ミズオ達が巣の場所を変えて一日が経った。
下見で見つけた危険の少ないルートを進んだために巣の移動は問題なく終わり、新しい巣の場所も無事見つかって、腰を落ち着けたのが一昨日のこと。
強行軍の疲労を和らげるために昨日は一日中果実を食べていたが、今朝起きて見れば体は軽かった。もう休む必要はないだろうと判断する。
ミズオは今日からこの新しい巣の周りを見て回るつもりであった。
危険があるなら発見しておかなければいけないし、未知の世界に対する冒険心もある。
他の同属たちもそれぞれ好き勝手するようで、起きて早々食べている者もいれば、気ままに出かける者もいる。
俺も好きなようにするか、とミズオは巣を飛び出した。
新しい巣は、のたうつ様に地面へ姿を見せている巨木の根の下である。湿っぽいその場所から出て、ミズオは草原へと続く道を歩いていく。
以前の巣から南下した場所にあるこの辺りは非常に食物が豊富であり、また隠れる場所も多いため、ミズオ達小さな生き物が生きていくには絶好の場所である。
木々はまばらで巨木が多く、天を覆うように延ばされた枝からは日に何百と葉が降り落ちてくる。
下に生える草々は落葉に埋もれながら、朝の淡い木洩れ日の中で尖った緑の葉をピンと伸ばしていた。
地には茶色く枯れた葉が重なり、大変柔らかな踏み心地である。ミズオはフカフカの絨毯の上を歩いているような気持ちになった。
(ん?)
その腐葉土に埋もれる様に一匹の生物が死んでいた。
そのこと自体に感じることはない。
人をやめて微生物になってからというもの、生と死についての考え方が変わってきている。己の死以外では、己の死を連想させる親しい者の生死くらいにしか、心が動かされることはなくなったのだ。生と死が身近にあり続けたためか、死体を見た程度ではいちいち足を止めたりはしない。
この時は他にもっと気になることがあったのだ。
死んでいる生き物はミズオ達と同じくらいのサイズで、カナブンのような光沢を持った昆虫だった。何も映していない複眼が、死んでいるということを確信させる。
今いる場所は森であり、昆虫は珍しくないのだが、六本の手足を丸めるようにして倒れているその昆虫の体がどうもキラキラと淡く光って見えるのである。それが如何にも超常の現象で、ミズオの目を引いたのだった。
ミズオは数度目を瞬かせ、どうやら見間違いではないと判断し、近づいていく。
(それにしても、この光は美味そうだ)
近寄って見るとその光から目が離せなくなった。
ミズオは草食の筈だったが、キラキラと光る死体を見ているだけで口腔内に唾液が分泌されていく。
体が必要としている物が非常に魅力的に映る時がある。実際、微生物の時のミズオにはモヤモヤがとても魅力的に映っていた。
その現象を最大限にまで高めたのがこの光なのではないか、とミズオは思う。
なにはともあれ、旨そうに感じるのだから食べて見るしかあるまい。我慢する理由は欠片も無い。
ただ、良く見てみると光っているのは死体自体ではなく、その内側の何かである。
近づいてみると昆虫の体は風化しかけており、鼻で押すとその身を包む甲殻がコロリと剥がれ落ちた。
そして中の空洞から、細長い球体が転がり出てきたのであった。
柔らかな膜に包まれた、薄赤い球体である。
腐葉土の上で球体は眩く輝き、やがて役目を終えたかの様に光は消えていった。
(これは…!)
食べてみずとも、明確にミズオは悟った。
――――――この球体は遺伝情報の塊だ!
