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No.34426の一覧
[0] 【習作】MUV-LUV Unlimited GHOST VARIANT(マブラヴ/チート半オリ主)【微改訂】[USK](2012/09/23 21:06)
[1] MUV-LUV Unlimited GHOST VARIANT 01[USK](2012/09/23 20:59)
[2] MUV-LUV Unlimited GHOST VARIANT 02[USK](2012/09/23 20:59)
[3] MUV-LUV Unlimited GHOST VARIANT 03[USK](2012/09/23 21:00)
[4] MUV-LUV Unlimited GHOST VARIANT 04[USK](2012/09/23 21:00)
[5] MUV-LUV Unlimited GHOST VARIANT 05[USK](2012/09/23 21:01)
[6] MUV-LUV Unlimited GHOST VARIANT 06[USK](2012/09/23 21:01)
[7] MUV-LUV Unlimited GHOST VARIANT 07[USK](2012/09/23 21:02)
[8] MUV-LUV Unlimited GHOST VARIANT 08[USK](2012/09/23 21:02)
[9] MUV-LUV Unlimited GHOST VARIANT 09[USK](2012/09/23 21:03)
[14] マブラヴ GHOST VARIANTエピローグ或いはエピソード0[USK](2012/08/10 09:51)
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[34426] MUV-LUV Unlimited GHOST VARIANT 02
Name: USK◆195bfacf ID:c2db7418 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/09/23 20:59
あれから、2日が経った。
ハイトが告げた通り、彼は私を基地―――旧ベネズエラのミランダ基地に送り届ける為、変形させたドミナントに乗せた。
予想以上にコクピットは広く、メインシートの後ろに予備シートもあったので、乗り心地は悪くはなかった。
いや―――乗り心地“は”良かった。…その時は。
今はというと―――
「ちょ、ちょちょちょハイトォ!
もうちょっと高度落としてってば!!」
眼下に、青い海が流れていく。そして―――照射され続ける、レーザーも。
(おかしい! 絶対におかしいってこれ!!)
ハイト曰く、本来ならもっと速度を出すこともできるが、私の為にかなり速度を抑えているらしい。
そのお陰で、至る所からレーザー照射を受けている。
相変わらず一切機体にダメージを負っていないのは凄いが、流石にこの状況は心臓に悪い。
「…何をそんなに慌てているんだお前は」
「慌てもするわよ !普通、レーザー照射なんか数秒も受ければ蒸発よ蒸発!!
それを受け続けて、落ち着くなって方が無理よ!!」
仕方がないな、と言って機体が降下し、海面ぎりぎりを飛行する。
―――レーザー照射はほとんどなくなった。それでもたまに、飛んでくるが…まだ、気にするほどではなかった
(って、私も毒されてきてるわね…)
そう思った時―――機体を、振動が襲った。
「なに!?」
周囲に映し出されている映像を見渡す。―――機体に、海から延びる触手が巻き付いている!!
「しまった! 巡洋級…!?」
巡洋級。それは、最近発見された水中行動型のBETAだった。
体長は、本体が5m程度。蛇のような体躯に、3つに分かれた頭部と、その全てに付いた戦車級を思わせる強靭な顎。そしていまこの機体にまとわりついている、体長と同じぐらいの長さの2対の触手だ。
その存在により、航空戦力のみならず海上戦力が殆ど無効化されたことで、人類の敗北がより濃厚になっているのだ。
「ハイトッ!」
「くっ…」
ちらり、と私の方を見る。
「私は大丈夫だから、対処して!」
「…辛かったら言え!」
そう言うや否や、機体が巡洋級に引き寄せられ、海中に沈む。
いや、違う。わざと出力を落とし、触手に引っ張られるままに機体を沈ませたのだ。
水中で、触手を引き千切りながら機体が変形し、人型に戻る。
―――目視で把握できる限り、敵は20体前後。
だが、これだけではないはずだ。
「ハイト! この機体、水中戦は!?」
「可能だ! だが―――俺が得意ではない!!」
言いつつも、掌から放たれる光弾が既に3体を消し飛ばした。
「特に、格闘戦が出来ないからな…時間がかかるんだ!」
伸ばされる『顎』に手を突っ込み、内部から光弾で吹き飛ばす。
だが、次々と襲い来る巡洋級が、機体に巻き付いて来た。
「ちっ!」
それを手で引き千切るが、更に巡洋級は巻き付いてくる。
「アカネ―――少し耐えろ!」
そう叫ぶと、一気に機体が上昇した。
強烈なGが、体を苛む。
海上に浮上したドミナントは、腰の長剣に手を掛けると、機体を1回転、巡洋級を振り払い、更に1回転させ、長剣で切り刻む。
「…だから、最初から高く飛んでいれば―――」
「…ええ、そうね…」
恨めしげに答える。
確かに、無駄に戦闘を余儀なくされる海面ぎりぎりよりは、レーザーの照射を受ける“だけ”ですむ高度の方が楽かもしれない。
(ああもう、空も海も陸も、BETAの領域か…)
まったくもって嫌になる。陸海空全てがBETAに支配されているならば、人類の居場所は一体どこにあるというのか。―――いや、最早滅びることが確定しているようなもの、あるはずもないか。
「―――ところでアカネ。
ひとつ、訊きたいことがある」
「…何?」
「お前の基地―――何処だ?」
「―――ハァ?」
「いや、旧ベネズエラのミランダ基地ということは聞いたが…そもそも、俺は地名など知らんし、勢いで飛び出したが―――」
「………アホーーーー!!」
思いっきり、ハイトの頭にチョップをかました。


