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No.33867の一覧
[0] 【習作】ドラゴンクエスト……ですよね?[ブレイド](2012/07/07 07:48)
[1] エルフ……ですよね?[ブレイド](2012/07/07 19:55)
[2] 俺の意見は無視……ですよね?[ブレイド](2012/07/08 08:19)
[3] 人間……ですよね?[ブレイド](2012/07/08 23:18)
[4] 現実……ですよね?[ブレイド](2012/07/09 16:22)
[5] 再会……ですよね?[ブレイド](2012/07/09 16:23)
[6] 旅立ちの日に……ですよね?[ブレイド](2012/07/11 21:25)
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[33867] 【習作】ドラゴンクエスト……ですよね?
Name: ブレイド◆11a3e1c6 ID:3a514329 次を表示する
Date: 2012/07/07 07:48
来る7月20日にてにじファンが終了すると知り、投稿していたSSを回収すると同時に加筆修正を加えてArcadiaにて執筆を再開しようと思い、投稿、および執筆の再開を致しました。
また移民か(笑)とお思いの方もおられるでしょうが、頑張って書き続けていきたいと思います。
それでは……ようこそ、ファンタジーあり得ない世界













 夢――それは幻覚のようなものでまるであたかも現実のようにすら感じる時もある人間が眠りに就いている時に見るもの。
 前にレム睡眠とノンレム睡眠というものが関係しているとテレビで見たことがあるが、詳しくは思い出せない。だが今言えることは俺、鈴木 信長すずき のぶながは今夢を見ているのだということ。

「ぴ、ぴぎぃ~!」

 夢を夢と自覚するのは難しい、というか自覚することなんて出来ない。しかしそれでも、流石にこれは夢だとはっきりと言える。腕に伝わるひんやりとして気持ちの良い感触やらプルプルと震える振動がやたらとリアルに感じるけど、夢とはある意味現実に最も近しい幻覚のようなものだという解釈をすれば、これもそうなのだろう。
 いつか覚めるというなら、今はこの感触を一秒でも長く感じていたいものだ。低反発もびっくりで凄く気持ち良い。これを枕にしたらどれほど良いものか
 

「ぴぎぃぃいいいいいい!!!」

 腕の中の生き物がけたましい声を上げる。思わず耳を塞ぎたくなる声だが両手が塞がっているためどうすることも出来ない。耳の中がキーンとするが、これも幻聴なのだろう。だがこれを枕にするという案は見送らなければならなくなった。しかしこれでは安眠など出来ない……。というか俺は夢の中だというのに寝ることしか考えられないのだろうか?
 そんな事を考えていると腕の中の生き物がより一層激しく暴れ始めた。グイグイと身体をよじり、俺からの拘束から抜け出そうと必死になっている。意外と強い力を持っている事に俺が驚く暇もなく、生き物はある程度抜け出すとその大きすぎる口をいっぱいに広げて、

「ぴぃ~……ぎぃぃいいいいいい!」

 思いっきり噛みついてきた。ガブリという擬音と共に、腕に強烈な痛みが走る。……これも幻痛なのだろう、腕の皮が千切れそうな位痛いが直ぐに消えてなくなるだろう。ギリギリと歯ぎしりみたいなのも聞こえるのでそれはもう思いっきり噛みついてきていた……。

















 …………って、

「いったいわぁあああああああああああ!!」

 激しい痛みに耐えきれず、正気に戻ると同時に腕を思いっきり振り、もう片方の腕も使って腕に噛みついている生き物を剥がそうと試みた。すると、意外にあっさりと生き物は腕から離れ、空中に投げだされたにも拘らず器用に着地して見せた。
俺は涙目になりながら噛まれた個所を見ると大きな歯形がついていた。こんな歯形、漫画の世界でしかお目にかかれない等と思っていると、近くから獣のうなり声のようなものが聞こえてきた。
声の主を探そうと、足元へと視線を向けるとあの生き物が俺の方を見上げている。

「ガルルルルルル」

 愛くるしいボディとは裏腹に一丁前に野生の生物独特の威圧感を放っている眼前の青くてプルプルしている生き物に俺は思わず後ずさりする。
 しかし後ずさりした分生き物もにじり寄ってきた。こんな小さな生き物なのに、俺は完全に気圧されてしまっていた。
 
