今回はオリキャラが登場します。『空亡の孫娘』の時みたいに趣味が暴走したりしないので、ご安心下さい。紹介は後書きの方でします。あと、オリキャラの紹介を修正しときました。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー魔法少女リリカルフィア 第8話 春亮が目を覚ましてから、一同は一旦夜知家に戻った。そして現在、彼らはフィアの部屋の机の上に置かれたレイジングハートを眺めている。良く見ると、その待機状態である赤い宝石にはヒビが入っていた。 「なあユーノ、レイジングハートは大丈夫なのか?」 フィアが心配そうに言った。レイジングハートは禍具ではないが意思を持っているため、フィアはただの道具ではなく仲間として見ているのだ。 「ええ、かなり破損は大きいですけど、多分大丈夫です。今、自動修復機能をフル稼働させてますから、明日には回復すると思います。」 「そうか…」 ユーノの説明を受けて、フィアは一安心する。 「自動修復機能までついてんのか…ますます人化した呪われた道具に似ているな。」 春亮が呟いた。人化した禍具は、道具の姿でどこかが破損しても、人の傷が時が経ったら癒えるように、その部分がしばらくしたら再生するのだ。 「本当ですね。ますます親近感が湧いちゃいます。」 このはが言う。彼女は戦闘の際、本来の姿に戻って春亮の武器として戦う事もあるので、ここの呪われた道具の中でもレイジングハートへの親近感は大きい。最近は二人(?)で互いの持ち主について語り合う事もあるのだ。 一方、フェイトとアルフは隣街の拠点にしているマンションで、フェイトの傷の手当てをしていた。 「確かに、治りが早くなってるみたいだね。」 アルフが、黒絵の髪が巻かれていたフェイトの手を見ながら言った。黒絵は呪われた人形によくある呪い“人間の精気を吸う”の応用で、逆に精気を付与して傷の自然治癒力を高める事が出来るのだ。 「よかった。明日は母さんへの報告の日だから、母さんを心配させなくて済むよ。」 「・・・あの人が心配なんてするかねえ。」 「母さんは、少し不器用なだけだよ。私には、ちゃんとわかってる。」 「・・・報告ならあたしだけでいいのに。」 「仕方ないよ。母さんはアルフの言う事を信じてくれないからね。アルフはこんなに優しくて、いい子なのにね。」 フェイトがアルフを撫でながらそう言うと、アルフは照れて顔を赤くしながら言った。 「まあ、明日は大丈夫だよ。ロストロギアを…ジュエルシードをこの短期間で三つも手に入れたんだし、褒められはしても怒られる事は無いよ。」 翌日の放課後、春亮達はいつも通り理事長室に集まって、昨日の事を報告していた。 「じゃあ、今日は魔法の練習は無しなんだ。」 レイジングハートが修理中と聞き、サヴェレンティが残念そうに言った。 「でも今日中には直りますから、明日から再開出来ます。」 ユーノがこう言うと、サヴェレンティは表情を明るくした。 その日の朝、フェイトとアルフは拠点にしているマンションの屋上に居た。 「でも、それ本当に持って行くの?」 アルフがフェイトの手に持っている物を見ながら言った。彼女はケーキ屋の箱を持っている。もちろん中身はケーキだ。 「うん、母さんへのお土産。」 「こんなの、あの人が喜ぶのかねえ。」 「分からないけど、こういうのは気持ちだから。」 「ふ~ん…」 そして、二人は転移魔法で目的地“時の庭園”へと向かった。 同時刻、次元空間を通り一隻の戦艦が地球に向かっていた。そのブリッジにある艦長席で、緑色の髪をポニーテールにした女性がクルーに状況を聞く。 「前回の小規模次元震以来、特に目立った動きは無いようですが、二組の捜索者が再度衝突する危険性は非常に高いですね」 「そう、小規模とはいえ、次元震の発生は厄介だものね。」 そう言うと、彼女は視線をブリッジで立っている“二人”に向ける。 「危なくなったら、急いで現場に向かってもらわないと。ね、クロノ、“沙津姫”。」 「大丈夫、分かってますよ艦長。」 「そのために、私達が居るのですから。」 時の庭園、高次元空間にあるこの城の玉座の間からずっとある音が響いていた。 ピシッピシッ ムチを何かに打ちつける音だ。実際、玉座の間では一人の女がムチを振るっていた。 光る鎖によって吊るされた一人の少女…フェイトに向かって。 