『所属不明機(アンノウン)に告ぐ!こちら国連軍ミランダ基地司令部!
直ちに、そちらの所属と名前を答えろ!!』
通信から、怒声が聴こえてくる。
アカネを促し、それに応答させた。
「こちら国連軍ミランダ基地第5戦術機甲大隊、ウェザー中隊所属、涼宮茜中尉です!
ミランダ基地司令部、着陸許可をお願いします!」
『―――アカネ中尉!? 生きていたのね!!』
「その声―――イルマ大尉ですか!?」
「知り合いか?」
「私の所属してる第5戦術機甲大隊の隊長よ。
―――イルマ大尉、着陸許可をお願いします!」
「…分かったわ。第3滑走路に着陸して」
「了解!
ハイト、あの滑走路に着陸して」
言われた通りに、機体を人型に戻し、滑走路に降りる。
胸部のコクピットハッチを開き、アカネと共に滑走路に降り立つと、数人の衛士が自動小銃を突きつけてきた。
「アカネ!」
「イルマ大尉!」
一人の女性がアカネに駆け寄り、ぎゅっと抱きしめた。
「良かった…生きててくれて…。
もうこっちじゃ、MIA判定になってて…」
「…ご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした。
それで…」
アカネが、銃を突き付けられながら突っ立っている俺に視線を向けてきた。
「―――ハイトだ。色々あって、そいつを保護していた。
…聞きたいことも沢山あるだろう? 遠慮せず、連行の指示を出したらどうだ?」
「ちょっとハイト!? 何でそんなに挑発的なの!」
「…そうね。
あなたは、謎が多いわ。―――連れて行って頂戴」
「イルマ大尉! あの人は、命の恩人です!
どうか、丁重な扱いを―――」
「わかっているわ、アカネ。
彼の事は、私が保証するわ」
「―――済んだか? ならさっさと連れて行ってくれ。
ここは暑くてかなわん」
「それは…この熱帯の中、黒尽くめでいれば暑いでしょうね…」
イルマと呼ばれた兵士が、呆れたように呟いた。


