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No.33589の一覧
[0] 財部ちゃんかわいい(めだかボックス・ネタ)[タカヒロ](2012/06/26 02:29)
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[33589] 財部ちゃんかわいい(めだかボックス・ネタ)
Name: タカヒロ◆61c6a64a ID:d8b201f6
Date: 2012/06/26 02:29



 突然だが、財部依真という子をご存知だろうか。
 一枡女子中学に通う、中学3年生の女の子である。ベレー帽と眼鏡が似合う、華奢で可愛い女子中学生である。
 そして現在は我らが箱庭学園、生徒会執行部が主催している次世代育成プログラムにおいて、生徒会執行部の見習いという立場で期間限定で箱庭学園の1年生として学業に励んでいる中学生である。
 他にもそのプログラムに参加している中学生は存在し、先述の財部依真を含め全員で5人である。ちなみに全員女子中学生である。そう、JCである。
 女子中学生、JCという響きが如何に素晴らしいものか、これは語るべくも無いだろう。男たるもの、須らく女子中学生に注視すべしという名言がある程だ。ちなみに今考えた。
 この箱庭学園、それなりに多くの生徒が通うわけだが、勿論その殆どが規定の制服を着て日々の学校生活を送っている。生徒会だとかのいくつかの例外はあるものの、基本的にはそんな訳で、制服に関してはほとんど同じものしか見ない。まぁ当たり前の話だわな。
 そんな中で彼女らの中学生の制服というのはそれなりにグッと来る訳だ。女子中学生という響きに加えて制服。これはもう犯罪的な香りしかしないのではないか!? それほどの恐ろしさを秘めているのだ。そんな彼女らが、生徒会の見習いとして学園内を走り回っているのだから、嫌でも目に付いちゃう訳だ。

 ちなみに。
 生徒会見習いの彼女らを含め、現在多くの生徒が通うこの箱庭学園というものは、その建学の理念により、様々な、それはもう多様という言葉では説明できないほどの多くの個性を持った生徒達が通っている。
 類型やコースのようなもので簡単には分けられているものの、組数のケタが上がるのを境に、その生徒の有様は全く持って異なる。
 まず1~4組。これは普通の生徒が通う、何の変哲も無い普通科である。5~9組には体育科と芸術科があるのだが、詳しい内訳は覚えていない。これらは普通の普通科もしくは体育・芸術科であり、ただ少しばかり賢い人間、少しばかりスポーツの出来る人間、少しばかり芸術の才能がある人間が通うところだ。箱庭学園を卒業すれば、世の中の流れと同じく大学や専門学校などへ進学したり、様々な企業へ入社したりなど、大きく異なるところはない。
 しかしここから先が、この箱庭学園の大きな特徴であり、箱庭学園が箱庭学園たる所以であるところである。
 10組以降は、いわゆる特待生であり、この学園の"お眼鏡"にかなった優秀な生徒達が通う。つまり、特待生の通うこの10~13組というのはいわゆる特別科であり、"普通"では無いのだ。普通の範疇に入る人間はまず入れない、それがこの特別科の特待生――通称、チームトクタイ――である。
 10組は特別普通科、普通の特例、特例の普通である。そして11組は特別体育科こいつらの運動能力は最早一言でチートと言って差し支えないだろう。人生という名のゲームにおけるバグ的存在。12組は特別芸術科。感性がそもそも人とは違う。故に特別。故に特例。
 そしてこの3つの組をさらに超える、"異常"さを持つ生徒のみが在籍を許されるのが13組である。
 普通では考えられない、いや特例を認めても考えられないような"異常"な存在ばかりの13組の生徒達は、入学と共に登校義務を免除されている、奇特で特異で異常で常軌を逸した存在であるのだ。



