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No.33281の一覧
[0] 【習作】ほむほむ?でGO!【まどか☆マギカ×fate/zero オリ主トリップ物につきご注意ください】 [ikuzu](2012/06/26 00:33)
[1] 2話目[ikuzu](2012/06/25 22:06)
[2] 3話目(外)[ikuzu](2012/06/25 22:21)
[3] 3話目(内)[ikuzu](2012/06/25 22:30)
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[33281] 3話目(内)
Name: ikuzu◆8ffd634e ID:22035bff 前を表示する
Date: 2012/06/25 22:30



―拝啓。
お母様、お父様、お祖父様、お祖母様、それに学校の先生や友達の皆。
いかがお過ごしでしょうか。
体などは壊されていないでしょうか。
皆様の存在と大切さを改めて実感しているところです。
今のような状況にあると、それがどれほどありがたく、得難いものだったかを身に染みて感じます。
え、俺?
うん。
俺は今ね…








死地に足を踏み入れています(泣)




遂にやってきました第4次聖杯戦争。
いやー。こうして実際に足を踏み入れてみると、色々と込み上げてくるものがありますねー


…恐怖感とか。
恐怖感とか恐怖感とか。
恐怖感とか恐怖感とか恐怖感とか。


はははha…
込み上げてくるものって言うのはね…
恐怖以外の何モンでもないわぁ!


ヤバイ。
怖い怖い怖すぎる。
サーヴァントヤバ過ぎ。
直に接することで、改めてその凄さが伝わってくる。

歴史や伝承に名を残した超人・偉人達が。
死後、精霊という枠にまで昇格した存在―英霊。
その写し身であるサーヴァント。

圧倒的な存在は、ただ在るだけで大気を震わせる。



…いや、もう帰りたいよ。
割りと切実に。
なんで俺、こんなとこに出て来ちゃってるんだろ。

少しだけ話を遡らせる。








戦場出たくない。

なら命令に従わなければいいんじゃない?

うむ。
理想的な答えだと思うし、俺だってそうしたい。

けど、それは無理な相談だ。

未だにカラクリの仕組みが全く見えてこないが。
今の俺(inほむほむ)は、あの化物共と同じ―サーヴァントになってる。
ということはだ。
外れようが無い首輪を付けられてるってことである。
令呪という、絶対の楔を。

聖杯戦争に参加するマスターとしての証である令呪。
サーヴァントを律する手綱にして、3回限りの絶対命令権。
それによって下された指示には、まず逆らえない。
セイバーさんみたいに並外れた対魔力を持つなら話は別だろうが。
残念ながら、このほむボディには対魔力は宿っていないらしい。
つまり俺に令呪に抗する術は無い。

もし、俺が。
戦場に出たくない~、などとゴネを捏ねようものなら。
間違いなく雁夜おじさんは令呪を使ってでも無理やり参戦させるだろう。
うん。
今のおじさんの真っ黒テンションなら確実に。

さっきから。
撤退しようよ~、ここで戦うのはやめましょうよ~…などと、それとなーく意思を念話を通じて飛ばしているんだが…
返ってくるのはドロドロの憎悪だけである。

うわー。
引くわー。
いや、俺なんかがどうこう言う資格なんかないってのは解ってるんだけどね。
でも。
これはマズイでしょう、雁夜おじさん。
ここまで憎しみを滾らせて、それに酔い痴れて。

ホントに、俺なんかが口を挟める問題じゃないんだけどね。
そんなおじさんを見てると。
何か、こう。
残念っていうか…悲しいっていうか…。

あれだけ桜ちゃんに優しくしてた姿を見てるだけに、余計に「来る」ものがある。

雁夜おじさん。
貴方は、こんな人じゃないでしょう?
本当はとっても優しい人でしょう?
貴方がこんなところで暴走して万が一のことでもあったら、残された桜ちゃんはどうなるの?
貴方が力を振るうのは、こんな場所ではないはず。
もう一度、よく考えて。
さあ。
戻りましょう。
帰ろうよ、おじさん。
今なら、まだ間に合う。














―そう。
今なら、俺もまだ死なずに済む(かも)!!