「たったの……三つ?」 女が失望したように言った。 「これは…余りにも酷いわ。」 女の言葉を聞き、フェイトは顔を俯かせる。 「ごめんなさい…母さん…」 「いい? フェイト。あなたは私の娘。大魔導師プレシア・テスタロッサの一人娘。」 フェイトに母と呼ばれた女…プレシアはフェイトの顎に手を掛け、上を向かせる。 「不可能なことなどあってはならぬ。どんなことでも。そう。どんなことでも、成し遂げなければいけないのよ。」 「はい…」 フェイトは掠れた声で返事した。 「こんなに待たせておいて、上がってきた成果がこれだけでは、母さんはあなたを笑顔で迎える訳にはいかない。分かるわね? フェイト。」 「はい…分かります。」 「だから。だから…覚えて欲しいの。」 プレシアがフェイトの耳元で囁いた。 「二度と母さんを失望させないで。」 そう言うとプレシアは、手に持つ杖をムチに変え、それをフェイトに打ちつけた。 「なんだよ…いったい何なんだよ、これはっ!?」 玉座の間の外の廊下で、アルフは耳をふさぎながらうずくまっていた。 「あの女の……フェイトの母親の異常さとか、フェイトに対する酷い仕打ちは、今に始まったことじゃない……。けど、今回はあんまりだっ!いったい何なんだ!?あのロストロギアは、ジュエルシードは、そんなに大切なもんなのか!?」 ある程度フェイトをムチで打ってから、プレシアはムチを下げ、再びフェイトに話しかけた。 「ロストロギアは、母さんの夢を叶えるために、どうしても必要なの。」 「はい…母さん。」 「特にアレは、ジュエルシードの純度は、他の物より遥かに優れている。あなたは優しい子だから、躊躇ってしまうこともあるかもしれないけど、邪魔するものがあるなら、潰しなさい。どんなことをしてでも!あなたにはその力があるんだから。」 そう言うと、プレシアはムチを杖に戻し、鎖を消した。それによりフェイトは重力に従って落下し、床に倒れ伏す。 「行って来てくれるわね?私の娘、可愛いフェイト。」 プレシアにそう言われ、フェイトは床に手をつき、無理やり顔を上げる。 「はい…出来ます、母さん。」 「・・・しばらく眠るわ。次は必ず、母さんを喜ばせてちょうだい。」 「はい…」 玉座の間から出たフェイトたは、しばらく廊下を歩いていた。しかし、傷のせいか、倒れそうになる。 「フェイト!」 だが、ちょうどそこにいらアルフが彼女を支えた。 「フェイト、ごめんよ。身体は大丈夫?」 「なんで?なんでアルフが謝るの?私は平気だよ、全然、平気…」 「だってさ…こんな事になるとは思わなかったんだよ…ちゃんと言われた物を手に入れて来たのにさ…分かってたら、絶対止めたのに…」 アルフがそう悲しそうに言うが… 「酷い事なんかじゃないよ。母さんは、私の為を想って…」フェイトは自分の母を疑おうとしなかった。 「思ってるもんか、そんな事!あんなのただの八つ当たりだ!」 アルフがそう切り捨てるが、それでもフェイトの考えは変わらない。 「違うよ。だって、親子だもん…ジュエルシードは、きっと母さんにとって、凄く大事な物なんだ。ずっと不幸で、悲しんで来た母さんだから、私、何とかして喜ばせてあげたいの…」 「だって…でもさあ…!」 「アルフ、お願い。大丈夫だよきっと。ジュエルシードを手に入れて帰って来たら、きっと母さんも笑ってくれる。昔みたいに優しい母さんに戻ってくれて、アルフにもきっと、優しくしてくれるよ。ね?」 そう言ってフェイトは自分の足で立ち、マントを羽織った。 「だから行こう。今度は失敗しないように。」 そんな彼女を、アルフは悲しそうに見つめていた。 学校から帰った春亮達は、早速フィアの部屋に置いてあるレイジングハートを見に行った。すでにヒビは消えて、新品のような輝きを取り戻している。 「レイジングハート、直ったのだな。」 フィアがレイジングハートに話しかける。 〈ええ、修復完了しました。〉 「また、私とともに戦ってくれるか?」 〈All right my master〉 その頃、とある公園でジュエルシードが発動し、そこに生えている木の一つに寄生した。フィアとフェイトはそれを感知し、すぐに向かう。 「封時結界、展開!」 フィア達が駆け付けると、まずユーノが結界を展開した。それとほぼ同時に、ジュエルシードに取り憑かれた木が完全に変化し、木の怪物になる。 