。
 
 ただそれだけのことがこの世界では兎角大変なのです。
 この世界を生きると言うのであれば、人は強くならねばいけないのです。

「ターバサー。さすが吾が見込んだメガネである。そうだ、そのとおりだとも、この中で一番の実力者たる吾とそれに次ぐタバサが言うのだ。吾の教育方針が間違っていようはずがないではないか!」
 タバサという賛同者を得て、もうテオはそれはそれは得意そうに自分の行動を肯定し始めました。
 
 その様子に他のメンバーはこれ以上何を言っても無駄であることを悟り、一様にため息を付くのでした。
 
 
◇◆◇◆
 
 
 その夜、一行は寺院の中庭で焚き火を取り囲んでいました。
 
「寺院の中に宝が有ると聞いていたのだがね」
 ギーシュが恨めしそうに言いました。
「あったじゃないの、祭壇の下に」
「ああ、あったよ。たしかにチェストの中に首飾りが在ったさ。しかしね、僕はブリーシンガメルと言う「炎の黄金」で作られた、あらゆる厄災から身を守る宝だと聞いていた…しかしこの首飾りときたら…」

 ギーシュは指飾りを指さしました。
 
「…真鍮で出来た安物じゃないか!」
 その言葉にキュルケは答えませんでした。
 ただつまらなそうに爪の手入れをしていました。
 タバサとサイトも我関せずと言った様子で話には参加しません。
 シエスタは夕食の準備に集中していましたし、エルザはそれに興味津々といった様子でした。
 誰もがギーシュの言葉に反応しない中。
 
 ただ一人、その言葉に反応したのはテオでした。
 テオはギーシュの指さしたそのネックレスを興味深そうに観察しながらこう言いました。 
「ふむ、いや、中々悪くない首飾りだと思うぞ?」

「何処がだね?真鍮だよ?真鍮!それこそ平民の小遣いでも買えるような首飾りじゃあないか!苟も僕らは貴族なんだよ?こんな首飾りを良いと思う事自体が恥ずかしいことだよ!」
「恥ずかしいのはおまえの言動と格好だ。物事の価値はその値段で決まるわけではない。たとえ高価な素材でできていようが粗悪な装飾とは多々有るのだ。むしろそんな装飾なんぞをつけてみろ。それこそ滑稽の極みではないか…お前のようにな」
「ちょ!……」
 突然恥ずかしい奴と言われれば、ギーシュもいい気はしませんので、当然それに非を唱えようとしましたが。
 ふと周りを見ると、テオを始め全メンバーが無言でその言葉に頷いていました。
 
「まあ…たしかにギーシュの格好と言動は恥ずかしいな」
「恥ずかしいわね。動きとか、服装とか」
「恥ずかしい」
「とても恥ずかしー」

「…なにこれイジメ?」
 皆の言葉にギーシュは泣きそうな声を出しました。

「素材が良くても悪いものは悪い。そして素材が悪かろうと良いものは良い。この首飾りも中々に悪くないものだぞ?物の価値とは必ずしもその値段で決まるわけでは無いのだ」
「そう!テオ、やっぱりいいこと言うわ!本当の価値が解る男って素敵ね!誰かさんに爪の垢を煎じて飲ませてやりたい」
 キュルケが爪を手入れを一旦中断しテオを称えました。
 しかし気分のよろしく無いギーシュはそのテオに反論をします。
「でも、実際の所偽物じゃないか。偽物にはそれ相応の価値しか無いよ」

 ギーシュがそう言うと、テオは小さく笑ってこう言いました。
「偽物か…おいエルザ、首にかけているそれ、見せてやれ」
「うん」
 そう言ってエルザが服の中から首飾りを取り出しました。
 
「なにこれ!」
「凄い!」
「うおお」
「…わあ!」

 それを見た一同は思わず声を上げてしまいます。
 それは。それはとても美しい首飾りだったのです。
 金色に輝き、美しい装飾と、所々付けられた宝石の数々。
 まるでこの世界の価値と言う概念を小さく固めたような、そんな首飾りでした。