うん、コレが本音なんだ。
まあ、落ち着いて聞いてほしい。
桜ちゃんや雁夜おじさんのことを考えてるのも嘘じゃない。
嘘じゃないが…


人間、自分の命が一番だよね♪



という訳で。
死亡フラグ満載の戦場になど出たくないんだが。
参戦拒否しようものなら令呪を使われる。
そうなると状況をさらに悪くしちゃうんじゃないかな、と思う。


令呪というのは単なる命令装置というだけでなく。
使いようによってはサーヴァントの補助に使うこともできる。
本来、不可能であることを条理を超えて可能にしたり。
能力のブーストに使ったり。

遠く離れた場所にセイバーを空間転移のように一瞬で移動させた切嗣とか。
最後に意思を完全に通わせ、ライダーのバックアップに使用したウェイバー君とか。

奇跡に近いことまで実行し得る、言うなれば強力アイテムでもあるのだ。

つまり、俺が死にそうな状況になった時でも、おじさん(の令呪)によって助かる可能性がある。
そういうボーナスはたくさんあるに越したことはないんだけど…
令呪は3画。最大でも3回までということだ。

そのうちの貴重な1回をこんな序盤で使わせていいのかという疑問もあるし。
それに何よりもだね…


雁夜おじさんに嫌われる。



ここで俺が戦闘を拒否したら。
雁夜おじさんにとって、俺は。
ハイテンションマックスで下した戦闘指令に従わずに、貴重な令呪まで切らせたサーヴァント、ってことになる。

どう考えてもマイナス感情しか持たれない。
そうなるとマズイのである。

さっきの思惑。
危なくなったら令呪で助けてもらえるかも~、というのは。
双方の信頼関係があってこそ成り立つ仮定だ。
最低でも、利用価値が認められていないと使用してはもらえないだろう。


なのに、雁夜おじさんとの関係が悪化したら…


もっと酷い無理難題を押し付けられかねない。
その行き着く先は、死亡フラグの増大である。

先に進んでも死に満ち溢れた戦場。
場に留まって拒否しても、後の別の場所での死亡フラグ成立。

前門のサーヴァント、後門の雁夜おじさん。


…詰んでないか、コレ?
出口の見えない袋小路ってか…


いや、まだ諦めるのは早い!
まだ、手は残っている。
この(生き残ることに必死に)燃えているハートがあれば!

人間、最後にものを言うのは心ではないか!
一生懸命語りかければ、きっとおじさんも解ってくれる!



……
そう思って。
撤退しようよ~、まだ戦うべきじゃないよ~って感じなことを念話で語りかけてるんだが…
全く反応なし。

最初は無視されてんのかと思ったんだが、どうも様子がおかしい。
全然おじさんからの反応がないのだ。
まるで、最初から聞こえていないかのように。

はて、どういうこっちゃ?
今の俺がバーサーカーだから?と一瞬思ったけど、このほむボディ、クラスの影響は受けないはずなんだがなあ。
だからこそ、バーサーカークラスが持てない理性も思考能力もあるんだし。

=所持スキルを確認します=

夢人の写し身:?
クラスや知名度による補正の影響を受けない。
自身への精神干渉系能力を完全に無効化する。

=           =

と。
何気なく、その続きを見て。


=所持スキルを確認します=


死人の瞳  :?
意思という光を灯さぬ瞳。
自身へ向けられた魔眼系能力を完全に遮断する。
また、自身よりも低位の相手を高確率で行動不能にする。
ただし判定に成功しない限り意思疎通が成立しない。← ← ←


=所持スキルの確認を終了します=



……
………
詰んだorz
そうだった、こんなスキルを持っちゃってたんだった。
前(第1話時点)で確認してたというのに、忘れてた。


つーか、忘れていたかった。

ホントなんだよ、このスキル。
コミュ障そのものじゃんか。

判定に成功しないと意思疎通できないって…(泣)
こりゃさっきからのおじさんへの呼び掛けは間違いなく上手く伝わってない。
というより。
これから先、まともにコミュニケーションが取れるかすら極めて怪しい。


やっべ。
「おじさんに気に入ってもらおう大作戦」は大☆失☆敗!




