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No.33650の一覧
[0] ある男のガンダム戦記 八月下旬にこちらの作品を全部削除します[ヘイケバンザイ](2016/07/27 21:00)
[1] ある男のガンダム戦記 第二話「暗殺の余波」[ヘイケバンザイ](2012/07/10 11:59)
[2] ある男のガンダム戦記 第三話『地球の内情』[ヘイケバンザイ](2012/07/15 19:52)
[3] ある男のガンダム戦記 第四話『ジオンの決断』[ヘイケバンザイ](2012/07/14 10:24)
[5] ある男のガンダム戦記 第五話『開戦への序曲』[ヘイケバンザイ](2013/05/11 22:06)
[6] ある男のガンダム戦記 第六話「狼狽する虚像」[ヘイケバンザイ](2013/04/24 13:34)
[8] ある男のガンダム戦記 第七話「諸君、歴史を作れ」[ヘイケバンザイ](2012/08/02 01:59)
[9] ある男のガンダム戦記 第八話『謀多きこと、かくの如し』[ヘイケバンザイ](2012/08/02 09:55)
[10] ある男のガンダム戦記 第九話『舞台裏の喜劇』[ヘイケバンザイ](2012/08/04 12:21)
[11] ある男のガンダム戦記 第十話『伝説との邂逅』[ヘイケバンザイ](2012/08/06 09:58)
[12] ある男のガンダム戦記 第十一話『しばしの休息と準備』[ヘイケバンザイ](2012/08/07 15:41)
[13] ある男のガンダム戦機 第十二話『眠れる獅子の咆哮』[ヘイケバンザイ](2012/08/09 20:31)
[14] ある男のガンダム戦記 第十三話『暗い情熱の篝火』[ヘイケバンザイ](2012/08/14 13:28)
[15] ある男のガンダム戦記 第十四話『終戦へと続く航路』[ヘイケバンザイ](2012/08/18 10:41)
[17] ある男のガンダム戦記 第十五話『それぞれの決戦の地へ』[ヘイケバンザイ](2012/08/25 16:04)
[18] ある男のガンダム戦記 第十六話『一つの舞曲の終わり』 第一章最終話[ヘイケバンザイ](2013/04/24 22:22)
[19] ある男のガンダム戦記 第十七話『星屑の狭間で』 第二章開始[ヘイケバンザイ](2013/04/24 16:55)
[21] ある男のガンダム戦記 第十八話『狂った愛情、親と子と』[ヘイケバンザイ](2012/11/17 22:22)
[22] ある男のガンダム戦記 第十九話『主演俳優の裏事情』[ヘイケバンザイ](2013/01/02 22:40)
[23] ある男のガンダム戦記 第二十話『旅路と決断を背負う時』[ヘイケバンザイ](2013/04/06 18:29)
[24] ある男のガンダム戦記 第二十一話『水の一滴はやがて大河にならん』 第二章最終話[ヘイケバンザイ](2013/04/24 16:55)
[25] ある男のガンダム戦記 第二十二話『平穏と言われた日々』 第三章開始[ヘイケバンザイ](2013/04/25 16:39)
[26] ある男のガンダム戦記 第二十三話『終焉と言う名を持つ王手への一手』[ヘイケバンザイ](2013/04/30 22:39)
[27] ある男のガンダム戦記 第二十四話『過去を見る者、未来を目指す者、現在を生きる者』[ヘイケバンザイ](2013/05/06 16:20)
[28] ある男のガンダム戦記 第二十五話『手札は配られ、配役は揃う』[ヘイケバンザイ](2013/05/12 16:29)
[29] ある男のガンダム戦記 第二十六話『流血を伴う一手』[ヘイケバンザイ](2013/05/22 10:42)
[30] ある男のガンダム戦記 第二十七話『戦争と言う階段の踊り場にて』[ヘイケバンザイ](2013/05/22 20:23)
[31] ある男のガンダム戦記 第二十八話『姫君らの成長、ジオンの国章を懸けて』[ヘイケバンザイ](2013/05/26 13:31)
[32] ある男のガンダム戦記 第二十九話『冷酷なる神の無慈悲なる一撃』[ヘイケバンザイ](2013/06/02 15:59)
[33] ある男のガンダム戦記 第三十話『叛逆者達の宴、裏切りか忠誠か』[ヘイケバンザイ](2013/06/09 23:53)
[35] ある男のガンダム戦記 第三十一話『明けぬ夜は無くも、闇夜は全てを覆う』[ヘイケバンザイ](2015/07/10 19:15)
[36] ある男のガンダム戦記 最終話 『ある男のガンダム戦記』[ヘイケバンザイ](2013/12/23 18:19)
[37] ある男のガンダム戦記 外伝 『 英雄と共に生きた群雄たちの肖像01 』[ヘイケバンザイ](2014/02/12 19:18)
[38] ある男のガンダム戦記 外伝 『 英雄と共に生きた群雄たちの肖像02 』[ヘイケバンザイ](2014/02/12 19:16)
[39] ある男のガンダム戦記 外伝 『 英雄と共に生きた群雄たちの肖像03 』[ヘイケバンザイ](2015/06/29 13:54)
[40] ある男のガンダム戦記 外伝 『 英雄と共に生きた群雄たちの肖像04 』[ヘイケバンザイ](2015/07/11 10:54)
[41] ある男のガンダム戦記 外伝 『 英雄と共に生きた群雄たちの肖像05 』[ヘイケバンザイ](2015/07/13 13:52)
[42] ある女のガンダム奮闘記、ならび、この作品ついてご報告いたします[ヘイケバンザイ](2016/07/27 21:00)
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[33650] ある男のガンダム戦記 第十六話『一つの舞曲の終わり』 第一章最終話
Name: ヘイケバンザイ◆7f1086f7 ID:7b44a57a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/04/24 22:22
ある男のガンダム戦記16

<一つの舞曲の終わり>




一機のゲルググがビームライフルを構える。放つ。それを回避する一機のジム改。すると、ジム改の後ろにいたジム・スナイパー・カスタムが狙撃する。
撃墜されるゲルググ量産型。
そこへ更にビームの雨が降り注ぐ。回避できなかったジオン軍のMS隊がビームの直撃を受けて壊滅した。
その穴を埋める様にアクトザク部隊がゲルググと同じ形式の盾を構えながら、一気に戦場を駆け抜ける。
ビームライフルでは無くて90mmマシンガンで敵機、ジム改やジム・ライトアーマーの混成部隊を撃ち落とす。
更に後方から、このアクトザクの中隊を援護するべく、ゲルググ量産型の大隊、36機が連邦軍の防空網を強行突破。
対空砲の網を抜けて、艦隊に取り付かんとするジオン軍。
その攻撃を防ぎつつ、陸戦隊を乗せた揚陸艦部隊をア・バオア・クーに突入させるべく突進する連邦軍。
双方は犠牲を払いつつも、当初の予定をお互いに達しつつあった。
一部のジオン軍はサラミス級を沈めて、一部の連邦軍はジオンの防衛線を突破する。
Nフィールドの戦局は硬直化しつつも流動すると言う不安定な状況下に陥る。




一方で。
Sフィールドでは地球連邦軍の特別任務部隊であり、精鋭部隊の一角であるホワイトベース隊がジオン軍のニュータイプ部隊と交戦していた。
連邦軍が『とんがり帽子』と呼ぶジオンの新型MAエルメス二機が、ホワイトベースのガンダムとガンダムアレックスが交戦する。
四方八方から来るビームを回避してその発生源たるビットを撃墜するアレックス。一方で、セイラはずっと待っていた。
この機体がサイコミュと呼ばれているニュータイプ専用の思考増幅機関を内蔵しているならばその間隙をぬえば良い。
アムロが18機のビット相手に超人的な活躍を見せつけている間、冷静に青色のエルメスにビームライフルの照準を定める。
そして、ビットで落とせ無かった事に苛立ったのか、護衛の高機動型ゲルググを無視してメガ粒子砲で牽制射撃をかけるべく動き出したこのエルメスを狙撃。
これを撃破した。彼女は戦後になって知るが、この時撃破した機体にはアイン・レヴィ少尉の機体のエルメスだった。
無論、ビームの高熱に耐えきれる人間など存在しないので彼は戦死している。
更にもう一機の紅のエルメスにアレックスが切り込む。ビームによる弾幕もまるでビーム自体が避ける様に突破。
アレックスのアムロは、エルメスの左側にいたゲルググをビームサーベルで両断し、ビームライフルで右側のゲルググの頭部を撃ち抜く。
エルメスが後方に下がろうとしたが、それを許さずに一気にサーベルでエンジン部を切り付けた。爆発。
更にビームライフルで護衛の高機動型ゲルググを駆逐する。
が、この二機に尊い犠牲により稼いだ時間で、残りのエルメス四機は獅子奮迅の活躍を行う。
既に第13独立戦隊ならびSフィールド攻略艦隊のMS隊は彼らの迎撃網で14機が撃墜され、10機が戦場を離脱する程の犠牲を出した。
これにはSフィールド方面担当のヘボン少将らの参謀も注意を引かざるをえなくなる。

「ええい、あのとんがり帽子に砲火を集中させろ。3機1小隊で囲んで撃破しろ!!
他のジオンMS隊は各戦隊所属のMS中隊ごとに一気に包囲して落とせ」

ヘボン少将が的確な命令を下す。
その命令に沿って部隊が動き出すが、思考を偶然であるが先読み出来たシャリア・ブル大尉が後退命令を下した。
既にアイン少尉とセラ少尉がMIAなのだ。これ以上の犠牲を出す訳には行かない。そう判断する。