「…ブリーシンガメルだ」
「こ!これが!?」

 一同は驚きました。
 まさか本物のブリーシンガメルが出てくるとは思っていなかったのです。
 しかし実際に皆の前には神話に出てくるような美しい物が存在しています。
「如何にも美しく、魅了されるようだろう?さも素晴らしい力を持っていて、それさえあれば幸運に恵まれると言われれば信じざるをえない美しさだ」
「すごい」
「これが…ブリーシンガメル」
「正に伝説の美しさ…」

 みなその首飾りに視線は釘付けでした。
 正に魅了される美しさがそこに在ったのです。

「そして…このブリーシンガメル…1つだけ秘密があるのだ。伝説にも語られることのない重大な秘密がな」
「ひ…秘密?」
「どんな?」
「ごくり」

 そこの誰もがその『秘密』に興味を惹かれました。
 こんなにも美しい装飾に隠された秘密。
 皆身を乗り出してテオの次の言葉を聞こうとします。

「これな……真っ赤な偽物なのだよ」
「「「え?」」」

「吾が錬金で作ったそれっぽい首飾りだ。普通に考えてオカシイだろ?吾がそんな伝説のアイテムを手に入れる機会があるわけ無い。なにせ幼少の頃幽閉され、そこから出てもこの足のせいで普通の人間に比べて外出の機会がずっと少ないんだ。しかし、君等は吾がこれを偽物だというまで、微塵も疑わなかったな」
「「「………」」」
 テオの言うとおりでした。
 彼がそれを偽物だと言うまで、いえ、偽物だと言った今でさえ、皆はその首飾りが本物なのではと思ってしまうのです。

「本物と偽物の境なんてそんなものだということだ。事実としてのその真贋ではなく、それを信じる心がそれを本物にするのだよ。つまりだ。信じればその真鍮の首飾りも、立派な本物になりうるということだ」

 そう言ってテオは真鍮製の首飾りを自分の首にかけました。
 
「ほら、どうだ?エルザ」
「似合ってる!」
「うむ。高貴な人間というものは装飾を選ばん。その人間そのものが、何よりも輝いているからな。あ、ちなみに輝く装飾が悪いと言うわけではないぞ。本当に輝いている人間と言うのはどんな装飾でも着けこなすのだよ」

 美しい首飾りを付けた使い魔の隣で、質素な首飾りを付けるその姿。
 男のテオが少し大きめの首飾りを付けるその姿は、何処か奇妙にも見えましたが。
 その堂々とした態度と、自信にあふれる仕草は。その首飾りを無理矢理にでも似合わせるような、そんな力がありました。
 
 そして、本当に不思議な事なのですが。
 
 テオがそれを身につけることで。
 なんだか本当にその真鍮の首飾りが『ブリーシンガメル』であるような。
 
 そんな気が。一同の心の中でしたのです。
 
 
 
 
◆◆◆用語解説

・アマニタ茸
 毒キノコのベニテングタケの英名。
 毒成分の一つはイボテン酸。これは毒であると同時に旨味成分である。
 その旨さたるや何とグルタミン酸の10倍以上!!
 まさに死ぬほど旨いキノコ。っと言いたいところだが、実はベニテングダケの毒性は然程高くは無い。
 ただし、毒性が然程高くないからといって食べるのはやめよう。一応死亡例もあるので。
 
・毒手
 毒の付いた手で攻撃する技。
 爪に塗るタイプと、特殊な訓練で手そのものに毒を含ませるタイプがある。
 毒手の使い手として有名な人物にはダイバダッタ、影慶、柳龍光など。
 
・趣味は毒手
 「趣味は読書です」と言う人の言葉だが、よく聞いてみよう。
 本当は「趣味は毒手です」とかだったら大変なことである。
 へえ、文学的なひとだなあと思ってホイホイついていった結果。
 紫色の手刀で体を貫かれる結果になりかねない。