やはり、この昆虫もミズオの知る昆虫とは違うモノなのだろう。死後遺伝情報が固まるなどという機能は効いたことがない。
否、それよりも驚くことは、ミズオの体がこの死体に遺伝情報があることを知っていたことだ。
意識が気がつかなかったそれを、本能は分かっていたのだろう。あの光はそれを知らせるためのモノだったのだ。
驚きと共に得心もいき、ミズオはありがたくその遺伝情報を頂戴した。陸上生物になってから食べる二つ目の遺伝情報である。
球体を包む膜は、噛むとぷつりと弾け、中身が口の中にあふれ出てくる。
その味、やはり脳汁が出るほど美味かった。ミズオは誰も見ていないのをいいことに七転八倒し、腐葉土の上でぽんぽん跳ねた。
やがて落ちついたミズオが周りを見渡すと、死体が放つ光がチラホラと点在している。
ここがこの世の天国か、とミズオは喜び勇んで御馳走を食べるために駆けずり回った。
新しい巣の周辺に大型の生物は少ないようであった。結構な距離を駆けずり回っても遭遇しなかったのだ。
見通しが悪く風も淀んでおり、じめじめとした環境では体を悪くしやすいのだろう。
――――――と思っていたのだが、今まで出会わなかったのは偶然だったのだろう。ミズオは早々に巨大な生物と二回目の遭遇を果たした。
ミズオが走りつかれて地の窪みに溜まった水を舐めている時のことだ。
ぬ、と横に巨大な何かが現れた。それは顔であった。視界の端から端まである前後に長い顔に側頭部からでた角が生えている。顔の付け根にある首は太く、遥か高く見上げる位置にある筋肉の盛り上がった肩に続いていた。
隆々と肉がついた肩は黒い毛で覆われており、そこから太い足が真下に、つまりはミズオの背後に降りてきている。脚は下に行くにしたがって極端に細くなり、振り返れば、ミズオの背後には巨大な蹄が存在していた。
前脚の向こうには、遠くに後ろ脚が見える。こちらも蹄があり、その向こうで房のついた尻尾がぶらり、と揺れている。
四足獣で、角があり顔が長く体がごつい。これらを総合すると、牛かもしれない、とミズオは思った。
ミズオのことなど歯牙にもかけず、その口から長い紫色の舌を出してびちゃびちゃと水を舐めている。それをいいことにミズオは熱心にその四足獣を観察した。
体についている筋肉が、まるで彫刻の如く、陰影を作りだしている。巨体から発される熱気がむわりと感ぜられた。
重厚さは黒い体毛と相まって、まるで要塞のようである。腐葉土にめり込む蹄を見て、体の重さは如何ほどだろうとミズオは感嘆した。
(でかいなぁ……)
己の数十倍はある生物に、水を飲むのも忘れて感心していると、ふと、視線を感じる。目を上げると、巨大な四足獣の真っ黒な目が至近距離からミズオを見据えていた。
そういえば、顔の近くにミズオは居たのであった。
ひくり、とミズオの動きは止まった。蛇に睨まれた蛙の気持ちが良く分かった。絶対的な強者の視線は、それだけで多大なプレッシャーとなるのだ。
黒曜石のような瞳に映る己の姿を見つつ、さっさと逃げればよかったと今さらながらに後悔する。映る己の姿はいっそ滑稽なほどに震えていた。
汗代わりの分泌液が止まらない。
巨大な四足獣はミズオを見ながら、今度は草を食べることにしたようだった。
舌を伸ばし、腐葉土から顔を出していた草を引き寄せ、前髪で噛み千切る。
草は臼のような奥歯でゴリゴリと磨り潰されて、嚥下され、きっと複数ある胃で何段階もの行程を得て消化されて行くのだろう。
緊張のあまり、良く分からないことを考えてしまっている。
(こ、このままじっとしていて、助かるか!?)
食べる間の暇つぶしに見られているというのが現実的な見方だろう。この生き物は前歯や顎のつくりなど、どう見ても草食で、つまり食べられる心配は必要ないはずだ。その筈だが、鬱陶しいからと踏みつぶされる危険はあった。牛は、その尻尾で尻に寄ってくるハエをたたき落とすのだから。
いつの間にか呼吸間で止めていたのか、息が苦しい、と感じ始めた時、木々の枝が風で揺れた。
ざぁ、となる葉の音に四足獣は耳を回し、その瞬間をミズオは見逃さなかった。
――――――注意が逸れたっ!
(い、今だぁああああああああっ! 今しかないっ!)
ミズオは脱兎のごとく逃げだした。反転し、シャカシャカと細い脚を一生懸命動かして、木の陰に逃げていく。
一世一代の大勝負である。これに成功したら何か特別なものに進化できるような気すらした。
(ぬぉおおおおおおおッ!)
視界の広い四足獣は去っていく小さくて変な生き物に当然の如く気がついていたが、別に気にせず、鼻を鳴らし、糞をぼとりと落として、また草を食み始めた。
ミズオたち小さな生物の扱いなどこんなものである。
少なくとも、今はまだ。
◆◇◆◇◆
気を抜いていた。あのような大きな生物に気がつかないなんて。
逃げてきたミズオは木の陰で反省しきりであった。遠く離れても分かるほど、あの生き物からは獣臭がする。
むせかえる様な汗の臭いと、纏わりつく微かな糞尿の臭い。草食でよかった。あれが肉食獣ならばおやつ代わりに食べられていただろう。
ミズオのような生き物が危機感を失くすなんて、自殺したいと言っているようなものだ。
(もっとこう、危険に対してアンテナを張ってだな……ん? あれは…!)