「くっそ! なんだってんだよ……?」

 噛まれた腕をチラッと見ると今も赤く腫れており、うっすらと血も滲んでいた。これは本当に夢なのか? 夢だとしたら相当性質が悪い……。

「ガルルルルルル」

「……やろうってのか? 言っとけど、俺は中学まで剣道やってたんだぞ!?」

 とは言ったものの、今の俺は木刀おろか竹刀すら持ち合わせてはいない、完全に無手な状態だったりする。更にぶっちゃけると、実際に剣道をやってたのは二年ほど昔のことで今はもっぱら帰宅部に所属しているので剣道の感覚は薄れつつある。休みの日にキントレ程度に素振りするだけの一般人だ。
ただ、自分はそういう経験を持っているという自信を持ちたかった。そういった自分への鼓舞的な意味と、少しでも相手をビビらせる事が出来たらなぁという期待を込めて剣道のことを口に出したのだが、目の前の生き物には全く効果はなかったようだ。
 ……というか耳ってあるのかこいつ?

「――はぁ、どうしてこうなった?」

 目の前にいる夢の中の生き物……いや、もう夢とか現実逃避してもいられないだろう。これは現実だ。思いっきり噛まれて痛む腕も、あいつから感じる威圧感も夢なんかでは断じてないリアルの体感だ。
 半泣きになりそうな顔で目の前の生き物をじっと見る。
 愛くるしいボディ
青くてプルプル
まんまるな目に横に伸びた大きな口……。
そう、俺は、

「なんで俺が“ドラクエのスライム”に襲われてんだよちくしょぉおおおおおおおお!!!」

「ぴぎゃぁああああああああ!!」

 高々に声を出すと同時にスライムが再び大きな口を目いっぱい広げて俺に襲いかかってきて、それを最後に俺は意識を失う羽目になった。薄れゆく意識の中、
 ちくしょう、こんなの、こんなこと夢であってくれよ……。



















「ノブってさー、今度のドラクエの新作買う?」

 前にドラクエ好きの友人から聞かれた質問だ。同じ帰宅部という名の無所属で同じドラゴンクエスト好きということで仲良くなった。
 友人宅にてドラゴンクエストモンスターズで対戦をしていた時に、友人から新作は買うのかと聞かれたのだ。

「ん~、わかんね。オンラインってことは金かかるんだろ?」

「月々1000円くらいだってよ」

 千円という言葉を聞いてウゲェと苦言を零す。

「ちょっと、キッツイなぁ」

「キツイ、なぁ……」

 加えてソフト代もかかるし、高校生に毎月1000円払えというのは地味に圧迫する。それが俺と友人に買うのを躊躇わせている要因だ。
 キッズタイムという無料の時間があるらしいが、平日は学校から帰っても一時間程度しか出来ないという……物足りなさを感じざるを得ない。

「でも……やりてぇよな~」

「親に土下座でもして援助してもらうか?」

 俺が冗談めかして言ってみると友人は本気で悩み始めていた。日頃から「ゲームは遊びじゃないんだよ!」と言うだけあってこいつはいつも本気だ。

「……後で相談だけでもしてみる」

 苦い顔をしながら言う友人に心の中で感心する。こいつの思い切りの良さには好感が持てるが、今までにも何度かあったように翌日になれば頭にコブを作り学校にやってくることだろう。それでも何とか食らいつくようなので、その根性を他に当てればきっと何かしら大成すると思う。
 そんなことを考えていると俺の手持ちである最後のモンスターのしんりゅうがやられてしまった。

「負けたぁあああああああ!」

「お前さんはもうちょっとモンスターの耐性とか、うまく弱点を突くことを覚えろよなー」

 これで三連敗だ。レベルでは俺の方が上なのだが如何せん向こうはバランスがよく、此方の弱点を巧みに突いてくるのでいつも負け越している。
 流石に三連敗ともなると今日はもう対戦する気も起こらず俺はその場に寝転がった。正直に言うとちょっと拗ねていたりするが、絶対それを口にはしない。