ア・バオア・クーでは未だジオン軍がその絶対防衛戦を維持している。
この理由は連邦軍に比べて兵器と兵士の質双方でジオンが連邦を上回った事にあるだろう。
事実、ゲルググ量産型、ガルバルディα、アクトザクは地球連邦軍のジムシリーズを圧倒していた。
また突撃を敢行してきた連邦軍の揚陸艦使用のコロンブスやサラミス等の艦船はペズン・ドワッジとリック・ドムⅡの混合部隊によって撃破されている。
艦船攻撃に特化したジオン軍のMS隊と通常の制宙権確保の為のMS部隊を区別したドズル・ザビの策は今のところ成功していた。
そうして戦闘は膠着状態に陥りも、この主戦線であるNフィールドとSフィールドの境ではアナベル・ガトー少佐指揮下の部隊が縦横無尽に活躍。
更にジオン艦隊とも砲撃戦をしなければならない地球連邦軍は、ヨルムンガンド二基を配備したア・バオア・クー要塞の要塞砲に撃ち負けつつあった。

「コンスコンとデラーズは確かに敵艦隊と交戦状態に入ったのだな!?」

ドズルの激に副官にして参謀長のラコック少将が答える。

「はい。現在の戦況は五分五分。ドロス、ドロワ、グワデン、グワランらとマゼラン級を中心とした連邦軍が交戦しております。
双方の撃沈艦艇は20隻程。我が軍が量の面では多く撃沈されていますが、質の面ではマゼラン級を沈めていると言う事で我々が優位に立っています」

ドロスとドロワの主砲は敵艦隊を一方的に叩いている。が、連邦軍も距離を3500kmまで詰めて護衛艦のムサイ級を沈めていた。
また、MS隊は両軍が消耗しあっているだけで、頼みの綱としての突破兵力として連邦艦隊には届いてない。結果として、ルウム戦役前半の様な艦隊戦が展開されている。
また、セレイン・イクスペリの乗った紅のエルメスを鹵獲したホワイトベース隊を中心とした10隻に40機近い高機動型ゲルググの大部隊が襲い掛かった。
ジオン公国の白狼連隊と呼ばれた精鋭部隊であり、彼らの狙いは二隻の木馬とその護衛艦たちだ。
迎撃に転じる地球連邦軍。が、即座に7機のジム改が撃墜され、前衛のピケット役のサラミスが航行不能に陥る。
それを全周囲モニターから確認するアムロ。それを見たのか指揮官らしき白い高機動型ゲルググが一段と違った動きで急追してきた。

「こいつ、できるぞ!」

白い高機動型ゲルググとガンダムアレックスがビームライフルを撃ちあう。互いにロックオンさせず、機動戦で動き回る。

「く! 早いな!! 流石は地球連邦軍の精鋭だな!!!」

シン・マツナガは舌を噛みそうな軌道を機体に命令しつつ、左手の90mmマシンガンを未来予測地点にばら撒く。
が、その神業的な玄人技術も虚しい。例の白い奴に数発が直撃したようだが全て装甲に弾かれた。

「ええい。何という装甲・・・・・ぐ!! 反則だ!!!」

そう言いながらも、命中弾を次々と与える白狼。
それを援護するレイラ中尉のビット6機。レイラの護衛のゲルググはあまりの高速戦闘に入れず傍観者となっている。
事実上8対1にも関わらず、この連邦の白い悪魔は対等以上に自分たちとやり合っていた。
だが、それで良い。本来の目的は木馬を初めとした艦隊の撃滅。
流石に帰る所さえ無くしてしまえば連邦軍最強のMSと言えども撤退するしかないだろう。
事実、シャリア・ブル大尉とマリオン・ウォッチ中尉、クスコ・アル中尉のエルメスは艦隊を捕捉したのだから。




一方で、Nフィールドに近かったサラブレッドら。この部隊に配属のフォルド・ロムフェローとルース・カッセルの乗るガンダム試作5号機と4号機もまた新たなる敵に遭遇した。
その名前は一週間戦争とルウム戦役の活躍から呼ばれているジオンのエースパイロット。
『ソロモンの悪夢』と『宇宙の迅雷』である。

「遅い!!」

「貰ったな!!」

アナベル・ガトー少佐とヴィッシュ・ドナヒュー少佐の乗るゲルググはガルバルディα並みに改良されており、Sフィールドから援軍に来ていた連邦軍の突破戦力として期待されている二機のガンダムを完全に拘束していた。
特に対MS兵器として期待されたガトリングガンはガトーの持っていた90mmマシンガンによって接触早々、無残にも破壊されている。これはパイロットの技量の差に、歴戦のガトーの直感によるものであった。
また対艦隊用の決戦兵器である4号機のメガビームライフルもデブリを利用した接近戦闘に持ち込まれ、ヴィッシュ・ドナヒューの作戦によって破損、放棄した。
こちらも伊達にルウム戦役で活躍したエースパイロットという訳では無い。
この二機、アナベル・ガトーとヴィッシュ・ドナヒューはエースパイロットとしての実力を持ち、矜持もあり、指揮官としての役目を疎かにしないという、化け物的な三つを兼ね揃えた恐るべき相手であった。

ガトーは自らガンダムを相手取る一方で貴下の部隊は上方から、迅雷隊は下方からア・バオア・クーに突入しようとした部隊を挟み撃ちにした。
そしてエルメス迎撃に出たハヤト・コバヤシの戦死から戦局は一気に動いた。彼の乗ったガンキャノン重装型の破壊が引き金になった。
ニュータイプ部隊との接触から12分後、ゲルググ20機の波状攻撃に耐えきれなくなった左翼部隊旗艦のサラブレッドが総員退艦令を発令する。
それから10分ほどたった時、第13独立戦隊を構成していたペガサス級強襲揚陸艦サラブレッドは弾薬庫に引火誘爆、宇宙の塵の一つになった。なお、艦長の脱出は確認されてない。




「サラブレッド!?」

爆発を確認したルースの4号機に隙が出来る。それを見逃すほどヴィッシュ・ドナヒュー少佐は甘くは無かった。
片刃のビームナギナタをガンダム4号機に振り下ろす。とっさの事でシールドと共に腕を持って行かれたガンダム4号機。

「戦場で気を散らすのは愚か者のする事だ! 良く覚えて置け!!」

通信が聞こえた。慌てて距離を取る。それが功をそうしたのは戦闘後の戦訓調査の会議での事。
ガンダムとゲルググの推進力ではガンダムがそれを上回っていたので、その結果としてルースは死地を脱した。
次の瞬間、メインカメラがビームで焼かれ、顔面の半分が消えた。更にもう一条の光が伸びるのを反射的に察知して回避する
そのまま戦場を全速で離脱する。

「ち、ガンダムでなければ仕留めていたな」

ヴィッシュの愚痴の通り、最後の一撃は右肩から右足に斬撃を加えており機体をズタズタに引き裂いていた。

「まあいい。戦場で功を焦るのは危険だ。それに・・・・」

それに敵軍のア・バオア・クー要塞上陸と言う目的は阻止した。敵の象徴であるガンダムも大破に追い込んだ。
しかも母艦である緑色の木馬が沈んでいる為、戦線復帰も怪しい。ああいったワンオフ機体は母艦以外に予備パーツが無いのが相場だから。




一方で赤いガンダムの方も既に満身創痍。
アムロ・レイの乗るアレックスとは異なり、通常のRX-78-2ガンダムと同じ装甲であるガンダム5号機はアナベル・ガトー少佐のゲルググにあしらわれていた。
どれ程遊ばれているかと言うと、援護に入った二機にガンキャノン量産型を片手間で撃ち落とすほどである。

「私を相手にするには・・・・・・貴様はまだ未熟!!!!」

「くそ!! くそ!!! ちくしょぉぉぉ!!!!」

急加速して距離を詰める。フォルドは半泣き状態でビームを撃つ。が、これが尽く回避されるか防がれる。
耐ビーム装甲のシールドで防ぐガトー。それでも当たれとばかりに撃つフォルド。が、運命の女神とは残酷である。
彼の機体はガトリングガンを装備していたが、その銃身は90mmマシンガンで破壊されていた。もしもこれが使えれば戦局は逆転していた可能性がある。
が、それをさせないのがエースパイロットというものなのだろう。
そして今まさに、目の前で急上昇、急前進、急降下して後背を捉えたガトーのゲルググはフォルドのガンダム5号機のジェネレーターに向かってあるだけの90mmマシンガンの弾丸を叩きこむ。
衝撃とアラームが鳴り響くコクピット。フォルドが必死で後ろを振り向いた時に見た光景。
それは右手に大型ビームライフルを構えた、至近距離に立つ独特のカラーリングをしたゲルググの姿だった。

「終わりだ」

閃光がきらめいた。




ホワイトベース、フラウ・ボウ曹長の対空レーダーがガンダム5号機をロスト、周囲で交戦中だったカイ・シデン少尉がガンダム試作5号機の撃墜を確認。
こうして、地球連邦軍が期待した対艦隊戦用のガンダム二機はSフィールドとNフィールドの中間地点で捕捉撃滅される。