しかしミズオの反省も長くは続かない。目線の先にプリプリと美味そうな果実を見つけてしまったからだ。ともすれば、遺伝子の塊よりも美味そうな実である。
即座に、ミズオの意識は9割くらいその果実へと釘付けになった。一割残っている辺り、成長が窺えるな、と自画自賛しつつも、体は既にそちらへと動いている。美味そうな実の魅力には抗えないのだ。
もし罠が仕掛けられていたら余裕で引っかかる自信がある。今なら、ナッツが届かない実を前にピョンピョンしていた理由も理解できた。
薄桃色のその果実は1cm程の見た目に反して結構重いようで、その実を数個つけている背の高い草がこうべを垂れていた。
そのお陰でミズオでも頑張れば食べられる位置にある。
(これはありがたい)
はぷちゅ、と食い付くと見た目通りの食感が口腔内で弾ける。果汁が舌に跳び、思わず恍惚の鼻息が漏れた。
うまい。うまい。
思わず夢中で貪っていた。その実が内包するエネルギーをミズオの体は一寸たりとも逃さず、その実に吸収する。
体が熱い。心臓が暴れまわり、激しくなった血流のせいで、鼻腔内の毛細血管が破れ、つまりは鼻血が出た。ドバドバ出た。
恍惚の表情で鼻血を出しつつミズオはさらなる実を求めた。近くにあった実を一つ食べるごとに枝垂れていた茎は徐々にその高さを取り戻す。ミズオは届かない実に向かって首を伸ばすことになり、ついにはピョンピョンと跳ねるようになった。
そして気付く。
(…ッ!? こ、これじゃあナッツと変わらないだろ! 俺は人間的な思考が出来る筈だ!)
理性を取り戻したミズオは、ぐぐ、と体を沈め、曲げた足を一気に伸ばした。
ミズオの体は勢い良く植物への茎へとぶつかり、草がワサワサ揺れる。その頂点近くについた実も大きく揺れており、あと二三回繰り返せば、落ちてきそうである。
(よぉし!)
ミズオが意気込んで再度突撃をしようとした時、彼の後ろで唐突に鳴き声が聞こえた。
「シャーッ!」
(な、何事!?)
慌てて振り返ると、変な生き物がいた。獅子舞の獅子のようなごつい顔から細い足が四本生えている。またバランスが悪そうだ。そして最大の特徴は頭部についた二枚の翅であった。
体の大きさはミズオと同じいくらいだが、翅のせいで一回り大きく見える。
(虫…? 獅子虫…?)
その生き物はもう一声鳴くと、細い足をぐっとたわめ、直後飛翔した。
そう、飛び上がったのだ。
「シャー!」
「と、飛んだ!?」
頭についた二枚の翅をパタパタさせながら獅子虫は高く飛びあがり、そして薄桃の実へと到達する。
がぶりと実に噛みつきもぎ取って、翅を動かしながらゆっくりと下りてきた。どうやら獅子みたいな顔をしている割に、草食だったらしい。
ふわりと着地した獅子虫は、ミズオの目の前で、ふふん、と鼻を鳴らし、チラッとミズオを見た後、旨そうに果実を食べ始めた。
(ば、馬鹿にされている……!?)
ちっぽけなミズオにだってプライドはある。大きな生き物は別にしても、同じような大きさの生き物に勝ち誇られるのは我慢ならない。
そしてミズオは思考をすることができる生き物だ。突進の威力でダメなら、他の物を足すだけだ。
ミズオは再度突進した。そして体を当てる直前で、前脚にて急ブレーキをかけ、体を翻す。ミズオの貧相な前脚の筋肉が嫌な音をたて、ミズオの尻が、その先にある尻尾が、その先端についた爪が、勢い良く振られた。
目測はぴったりだ。
風を切るほどの威力を持った尻尾の先の爪が、茎を叩く。それは茎を押し曲げるには十分な重さをもっていた。
へな、と曲がった茎がその天辺につけた実の重さに耐えれないように崩れ、腐葉土の上に実をばら撒く。
(どうだ!)
と思って獅子虫の方を見ると、獅子虫は地面に転がった果実を貪ることに夢中で、ミズオのドヤ顔を見てすらいなかった。
(こ、この野郎………まぁ良いか。一杯あるしな)
怒りなんて不毛な感情は捨て置いて、ミズオは同じようにしてもう一つ茎を叩き折る。そうしてさらに辺りへ果実を落とし、ゆっくりと果実を味わい始めた。
ふと横目で見ると、獅子虫も鼻血を垂らしており、ちょっと笑ってしまったのだった。
そろそろ実を食べつくしそうになった頃である。
「シャッ!」
唐突に聞こえてきた声に目を上げると、獅子虫が頭の翅を広げ、四肢を突っ張ってこちらを見ている。
「な、なんだよ。ていうかそのポーズ格好いいな」
少々気押されつつも、この虫に変な対抗意識の湧くミズオは、体を起こし前脚を掲げて、荒ぶる馬のポーズをとって見せた。
「どうだーっ!」
「!?」
荒ぶるミズオに獅子虫は心底驚いた様子であったが、やがて細い足でカサカサと落ち葉を踏みながら、踊り始めた。
友好を示したいというよりは優位に立ちたいという負けず嫌いな性格がにじみ出る雰囲気である。どうやらこの虫にはミズオ同様プライドがあるらしい。
(…いいのか? ダンスなら俺の得意分野だぞ?)