 さて、話が大分逸れてしまったので本題に戻ろう。話題は一枡女子中3年の財部依真ちゃんについてである。
 何故彼女を話題に出したかというと、勿論理由がある。
 先ほども言ったように、中学生でありながら箱庭学園に在籍し、1年生として学業に励む傍ら生徒会の見習いとして動き回る彼女らは、学園のいたるところで目にするのである。
 生徒の自主性を尊重するこの箱庭学園において、生徒会の仕事は非常に多い。そりゃあもうとにかく多い。見てるだけでも大変そうだ。教師陣が仕事を放棄してるんじゃないかと思うほど仕事が多い。というかきっと仕事してない。
 あぁ、また話題がズレてしまう。こいつはいかんいかん。とにかく財部ちゃんの話だ。財部依真ちゃんだ。
 生徒会の見習いとして学園内を動き回る中学生というのは、中々に注目を集めるものだ。もちろん、この箱庭学園はただの高校じゃない。全国からありとあらゆる人材が揃えられているため、万国ビックリ人間ショーといわんばかりの多様さを誇る。
 そんな中で、財部依真ちゃんはそのビックリ人間の巣窟ともいえるこの箱庭学園で、俺の目には輝いて見えるのだ。他の生徒たちとは一線を画した輝きを放っているのである。勿論、JC+制服の効果もあるのだが、それ以上に、彼女自身が輝いているのだ。マジで。
 まぁ何が言いたいかというと。

「マジで依真ちゃん可愛いなぁ! 抱きしめたいなぁ! 舐めたいなぁ! ぺろぺろしたいよぉ! お姫様抱っこで学園中を走り回りたい! 赤面させて照れ隠しの拷問を受けてみたい!!」

 という訳である。

「……ご飯食べながらいきなり叫び出さないでくれる?」
「ふ……つい衝動が抑えきれなくなっただけの事よ」
「……マジでキモいからやめてくれない」

 ちょ!? 真顔でそんなこと言われたら、たとえ冗談でも傷つくからやめてくれよ!

「割と冗談じゃないし」

 やめろおぉ!!!
 俺の心がバリバリと音を立てて傷ついていく。死んでしまいそうだ。
 涙がちょちょ切れそうな俺を無視して黙々と箸を動かす彼女を見て、俺はため息をつきながらも、食べかけのお弁当に再び箸をつける。
 あぁ、紹介が遅れたな。いま会話していたこいつの名前は久留米 歩。2年13組のいわゆる異常――アブノーマル――だ。
 そして遅ればせながら、語り部の俺は八幡 雄。組は違うが同じく2年、組は10組だ。いわゆる特別――スペシャル――だ。

 いわゆる特別科同士で知り合って、惹かれあった同志だ。各々の持つ力をつまらないことのために日々使っている、しょうもないコンビが俺らだ。……もっとも、先ほどの会話から分かるとおり、ヒエラルキーにおいては彼女が絶対的に上にあるのだが。まぁそれはしょうがない訳だけれどもさ。
 とにもかくにも、彼女が機嫌をこじらせて帰る前に、必要な事を済ませなければならない。
 今回の件に関して、俺一人では出来ないことがあったので、13組生徒の例に漏れずに登校義務を免除され、普段は全く登校していない彼女を、わざわざこうして呼び出したのだ。登校する必要が無いにも拘らず、こうして登校してきたことで不機嫌になるのも分かるが、高校生のうちくらい、ちゃんと学校に来いよと言わざるを得ない。
 ……まぁ、そんな常識が通じないのが13組――ジュウサン――なんだけどさ。

「で、せっかく楽しい引きこもりライフを満喫してる私に、わざわざ登校しろだなんて頭大丈夫? あ、もともとか」
「え、なに? お前、もしかしてずっとそんな毒舌キャラで通すつもり? 俺泣いちゃうよ?」

 いやマジで泣いちゃうよそれ。ちょっとひどすぎるんだけど。っていうか引きこもるなよ。登校しないならせめて外出て遊んでくれよ。
 はぁ……。普段はもっと優しいのに、いきなりこれだと心の傷がハンパ無いです。
 まぁ気にしてもしょうがないので、気持ちを切り替えて本題に入ろうと思う。ちょっと冗長すぎる感もあったけれど、それはまぁしょうがないかな。
 とりあえず、何度も繰り返してしつこいようだが、話題のメインは財部依真ちゃんだ。
 彼女が可愛すぎるので、ちょいとドッキングしたいと考えたのです。
 いやまぁ物理的に性的にドッキングしてもいいんだけど、そういうのじゃなくてもいいんだよね。ドッキングというのは飽く迄も比ゆ的表現であって、まぁなんというか、遊びたいだけなんですけどね。そのためにもとりあえず、まずはキッカケが必要だよね、何事にも。