とほほ…


意思疎通が困難であるということは。
此処で戦闘命令を拒否してしまった場合、その挽回がとても難しくなるということである。
何しろ意思を伝えられないんだから、弁解や言い訳すらまともにできない。
そんな状況で悪感情など抱かれたらおしまいだ。


こうなると、採れる手段としてはもう1つの方に否応なく頼るしかない。
すなわち。
利用価値を示すこと。


[自分はこれだけ使えますよ~、ですから捨てないで下さいね~]
と、こんな感じ。

俺がサーヴァントとしての使い易さ、頼もしさを出していけば。
おじさんとて目的を持って聖杯戦争に参加している以上、最大限に力添えしてくれるはず。

そのためには死地を潜って見せねばならない訳で。
そうなると、前門のサーヴァントは避けられない。

まあ。
この戦場に参戦せざるを得ないんですよね…



ちくせう。



―いいぜ。
こうなったら戦(や)ってやんよ!
ほむボディは伊達じゃない(きっと)!





そんな風に、半ばヤケクソで戦場に乗り込んで…

話は冒頭に戻り。
今、戦地に立ってるわけだが。


―うん。
人って、後悔無しには生きていけない生き物だよね♪


サーヴァント怖すぎ。
あばばばばば。
ヤヴァイヤヴァイヤヴァイ。



と、とりあえずは軽~く周りを見回してみる。

―この時点ですでにチビリそうだが…
相変わらずのほむクオリティのお陰で、全く動揺が外に出ない。



さて。


「何ともまあ、2人目の娘っ子の登場とはのう」

まず目についたのがライダーのサーヴァント―イスカンダル。

何といっても…でけえ!
体が巨躯であるということだけでなく。
内から、というか。
外にまで溢れ出ている器の大きさが見て取れる。

己の欲になすがままに生きながら。
周りの者を惹き付け続けた[征服王]。

さすが、ZERO最大のキーパーソンだ。

…怖いけど。



次に目についたのがFateの顔、セイバー―アルトリア。

清廉さと力強さを併せ持った姿は、正に最優のクラスに相応しい。
ZEROセイバーはヒロインでは無く、ヒーローであるとのことだったが…
なるほど、納得だ。

―これが10年後に腹ペコ大王になるのかと思うと…
何というか、こう…切ない?



そして、最後に。
ある意味、最大の脅威であったランサー―ディルムッド。

何故かって?




―イケメンだからさ。

魔貌ともいうべき端正な顔。
その根本を成している黒子―スキル[愛の黒子]。
女性に対して恋愛感情を強制的に抱かせる…
これの効果のため。
彼と対峙した女性は対魔力で防がない限り、彼にメロメロになっちゃうのである。

で。
俺は今、ほむほむになってる。
つまり、女性。
しかも対魔力無し。

…アレ?
やばいんじゃね?

ここに考えが至った時は、冷や汗が止まらなかったものだ。

体は女になってるが、心は男。
なのに野郎に惚れるのなんかゴメンじゃあー!

が。
どうも、その心配は全くの杞憂だったらしい。



今、もろに黒子の効果の射程範囲内にいるはずなんだが。
これがまた、見事なまでに全く効かない。


これもほむスピリットの賜物だな。

[夢人の写し身]で精神干渉系能力を完全に無効化。
[死人の瞳]で魔眼系能力を完璧に遮断。

ランサーの[愛の黒子]は、正確に言うと魔眼ではないのだが。
それすら[死人の瞳]は封じてしまうらしい。

これらのスキルを持っててよかった~と実感できた、初めての瞬間である。

…後者はコミュ障スキルだけどね!

けど。
たとえこれらのスキルがなかったとしても。
このほむほむボディには効かない気がする。
何となくだけど。





さてさて。
これからどうするよ。
ヤケクソで出てきたはいいが、具体的な展望は何もない。


さしあたってはもう1回戦場を確認するか~と視線を巡らせたら…



ウェイバー君とアイリさんがヘロヘロになって。
3騎のサーヴァントから殺気を向けられました。




…ワケが解らないよ(泣)

俺、何も悪いことしてないぞ(まだ)。
ただ周りを見ただけじゃないか。

なのに、この仕打ち。
気分はもう半ベソである。


…不動のほむフェイスは健在だけどね!
外から見れば、相変わらずの無表情にしか見えないだろう。
それがますます周囲からの警戒心と殺気に拍車をかけてるんだろうな…



ともかく。
ピンチピンチ超ピンチ。
場の皆さんからの総スカンなど喰らったらアウトである。

とにかく、セイバー陣営・ランサー陣営・ライダー陣営の皆さんのお怒りを静めなくては…




……
………え?
誰か忘れてるって?
あと1人残ってるだろって?