「で、お前は買うの? ドラクエの新作」

「……買いたい」

「なら買おうぜ! お互い家にいながら一緒に遊べるしさ!」

 友人が興奮した様子で俺に購入を勧めてくる。
 俺としても今までシリーズを通してプレイしているから新作も是非プレイしたいものだが月々の課金が必要というのがやはりちょっとネックだ。

「――考えとくわ」

「どうせならキャラも凝ったのが良いよなぁ」

 悩む俺の余所に友人は既に購入した後の事を考えているらしい。部屋にあるパソコンでドラクエのサイトを開き、このキャラにするか、それともこうするかと自分の世界に浸ってしまっていた。
 こうなった友人は誰にも止められない。俺は何気なく友人の部屋に掛けられた時計を見るともう夕方を過ぎていた。

「あ~、そろそろ帰らねぇと」

「ん? 帰んの? もうちょい待って。玄関まで見送るから」

 ここで途中まで送ると言わないのがこいつなのだが……どうせこの後新作の件でおばさんにねだるつもりなのだろう。

「――明日は何センチ身長が伸びてることやら」

「何か言ったー?」

「何でもねぇよっ、と」

そして、俺が家に帰ってからは特別なことなどなんにもない。普通に夕食を食べ、普通に風呂に入り、普通にパソコンをいじり――普通に寝た。それだけだ。
いつも通り、目が覚めたらまた学校の支度をして、学校へ行って、身長の高くなった友人と適当に話の花を咲かせる。その筈だったのだ。

「キョーちゃんや~い。俺、何かドラクエの世界に来ちゃったみたいだぜ? 羨ましいか? 代われるなら代わってくれよ~」

 目が覚めた時、俺は返答なんて帰ってこないと分かっていたが、もう投げやりな口調で今は遠くの世界にいる友人への報告をした。






「あ~、痛ってぇ。あんにゃろう至るとこ噛みついていきやがったな」

 スライムにボコボコにされてから暫くして、目が覚めた俺に訪れたのは体中に走る痛みの数々だった。
 気を失う前は腕だけだったそれらは足やら顔やら至る箇所に広がっており、ジクジクと地味な痛みが走る。今手元に鏡なんかがあったらそれは愉快な顔になっていることだろう。
 痛みに耐えながらもなんとか立ち上がることは出来たが、動く度に全身に痛みが走るのを感じるので思わず顔をしかめてしまう。いくらなんでも怒りすぎだ、いきなり力一杯抱きしめたのは悪かったけど此処までひどくされる覚えはない。

「にしても、スライム、だったよな? ドラゴンクエストの。――どうなってるんだよ? 俺は確か自分の部屋で寝てた筈だぞ」

 それが目を覚ましたら目の前にスライムがいて、あのプルプルした目で俺を見ていたわけだ。びっくりして思わずスライムを抱きしめてしまったわけだ。正直なんで抱きしめたのかは俺にも分からないけど。

「本当に、夢じゃないんだよな?」

 ポツリと零したつぶやきに答えてくれる者は誰もいない。それこそさっきのスライムでもいればマシだったのだが今は近くに何もいないのだ。鬱蒼と生えている木々の葉を風が揺らす音があっという間に俺のつぶやきを掻き消してしまい本当に俺は今一人ぼっちなのだと思い知らされた。
 ゾクリと背筋が凍る。全身から嫌な汗が噴き出してくる。呼吸も荒く、落ち着かない!

「おい……おい誰かいないのか! 誰でもいい! 誰か、誰か返事をしてくれよ!!」

 痛む体を無視して俺は森の中を走った。誰か人はいないか、どこかに家は建っていないか、藁にもすがる思いで木々の間を抜け、藪を抜け、獣道をずいずいと突き進んでいく。
 ……しかし、家はおろか人っ子一人見当たらない。どこまで行っても辺りは森、森、森――景色すら変わらない
 俺はヘトヘトになってしまった体を休めようと木の根に腰掛けた。周囲の木々、藪、岩の陰、時折そういった所が蠢く度に体がビクリと反応してしまう。しかしそこには誰も居らず、風なのか、それとも何かの小動物なのか分からないが少なくとも周囲に人の気配はしない……。