「どうせつまらないこと考えてるんでしょうけど、まぁいいか。対価がちゃんとあるなら、働いてやっても、いいけど」

 それでこそ歩さんやで! 
 さっそく計画を歩に伝える。といっても、特に何か考えてる訳でもなかったので、ほとんど依真ちゃんの可愛さを伝えるだけの会話となっていたが、それはまぁそれで楽しかったので良しとしよう。
 つい熱くなりすぎて昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴ってしまったがそれは無視。登校義務の無い歩は元々授業を受ける気はさらさら無いし、俺に至っては授業が割と着いていけないので授業を受ける気が無い。駄目なパターンだなこれ。

 この計画において、彼女の持つスキルは重要な意味を持っている。彼女ナシでははっきりいって成功出来ないといっても過言ではない。……というか、大抵のことにおいて、彼女のスキルがあれば何とでもなるというのが事実なんだけどね。それほど、彼女のスキルが優秀で恐ろしいものだということだ。
 彼女のスキルは、あらゆる人間にとって、それはもう脅威となるスキルだ。
 蒐集者――ネットワーカー――と呼ばれる彼女のスキル、それは"情報"を司るスキルだ。詳しいことは省略するが、それはもう強力なスキルだ。戦闘においては非力だが、そんなものをする必要はない。なぜなら戦闘が起きる前に、"情報"を駆使して戦闘が起きないように舞台を動かすからだ。戦う力はないが、こと、"情報戦"に限定すれば、それはもう彼女のワンマンステージだ。独壇場だ。情報戦におけるその戦闘力は最早ワンマンアーミーに等しい。
 そんな彼女のスキルを今回は頼って、財部依真という少女におけるあらゆる情報を集めた。彼女のスキルは万能という訳ではなく、何でも知りたい情報を手に入れることが出来る、という訳ではない。しかし、俺のいま知りたい情報はその制限には接触しないので問題ない。

「…その子とお近づきになりたいなら、普通に接触するなり、生徒会にお願いするなり目安箱に入れるなりすればいいんじゃないの?」

 ふっふっふ。さすがは歩。俺の事など何にも分かっていないな。それでこそ歩だけどな!

「何を言うか。他人の力を頼って得たものなどに意味などあろうか。否! 断じて否! 自分の持つ力だけで手に入れてこそ、価値があるのだ!」
「いや、私の力借りてるじゃん」

 うるせぇ。それはいいんだよそれは。というか実際のところは、生徒会のやつらがおっかなすぎて近づけないだけなんですけどね。破壊臣とか見るだけで失神しそうでマジコワっすわ。
 まぁとにかくだ、そんな訳で俺は今から財部ちゃんを襲いに行く! 後のことなど知るか!

「今の自分がよければそれで良いが座右の銘! 八幡雄! いざ参る!」
「いや、いま授業中だし」

 ……とりあえず放課後を待ちます。


---


 時が過ぎ去るのはあっという間で、気づけばもう放課後。
 結局あの後も授業には参加せずに、学園内をぶらぶらしていただけの俺らは、傍からみれば恐らくカップルだっただろう。美男美女の組み合わせ、うーん、絵になるねぇ。あ、自称イケメンの八幡雄ですどうもこんにちは。
 まぁ誰にも見つからないようにしてたから問題ないけどさ。風紀委員とかに見つかってたら鉄拳制裁だしな。隠れて正解。
 授業を終えた生徒たちは、あるものは部活、あるものは委員会活動、あるものは帰宅、と各々の方向へと別れていく。ターゲットである財部依真ちゃんは勿論、委員会活動だ。そのために彼女はいま生徒会室へと向かっている。
 今すぐにでも動き出したいのだが、我慢もまた大事だ。
 ところで、諸君はカイロスという言葉をご存知だろうか。簡単に言えば、勝機のような絶好の機会を表す。つまり、絶好のタイミングを示す言葉だ。はさみギロチンではない。
 そう、カイロスはまだやってこない。攻める姿勢も大事だが、時には待ちに入るのも、また大事だ。時が来るのをじっと待つ。情報という力を用いて待つ。格好いいことを言っているような気もするが、やろうとしていることは女子中学生を襲うという、事が明るみに出てしまうと社会から抹殺されかねないようなことだ。しかし俺はやり遂げる。何故こんな事に情熱をかけるのかと問われても、そこに答えは無い。しかし回答のための言葉は持ち合わせている。