はははは。
いやだなぁ。



……

「―いつまで其処に居座る気だ?雑種」


……
………
―もう少しぐらい。
現実逃避させたままでいさせてくださいよ…(大泣)



「分を弁えることすらできぬのか?狗めが…」




ギ ル ガ メ ッ シ ュ !


人類最古の英雄王。
Fate ZERO及び本編を通じての最強キャラ。
自尊と傲慢の塊。
ただ、決して邪悪ではなく。
断じて愚物などではない。
己自身への揺らがぬ誇りと自負を持ち合わせており。
他の英霊とは一線を画す王の中の王。


通称、我様。
この場で…というより、この聖杯戦争を通して最も怒らせてはならないお方である。
敵対した時点で特大死亡フラグ設立。
勘気にでも触れようものなら、殺されるだろう。間違いなく。

言うなれば、超ド級地雷。

んな方に近付きたくなんてなかった。

だから今まで意識から外してたんだが…
そんな誤魔化しが何時までも通る訳も無い。

何より、雁夜おじさんからの暴令があるからな。

〔殺すんだバーサーカー!あのアーチャーを殺し潰せッ!!〕

…いやいや。
戦場に出る前も言ったけどさ、おじさん。
(と言っても、多分通じてなかったんだろうけど)



……
うん、それ無理♪
俺に死ねってか。

いやいやいや。
無理無理、マジで無理。

サーヴァント怖すぎってのはさっき言ったが。

我様は特にやべぇ。
殺気がブスブス刺さって来るんだよ。
全身を串刺しにするかの如く。

ははは。
ほむクォリティが無ければ、即死だった…



とりあえず、ご機嫌伺いでも…と思ったけど。

正面から相対するなんて出来ません。



だって。
怖すぎるから。


まじめな話、失神しかねない。
チキンハートな俺に、英雄王と正面から向かい合う度胸なぞ在りはしないのだ。


……
だから。
横目で伺うだけで精一杯だったんだ♪




「-我に拝謁する栄すら解らぬか?雑種…」


―えへ。
怒らせちゃったよ。
てへぺろ☆


「貴様は、我を興じさせる資格すら無い」

我様の背後に展開してた剣と槍が向きを変えて。



あれあれ?
なんかこっちに向けられてません?

あ、俺を標的にしてるのかな?


いやだなあ、我様ってば。
貴方を興じさせる資格すらないこんなワタクシめなどに、至宝である宝具を向けるなんて。
そんなお手間なんて掛けなくていいですから。
俺のことなんて、捨て置いてくださいよ~。


「とっとと去ね、雑種」

あびゃ。
完全にお怒りだ。

まあ、それも当然か。

唯でさえ同じ場に居る人に対して顔を向けないのは礼を逸した行為だし。
おまけに横目で見るだけなんて、かなりの侮辱行為である。

さらに言えば。
向けた目が、何の感情も篭っていない〔ほむ眼〕だったから。
相手からすれば、ただ無機質な瞳を向けられただけ。

…そりゃあ不愉快にもなる。


ひゃはははは。

にしても。
ほむスピリット、相当なモンである。
あの我様の殺気ですら、全く問題にしてねぇ。
今、まさにその猛烈な殺意を浴びせられながらも。
常と変わらず、平然としてる。
おかげで本来なら泡吹いて気絶してるだろう俺も、意識を保っていられる。

すごいや、ほむスピリット!


……

って。
逃避してる場合じゃねぇぇぇぇ!


何とか、何とかしないと!



ま、まあ落ち着こう。
もう僅かの猶予も無いと思うが、とりあえず落ち着こう。

我様お怒り。
そんで宝具発射体勢。
標的は俺。


さあ。
ここから取り得る手は―?


① 謝る→無理。今さら謝罪したとこで許してもらえないどころか、さらなる不興を買う
     予感しかしない。
     つーより、俺inほむほむ喋れないし。

② 開き直る→さらなるオーバーキルの予感。現状態でもほむほむの無愛想さも相まって
不機嫌にさせてるのに、これ以上余計な仕草見せようものなら確殺される。

③ 宝具に頼る→これしかねえ!…と言いたいとこだけど、1つ問題が・



……
召喚されてから、はや幾日か経った今でも。
未だに、宝具情報が全く開示されないのである。


ふへ?
何の冗談かって?


あはははは。
冗談じゃないんだな、コレが。


何とかならないのかと色々足掻いたが、どうもできず。
宝具使用不能のまま今日に至る。



―何さ、この仕様は。
いい加減、泣いちゃうぞ!