ところで話は若干前後するが、ヘボン少将は艦隊を二つに分けていた。
政治的な思惑からルウム方面から分派された艦隊は大きく分けて二つの特徴がある。サラミスK型とマザラン改と言う火力強化型の部隊、20隻。
次にサラミス改というMS母艦タイプと言うMS戦を考慮に入れた部隊18隻。これにペガサス級二隻が加わる。
また、偵察艦隊である通常型サラミス級6隻とコロンブス改級補給艦、改装空母が20隻前後とこれだけでもジオン艦隊の5分の1に達していた。
レビル指揮下の地球連邦軍第一任務部隊の本隊が無くなったものの、勇戦しているNフィールドで連邦軍が350隻の艦隊を投入している為、Sフィールドのジオン軍は30隻前後しか艦隊がいない。
それを補うのが白狼連隊であり、Nフィールドから回されたソロモンの悪夢であり、迅雷隊であり、ニュータイプ部隊であった。

「あのとんがり帽子はまだ落とせないのか?」

知将型のヘボン少将の冷静な声が響く。
とんがり帽子こと、残った4機のエルメスは縦横無尽の活躍を行う。新型艦で構成された第二分艦隊と第三分艦隊を強襲。
既にサラブレッドを含む6隻が沈み、7隻が中破して後退している。圧倒的な火力と数を誇る連邦軍としては悪夢のような光景である。
また、ティアンム提督の主力艦隊は漸く空母ドロワを撃沈したが、その為の犠牲は大きかった。甚大であると言っても良かった。
マゼラン級戦艦を14隻も失った。更に8隻が後退した。損耗率が50%を越している。
生き残ったドロスの猛攻を受けたのもあるが、取り付こうとするMS隊にルウム戦役序盤で活躍した敵の艦隊決戦専用巨砲ヨルムンガンドが放たれる。
密集隊形を取っていたMS隊はそれで散開を余儀なくされ、そこに性能と技量で上回るジオン軍のMS隊に捕捉されて撃滅される。
その繰り返しだ。もっとも、Sフィールドでは確認が出来なかったものの、一部のジム部隊はア・バオア・クーに取りついてはいた。




この敵機上陸の報告にア・バオア・クーには動揺は無かった。
いや、正確にはあったのだが直ぐに消えた。司令官のドズル・ザビが一喝したのだ。

「戦況は我が軍有利である!! 敵を要塞内部に引き付けて根絶やしにすればよい!!!
予備兵力の半数を動員。帰還途中の部隊も後背から敵上陸部隊を攻撃せよ!! なにも恐れるな!!!」

と。
ルウム戦役の実績を持つ名将の言葉はそれだけの重みがある。
それでも内心ではドズルは焦っていた。連邦軍の突撃が予想以上に激しい。ルウム戦役の経験からそろそろ撤退しても良い頃なのだが。

「こちらギャラディック士官候補生です」

「何か!?」

「自分達も戦います!! 出撃させてください!!」

「訓練繰上げ組のザクⅡF2型72機の出撃を求める声が出ています!」

「どうする?」

「ここで72機のMSを投入できれば!」

「しかし相手は子供だぞ!?」

その言葉に反応したのはカスペン大佐であった。彼は即座に少年兵と言って良い彼らの代表を黙らせる。
直ぐにオペレーターの一人からマイクを取り上げて命令する。

「貴様らヒヨっ子どもが出撃したいだと!? ばかをやすみやすみ言うな!!! 貴様らは命令があるまで待機だ」

それはカスペン大佐の、彼なりの優しさだったのだろう。
現状で72機のMS隊は咽喉から手が出るほど欲しい。
だが、技量未熟な部隊を投入して他の部隊の邪魔をしても仕方ない。なにより彼らまだは子供なのだ。ジオン軍が守るべきジオン本国の子供だ。
漸くジオンにも見えてきた戦後を考えれば、彼らを死なす訳にはいかない。それと似た様な光景が要塞各地で繰り返されている。
だからカスペン大佐は出撃を認めなかった。
それはドズル・ザビも同様である。仮にこのア・バオア・クーが陥落する事があるなら、第一に逃がすのはこの部隊になるだろう。
ジオン本国の学徒動員が進みつつある今、兄貴たちに戦争はもう不可能だと訴えさせる必要がる。自分の代わりに。

「上陸したジム部隊の数は?」

カスペンが身を乗り出して聞く。

「27機です」

オペレーターも即答する。それを聞きカスペン大佐はアクトザク30機で構成された第102MS大隊とゲルググ量産型12機で構成された第71中隊を派遣する。

「ア・バオア・クー堅陣が如何に固いか連邦軍に教えてやれ!! 連中を宇宙に押し戻すのだ!!!」

「ハ!!」

上陸した連邦軍にジオンの脅威の技術力が牙をむく。

激戦続くア・バオア・クー戦。その頃地球では。




地球連邦政府は議院内閣制を取る間接民主制の民主共和制国家である。その国家で内閣不信任案は最重要議題の一つとして議論される。
当然だ。議院内閣制である以上、そのトップに対してNOを突き付ける人々がいる。
彼らを宥める、或いは排除する、若しくは彼らの意見を受け入れる事が議院内閣制にとって重要な課題となる。
宇宙世紀0080.09.26.日付をまたいで激論が交わされた地球連邦議会は、一つの結論に達した。

「では、内閣不信任案に賛成の方はご起立ください」

この言葉に、本来は身内である筈の内閣内部の大臣らも起立する。これを見てキングダム首相はエッシェンバッハを初めとした地球連邦北米州の根回しが相当深いところまで行われていた事を悟った。

(くくくく・・・・・大した無能ぶりだったな・・・・・はははは)

そしてこれ以上の抵抗は無意味であり見苦しいだけであるとも思った。
首相席で誰から見ても分かる様な笑みを浮かべるキングダム『前』首相。

「圧倒的な賛成多数により本案件は決議されました。これより新首相の選抜選挙を行いたいと思います。
先の規定に則り、立候補者はそのまま起立していて下さい。他の方々は着席してください」

そう言ってキングダムの周りに立っていた男達、女達が着席する。睨み付けるが効果は如何程のものか?
そう思う。

(私の時代は終わったのだ、もしかしたらあの南極条約で戦後を迎えていればこれだけの犠牲を出す事は無かったのかも知れない。
こんな無様な醜態も晒す事は無かったかも知れない。何もかもあのレビルのせいだろうか?それとも・・・・まあもうどうでも良い。
既にレビル将軍は戦死してこの世には存在せず、昨夜接触してきたエッシェンバッハ議員はジオンとの講和を行うと言ってきた。
地中海経済圏と大西洋経済圏を崩壊させた以上、これ以上の戦争継続は不可能だ。そう考えれば)

が、後悔してももう遅かった。議題はそのまま新首相の投票に入る。

「では投票は今から1時間後に行います。地球連邦憲法と己の良心に従って自らの意思を示して下さい」

終わったな。キングダムはそう感じた。
アヴァロン・キングダムは宇宙世紀のチャーチルになった。或いは戦勝国になりながらも国共内戦で最終的に中華から追い出された蒋介石か。
議員たちは最後の詰めをするために一旦議場を後にした。
そしてキングダムは誰もいなくなった議会に佇んでいる。今の地球連邦の最高権力者にして地球連邦軍の最高指揮官は内閣官房長官である。
彼はやり手で戦争拡大に反対した穏健派だ。彼に任させておけばそれで良いのだろう。
そうしている中でキングダムは無意識に呟いていた。


「言い訳では無い・・・・・弁解では無い・・・・勝てると思ったのだ。もっと簡単に。たかだか一コロニー国家なのだから・・・・・だから・・・・・だから」


思わず愚痴が出る。誰にも聞かれる事の無い愚痴はそのまま虚空に消えていく。
一時間後、彼の席は北米州のローナン・マーセナス議員が地球連邦の首相に取って代わる。
そして彼、ローナン・マーセナス議員の最初の仕事は新組織『ティターンズ』の設立。

「アヴァロン・キングダム前首相の行った南極条約以降の戦争の傷跡からの復興を目的にした新組織、ティターンズの設立を議決します」

半分は出来レースであったこの行為は可決された。
地球連邦は新組織『ティターンズ』に戦後復興の強大な権限を与える事で一致した。
これに反対したのはスペースノイドの亡命政権や南米州、特別選抜州、明らかに利権と主導権を握る北米州への対抗心を持つ統一ヨーロッパ州などであったが、圧倒的多数の議員は北米州主導の地球連邦再建に賛成。
それだけ地球連邦が弱体化していたと言う事でもあった。
またマーセナス新首相は議長に就任する事になったヨーゼフ・エッシェンバッハ議員と共同して一つの案件を連邦議会に通す。
それは、ジオン公国との停戦、講和締結と言う条件であった。
ジオン公国との戦争で傍観者であった太平洋経済圏各州、巨大な戦後復興需要を見込まれるヨーロッパへの資本投下を算盤した財界は、決定が遅いと言われる連邦議会では異例の速さで講和船団の派遣を決定。
中立地域であり、地球連邦、ジオン公国双方の出先機関のあるサイド6リーア首都バンチにて交渉開始を行う。
この日、アヴァロン・キングダム退陣の時、地球連邦政府は事実上の和平を決めたのだ。




ジオン本国を奪還したシーマ艦隊。一般市民も疎開した上での戦闘であったため、殆ど犠牲らしい犠牲が出なかった旧ダイクン派による『暁の決起』。
だが、後片付けは大変である。
言うまでもなくコロニーは人工物でその中で模擬弾を撃ちあったり、ナックルシールドでMSが殴り合ったりしたのだ。
ギレンやサスロにとってみれば頭の痛い状況だ。と言うより技術系の官僚たちは顔面蒼白である。実際被害の大きさに倒れた者もいた。
MS撃破による核爆発は起きなかった為、コロニー自体は無傷と言って良いが建物の大半は補強工事が必要、決起者のアンリ・シュレッサーの死体の確保だってできてない。
地下に潜伏したのか、それともまだ抵抗している首都防衛大隊本部にいるのか。それが分からない。
尤も、既に大勢は決した。ジオン正規軍は旧ダイクン派反乱軍を完全に沈黙させている。圧倒的な物量と質で押し切ったのは戦争の理想形。
それを見せたのがこの戦争だった。

