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No.32526の一覧
[0] 【ネタ】ケータイ小説を純文風に書くと[まんねん](2012/03/29 21:11)
[1] ケータイ小説を夏目漱石風味に書くと [まんねん](2012/04/03 23:39)
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[32526] 【ネタ】ケータイ小説を純文風に書くと
Name: まんねん◆d0054ca9 ID:a764f917 次を表示する
Date: 2012/03/29 21:11
実験的SSです。






 彼女の恋人は大変な不人情者で、何時も女と見るや見境無しに食い物にし、彼女の恋人としての面目を潰す事を日課としている。
しかし彼女はとても健気で、二人でデートをしようとさて此れから何処へ遊びに行くかと云う段に成って、「悪りい、綾香に遊びに誘われたわ。デートは又今度な。お前へ、今日は一人で遊びに行け。」等と別な女の所へ行くと彼に言われても、黙って笑顔で頷いて笑顔で見送るのが常である。

 二人は高校二年生である。
何時から好き合って、付き合い始めたのかはクラスの者も知らぬ。
周りの者が気が付いた時には二人は恋人であったのだ。
二人は同じクラスであるが、まるで好き合っているとは見えない。
と云うのも彼が女と見れば手当たり次第に食うからである。

 彼は背も高く、運動や学問にも達者であり、見立ては良い。
昨今のハイカラな言葉で云うと「イケメン」の部類に入るのは間違いない。
然し性格、いや、性根が腐っていた。
 彼は持ち前の美男子ぶりを自覚しており一寸気に入った女生徒と付き合っては別れを繰り返すのだが、大抵肉体関係と遊び人振りに厭きれる事によって別かれるのである。
其の学校内での噂と云うより逸話によると、彼はある女生徒に思いの丈を告白され、付き合おうと恋人同士になった其の日に肉体関係を求めた。其の女生徒は好き合っているのだからと受け入れたが、一週間の後突然彼が「お前へには呆きた」と言って別れた。女生徒は捨てないで欲しいと懇願したが、彼は一言「今は別な女が居る」と言って拒絶したという話がある。

 そんな話が生徒の間では幾つも交わされる有様であるので、彼女との交際も長くは続かないだろう新たな被害者に同情する、などて噂されたが、驚いたことに彼女は未だに彼の恋人の座を維持する期間の最高記録をたたき出しているのである。
彼女は背丈は低く、運動はてんで駄目で、唯一頼れるのは学問のみである。
肌の色は白く、見立ては良い方だが、いかんせん地味な部類である。
髪は、うるしの如き黒さであり艶もあるが、前髪は目を隠した上おかっぱという体である。

其れだけならば一見、清楚な少女であるが悲しい事に会話が苦手である。
友人は2、3人居るが、会話も中々成立せず「……あ」だとか「ん……」を繰り返している。
授業中に教科書の音読などする日には彼女の心の中では第三次世界大戦が始まっている。

なので彼との会話も頷いたり首を横に振ったりだけである。

然し彼は彼女の事を「恋人」だと言い張っている。
相も変わらず女遊びに精を出しているが、「恋人」は彼女一人だと言い張る。

そんななので周りからはこれはまた面妖なと云う目で見られている。














 

いつもの如く登校をし、授業を受け、さて放課後になった。
帰り支度の最中、彼女は携帯電話のバイブレーターによる振動を感じ、ああ、ヒロキからかなと思いつつ携帯電話をみると、案の上ヒロキからのメールである。

――
 図書館で待ってる
         ――

この文句を受け、彼女は急いだ。
「ヒロキくんを待たせてはいけない!急がなきゃ」

下校すべく、あるいは部活動の為どたばたと行き交う生徒達。彼女はその雑踏の中をかき分けて図書館へ向かう。

彼女の居るのは二階である。図書館は三階の東にある。
校舎中央の階段を上ったその時!

ぼかんという音と共に体へ響く衝撃。
彼女のメガネが吹っ飛ぶ、肩にかけていたカバンは落ちる、スリッパは転がる。
はてなここに壁があったかしらんと思う間もなく、二、三段落ちた後、彼女はしりもちをついた。

「ああ、ごめんさい!」

の声と共にぼやけた視界に映るは男子生徒の姿。

彼女の目の前の男は手を差し伸べた。

「キミ、大丈夫?」

彼女は恐ろしくなった。男だ!男がいる!ヒロキではない別な男に話しかけられている!

体の芯から暑さと寒気が同時に襲われた彼女は困惑する。動揺する。

男もまた困惑した。ぶつかってしまった目の前の女子生徒は黙りこくったまま動かない。何処かいためたのかと思ったがどうも違うらしい。
差し伸べた手はいまだに空気を握っている。

「……」
「あ、あのキミ?」

暫くの後、男子生徒は手を引っ込め、彼女の落としたカバンやらスリッパやらを拾って黙って彼女に渡した。

彼女も黙ってそれを受け取り、小さくお辞儀した。

そうしてその場を立ち去ろうとしたとき、

「あ、待って!キミ」

と云う男の声に、振り向いた彼女に男がメガネをかけてあげた。

「えっ……」

突然に鮮明になった視界に、男の手が少し触れるこめかみ。彼女はびっくりして思わず小さな声を上げる。

男は茶髪の好青年であった。背丈はヒロキと同等かそれ以下であると見当をつけた。

「それじゃあ、ごめんな!」

もう一度「じゃあ」といって彼は去った。

彼女は朴念として、その場で立ちすくんだ。






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