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No.32356の一覧
[0] 【完結】テンプレ通りに進めたい(転生・原作知識有り)[嘴広鴻](2012/08/04 20:37)
[1] 第一章 魔法先生ネギま?編 プロローグ[嘴広鴻](2012/03/29 18:55)
[2] 設定[嘴広鴻](2012/03/22 21:04)
[3] 第1話 悪魔襲撃の日[嘴広鴻](2012/03/22 21:10)
[4] 第2話 メルディアナ魔法学校での日々[嘴広鴻](2012/03/22 21:05)
[5] 第3話 卒業 これからのこと[嘴広鴻](2012/03/25 11:14)
[6] 第4話 麻帆良学園[嘴広鴻](2012/03/22 21:26)
[7] 第5話 闇の福音がこんなに○○○○わけがない[嘴広鴻](2012/03/22 21:26)
[8] 第6話 家族[嘴広鴻](2012/03/22 21:27)
[9] 第7話 麻帆良での生活①[嘴広鴻](2012/03/25 11:41)
[10] 第8話 麻帆良での生活②[嘴広鴻](2012/03/25 11:41)
[11] 第9話 2-A生徒[嘴広鴻](2012/03/25 11:53)
[12] 第10話 黒執事[嘴広鴻](2012/03/25 11:42)
[13] 第11話 弟子入り[嘴広鴻](2012/03/25 11:46)
[14] 第12話 アスナ[嘴広鴻](2012/03/25 11:46)
[15] 第13話 学園長[嘴広鴻](2012/03/29 18:44)
[16] 第14話 木乃香と刹那[嘴広鴻](2012/03/29 18:45)
[17] 第15話 クリスマス[嘴広鴻](2012/03/29 18:46)
[18] 第16話 おおみそか[嘴広鴻](2012/03/29 18:46)
[19] 第17話 元日[嘴広鴻](2012/03/29 18:47)
[20] 第18話 石化治療[嘴広鴻](2012/03/29 18:47)
[21] 第19話 魔法世界[嘴広鴻](2012/03/29 18:48)
[22] 最終話 ハッピーエンド[嘴広鴻](2012/03/29 18:50)
[23] その後の話・小ネタ[嘴広鴻](2012/03/29 18:49)
[24] 第二章 魔法先生ネギま!編 プロローグ[嘴広鴻](2012/03/29 19:02)
[25] 第1話 メルディアナ魔法学校での日々[嘴広鴻](2012/04/01 15:46)
[26] 第2話 卒業[嘴広鴻](2012/04/01 15:47)
[27] 第3話 麻帆良学園到着[嘴広鴻](2012/04/01 20:28)
[28] 第4話 初日① 10年前に通過済[嘴広鴻](2012/04/01 15:52)
[29] 第5話 初日② なげやり[嘴広鴻](2012/04/01 15:53)
[30] 第6話 初日③ 自業自得[嘴広鴻](2012/04/01 15:57)
[31] 第7話 母を訪ねて2550里[嘴広鴻](2012/04/01 16:00)
[32] 第8話 その名は迷探偵ネギ[嘴広鴻](2012/04/01 16:01)
[33] 第9話 あなたと合体したい[嘴広鴻](2012/04/01 16:14)
[34] 第10話 高畑・T・タカミチの憂鬱[嘴広鴻](2012/04/05 19:20)
[35] 第11話 模擬戦① 赤い彗星[嘴広鴻](2012/04/05 19:21)
[36] 第12話 模擬戦② 一角獣[嘴広鴻](2012/04/05 19:24)
[37] 第13話 模擬戦③ 四枚羽根[嘴広鴻](2012/04/05 19:25)
[38] 第14話 途中加入[嘴広鴻](2012/04/05 19:28)
[39] 第15話 部活巡り[嘴広鴻](2012/04/06 18:46)