・サイト
 サイトのテオに対する評価はかなり高い。
 満身創痍の傷を2度も薬で助けてもらい、
 剣を無料でくれて、ピンチの時はなんだかんだで助けてくれて、
 時には強い言葉で自分を諭してくれる。
 そんな意外と頼れるナイスガイ。
 ちなみにサイトの中のハルケギニア好感度ランキングは以下のとおり。
1ルイズ
2テオ
3シエスタ
4キュルケ
5タバサ
6マルトー
7エンチラーダ
8エルザ
9ヴェルダンデ



235オリーブオイル
236ギーシュ
237豆

・生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、自我欲求、自己実現欲求
 マズローの五段階欲求説。
 乱暴に説明すると、人間というものは生理的欲求をまず満たそうと思い、それが満たされると安全欲求、それも満たされると社会的欲求と段階的に求めるものが変わると言う物。ある意味で「衣食足りて礼節を知る」に通じるものがある。
 人間性心理学で出てくる物だが、実は心理学よりも経営学などでよく耳にする言葉。
 人間と付き合い人間を扱う学問、業種では知っておくべき常識の一つ。
 ちなみにこの欲求の果てには自己超越と追う段階がある。

・「ぷぎ、ぷぐ、くふあやく!」「ぶぎ、ぶ、ぶ、ぶるぐとむ!」
 偶然だとは思うがひょっとしてオーク達は何やら召喚しようとしていたのでは?
 くふあやく、ぶるぐとむ、ぶぐとらぐるん、ぶるぐとむ、あい、あい、はすたぁ!!!

・鎌鼬
 風のような素早さで人間に傷を与える一種の妖怪と嘗て思われていたが、
 その正体は風の流れで出来る真空または非常な低圧により皮膚や肉が裂かれる現象
 ……と、比較的最近まで言われていたが、近年ではそれも疑問視されている。そのような現象が人間を皮膚を切り裂く確率はかなり低いようだ。
 近年では鎌鼬の本当の正体はアカギレの一種ではないかとされている。
 乾燥して突っ張った皮膚が、冷たい風の衝撃と温度差でパックリと割れる。
 それを肯定するかのように、鎌鼬の伝記は寒い地方に多い。
 コノ世界に鎌鼬という概念が有るかは不明だが、それなりに寒くなることも有るようなので、冷たい風で皮膚が裂けるという現象はありうるのだろう。
 そして風を刃にする魔法も有ることから、鎌鼬のような存在を想像することは、我々の世界以上に容易かもしれない。

・もっとも不幸
 自分の欠損した部分を見せられると言うのは予想以上に恐ろしく、不快なものなのである。
 嘗てある国では一番に重い刑罰として腹裂刑があった。詳細は気分が悪くなるものなので伏せるが、これは肉体的な苦痛以上に、切られた部分を当人見せる事を目的としていたフシがある。
 
・パーチー
 スタージョン級原子力潜水艦…のことではなく、パーティーのこと。
 
・実戦は速すぎる
 いえ、残念ながらこのメンバーでは最年長。そしてタバサと対等に戦えるレベルの実力者です。
 今回は自分の作った毒の効果を生命力の高いオークで実験したいがために参加した。

・苟も
 いやしくもと読む。「卑しくも」では無いので注意。
 仮にもという意味の言葉。
 
・真鍮
 加工性、耐食性に優れた合金。金に似た美しい輝きを見せるが、銅と亜鉛とで出来ているため、素材自体の価値は然程高くない。
 金に似ていながらその価値の低さから「貧者の金」と揶揄される。

・本物と偽物の境なんてそんなもの
 本当にそんなものだ。
 人工イクラも本物だと思って食べれば美味しいのだ。人造バターもバターだと信じれば美味しいのだ。形成肉も霜降りだと思えば美味しいのだ。
 大切なのは偽物か本物かを見ぬく鑑定眼ではなく、それが本物でも偽物でも楽しむことが出来る心の余裕である。


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