「来たか。まあ、そこに座りたまえ」
基地のとある一室に連行されてきたハイトに、一人の中年が長椅子を指して促した。
それに従って、長椅子に深く腰を下ろす。
「まずは、涼宮中尉を保護してくれたことを感謝しよう。
それで…早速だが、君は何者かね?」
「ハイト。そしてあの機体はドミナント。
―――すまないが、それ以外は記憶喪失だ。
訊かれても、答えることは出来ない」
「記憶喪失―――か。
では、今ある君の記憶の最初に、君は何処にいた?」
「ドミナントのコクピットの中だ。
機体の状況は―――空から、墜ちているところだった」
「空から? では、機動降下部隊か―――?
いや、だが…
話を変えよう。―――君は、《幻覚》という言葉を知っているか?」
「《幻覚》…ああ。アカネから聞いた」
「単刀直入に聞く。それは…君の事か?」
「恐らく―――はい」
「…では、君が、前線で噂される、戦術機のパイロットだと…?」
「ああ。頻繁にあのBETAという化物と、可能な限り目視されないよう戦闘をして来た。
だから、それは俺と言えるだろう」
「では、噂に聞く、BETAの攻撃にビクともしない装甲というのは―――!?」
「本当だ。
―――それで、あなた達は、俺をどうしたいんだ?」
「どうするんだ、ではなくどうしたいか、か…。
私達も、君の扱いを決めかねているんだ。
そもそも、上層部は君を―――《幻覚》を、文字通り幻覚と判断していた。
だが、それがこう目の前に現れたのだ…。
一体、どうしたものか…」
「なら、単純に考えましょう」
言うと、ハイトが立ち上がった。
「単純に?」
「ええ。―――俺は、ここでの生活と、自由な行動権をもらえるのならば、あなた方に協力を約束する、と」
「―――正体不明の相手に、好き勝手に行動させろと?」
「ああ。因みに、協力しないで良い、というのなら、さっさと帰らせてもらう」
「そう、簡単に帰すと思うか?」
「なら、この基地を制圧してからだ。言っておくが、可能だぞ?」
「協力するしないに関わらず、勝手に行動する、か…。
ならば、“声が届く”場所に置いておく方がましだろうな。
―――いいだろう! 君の条件を飲もう!」
「ああ…それともう一つ、言っておかなければ」
「なんだ?」
「たった1機の無敵の機体があろうと、多分今更…人類は、勝利できんぞ?」
「………」
それは、ハイトが茜の話を聞いて出した結論だった。
既に、BETAの巣たるハイヴの数は、32。
そこから湧き出るBETAの数に、たった一機の機体が出来ることは限られているのだ。
「―――それだけだ、言いたいことは」
「…ハイト君。これだけは言わせてくれ」
男が、ハイトを真っ直ぐと見つめてくる。
「我々は…人類はまだ、諦めていないと」
「―――ならば、人類を勝利させることは出来ずとも、敗北させることはさせないと、約束しよう」
「―――そういえば、自己紹介がまだだったな。
この基地の司令をしている、イブラハム・ドゥールだ。
今後ともよろしく頼む、ハイト君」
そう告げると、男―――イブラハムとハイトは、固い握手を交わした。


「ハイトッ!」
部屋から出ると、扉の横で待っていたアカネが声を掛けてきた。
「アカネか。
―――とりあえず、しばらくここで世話になる代わりに、お前達に協力することにした」
「そっか」
「お前の方は? 取り調べがあったんじゃないのか?」
「まあね。って言っても、軽―く今後の話と、健康診断をやっただけだけどね」
「今後の話?」
「うん。
私の新しい戦術機、調達できるのがしばらく先になるから、それまではあんたの御守りをしてろ、だってさ」
(御守り…か。
―――それは…)
「…つまり、俺の監視役か」
「…せっかくオブラートに包んで言ってあげたのに、なんで言っちゃうかなぁ…」
「まあ、知っている奴と行動しろ、というだけマシだ。
宜しく頼む、アカネ」
「こちらこそ、ハイト」


廃墟となった街に、“それ”は在った。
夕暮れ時。空を求め手を伸ばす、一機の撃震。
衛士の姿は何処にもなく、既に廃棄された機体なのだろう。
その証拠に、左腕はもげ、至る所がひび割れ、欠け、へこみ、砕けている。
誰も観測するもののいないその無人の廃墟で、息絶えながらも何かを求めるように手を伸ばす姿は、まるで滅亡に瀕してなお希望を求める、現在の人類のようだ。
決して―――二度と、動かぬその戦術機。
動かない。動かないはずだ。
なのに―――その指は、ピクリと。―――震えた。
風は、ない。それでも、ピクリと。震えて。


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