「ギレン兄、ドズルはまだ戦闘中だそうだ。戦闘は互角。ただし、地球でも動きがある。
キングダム首相が失脚した。それに伴いマーセナスという北米州出身の議員が首相になった。例のティターンズ計画も始動する」

サスロがグレート・デギンの艦橋で伝えに来る。少し汗ばんでいる。そうだろう。彼は今まで書類戦争に巻き込まれていたのだ。
全く、いくら膿を出し切るためとはいえ本国を戦場にするとは開戦当初は誰も考えもしなかった。
ジオン本国を戦場にするなど政治的にも軍事的にも経済的にも、その他に置いてもナンセンスなのだから。

「そうか。それでドズルの居るア・バオア・クー要塞、負けてはいないのだな?」

簡潔に問う。ここからでは何もできない。
ソーラ・レイは旧ダイクン派反乱軍の一部が民間船に紛れこませた決死隊を送ってカミカゼ攻撃を行い管制室を完全に破壊した為、25日、そして今日の26日の戦闘には間に合わない。ジオン側としては痛恨の失態である。

(これではソーラ・レイの第二照射で連邦軍残存戦力を焼くと言う当初の目的は叶わない事になる。全く余計な事を・・・・)

「互角か、やや有利だと言う事だ。しかし、互角では意味が無い。地球連邦軍にはまだルウムに3個艦隊が健在だ。
ア・バオア・クーを無視してジオン本国を急追したら手も足も出ない。どうするか」

その言葉が現在のジオン軍の状況を端的に物語っている。確かにア・バオア・クーに集結した部隊はジオン軍の精鋭部隊だった。
が、逆に言えばそれ以外の部隊は二級線、三級線、更には存在しないと言っても良い。
連邦軍の第1艦隊、第2艦隊、第12艦隊が新造艦とジム改で構成されている事を考えれば非常に不味い状況だ。

「軍事はドズルに任せるしかあるまい。それで、政治の方はどうなっている。サスロ、地球連邦の首相は確かに代わったのだな?」

地球連邦国営放送、連邦放送の二つはア・バオア・クー戦、それ以前のソロモン攻略戦、ソーラ・レイ照射とレビル将軍の死を公式に発表。
その上で新地球連邦議会議長ヨーゼフ・エッシェンバッハ、新地球連邦首相ローナン・マーセナスを発表した。どちらも北米州出身の連邦議員。
それはジオンのメディアも大々的に取り上げた。何故ならこの二人を中心にした『ティターンズ』構想が公式に発表されたのだ。
この中にある条項の一つに、宇宙開発は然るべき宇宙国家と行うと言う、事実上のジオン公国の独立を認める宣言がある。
そして総帥府で鎮圧作戦の指揮を取っていたセシリア・アイリーンが大慌てでスクリーン越しに現れた。息を整えると、いつも通りギレン好みの報告をする。

『閣下。地球のガルマ様を経由して、地球連邦政府が正式に我が国に停戦交渉を求めております。
詳細はリーア領事館を経由しているのでまだ分かりませんが、それでもこの情報は間違いなく新首相のマーセナス氏、北米州代表のブライアン大統領両名が関与しております』

「兄貴!」

サスロが普段と違い、顔が興奮に彩られている。
それを見てギレンは確信した。グレート・デギンの謁見室に居並ぶ重臣ら、秘書官ら、そして父親デギン・ソド・ザビの前で言い切った。

「遂に勝ったな」




そして、同時刻。
地球連邦政府の公式見解が公表されると同時に新首相であるローナン・マーセナス首相から戦闘中止、即時撤退命令がゴップ統合幕僚本部長経由でティアンム提督指揮下のア・バオア・クー要塞攻撃部隊に下った。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・撤退する」

ティアンム提督は苦渋の決断を下した。
既にMS隊は4割を失い、艦隊もドロワを撃沈したがその代償として半数を損失。ア・バオア・クーに取りついた部隊もたった今撃退された事が確認された。
連邦軍の量産性を重視した通常型ジムではゲルググやその発展型であるガルバルディαには勝てなかった。
アクトザクやペズン・ドワッジ、リック・ドムⅡの対艦攻撃にも対処しきれなかった。
既にバーミンガム級戦艦アトランティクは放棄しており、旗艦はマゼラン級のパシフィックに移乗。
それでも敵の猛攻は続き、アトランティクの艦長であったイライザ大佐は戦死している。ペズン・ドワッジのみで構成されたジオンの対艦MS部隊の猛攻は激しかった。無論、彼ら連邦軍とて無能であったわけでは無い。
黙って一方的にやられたわけでは無く、相対したジオン艦隊は壊滅。
ジオンのMS隊も既に攻撃に出るほどの余力は残されてない。
仮定の話だが地球連邦軍にあと100機のMSと30隻の艦艇があれば戦況は逆転しただろう。それは例のソーラ・レイの攻撃で失われた部隊の4分の1に当たる。
それでも、だからこそ。なんとしても今は連邦宇宙軍を退却させなければならない。これ以上兵を犠牲にする事だけは避けなければならないのだ。
何よりこの放送を聞いてなお交戦するだけの意欲を持つ連邦将兵がいるのかが疑問でもあった。

『全地球連邦軍に通達する。地球連邦政府は現時刻を持ってジオン公国軍との間に休戦、停戦交渉を行うことを決定する
地上軍各部隊は現戦線から100km後退し、警戒態勢に移れ。また、ア・バオア・クー要塞攻撃部隊は直ちに3000km後退し、攻撃を中止せよ』

ティアンムは自分たちの星一号作戦が北米州を中心とした太平洋経済圏の政治家たちに利用されていた事を知る。

「全軍・・・・・・撤退・・・・・・」

そして自室に戻ったティアンムは暗い顔で呟く。

「俺たちを道化にしたな。最初から第1艦隊と第2艦隊、第12艦隊は動かさないつもりだったな?
つまり出来レース。その為にレビル将軍やカニンガム提督は戦死したと言うのか?
・・・・・・・・今に見ておれ・・・・・政治屋ども・・・・・・・この借りは必ず返すぞ」




戦闘停止命令はヨーロッパ方面軍司令官に昇進したイーサン・ライヤー少将にも通達された。
彼は、それを聞くと南欧にあったP99と呼ばれた敵基地への空爆を中止。大規模な地上侵攻も中止し、一人の大尉を呼び出した。
件の大尉は憲兵4名に護送されてくる。それを司令官執務室の机越しに見る。とんとんと机を人差し指で叩き、日系のスペースノイド士官に問う。

「シロー・アマダ大尉だったね。さて確認しよう。
君の元にジオン公国サハリン家の令嬢、アイナ・サハリンが亡命した。この事実に間違いはないかね?」

穏やかだが、それでいてどこか懐疑的な視線で彼を見据える南欧解放軍の軍上層部の参謀たち。
もっとも、数々の功績、特にイフリート改と呼ばれていたエグザム搭載機を撃墜した為二階級特進した彼、シロー大尉は毅然とした態度を取る。
それが良い事なのか、悪い事なのか、判別はつかない。それでも彼は胸を張ってYESと答えた。
何事かを話し合う。その中にはシロー・アマダの直属の上司であるコジマ大佐の姿もあった。
そしてどうやら決まったようだ。

「よろしい。政府が発令した休戦令V-01は知っているな?
ここで特例を出させてもらう。君と君の小隊には軍使としてP99に行って貰おう。
P99にいる例のサハリン家とやらの・・・・・ジオン公国の前時代的な当主であるギニアス・サハリン少将を説得して来たまえ。
・・・・・・・そうすれば、君と大人の関係を持っている亡命令嬢にとっても、君個人にとっても為になるだろう。
亡命と言ったがまだ我が軍は君を完全に信用した訳では無い。君と君の小隊全体にスパイ疑惑がかかっている事を忘れないで欲しいものだな」




一方でヨーロッパ・ロシア。オデッサ地域。

「マ・クベ中将、連邦軍が撤退を開始したがどういう事だ?」

ユーリ・ケラーネ少将は戦傷を無視して一緒に来たノイエン・ビッター少将と共にオデッサ基地司令部で上官に質問する。
その上官はその問いには答えず、白い壺を人差し指で弾く。その音が部屋に木霊する。

「北宋だ。良い音色だろ? これは良いものだ」

スペースノイド、宇宙育ちの彼らには正直言って非加盟国有力国『中華』の伝統工芸品であっても地球の一カ国の事と思っているので興味は無い。
そう思っているとマ・クベは徐に司令官室にあるTVをつける。

『地球連邦政府は本日26日14時を持って全戦闘行為を停止する事をジオン公国と合意。事実上の独立容認を見せております。
これに対して戦場になった統一ヨーロッパ州の右翼団体は大規模なデモを行うようですが、あ、新しい情報が入りました。
ジオン公国は自ら戦犯としてデギン公王を退位させる模様です。次期公王に誰が就任するか、或いは公王制を廃止するのか注目が集まっています』