フィアはすぐさまそれにレイジングハートを向けた。 すると、フィア達がいるのとは別の方向から無数の黄色い魔力弾が暴走体に向かって飛来する。しかし、暴走体はバリアを展開してそれを防いだ。 「おお、生意気にバリアまで張るのかい。」 魔力弾が飛来した方向で、フェイトと一緒にいたアルフが言った。 「今までのより強いね。それに、あの人達もいる…」 そう言ってフェイトは視線を暴走体からフィア達に移した。その時、暴走体が地中から根を伸ばして、春亮達を攻撃してきた。 「お前達、早く逃げろ!」 〈フライヤーフィン〉 そう言ってフィアが飛び上がると、春亮達は暴走体の攻撃範囲から離れた。 「アークセイバー。行くよ、バルディッシュ!」 〈アークセイバー〉 フェイトは、暴走体に向かって回転する魔力刃を飛ばすが、根を切り裂く事は出来ても、バリアに阻まれ本体にダメージを与える事は出来なかった。 〈カノンモード〉 「行くぞ、レイジングハート!」 一方、フィアは上空で、レイジングハートをカノンモードにして構える。 「撃ち抜け!ディバイン…」 〈バスター!〉 そして、暴走体に向かって砲撃を放つ。暴走体はそれをバリアで防ぐが、ディバインバスターのパワーに押され、苦しみ出す。 「貫け、豪雷!」 〈サンダースマッシャー〉 フェイトも別方向から砲撃を放つ。そして、流石に二つ同時の砲撃には耐えられず、暴走体からジュエルシードが分離した。それを見たフィアとフェイトは、すぐさま封印魔法を発動させる。 「ジュエルシード、シリアル7。」 「封印!」 そして封印は成功し、ジュエルシードは光を弱くして空中にたたずむ。 「ジュエルシードに、衝撃を与えてはいけないみたいだ。」 すると、フェイトがフィアに話し掛けてきた。 「ああ、昨日のような事になったら大変だからな。」 「でも、譲れないから。」 「その、譲れない理由を私とハルアキは聞きたいのだがな。私が勝ったら教えてくれるか。お前が戦う理由を。」 そう言ってフィアはルービックキューブを取り出し、巨大な鉈に変える。そして、二人は互いの得物を振りかぶり、ぶつかり合おうとした時… 「ストップだ!」 突然、黒い服を着た一組の少年と少女が出現し、フェイトのバルディッシュを少年が杖で、フィアの拷問具を少女がヴァイオレットに輝く刃の双剣で受け止めた。 「ここでの戦闘は危険すぎる。時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。」 「同じく、時空管理局執務官、黒雪沙津姫だ。双方武器を収めろ。」続くーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー はい、今回はここまでです。 では、まずオリキャラの紹介から。 〈名前〉黒雪沙津姫 〈性別〉女 〈年齢〉16歳 〈容姿〉黒髪のロングヘアに触覚のような二本のアホ毛の美少女 〈魔力光〉ヴァイオレット 〈使用デバイス〉ロータス 時空管理局執務官で、クロノの先輩。魔力ランクはクロノと同程度だが、技量が高い。 また、使用するインテリジェントデバイスの“ロータス”は、杖型のデバイスモードと双剣型のバトルモードがあり、彼女はそれを使った剣術の他、足に魔力刃を発生さる事によるトリッキーな戦闘も得意とする。 バリアジャケットのデザインは、SAOの某黒の剣士。 はい、お分かりでしょうが、モチーフは某加速世界の黒の王です。また、バリアジャケットのデザインを同じ方が書いている作品の黒の剣士にしたのは、ローカルネットのアバターは戦うイメージが無いし、デュエルアバターをモチーフにした鎧だと、ベルカっぽくなってしまうので、黒繋がりで黒の剣士にしました。想像してみたらかっこよかったですし。 あと名前についてですが、これは私が黒の王の本名を妄想したものです。「あだ名とあまり変わらない。」「通称さっちゃん。」などの情報からこうなりました。 最初はオリキャラなんて出す気は無かったんですが、ストーリーを頭の中で組み立てている時、ある問題が発生する事が分かり、それを解消するために彼女を生み出しました。 なので、あまり活躍はしないので、フィア達より目立ったりしません。なので、魔力量はクロノと同程度と考えたんですが、無印でのクロノの魔力ってどれくらいでしったっけ?