「そこに可愛い中学生がいる限り、俺は俺のやりたいことをする! 誰にも邪魔されずに! 誰にも止められずに!」
「いや、私は止めたけどね。一応」

 うるせぇチャチをいれるんじゃねぇ。
 とにかく、俺はその一瞬の好機のために、今は息を潜めている。情報によるならば、あと少しでその時は来る。

「ま、私はここらで退散させてもらうね。とばっちりを受けたくないし」

 手をひらひら振りながら、歩は結果を見ることなく帰っていった。彼女いわく、情報を司るとはすなわち、簡易的な未来を予知することに等しいらしい。つまり、よっぽど想定外の出来事が起こらない限り、彼女はこの先の未来を大方、知っているのだ。勿論、それはさすがに俺には教えてくれなかったが。
 さて。
 時間だ。そしてカイロスはやってきた。

「ここいらで、俺の出番だ!」

 舞台は調った。準備も万端。ここからは俺のスキルの見せ所だ。
 俺のスキルは引っ張り蛸――マグネット――という名を持つ。その名の通り、引き寄せたり反発させたりするスキルだ。そして勿論、言葉の由来通りの意味も持つ。
 ターゲット、財部依真ちゃんを目視。先ほど持っていた書類は今はその手に無い。どうやらどこかに運んでいたようだ。しっかり仕事しているのはさすがだ。
 というわけで今は依真ちゃんは手ぶらだ。他に迷惑をかけることもなく、依真ちゃんに怪我をさせることもない。そして周りには丁度、誰もいない。
 まるで全てがお誂えといわんばかりの舞台、状況。これこそが、カイロス。
 タイミングを合わせ、ここぞという今! スキルを発動させる――!

「えっ?」

 いちげき ひっさつ!

「いやっほうー! 成功だ!! さすが俺だ! 抜かりない!!」

 目の前にはなんと、壁に綺麗な形で見えない釘で磔にされている依真ちゃんの姿が!!

「ほんと、さすが俺だわ。完璧な所業で誰の目にもつかずにこうして人一人を動かせるんだから。あぁ、自分の才能が恐ろしい……」
「ちょっと貴方誰ですか!? ってか何してるんですか!? いやもうマジで何してんだよテメェキモいんだよ早く離せ! ついでに死ね

 俺がこうして自画自賛してる中、磔にされている本人、つまりは財部依真ちゃんが訳も分からないまま声を上げる。そりゃあびっくりするだろうな。廊下を歩いていたと思えば、次の瞬間には壁に磔にされてるんだから。
 でもまぁ"情報"によると、某人に一度磔にされているようなので、慣れてると判断したのだけれども、やっぱりいきなりすぎて驚いているようだ。当たり前だ。

「うーん、いいねぇ。その本音をちゃんと"線引き"してる話し方、その言葉。うーん、素敵だ!」
「訳わかんないこと言ってないで、とっとと離してください!」

 うーむ、話がかみ合わない。これはいかんな。
「まぁまぁ落ち着いてくれたまえ。別にとって食おうだなんてしてないよ。あ、勿論いいのならそれは吝かじゃないけど、どうせ駄目でしょ?」
 紳士的に、相手を怖がらせないように優しい言葉で依真ちゃんに話しかける。
 こんな事をしておいて紳士もクソもないけれど、とりあえず紳士的になるのが大切だ。男は野獣と紳士の二面性を持たなければならないのだ。
 そういえば、女は変態を隠すために純情を装うが、 男は純情を隠すために変態を装うらしい。つまり俺の野獣性つまりは変態は純情を隠すためのものであるらしい。なるほどなるほど。つまりは俺の財部依真ちゃんへの純粋で純情な感情を隠すために、あえて変態性をもって接しているということか。
 一人でそんな事を考えて納得している間も、彼女はずっとぎゃーぎゃー喚いていた。しかし残念な事に、ここはあらゆる面においての死角。視覚における死角であるのは勿論のこと、聴覚その他においても、ここは学園内で数少ない死角。簡単に気づかれるような場所で遊ぶほど、俺は迂闊じゃない。
 何にしろ、とにかく初めの目的は達成された。財部依真ちゃんと二人きりの状況をつくること。うむ、完全にその状況そのものだな。