…実は既に泣いてるけどな。
1人の時にこっそりと。

ゲームじゃないんだからさあ。
能力値低い上に宝具も使用不可とか…ふざけてるとしか思えない(泣)


ほむほむ―暁美ほむらの代名詞とも言える能力…〔時間操作〕を使えるなら何とかなると思ったのに…

能力が失われてるのか?
それとも、能力の開示や使用には何らかの条件があるのか?



いやいや、そんな疑問は後回しだ。
この局面!ここを生き延びないと…!

あと、あと残された手段は…









→④現実は非情である。



……

で す よ ね ~



と。ここでタイムリミット。


我様の背後から、唸りを上げて解き放たれた剣と槍。


―俺は、ただ見ているだけしか出来なくて。








静かに、それを受け入れ……たりなんかできるかぁ!

こんな訳の解らない所で。
例えこれが夢だとしても。

死ぬのなんて、いやぁぁぁぁ!



神様、仏様。
どうかお助け…って、そりゃダメだ。

さっきからの仕打ちで思い知ったが。
この世界には神も仏もいないのである。

なら。助けを求めるべきは、一人しかいない。




……
―助けて、ほむほむ様!



自分の肉体にお願いするなんて。
外から見たら余程のナルシストか、狂人かとしか思われないだろうな。

だけど。俺に採れる手段はこれぐらいしかなかったのだ。



果たして、俺のその行動は正しかったのか。
意味のない縋りに過ぎなかったのか。
または只の偶然か。


次の瞬間、ソレは起こった。



音速で飛来した宝剣を蹴り飛ばし、後続の槍にぶつけて。
反動を利用し、後ろへ下がり。
爆発に合わせて10メートル以上の高さを飛び退り、コンテナの上に着地。





―明らかに人外めいた超絶動作。



信じられるかい?
これを俺がやっただなんて。

いや、正確には俺じゃなくて。
何というか、こう。
意識を持ったまま、体だけが自然に動いたというか。


にしても本当に、随分自然な動きだった。
今のような動作が、この肉体にとっては、ごく当たり前であるかのようで。


体と心が別々になったかのような感覚。

未だに驚きは収まらなくて。
目を丸くして。
―まあ、ほむフェイスはそれすらも許してくれず。
表情は固まったままだったから、外見上は相変わらずの仏頂面だったろうけど。



……
いやー、ははは。
人間、理解を超えた出来事に対面すると何も考えられなくなるってのは、ほんとだったんだね~

空白の思考で最初に思いついたのは。



―ほむほむ、サッカーなんてやってたっけ?

などというズレた疑問だった。

いや~、だってさ。
余りにも見事なキックだったから。
ワールドカップ選手顔負けレベルの。



さて。
しょうもない問いは置いて。
今の状況を纏めると。


体が勝手に動いて。
我様が飛ばした剣を蹴り飛ばして、槍にぶつけて、大ジャンプ。
超アクション動作しちゃったぜ!

―以上!


…うん、訳ワカラン。

当事者である俺自身も全く状況を理解してないからな。

というか、ツッコミ所。

宝具を蹴り飛ばすなんて、できるもんなの?
いや、俺inほむほむはサーヴァント扱いだから一応は可能なのか。
どうであれ、簡単なことでは無いことに違いないが。

宝具に宝具をぶつけて爆発なんて起きるの?
映像版ZEROでランスロットさんが同じようなことしてたけど、あくまで弾いてただけだったような…
なんかの仕掛けか、カラクリがあるのだろうか。


とまあ、解らないことだらけだが。
1つ、確かなことがある。



「―こりゃあたまげた。この娘っ子、相当にやりおる」

聞こえてきたライダーの呟きが、その答え。



―ほむほむ、すげえ。

武術とか体術とかにはズブの素人である俺から見ても今の動きはハンパなかった。

英霊としても超一級である征服王様までが感心するほどとなれば。
サーヴァントという枠の中ですら、十分以上な動きであることは疑い無いだろう。


ただ、ちょっと疑問も出てくるが。


―このほむほむ、強すぎね?