やられたら同じ動作を返すのが礼儀である。ミズオはタッタカタッタカと華麗なフットワークを披露する。例によって反復横跳び的な動きだ。
己を上回る動きを見せられた獅子虫はがっくりと地面へ膝(?)を着き、エロリと口から何かを吐きだした。
それは先ほども見た球体、つまり遺伝情報である。敗北を認めて、何かを差し出してきた、という感じだった。
突然の吐き戻しにミズオが驚いていると、「シャー」と悔しそうに鳴いた獅子虫が飛びあがり、翅を広げて滑空し、去って行った。
(なんか変な生き物だったなぁ…)
と、思わず自分を棚に上げてしまうミズオである。
しばらく見送っていたが、やがて木々の葉に隠れて、姿が見えなくなる。
あっちの方に巣があるのであれば、今度行ってみるのも良いな、と思いつつ視線を落として獅子虫が残して行った遺伝情報を見ると、腐葉土にまみれたそれは、虫の体内から吐き出されたというのに非常に美味そうに見える。
ミズオも自らの内面に意識を向けて見れば、遺伝情報を吐きだせるような気がしてくる。なるほど、この機能はミズオ達奇妙な生物が共通して持つものなのかもしれない。あの昆虫も、ミズオ達のように生きているときは奇妙な生物だったのかも。
(しかしいい方法を知った)
友情を示す手段としてこの上ない機能だ。ナッツが遺伝情報を差し出してきたのも、今考えればこちらが吸収できることを知っていたからである。
ミズオ達のように奇妙な生物は、遺伝情報を吸収できるし、吐き出しもできるし、死後に残すこともできる。
推測の積み重ねだったが、これは合っている気がする。
いちいち仲間の死体を探るのも面倒だし、これはいい方法を知ったと思いつつ、遺伝情報を口にする。
―――――――ドクン、と心臓が跳ねた。
脳の中で情報が錯綜し、奔走し、やがて収まって行く。しかし熱は収まらない。そして体の中心がきゅうと窄まる様な感触と共に、圧倒的な飢餓感が襲ってきた。
たまらず、近くの薄桃の実を口にする。
―――――――足りない。全く足りない。もっと食わなければ!
本能に従って実を食べながら、ミズオは考える。
体の中の衝動に覚えがあった。エネルギーが足りないと叫び、暴れる別の生き物が住んでいるような、奇妙な感触。
大幅な進化がすぐそこに来ているのだ。
今食べた遺伝情報のおかげで進化に必要な分が溜まったということだろう。
(次はどうなるんだろう)
己が大きくなるのは間違いないだろう。それはとても嬉しいことでもある。
ミズオは未来の自分を想像しつつ、エネルギー源の果実を求めて視線を巡らせた。
◆◇◆◇◆
巣に戻ったミズオはすぐに交尾し、ミズオの意識は卵に吸い込まれていく。
硬い殻の中で、ミズオは新生した。
発生の道筋を辿るように、微生物となり、トカゲもどきとなり、馬もどきとなる。
その後、体が歪み、きしみ、無理やりに変化していく。
造り変えられる痛みは相当なものだ。しかし喜びも共にある。
――――――俺は、俺は進化しているっ!
弾けるような歓喜が痛みを塗りつぶしていた。
強くなり、大きくなるのだ。己の求める生の形がそこにはあった。
強靭になる四肢。硬くなる皮膚。脳の構造がギシギシと作りかえられ、拡張する神経は、感覚を皿に鋭敏にする。
今だ幼生なれど、卵の中でミズオの姿は次々に変貌していく。
一足飛びに生命の進化の歴史を駆け抜けて、やがて殻を内から突き破り、ミズオは産まれた。
頬を撫でる風を感じる。
ミズオの体には細かな毛が生えていた。風になびくそれは産毛であり、産毛を生やす皮膚は半ば甲殻のように光沢を放っていた。
大きく息を吸い、ミズオは吠えた。
彼の喉は、力強く、野太い音を発した。肌が、肺がビリビリと震え、その微かな痛みが気持ち良かった。
目を開ける。瞼から差し込む光がまぶしい。
やがて光に慣れると、きらびやかな世界がミズオを迎え入れた。遥か高く、どこまでも青い空。
霞みのように薄い雲がゆったりと風になびいている。翼を広げて滑空する、巨大な鳥もいた。
今はまだ、ミズオは小さい。
だが確実に大きくなった。強くなった。いずれ、あの天を飛ぶ鳥をも超えてみせる。
何物にも脅かされない、高みへ。
「――――――――ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
もう一度ミズオは吠えた。
それは紛れもなく、歓喜の声であった。