「はぁ、見てるだけでもご飯三杯はいけるよね……。でも触ったらご飯10杯はいけそう……」

 相変わらず喚いたり文句を言ったりと、俺をけなして暴言を吐くことに余念がない彼女だけれども、いつまでもそのまま放置しておくわけにはいかない。

「そんなに怒らないでくれたまえよ。俺の気が済んだら解放してあげるから。それがどれだけ後になるかは分かんないけどな!」

 まさに外道!と自分でセルフ突っ込みのようなものを入れながら続けて財部ちゃんを視姦する。見てるだけでお腹いっぱいだぜほんとに……。あぁ、幸せだ……。
 うっとりとしながらずっとこのまま眺め続けるのもいいけれど、いい加減財部ちゃんの相手もしないと嫌われそうなので仕方なく……という訳ではないけれど、むしろ嬉しい部類に入るけれど、財部ちゃんとの会話を楽しむことにした。

「とりあえず、いろいろと調べた結果、財部ちゃんの今日のパンツは水色縞パンなんだって?」
「はっ? ななななんでそんな事知ってるんですか!? マジでキモい! 詩ね視ね氏ね死ね!!

 普通に覗いただけなんだけどね。眼福眼福。JCのぱんつを見られるだなんて、今日はなんていい日なんだ。しかもそのぱんつを穿いているのはあの財部依真ちゃんだよ! これはもう表現ができない程にすばらしいことだ!! 幸せすぎて、もう今日で人生が終わっちゃっても問題ないくらいだよほんと!!

「と、とりあえず離してください。今なら穏便に済むようにしますから。と言うとでも思ってるのかそんな訳ねーだろ。離した瞬間に死刑確定だよクズが
「ふっ、せっかく手に入れた極上の天恵を、みすみす手放す人間はそうそう居ないものだよ。少なくとも、俺は手放せねぇええ!!」

 目の前ですりすりもみもみのしぐさをしていると、それが何を意味しているのか、瞬時に察した彼女がひっ、と怯えた声を出した。いいねぇ、そういう声もいい。ぞくぞくしちゃう。

「あぁ触りたい! 抱きつきたい! 舐めたい!」






















 と、そんな感じでテンションを上げていた頃。

『おいおい、そこで何してるんだい?』
『その子は僕の可愛い、後輩だぜ』

 声が、聞こえた。
 感情の起伏の無い、しかし声に色が灯っている、なんとも不思議な声色。
 本能が、全身が警告を上げる。遺伝子に刻まれた本能が、闘争の選択を真っ先に消す。逃避、凍結。選択肢は絞られる。しかし、その選択肢すらも選択できない。
 時間経過で選択肢は自動的に一点を選択する。
 声がした方向へ、すなわち背後へと、ゆっくりと振り返る。


 球磨川、禊。
 その声の主の名前。箱庭学園生徒会の、副会長。負完全。過負荷。マイナス。"グッドルーザー"。
 今目の前にいる、男の名前。

『やぁ、誰だか知らない人。生徒会の仕事の邪魔は、関心しないぜ』

 負の存在を具現化したと云っても過言ではない存在が、そこにはいた。

「球磨川せんぱい……!」
「……」

 まさか、ここまで早く嗅ぎつけられるとは、予想外だった。少なくとも、あと5分は余裕があったはず。それなのに、何故にこれほど……。
『僕はこと、財部ちゃんの事に関しては人一倍敏感だからね。生活パターンも行動パターンも今日穿いているパンツも把握しているよ』
 厄介な男だ。財部依真という存在を考えるにあたって、まず最初に出てきた障害だ。そして最大の障壁でもある。
 どういう形であれ、球磨川という男と財部依真ちゃんとの間には、他の学園生にはない強い絆がある。それ故に、厄介で鬱陶しくて、邪魔な存在なのだ。そんな男に嗅ぎつけられてしまった。これは……最早、失敗というしか無いだろう。
 ……俺のスキルを使えば、ここから逃げることは出来ないこともない。しかし、それも賭けに近い。
 スキルを抜きにして、この球磨川という男は非常に厄介だ。
 得物にしている螺子は、文字通り、相手を"螺子"伏せる。制圧・攻撃・防御その他あらゆる用途を持っている、奴の武器だ。一度引っ掛けられてしまえば、抜けるのは容易ではない。
 だからこそ、奴に武器を、そしてスキルを使わせるわけにはいかない。それよりも先に、この場を脱出する。最早財部ちゃんとの逢引は反故にするほか無い。非常に、残念ながら。
 状況を、相手を、空気を見極める。絶好の一瞬は、カイロスは俺に味方をするか。
 "情報"の保護の無い俺は、ここまで弱いのか。ならばこそ、ここで切り抜けてそれが間違いであることを証明せねばなるまい……!
 一瞬の好機は見つからない。ならば、自分で切り開くのみ!
 しかし、それも敵わない。