ミノフスキー粒子の濃さのお蔭でノイズが走っているが言いたい事は分かった。

「こういう事だ。我がジオンは地球連邦と講和に向けて前進した。そうだな、ウラガン大尉」

そう言ってウラガン大尉が各地のスクリーンと偵察部隊が捕えた映像を見せる。
連邦軍は全戦線で後退を開始、空爆も報復爆撃以外は行わないと宣伝している。更にはこれ以上の流血は無用として軍使の派遣を双方が行っている。

「つまり・・・・・漸く終わりですか?」

ビッター少将が聞く。彼は声帯を潰してしまったので若干音程が低い。
それでも幾分の安堵感が含まれている事が分かった。

「ああ、終わりだ」

マ・クベ中将は執務室として使っているホテルのバルコニー越しに宇宙を見上げる。
そしてそれは多くの戦線で行われている儀式だった。
肩を抱き合い、敬礼し合う戦友達。戦争終結と言う事実をただただ飲み干す者達。軍上層部の思惑など知った事では無い。
今は互いに生き残れた事だけを祝おう。それでこそ、多くの人々の追悼になるだろう。そう信じて。




宇宙世紀0080.09.30

地球連邦政府、ジオン公国はサイド6に置いて両陣営の正式な講和会議を開催。
南極条約締結時とこの会議の差異として非加盟国の不参加が挙げられる。
ジオン公国は地球連邦非加盟国に対して、戦時下に置いて最大限の援助を行ったとして既に貸し借りは無いと考えていた。
その結果、地球連邦との単独講和を決定した。尤もこの考えもおかしい。地球連邦軍と非加盟国軍は一度も交戦してないのだから。
ジオン公国は27日、ジオン公国議会によってデギン・ソド・ザビ公王の退位を正式に可決。続けて第二代公王にギレン・ザビを内定させる。
これは地球連邦に対して、あくまでザビ家独裁は戦時下、独立達成の為のポーズに過ぎないという事をアピールする狙いがあったのだ。
もっとも、その為には色々と裏工作がなされたのは当然である。事実上の地球連邦の指導者に就任する事になるブライアン大統領とも内約があった。




地球、北米大陸、ワシントンDC

一流を知る者は一流で固める。その言葉通り、一流のスーツにシャツ、ネクタイ、靴、ベルト、時計で身を固めたブライアン大統領は同じ様なスタイルのマーセナス新首相と連邦軍将校服と珍しく軍帽を被って無いジャミトフ・ハイマン少将と三者面談をしていた。

「まずは終戦工作成功に乾杯だな」

そういって北米州の代表ブライアン大統領が音頭を取る。この事からも一体誰が地球連邦内部で新たな権力のトップの座に就いたかが分かると言うものだ。
そう言ってテキサス牛で作られたビーフジャーキーを摘みに、バーボンを掲げる。
彼らの行ってきた地球連邦内部での主導権確保は成功したと言って良かった。
非加盟国が戦力を持ったのは少々問題であるが、これでジオン公国は地球連邦の忠実な番犬となり、増大する一方で、そのくせ金食い虫だった宇宙艦隊の軍拡停止も可能になる。
また軍人の、というよりレビル派閥の増長砕く為の切り札としての『ティターンズ』も設立される。

「それで懸念されている地球連邦軍部の方はどうかね?」

ブライアン大統領はジャミトフ少将に問う。
彼は敢えてカルフォルニアコーヒーを飲んでいたがカップを机に置くと語りだした。

「はい。ティターンズが各州の支持で設立される事で軍内部の優秀な軍人たちを取り込みます。
ティターンズはあくまで武装警察であり、軍では無い。しかし、軍内部にも階級と指揮権を持つ矛盾した存在となります。
よって、これは地球連邦首相直轄のSP部隊として機能させます。
我が国アメリカ合衆国のシークレットサービス、或いは言い方は悪いのですが旧ナチス・ドイツの武装親衛隊や大日本帝国の近衛師団と考えて頂ければ幸いです。
有能、かつ、忠実で良識な軍人を昇進させ配属します。それと・・・・・戦争馬鹿やこの度の敗軍の将らは栄転の名目で左遷させて頂きますが」

「例えば?」

「コリニー提督や最近彼の周りにちらつくバスク・オムと言った輩ですな」

そう言ってノート型PCを起動させる。ティターンズのマークがデスクトップに映し出された。黒を基調としたコンコルドのマーク。
これを対面する二人の政治家に見せる。

「まずはティターンズ専属として新設される第13艦隊ですが、我々の艦隊と合流させて任務部隊として再編、艦隊司令官にはニシナ・タチバナ中将を当てようと思います。
彼は日本人ですので太平洋経済圏出身でありますが、何よりも有色人種が戦後復興の第一人者に選ばれると言うのは太平洋各州やアラビア州、アフリカ3州などに希望を与えます。
更に全てをペガサス級で構成した独立部隊・・・・・私的な名称ではロンド・ベルと言われていますが大気圏内部の治安維持を目的とした部隊が必要です」

ここでマーセナス首相が聞き返す。

「・・・・・ロンド・ベル?」

と。
そう、ロンド・ベルは戦後復興庁、治安維持の為の首相直轄の武装警察と言うティターンズ内部でも異色の部門になる。
これは第14独立艦隊、第13独立戦隊がもたらした奇跡の戦果にあやかって創設される部隊だ。
ペガサス級とガンダム、大戦を生き抜いたベテランパイロットとニュータイプではないかと畏れられた人々を集める部隊。
もっとも計画段階でしか無く、どこからどれだけの人数を持ってくるかは未定。一言でいうならば、「ティターンズの中の精鋭部隊」と言う事か?
さらにジャミトフは続けた。

「ロンド・ベルに関してはエイパー・シナプス少将を司令官、副司令官にホワイトベース艦長のブライト・ノア少佐を一階級昇進させた上で当てようかと。また艦隊は全てペガサス級7番艦アルビオンに統一し、MSも最優先で最良の機体を送ります」

機動防御、ゲリラ掃討、威圧、更には宇宙からの奇襲攻撃など。
正に何でも屋の面目躍如である。もっとも今回想定している敵は兵器の質に劣り、数も少なく、ビーム兵器も携行しないジオン残党部隊だと思われるのでアウステルリッツ作戦の様な激戦は無いだろうと思われていた。
ブライアン大統領が興味気に書類を読み切る。そしてバーボンを一口すする。

「そうか。さてと、マーセナス新首相。ジオン本国に関する報告を聞かせてもらえるかな?」

背筋を伸ばし、こちらは紙媒体のA4ファイルを提出する。

「ジオン公国議会はギレン・ザビ総帥が抑えております。これは周知の通りかと思われます。
しかし、この度はウィリアム・ケンブリッジ特別政務官との密談から大きな譲歩を引き出しました。
ご覧ください、議会がある議決賛成多数で可決して言う映像の写しです」

その写しにはこう記載されていた。『デギン公王退位令』、と。
前代未聞の議会による独裁者一族の退位命令。これを地球連邦系ジャーナリストは『ジオンの春』と呼んでもてはやした。
ジオン議会を真の民主主義体現者として持ち上げ、その決断を下したジオン公国のダルシア・バハロ首相を英雄だと言う。
だが、この部屋に、ホワイトハウスのオーバル・オフィスに集った三人は知っていた。
これは出来レースなのだ。ウィリアム・ケンブリッジとギレン・ザビが戦争を終わらせる為の茶番を行う必要を感じ、その為に演技させた。
話を続けるようブライアン大統領に促されてマーセナス新首相は続けた。

「これでジオン公国議会とジオン公国首相はジオン公国公王を罷免する事が出来るという権威を確立しました。
また、この直後に行われたギレン・ザビ新公王即位令とサスロ・ザビ新総帥誕生というニュースは巧妙に隠されております。
現時点でジオン公国は我々が提示した通りの民主共和政体ではありませんが、極めてそれに近い形態を見せつけました。
一種の政治的詐術と言い換えても良いでしょう。実態は独裁でありながらも傍目から見れば民主共和制に見える。
何せ国民から選ばれた議員で構成される議会が独裁者の一族にNoを申し立て、一人を最高権力者から引き摺り下ろしたのですから」

そこで会話が途切れる。
即座にブライアン大統領がソファーに背中を預けながら言った。

「それ程までにガルマ・ザビの影響力は大きかったか。これではウィリアム君に頭が上がらないね」

この政治工作で、ウィリアム・ケンブリッジはガルマ・ザビを返す条件にデギン公王の退位、それも議会の圧力に屈するという形での退位をギレン・ザビに要求した。
その後は議会の要請を受けてかのナポレオンやヒトラーの様にギレンがジオン公国総帥から公王になれば良い。
また政務が不安ならばサスロ・ザビを片腕として総帥に抜擢すれば良い。それで何も変わらない。
否、地球連邦のマス・メディアにとってはジオンの独裁者一族が民主共和制に屈服したと言う姿を見せられるのでジオン本国にとっても戦後を考えた上でプラスであろう。
そしてそのキーマンになったのはガルマ・ザビだった。ガルマは自分の過ちを認めた上で父デギンを説得し、次兄サスロ、長兄ギレンに地球連邦の政治的な望みを伝え、道化を演じる事それが自分と父の出来る最大の事だと言って彼らを説得、成功した。
ブライアン大統領はその後も数度の報告を聞くと徐に立ち上がり、窓の外を見た。既に時計は零時を過ぎており、街灯と星空しか見えない。

「さてと、それではマーセナス首相。君は今日の朝、サイド6に行くのだね。気を付けてな。
ああ、ウィリアム君も連れて行くが良い。彼と彼の家族も。サイド5から撤退した艦隊の中、あそこには奥方がいた筈だ」