ほむほむこと暁美ほむらが凄腕の魔法少女であることは承知している。
魔法少女としての純粋な戦闘力や身体力は極めて劣悪ながら。
それを経験と創意工夫(という名の銃器類強奪)で補い、戦い続けた。

その実力は戦闘者として屈指のものであったろうし。
さらに、現在はサーヴァントと成る事でより相当な強化が成されているんだろう。

でも、それにしても些か強すぎね?
英霊の宝具をあそこまで見事に蹴り飛ばし。
同じく音を超える速さで飛んで来る後続の宝具にジャストミートさせるって…
万に一つの針の穴を通す以上の難業だろう。



なんと言うか、こう………バグほむ?

と色々考えていたら。



=ステータス情報が更新されました=

保有スキル情報が一部開示されます。


        心眼(真) :A++
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、活路を見出す“戦闘論理”。
この域まで来ると修行や鍛錬などではなく、もはや自己拷問でしかない。


=所持スキルの確認を終了します=





……
………
バ グ 決 定 ! !


いや、何ですかコレ?
どーすればこんなの付くの?
バグほむ、一体何したの?


混乱する頭を、一回静める。
とりあえず、詳しく考えるのは後回しだ。
(問題の先送りでしかないような気もするが!)


とにかく、このほむほむ(バグほむ)が相当の実力者であることは判明した。
これなら、助かるかも!


も う 、な に も 怖 く な い !






「我が宝物を足蹴にした上に…―ただ1人、天に座るべきこの我を、見下ろすだと…?」




ってうん、そう簡単に上手く行く筈もないよね。


Oh…
我様怒ってる。

視線で人を殺すって、こういうのを言うのかな。

ははは。
ほむほむフェイスがなければとっくに漏らしてるところだぞ。


「-そこまで死に急ぐか、狗っ!!」


うわ~。
出るわ出るわ宝具の山。
全部で16挺。
こりゃ壮観だね。
我様すご~い。


だから。

それを全部こっちに向けるなんてこと、しないでくださいませんかね(泣)。



「その小癪な手癖の悪さでもって、どこまで逃れられるか―せいぜい踊ってみせよ!」


いやいや、俺踊りなんてできませんから。
貴方様にはその格に相応しいお相手がいるでしょう。
今宵はその方をお相手に…


などと、俺inほむほむの喋れもしない口では要望を伝えることもできず。
(喋れたとしても状況は悪化してた可能性が強いが)
遂に、宝具の嵐が発射されて。

以下、ダイジェスト。


……
1発目にキ~ック。

お、今回も上手くいったか。

あ―反動殺し切れない。戻れん、コンテナから落ちる。

って休む暇もなく追撃ですかぁ!?

ちょっ!そんな一気に…

―いてっ!いてぇっ!

無理!

こんなの避けれっこないって!

バグほむの力のお陰か、何とか踏ん張ってるけど。
能力が低いせいもあるのか、躱せない。
致命傷を避けるので精一杯で…

あたっ!

血が、また血がぁ!

おびゅ!?

く、首が!

首の直ぐ近くをあばばばばば―



……

はい、お楽しみいただけましたでしょうか。


―俺は全く楽しくないけどね(涙)!
一体、何度彼岸を渡りかけたことか!


けど、もう少し。
もう少しでこれを乗り越えられる…!

今、宝具の15挺目を避けて。
次に飛来する16挺目が迫ってる。

最後の1挺。

―大丈夫。
バグほむなら、これぐらいは凌げる。
今まで同様、傷は負うだろうが。
命に比べれば安い安い。


よし、ここで体を捻って―!





……
………
ってアレ?
体が動かん。

感じたのは違和感。
動かすべき肉体が動かせず。
脚肌で感じるのは、冷たい感触。


視線を落とせば―
脚部に、とぐろを巻くようにして絡みつく鎖。


「-本来、貴様などに―」


我様が、何か言ってるみたいだけど、聞こえない。
あたまのなかが、まっしろになって。


「この鎖を下賜されるという、身に過ぎた栄誉を―」


いや、ちょっとまって。

おれ、よけれてたはずだよね。
それなのにあしをしばられちゃったら、よけれないじゃない。
ということは、つまり―


「-早々に逝ね、狗が」


ああ、しぬのか。



ズブリ。

むねにけんがささって。

じわじわと、つらぬかれて。


……
ここで、おわり、か。

なみだをながすひますらなく、いしきがしずんでいって。


そのさいごに、だれかのこえが、きこえたようなきがした。



ほむほむでGO!   完 ・ ・ ・ ・?


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