薄暗い廊下を、二つの足音が進む。薄暗い、といっても不気味な雰囲気は感じず、どちらかというと街灯のある道を歩いているような感覚だ。
「わざわざ、ごめんなさいね。目が覚めたばかりだというのに」
「いっいえ、こちらこそ、なんか恐縮です…」
「ふふっそんな畏まらないで」
そんなパーフェクトスマイル(業務用)に、俺は「…は、はい」という受け答えしかできなかった。
俺は今、緑色の髪の女性―――――リンディ・ハラオウンさんと歩いている。
俺が目を覚ました時、ちょうど様子を見に来たのがリンディさんだった。動けない俺に軽く事情説明をしてくれた。
ここは、次元航行船アースラの医療施設。次元世界とか、魔法とかも説明してくれた。―――って、こんな話しちゃっていいのか?
「あなたも被害者ですから。事情が分からないと納得できないでしょ?」
まあ、そーだわな。
後日、あらためて事情説明をしてくれることになり、その日は眠りに落ちた。
そんで翌日、起きようと思ったが―――動かん。つか痛い!
看護師さんの説明によると寝たきりで筋肉が衰えたせいだとか。どんだけ寝てたんだよ俺。
でも、そのあと看護師さんが治療魔法とやらをかけてくれた。
おおぉ~すげ~!なんかマッサージされてるみたいですごい気持ちいい。
――――うん、まだちっと痛いけど動かせないほどではない。いやぁスゴイね!魔法!
そんで、着替え終わったころちょうどにリンディさんが来たので、どうやら艦長室で説明するそうなので、俺とリンディさんは廊下に出た。
艦長室。………というより応接室みたいだ。なんか原作では日本和風テイストだったような気がしたが、リフォームしたとか?
俺はソファーを勧められ腰掛ける。しばらくして――――
「はいどうぞ」
背後から腕がにょっと出てきた。
うおうっ!びびったぁ。後ろから声かけんでください。
―――と、俺の前にいい香りの緑茶が置かれる。
「あ…ありがとうございます。―――ええと…」
「あっ!ごめんごめん。キミとははじめましてだよね?」
俺の後ろ、茶色い髪の女性が姿勢を正す。
「エイミィ・リミエッタ。ここでオペレーターをやってるの」
「そうですか。 どうもはじめまして。山田太郎といいます」
「うん!よろしくね~」
と、エイミィさんからのお茶をひとくち。
――――――うん。うまい。
あ、リンディさんもお茶を…………へ?
「………リンディさん。それは?」
お茶に(多分)砂糖と(おそらく)ミルクを入れ、それをおいしそうに飲む姿は――――まあ、まずそうに飲んでるわけだないみたいだ。みたいなんだが……
「あら? どうかしたの?」
お茶の香ばしい香りと、砂糖の甘い香りとミルクの乳製品な香りが――――うっぷ。
「いえなんでもないです」
「???」
まあ、本人が問題ないならいいかな………いいかな。
「それじゃあ始めてもいいかしら?」
「あ、はい。お願いします」
*****
聞く所によると、この地球を起点として魔導士襲撃事件の調査をしていたところ、結界の反応をキャッチして現場に急行したのだが、すでに結界も消えて、その問題の犯人もおらず、そのとき倒れている俺を発見し、保護したんだとか。
うん、それはいいんだ。大体知ってるから。でもなぁ―――――――
「―――――ですので守護騎士たちの保護観察処分を持って身柄の保護と事件の収束となりました。」
「……ソウデスカ」
「あの…大丈夫?」
「…うん。まあ」
俺寝てる間に全部終わってるってどんなイジメだあああぁぁぁぁぁぁぁ!?
いや、いいよもう危険もないし地球滅亡の危機も脱出したみたいだからいいけどさ!
でも俺だって守護騎士たちの戦うとことか、最終決戦とか生でみたかったさ!!
戦わんけどな!怖いし!
ううう~。映像とか残ってないかな。
もう人前とかじゃなかったらマジでその場で崩れ落ちてるところだよ!
「と、とりあえず後は身体検査で異常がなければ一時帰宅となります」
「……へ?まだなんかあるんですか?」
「一応、事件関係者ですので」
う~ん。やっぱ事情聴取とかあるのだろうか。
「……わかりました。俺にできることがあれば」
俺の了解の返答をもってこの話は終わった。
*****
カンカンカンカンと馴染みの階段を駆け上がり。『203』の番号付きのドアの前で止まる。
ほぼ一か月部屋空けてたからなあ。部屋の家具がなくなってたりしないかなあ。
鍵を取り出し、ねじこむ。
おっ開いた開いた。
―――――――――うあ~~なんかホコリっぽい。
うん。出てきたときそのまんまだ。
寝床に転がってる目覚ましがちょうど「01:00」の表示となった。
深夜の1時となった。
「はらへった……なんかあるかな。」
冷蔵庫の前に移動するが………
「……やめよ。中すごいことになってそうだし。」
もうねむいし、寝るか。
布団に横になって、唯一の手荷物を近くのテーブルに放る。
これはリンディさんが帰りがけにくれたやつだ。
『時空管理局進路案内』
あはは……スカウトされかかっとるし。
*****
彼の目が覚めたと聞いた時、いても立っていられず、廊下を走る。
けど、会ってどうする?
そんな問答が頭の中をぐるぐるめぐる。
けれど、彼は病室にいなかった。
会えないことに苛立ちが募った。
会わなかったことに安堵していた。
そんなことを考える自分がいやだった。
「ヴィータ?どないしたん?」
「………はやて。」
『はやて』と呼ばれた車椅子に乗る少女がこちらを見ていた。
「…ううん。なんでもない。」
そういってヴィータは少女のもとに戻った。
それでも未練がましく病室を振り返ってしまう。
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どうも作者です
まずは読者の皆様。感想、ご意見、ありがとうございます。
もうなんとゆうか、みなさまの気分を害してしまってるのではとヒヤヒヤしてます。
自分も目標は完結ですので。がんばって書いていきます!
駄文が続いてしまいますが、なにとぞよろしくおねがいします!
【次回】
太郎「魔法戦闘?ムリ、ゼッタイ。」
しょうがないなぁ~、の〇太君は。(〇竹ボイス)
【修正しました。】
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