0080.10.01

後にジオン独立戦争と呼ばれた戦争は幕を閉じた。
南極条約以降中立地帯を保ったサイド6『リーア』で結ばれた地球連邦=ジオン公国間の講和条約は歴史上こう呼ばれる。

『リーアの和約』、と。


ジオン公国の独立承認
地球連邦政府、ジオン公国双方による各サイドの保護国化、コロニー経済圏再建
サイド7開発計画の再開
地球=月面=ジオン公国の通商貿易条約締結
各コロニーサイドのデブリ回収、外壁補修工事の実行(ジオン、連邦軍の護衛付き)
地球上の全占領地域からのジオン軍の撤退。ただし、亡命ジオン軍については協議継続
ジオン公国、地球連邦非加盟国との貿易制限。尚、連邦政府も非加盟国への軍事圧力、経済制裁解除
ジオン公国、木星開発船団、月面自治都市群、戦災地域の戦後復興への協力を確約。
戦災地域の認定(欧州全域、中近東、北アフリカ、中央アフリカ、中央アジア、サイド1、サイド2、サイド4、サイド5)
10 戦災地域復興に関する権限並び指揮系統は『ティターンズ』が掌握する


双方の経済官僚は安堵した。これで湯水の如く戦争に物資をつぎ込まれなくて済む。漸くプラス思考に物事を進められると。
漸く終わった戦争。だが、それは多くの犠牲の上に立っていた。

ホワイトベース艦内。フラウ・ボウの嗚咽がハヤト・コバヤシの居た部屋に木霊する。

『生きて帰ったら、俺と一緒になってくれないか』

そう言って帰って来なかった。帰って来なかったのは彼だけじゃない。スレッガー・ロウ中尉も、だ
白狼と怖れられたジオンのエース相手に一瞬の隙を晒してしまったアムロ・レイのアレックスを守る為に乗機のジムスナイパーⅡを盾にして宇宙に散った。
彼の犠牲があったからこそアムロは生き残れたし、スレッガーの仇である白狼シン・マツナガやシャリア・ブルを討ち取ったと言える。
慟哭と共に。

まだ戦争終結の実感がわかない。そんな中、セイラ・マスはアムロ・レイを自室に呼ぶ。
呼び鈴が鳴った。ドアが開く。そこに居たのは少年では無く男としてのアムロ・レイ中尉だった。

「セイラさんも・・・・・僕も・・・・生き残れましたね」

アムロが座っているベッドの隣に座る。肩を寄せ合う。
最初は恥ずかしがっていたけど、いつの間にか当たり前になってしまった。仕方ないか、生まれた姿のままで何度も夜を過ごしたのだから。

「そうね・・・・・アムロはこの先どうする?」

肩に顔を預けるセイラ。
それを感じながらアムロは言う。

「僕、軍に残ろうと思います。少なくともスレッガー中尉の死の責任、ハヤトの分まで何かしなくちゃいけないと思います。
ただ・・・・・」

「ただ?」

「どうしていいのか分からないんです。軍に残っても単なる兵隊、役に立つ駒として扱われるだけじゃ嫌なんだ。
我が儘だけど、もっと大切な何かをしたいと思うんです」

アムロは真剣だった。胸元をワザとあけて白の下着を見せていたセイラに一切欲情せずに悩みを打ち明けてきた。
それをみて自分が男に逃げようとしていた事、その男が自分よりも先にいる事、そして追いかけるに値する男だとセイラ・マスは気が付いた。

(アルティシアではなくセイラとしてアムロを見ていくか・・・・・それでいいのかも。
私は何十人も、下手したら何百人もジオン国民を殺した。サイド3独立の父の娘が殺した。その同胞殺しが今さらジオンには帰れない。
だからと言って世捨て人になってホワイトベースのみんなや第13独立戦隊の皆様との縁も切りたくない)

思い起こされるのはマイク少尉とモンシア中尉、そしてオペレーターガールズが盛り上げたアウステルリッツ作戦前の結成式。

「・・・・・・分かったわ。アムロ、今度私はこの人に会うの。恐らくアムロの力になれる筈だわ。
一緒に会いに行きましょう。ブライト艦長も連れて」

そう言って彼女は鞄から一通の封筒を取り出す。
地球連邦政府主催のパーティーへの招待状で差出人の名前はウィリアム・ケンブリッジとなっていた。





そんな中、連邦軍内部でも大きな動きがあった。

壊滅した地球連邦宇宙艦隊の拠点は地球連邦軍が奪取したソロモン要塞、協定によりジオン軍が撤退したグラナダ市、ルナツーの三拠点に分派される。

X任務部隊(第3艦隊、第4艦隊、第5艦隊)  ソロモン要塞駐留
Y任務部隊(第6艦隊、第7艦隊、第8艦隊)  ルナツー要塞駐留
Z任務部隊(第9艦隊、第10艦隊、第11艦隊) グラナダ市駐留

宇宙艦隊司令官 ティアンム大将(ア・バオア・クー戦の敗戦糊塗の為昇進、旧レビル派)
X任務部隊司令官 ワッケイン中将(旧レビル派)
Y任務部隊司令官 ヘボン中将  (ティターンズ派)
Z任務部隊司令官 ブレックス中将(旧レビル派)

更にサイド7宙域に幾つものコロニー建設ラッシュが行われた。これらのコロニーは惑星間航行可能船の建造能力を持たせられる事になり、宇宙のジャブロー基地とまで呼ばれるようになる。

Ω任務部隊(第1艦隊、第2艦隊、第12艦隊、第13艦隊)サイド7駐留
Ω任務部隊司令官 タチバナ中将 (ティターンズ派)

地球連邦軍統合幕僚本部長ゴップ大将というのは変わらなかったが、グリーン・ワイアット中将が北半球方面軍総司令官に、南半球総司令官にジーン・コリニー大将が就任した。
ワイアット中将は栄転であったが、コリニー大将は明らかに左遷人事であった。
また、彼が対ジャミトフ・ハイマンの為に用意したバスク・オムという小刀は意外な伏兵に叩かれた。




『バスク・オム大佐は危険です。彼をティターンズに入れるならば私がティターンズを抜けます』

そう言ったのはウィリアム・ケンブリッジ特別政務官。彼は続けた。

「バスク・オム大佐は、開戦時に独断でサイド1、7バンチコロニーを攻撃しております。
彼の艦隊が緒戦を生き残ったのはコロニーに大穴を開けてそこを艦隊ごと通行しているからです。
ええ、そうですね、確かに文官が後から言うのは卑怯です。それは自覚しております。
が、あえて言わせて頂きます。インターネット上にはその時の砲撃されたコロニーの映像があり、その映像は既にサイド1全域に流れております。
戦争終結後にこの戦闘の責任を問われるのだけは間違いありません。そんな人物がティターンズにいては危険ではないでしょうか?
またこれを見たスペースノイドであるサイド1の連邦市民反地球連邦感情が高まっているのは言うまでもない事です。
この事実から、今の段階で政治的に見てティターンズを悪とさせて反地球連邦、反新体制勢力の団結に直結する者がバスク大佐であり、彼をティターンズに加入させるのは危険と思われます」

流石に言いがかりに近い気がした。ジャミトフでさえ何かを感じ取り聞き直す。

「私事ではないのかね?」

と。
が、妙な事にこの時のウィリアム・ケンブリッジは引かなかった。動物の感だったのか?
恐らく自分の身に危険が迫っていた事を悟っていたのだろう。伊達にキングダム首相に軟禁され尋問された経験を持ってない。
ついでに裏切られたり切り捨てられたりする経験も。ある意味で最も覚醒した人物だった。

「違います。歴然たる事実を申しています。戦後復興を掲げる以上ティターンズは正義でなければなりません。ならばその初手が最も肝心。
その中で軍国主義的な動きをする人間を、コロニーを守るべき連邦艦隊を使ってコロニーを盾にして戦場を離脱した指揮官を据えては必ずスペースノイドからの反発をくらい、やがてそれは我々ティターンズにとって大きな壁となります。
それは戦後復興とアースノイド、ルナリアン、スペースノイドの融和に大きな罅割れを入れる事になるでしょう。
本当に地球圏全体の事を考えるならばティターンズはジオンからも人材を受け入れ、尚且つ公平かつ公正な組織として存続しなければならないのです!」

この主張は最終的にはコリニー提督を排除したかったジャミトフと彼の一族(彼らもまた政治的な弱肉強食の掟を知る肉食動物であった)、つまりハイマン家や軍人嫌いのアデナウアーやどっちつかず主義的なところはあるがそれでもまだ理想に燃えるパラヤ議員、ルナリアンとしてバスク・オムと敵対関係にあったブレックス・フォーラー少将らの後押しもあり、ティターンズ計画からコリニー派は巧妙に排除される。
それはジーン・コリニーにとってまさに寝耳に水の事態であった。
コリニー派と目されていたジャミトフ・ハイマンが自ら立った。更にそれを後押しする各州の州議員達。しかも自分と関係が深い議員たちは失脚したり鞍替えしたりして孤立感を増す。
ブライアン大統領は瞬時に判断すると、対コリニー用の政治的な包囲網は完成させた。
結果、コリニーとその子飼いは巨万の利権を持つであろう『ティターンズ計画』から追い出される。
もっともあの老獪な政治家や軍国主義的な一面を持つ人間は水面下での現状打開を目論んだが。


(若造どもに、あの裏切り者共が!! 今に見ておれよ!!!)