『逃がさねぇぜ』

 次の瞬間には、地面に磔にされていた。四肢を螺子で固められ、無様な格好のまま見下される形となった。

『めだかちゃんなら、もしかしたら情状酌量の余地があったかもしれないけれど』
『生憎のところ、僕はそんなものは持ち合わせてない。身内に手を出す輩には、文字通り"螺子伏せる"ぜ』

 あぁ。この目だ。マイナス13組の、この目だ。逃げられねぇ。ただの特待が、ただ少しばかり他の奴らよりも優れているだけのような俺が、こんな奴らに勝てるわけが無かったのだ。
 これが絶対的な差なのだ。"異常"なやつらに、ただの"特別"が勝てるわけが無い。加えてこの男なのだ。勝てる道理が無かった。
 あぁこれこそ、球磨川という男だ。球磨川禊という、存在だ。
 それでもだ。それでも俺は、まだ人生を捨ててはいない。
 螺子伏せられながらも、俺はまだ余裕を持っていた。確かにこいつのスキルはややこしくて面倒で凶悪だけれども、この"情報"は全部歩から教えてもらったんだけど。
 夏休みの生徒会戦挙でのいざこざで、一度能力を手放した事で、以前ほどの威力を持ち合わせてないというのを、"情報"で知っているからな!

「何をする気かしらんけど、女の子と話してただけの生徒を暴力で螺子伏せるたぁ、随分と生徒会は横暴だな」

 どうせこの後何も出来ないくせに、と付け加えるのを忘れない。
 しかしそれでも、奴は余裕を崩さない。まるで全てが予定調和であるかのように、これがまるで当たり前であるかのように。

『僕の"大嘘憑き"、以前に比べりゃ不便になったけど』

 徐に口を開いてゆっくりと話し始める。その声に、その顔に、焦燥の色は無い。

『君の存在を"無かった事にする"くらいなら、出来るかもしれないぜ』
『当たり前だろう? ご都合主義は何時の世も、まかり通っちゃうのが常だから』

 ジャンプでもそういう展開、あるだろ? と、まるで死刑宣告を言い渡すかのように俺に告げる。
 それはまさしく、俺の決定的な敗北。
 その決定的瞬間であった。
 あぁそうだよ! そういう奴だった。
 常にいつでも、自分の思い通りに出来るように場を作り出す。そういう男だよこいつは!
 当たり前だ。俺が、勝てる道理なんて無かったんだ。
 屈辱なんて感じない。これが、当たり前の結末なのだから。人はいつか死ぬ。そんな同じだ。俺はこいつに勝てない。これは天地がひっくりかえっても覆せない事実なのだ。こいつが俺の前に現れた時点で、すべては出来上がっていた。
 どうしてだろうか。
 俺はただ欲望の、そして欲求の思うがままに動いただけなのに。俺自身に正直になって、素直に動いただけなのに。
 まるで、俺が悪者になってるみたいじゃないか。俺が、悪いのか。俺が、悪役なのかよ。

『あぁ、その通りだ』

 その疑問に答えるかのように、球磨川は

『だから』
『僕は悪くない』


 そう言って、奴はスキルを発動させた。


 -了-






----------------

友達からコミックスを借りたので読んだ。財部ちゃんかわいい。もがなちゃんもいい。
リビドーの赴くままに書いたので妥協の産物。球磨川くんが難しかった。あれは書けないわ。


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