「だれか、だれでもいい。だれかいないのかよぉ……」

 どんどん涙声になっていっても、誰も答える者はいない。俺はずっと一人なのか? そんなことすら考えていると目の前の藪が突然ガサガサと音を立てはじめた。
 バッと顔を上げ、誰か来たのか! と希望を持った俺の目の前に現れたのは人ではない。青い体にプニプニボディを持つ生き物……さっき俺の全身を噛んでいった奴と同じスライムだった。

「なんなんだよ……何なんだよ!」

 画面の向こうで見慣れたあの顔だが、今の俺にはスライムが俺を嘲笑っているようにしか見えない。遂に堪忍袋の緒が切れた俺は近くにあった木の枝を拾い上げヘラヘラとしているスライム目がけて大きく振りかぶった。

「ぶっ、飛べぇ!」

 大きく横薙ぎに振った木の枝がスライム目がけて振るわれた。しかし当のスライムはというと生意気にもジャンプして俺の横薙ぎを避けてみせた。
 ……スライムの癖に!

「避けてんじゃ、ねぇ!」

「ぴぎぃ!?」

 スライムが着地したのに合わせて蹴りを入れると今度はしっかりと命中し、足にサッカーボールを蹴ったような感触と共にスライムが宙を飛んだ。ざまぁみろ、と心の中で零すと少しだけ気持ちがすっきりした。

「ぴ、ぎぃぃいい――」

 しかし今度はスライムの方がその表情を歪めて俺を睨んできた。俺に蹴っ飛ばされたのが相当ムカついたらしい。だが、俺もまだまだやり足りないと思っていた所なのでスライムがやる気なのはむしろ好都合だ。ゆっくりと木の枝を構えてスライムと向かい合う。
 さっき剣道をやっていたなんて言ったが実際に剣道の構えなんて二年振り位だったりする。しかし意外と体は覚えているものなんだな、すんなりと構えることが出来てスライムとの距離間を測った。唯でさえ身長差のある相手な上生物としてもどう反応するか分からない……様子を見る意味も兼ねて此方から攻めるのは得策ではない。

「……こいよ!」

「ぴぎゃぁあああああああ!」

「おっ、せぇ!」

 単純な頭だとは思っていたが単調に飛びかかってくるだけのスライムにタイミングを合わせて木の枝を振るう。するとさっきとは違い、スライムの頭上に叩きつけるような形で木の枝が命中。地面目掛けて派手に叩きつけることが出来た。これは蹴り飛ばした時以上の痛さだろうなと考えていると当のスライムはヨロヨロと立ち上がった。

「結構良い感じに入ったと思ったんだけどな。せめて木刀とかじゃないと駄目か」

「ぴぎぃ……」

 しかしそれでもスライムは随分と弱っているようでずるずると這うような形で俺から逃げようとしている。普段の俺なら見逃しても良いかと思うのだが、今の俺にはそんな寛容な心は持ち合わせてはいない。大人しく往生しやがれということで、今度は木の枝を高々と振り上げる。

「これでトドメを刺してやる――よ!」

 瀕死のスライム目がけて上段から力一杯木の枝を振り下ろした。しかしスライムも必死なのか先程までのヨロヨロした様子から一転素早い動きで近くの藪の中に飛び込んだ。……逃げられたのだ。

「ああ!? くそっ、逃げんなこら!」

 とっさにスライムの飛び込んだ藪に近寄るも鬱蒼と生い茂っている藪の中で小さなスライムを追う事は不可能だ。

「ちっくしょぉー……スライムに逃げられるなん「あっはははははは! おっかしー!!」て?」

 悔しい気持ちが一瞬で吹き飛ばすかのように甲高い笑う声が何処かから聞こえてくる。本当に腹の底から笑っているかのようなその声、俺は咄嗟に顔を上に向けぐるぐると視点を動かし声の主を探す。すると――いた。近くの木の枝に座る一人の少女が。
 やっと人に会えた。そんな喜びもつかの間で俺はすぐに少女の容姿に目を奪われた。目尻に涙を浮かべ、口元を手で隠す女の子らしい仕草に、ではない。日本ではまずお目にかかれない薄い紫色の長い髪。人類という種には決してありえない程の長く尖がった耳。俺はその姿から少女が何なのか、知らず知らずの内に声に出してしまった。

「……エル、フ?」




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