無論、その怒りを隠して。
そして軍のトップとして人事権を握っていたゴップ大将はジョン・コーウェン中将を太平洋方面軍総司令官に就任させた。

これはその時非公式に地球連邦首相に手渡された0083以降の地球連邦軍序列である。
(階級が命令するのではなく、役職が命令するのが軍である。つまりこれは時事上の地球連邦軍の階級章になる)

No1 ゴップ大将 統合幕僚本部長
No2 ジャミトフ・ハイマン少将 ティターンズ長官
No3 ティアンム大将 宇宙艦隊司令長官
No4 ジーン・コリニー大将 南半球方面軍総司令官
No5 グリーン・ワイアット中将 北半球方面軍総司令官
No6 イーサン・ライヤー少将 作戦本部長
No7 ジョン・コーウェン中将 太平洋方面軍総司令官
以下、各宇宙艦隊任務部隊司令官、各方面軍司令官が続く。
尚、太平洋方面軍は事実上ティターンズの母体なため、他の方面軍に比べて優遇されている。
またゴップ大将が旗色を鮮明にしたと言うのではなく、太平洋方面軍司令官へコーウェン少将を赴任させたのはあくまで本人の自発的な行動として周囲は捉えたし、そう言う風に受け取らせた。

もっともこれで大人しくするなら裏でこそこそと動くことはない。
No1は裏でNo2と手を組むべく策動している上、結果的に敗戦の責任を免れたとはいえレビル派閥として国民から白い目で見られる宇宙艦隊も不穏な空気を見せる。
政治的な逆転劇で一気に降格させられたコリニー大将と彼に対抗意識を燃やすライヤー少将、ワイアット中将。
更には一躍躍進したティターンズ長官のジャミトフ・ハイマン少将。結果論を言っても仕方ないのだが連邦軍内部での火種は燻り続けていた。




ア・バオア・クー侵攻艦隊はサイド6にて再編された。ア・バオア・クー戦生き残った部隊はサイド6まで前進してきた工作・補修艦艦隊によって休養を取る。その中にはアルビオンの姿もあった。
ニュータイプ部隊を撃退した不沈戦艦ホワイトベースの姿もあった。だが、第14独立艦隊を構成していたアクティウムの姿は無い。
度重なる攻撃で3隻のサラミスK型の内アクティウムは轟沈。残りの二隻も損害が激しく廃艦が決まっている。
それ程の激戦区であった。第二次ルウム戦役の圧勝など簡単に吹き飛んでしまった。ヘボン少将も頭が痛い。
余談だが、彼ら前線で戦った全軍人たちが昇進するのは0080.10.12午後11時00分の事である。

ローナン・マーセナス新首相を中心とした地球連邦政府代表団は、同じくサスロ・ザビ新総帥を中心としたジオン公国代表団とトップ会談に入り、今後の事を決めていく。
特に両国、と言うかジオン側の懸念である連邦軍宇宙艦隊を再建するのは今後30年をかけて行う事を約束し、それを持って安全保障条約・軍縮条約の代わりとする。
一方ジオン軍部も、宇宙海賊掃討などの各コロニー航路、地球航路、月面航路などの治安維持やMSの共同開発を提案する事で歩み寄りを見せる。
後にガルバルディアβやハイザック、マラサイなどと呼ばれるジオニック、AE、ウェリトン、ヤシマなどの連邦、ジオン両陣営の技術の粋を結集したMS開発がスタートする事となった。
またジオン公国(他のサイドは除外)に課せられていた農業関税や水税、空気税も平均的なものに抑えられ、更には連邦の融和政策としてサイド3に農業専門コロニー10基大量発注が確定。
またティターンズによる中央アフリカの反地球連邦運動の鎮圧を前提としたダカール近郊、オーストラリア大陸緑化、北米大陸緑化計画も同時に開催する。
その資金は壊滅した地球連邦陸軍を再建しない事、地球連邦非加盟国との冷戦解除を行う事による緊張緩和、それに伴う余剰資金の確保で賄う事とする。
そして新たな投資先を求める太平洋経済圏の各州は戦後復興と緑化政策、コロニー開発に活路を見出す。経済界としては金食い虫の軍備再建など後回しにしたいのだ。
そしてそれは80年続いた冷戦で事実上国家が崩壊しかけていた非加盟国も同様。民主化運動や自由化運動を抑えるべく軟着陸を望んだ『中華』や中東二か国は連邦政府との非公式会談に移る。

宇宙艦隊もX、Zの任務部隊以外は現状維持。第13艦隊のみが例外的にサイド7大開発の影響で新設が継続されるも、それも新造巡洋艦「アレキサンドリア」級12隻とペガサス級7番艦「アルビオン」タイプ4隻、ドゴス・ギア級戦艦1隻で打ち止め。
MSは全て最新型のジム・クゥエルで編成される事が内定していた。これらの部隊が揃うのは7年後の宇宙世紀0087を予定している。


当然ながら、ウィリアム・ケンブリッジも激務をこなしていた。それは大変であったが、やりがいある仕事だった。

(戦争が終わった。平和が来る。長かった。一年だったけど、本当に長い一年間だった。それでも終わったんだ!!)

ウィリアムにとってそれは喜ばしい事だった。欧州反攻作戦に妻が行く事になってから数か月。
子供の前でこそ平然していたが内実はボロボロ。いつ精神の均衡が崩れるか分からない状態が続いていた。それが漸くだが終わる。
嬉しくてたまらない。そんな中、ブライト・ノアがセイラ・マス、アムロ・レイと共に面談を求めに来た。
因みにブライト・ノア少佐は目出度くミライ・ヤシマ少尉の心を手に入れた。まあ、それは良い事だ。逆よりは。

「どうしましたか? 急に面談など?」

山積みされた書類。白い極東州製品のノート型PCに携帯用タブレットに、携帯電話。綺麗に張り巡らされた机の上の付箋。
自分達宿舎のリビングに案内する。来客用ソファーに腰かける様に促す。

「あ、その、すみません。お邪魔でしたか?」

アムロが聞く。連邦の白い悪魔と呼ばれた兵士では無く、少年らしい声が心地よかった。

「いえ、君たちが来た所で一休みできましたよ。ああ、アールグレイの紅茶とスコーンです。バターも欧州産ですのでいまでは貴重品です。
マーガリンで良いと言ったのですけどマーセナス新首相がジオンに対抗する為だから持って行けとうるさくてね。
もっとも事務方なので実際に応対する時は安物のコーヒーで十分なのですが」

そう言って食器棚から4人分の紅茶カップを出し、注ぐ。
他愛の無い雑談が続いたが、意を決してアムロが徐に口を開く。

「あのケンブリッジ特別政務官」

スコーンを食べきった。

「何です?」

「ニュータイプについてどう思われますか?」

それはシロッコ中佐やブレックス少将との会話の焼きまわしかとも思ったが相手のアムロ・レイはまだ子供。
そして考えてみれば無責任なイエロージャナリズムが彼をニュータイプだとして囃し立てた。自分達が子供を安全な後方から戦場に送り出している事を棚に上げて。

(英雄としての自分に困惑しているか・・・・・当然だな。プロフィールによると元々引き篭もりの少年だった。
それが今や地球連邦軍最強のエースパイロットだ。そしてニュータイプ扱い。これは大人がしっかりと導かないといけないだろうな)

そう思う。紅茶に視線を送りそして、アムロの顔を見た。良く見ると彼氏を心配する彼女の顔をしたセイラの顔も見える。

(おや? ああ、そういう事か。だから三人で来たのか。あの手紙・・・・本来はセイラ・マス少尉だけだったのに)

口を開く。

「ニュータイプという定義が曖昧なのは分かりますか?」

頷くアムロ。確かにニュータイプと言う定義はあいまいだ。ジオン・ズム・ダイクンとデギン・ソド・ザビ、ギレン・ザビ、地球連邦公式見解は全て違う。
ニュータイプ専門の各学会、学派もしのぎを削って我こそは真のニュータイプ研究論者だなどと言っているが、眉唾ものである。クルスト博士やフラナガン博士などが良い例だ。

「ならば惑わされない方が良い。正直に言います。地球連邦軍は君たちを利用した。勿論、私も利用した。これについては恨まれても仕方ない。
ブライト少佐、そんな事は無い、そう言いたげですね? でもね、上に立つ人は多かれ少なかれ人を利用しなければ、或いは使わなければならないのです。
企業でもNPOでもボランティアでも政府組織でも、まして軍であれば尚更、です。そしてたまたまニュータイプと言って都合が良い存在が現れた。
それがアムロ・レイ、君だと思います。昔の武将は一騎当千の働きをしたと言う。それに縋ってアムロ君をニュータイプと定義した。
つまり君は映画か何か出てくるおとぎ話のスーパースター扱いだったのです。
そんな訳の分からない存在。だったら連邦軍のトップエースにしてしまえ、これをニュータイプと呼べばよい。
そう言う事だと私は思います。仮にこれから講演会などでニュータイプについて聞かれたらこう答えなさい。
『あれは偶然の、奇跡的な事象でして、自分自身はMSの操縦が上手いだけの唯の人間です』と。
そうしないとニュータイプ論者に祭り上げられてしまう。下手をしたらオールドタイプと定義される人のテロの対象にもなるでしょうからね。
それに若い頃からちやほやされて育つと碌な人間にならない事は私が保証します。ニュータイプなんて言葉は政治家や軍上層部、学者らの方便です。
凝り固まった主義主張など君みたいな若者にはまだ不要。寧ろ害悪。良いですか、決して自分を特別な人間と思い込んではいけません。
そんな事ではいつか隣に座っている大切な女性にさえ見切りをつけられてしまいますよ?」

そう言って紅茶を飲む。
窓から見えるコロニーの風景は雨になりつつあった。
沈黙が続く。僅か数十秒の言葉だが、それはニュータイプは進化した人間では無い、普通の人間だと言うウィリアム・ケンブリッジの意見をアムロ・レイに浸透させるには十分過ぎる時間であったと思う。

「それで・・・・・まだ私に用事があるのではないのですか、セイラさん?」

直ぐに鋭い眼光が射抜く。これを見てセイラは心底思った。

(ああ、本当に役者が違う。各上の存在とはこう言う人を言うのね)

と。
セイラは話した。

アムロの道を決めて欲しい。彼は軍に残りたい。アムロの、自分の代わりに死んだスレッガー中尉や帰って来なかったハヤトの代わりに何かしたい。
でも自分には人殺しの才能しかない。だけどそれでも戦後復興に役立てたい。どうかよろしくお願いします。
その為なら私がアルティシア・ソム・ダイクンに戻っても構いません。

(愛する男の為に、か。昔を思い出すな)

そう思って一番左に座っているブライト・ノアを見るといつの間にか彼も頭を下げていた。これでは断れないではないか。
しばし熟考する。彼としては生粋の軍人であるブライト艦長はともかくほかの二人は民間人に戻ってほしい。
だが、あれだけの戦果を挙げたエースパイロット二人を連邦軍がただで手放すとは思えない。いや、十中八九何らかの拘束を行うだろう。
それが目に見えるものか、或いは尾行などの裏のやり方なのかは不明だが。
それならば彼らを後方で保護した方が良いのかも知れない。

「ふう、奇特な人達だ。そんなに軍に残りたいのですか?」

無言で頷くアムロ。その目は確かに理想と決意に燃えていた。
仕方ないか。そう心で呟く。

「分かりました、ハイマン少将に頼んで第13独立戦隊メンバーの希望者は正式発表されたティターンズに入隊してもらいましょう。
ただし、アムロ君。一つ条件があります」

強張る。

「条件、ですか?」

「それは一体?」

「あの、アムロは・・・・・」

アムロが、ブライトが、セイラがおどおどする中で私は言った。
それを手で遮ると笑いながら言った。

「簡単です。ティターンズの学校で勉強しなさい。それが条件。君はまだ若い。学を身につけなさい。
例のマスコットロボットを作ったり、戦場でガンダムのソフトウェアをいじれた君です。まあ、多少は地獄でしょうがそれ位しないと本当の平和に役立つ人物になるには難しいです。
大丈夫、お隣にいる彼女さんと二人三脚で歩けば上手くいくでしょう」

赤面する二人であった。




一方、講和条約締結に向けたサイド3ジオン公国では。

『ジーク・ジオン!!』

『ジーク・ジオン!!』

『ジーク・ジオン!!』

『ジーク・ジオン!!』

『ジーク・ジオン!!』

『ジーク・ジオン!!』

熱狂的な渦。ジオン公国は独立戦争に勝利した。そう国内に発表。
これからは連邦の同盟国として、またスペースノイドの盟主としてジオン公国が宇宙開拓の最前線を担う。ジオンこそまさに選ばれた勇者である。そう断言するギレン・ザビ。
更にはサイド7とサイド3の大規模コロニー発注計画や火星開拓計画、地球緑化にヨーロッパ地域の復興へのジオン資本の参入の承認はジオン経済を活発化させ、更に地球経済復興にもつながる。
そんな中、地球へ向かう艦隊を公王執務室から見送るギレン。

「閣下」

腹心になったシーマ・ガラハウ准将が声をかける。連邦との協定により、エギーユ・デラーズ少将が、退役するドズル・ザビ中将の代わりにジオン公国軍総司令官に就任した以上、ジオン親衛隊はシーマ・ガラハウ准将が指揮する事となった。
彼女はそれだけの信頼を得たのだ。まあ、実力と人望を兼ね備えた上に外交も出来る無色の人物をギレン・ザビが放置する筈も無い。

「何か?」

因みにセシリア・アイリーンは産休を取っていない。ギレンとの間に赤ん坊が出来た。名前を「マリーダ・クルス」。
「グレミー・トト」の妹として後4か月後に生まれる。
二人とも性名が別なのは単にギレンが子供の暗殺を恐れたからであり、深い意味は無い。この時点では彼も単なる父親にしか過ぎない。
また、地球連邦との協定から、公王位は議会の推薦・承認によって譲渡されると前例が出来た以上、ミネバ・ラオ・ザビと骨肉の争いをする事は無いだろう。
よって、秘書の代役はシーマ准将が、警護室長はアナベル・ガトー大佐が務める。
尤もシーマは愛人になる気はないと公言しており、それすらもギレンはシーマを高評価する材料にしていた。

「グレート・デギンが出港。デギン公王は地球のガルマ様にお会いするべくサイド3を離れ、そのまま地球のキャルフォルニア基地に軟禁されます。
タイムスケジュールに一分の狂いもありませんが・・・・・その・・・・・よろしいのですか?」

それを聞いたギレンは鼻で笑った。

「父上はガルマを溺愛していた。我がザビ家の中で誰よりも。それに私達ザビ家の兄弟らもいい加減に親離れしなければなるまい?
シーマ准将、貴公は頭が切れるが切れすぎるのが難点だな。あまり人の心を覗き込むものでは無いぞ?」

穏やかだが反論は許さないと言う口調にシーマは深々と頭を下げて退出した。
扉が閉まる。そして誰もいなくなった執務室で彼は思う。

「・・・・・・老いたな、父上。ま、ガルマはガルマで例の計画に賛同するであろうから、良しとしよう」

ジオンの独裁者の声もまた虚空に消える。




サイド6リーアの地球連邦軍補給艦隊から分派し、特別に入港を許可されたアルビオン、ホワイトベース。
それを出迎えるウィリアム・ケンブリッジ。

「エイパー・シナプス少将以下622名、ただいまを持ってウィリアム・ケンブリッジ特別政務官の指揮下に入ります」

見知った顔がある。あのルウム撤退戦以来のオペレーターのお嬢さん方がはにかみながら、レイヤーやカムナ、ヒィーリ各小隊の面々がそれぞれの個性豊かな表情で自分を出迎えてくれる。
そして自分の後ろにはこの戦争で離れ離れになった自分の子供たち、ジンとマナが一人の女性を見据えていた。

「お・・・・お母さん・・・・だよね?」

「そ、そうだよね、お父さん。お母さんだよね?」

シナプス司令官と父親がこういった。

「そうです」

「そうだ」

と。
二人の言葉に堰が切れたのか泣き出す息子と娘。

ここでマイクを持って彼は、ウィリアム・ケンブリッジは自分の前に整列する全ての人間に深々と頭を下げた。

「皆さん、ありがとうございました。本当にありがとうございました。戦争は終わりました。
こんな事しか言えませんけど、本当に、本当にお疲れ様です。どうもありがとうございました」

ただそれだけ。そして一瞬の間の後、歓声と共に全員の軍帽が宙を舞う。
それを見たシナプス司令官は傍らに立つリム・ケンブリッジ大佐の肩に手を置くと穏やかな声で言った。

『行きなさい。ケンブリッジ大佐。今までありがとう。貴官のお蔭でアルビオンは生還できた・・・・今日の軍務は終わりです。
もう一度言います、これは命令ですよ、大佐。行きなさい。貴女の良き伴侶と貴女の子息の為に』



そして、ホワイトベース、アルビオンの621名の同僚と、ウィリアム・ケンブリッジの秘書であるマイッツァー・ブッホらとマナ、ジンの前でまるで女子校生がボーイフレンドの胸に飛び込むかのようにダイブした。
いや、実際泣いていた。そして駆け寄る二人の我が子を抱きしめる。

この日、リム・ケンブリッジにとっても、ウィリアム・ケンブリッジにとっても一年に及んだ長い戦争は終わったのだった。





宇宙世紀0083.10.15

地球連邦政府は正式に戦後復興庁『ティターンズ』を設立。
約三年間の期間を経過して、連邦軍のケンブリッジが関わった精鋭部隊を引き抜く事で連邦軍の質的な弱体化を図り文民統制をある程度再建させた。
が、戦争の火種は残った。
閑職に回されたレビル将軍派閥と呼ばれた旧連邦軍主流派とサイド3、サイド6を除く保護国、サイド1、サイド2、サイド4、サイド5にて完全独立を求める運動、反地球連邦政府運動『エゥーゴ』の水面下での合流。
宇宙の深淵からジオン・ズム・ダイクンの遺児を抱え、木星船団との裏取引で勢力を蓄えだした『アクシズ』。
更には統一ヨーロッパ州内部で発生した地球至上主義に、旧コリニー閥の蠢動。
ジオン本国の意向を無視して非加盟国に残った『打倒地球連邦政府』を掲げるジオン公国亡命軍。

が、それでも仮初めの平和は続く。

ウィリアム・ケンブリッジはこの時を後にこう振り返る。

『不安定と言う名の安定した時代』

であると。




ジオン独立戦争編 完結

ここまで読んで下さった全ての読者様に感謝を。
一時期スランプと病気で全く執筆が出来ず、一気に質の劣化もあり愕然としましたが何とか第一部完結です。
これからは就活第二+社会人生活なので恐らく執筆は更に遅れると思います。更に当初の予定より大幅に変更したのでどうなるか分かりませんが、それでも『ある男のガンダム戦記』を読んで頂いた全ての読者に感謝を。
先の話では病気までした為感想返せずにすみませんでした。今回は返せるだけ返せますのでまた感想の程、よろしくお願いします。


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