[40] 第16話 恋する乙女[嘴広鴻](2012/04/05 19:31)
[41] 第17話 バレンタイン① 乙女達の想い[嘴広鴻](2012/04/05 19:36)
[42] 第18話 バレンタイン② そうだ 京都、行こう。[嘴広鴻](2012/04/05 19:36)
[43] 第19話 バレンタイン③ 浮気?調査[嘴広鴻](2012/04/05 19:38)
[44] 第20話 バレンタイン④ 贈り物[嘴広鴻](2012/04/05 19:41)
[45] 第21話 バレンタイン⑤ 女子中学生は見た[嘴広鴻](2012/04/05 19:43)
[46] 第22話 魔法バレ① クビ[嘴広鴻](2012/04/05 19:45)
[47] 第23話 魔法バレ② 斜め下[嘴広鴻](2012/04/05 19:49)
[48] 第24話 好感度ランキング ネギ→乙女達[嘴広鴻](2012/04/08 15:04)
[49] 第25話 弟子入れられ(強制)[嘴広鴻](2012/04/08 15:05)
[50] 第26話 好感度ランキング 乙女達→ネギ[嘴広鴻](2012/04/08 15:06)
[51] 第27話 一段落[嘴広鴻](2012/04/08 15:06)
[52] 第28話 立入禁止[嘴広鴻](2012/04/08 15:07)
[53] 第29話 惚れ薬[嘴広鴻](2012/04/08 15:07)
[54] 第30話 QB3分コントラクティング[嘴広鴻](2012/04/09 18:45)
[55] 第31話 京都編① 新幹線[嘴広鴻](2012/04/08 15:08)
[56] 第32話 京都編② 賭け[嘴広鴻](2012/04/08 15:14)
[57] 第33話 京都編③ 直訴[嘴広鴻](2012/04/08 15:09)
[58] 第34話 京都編④ 正正堂堂![嘴広鴻](2012/04/08 15:09)
[59] 第35話 京都編⑤ はじめてのチュウ[嘴広鴻](2012/04/08 15:10)
[60] 第36話 京都編⑥ 地獄への扉[嘴広鴻](2012/04/12 19:09)
[61] 第37話 京都編⑦ 逆効果[嘴広鴻](2012/04/08 15:10)
[62] 第38話 京都編⑧ 襲撃開始[嘴広鴻](2012/04/08 15:11)
[63] 第39話 京都編⑨ 本山壊滅[嘴広鴻](2012/04/08 15:12)
[64] 第40話 京都編⑩ 追撃[嘴広鴻](2012/04/08 15:12)
[65] 第41話 京都編⑪ 猿狩り[嘴広鴻](2012/04/08 15:12)
[66] 第42話 京都編⑫ 虚空を駆ける[嘴広鴻](2012/04/08 15:12)
[67] 第43話 京都編⑬ 爆誕[嘴広鴻](2012/04/08 15:13)
[68] 第44話 京都編⑭ 戦闘終了[嘴広鴻](2012/04/08 15:13)
[69] 第45話 京都編⑮ 京都旅行終了[嘴広鴻](2012/04/09 18:48)
[70] 第46話 夢[嘴広鴻](2012/04/12 19:03)
[71] 第47話 将来設計[嘴広鴻](2012/04/12 19:04)
[72] 第48話 家庭訪問[嘴広鴻](2012/04/12 19:12)
[73] 第49話 デート[嘴広鴻](2012/04/12 19:05)
[74] 第50話 超鈴音の憂鬱[嘴広鴻](2012/04/12 19:06)
[75] 第51話 レイニーデビル① 侵入[嘴広鴻](2012/04/12 19:23)
[76] 第52話 レイニーデビル② 迎撃…いや、出撃[嘴広鴻](2012/04/12 19:06)
[77] 第53話 レイニーデビル③ カミナリグモ[嘴広鴻](2012/04/12 19:07)
[78] 第54話 レイニーデビル④ ひざまくら[嘴広鴻](2012/04/12 19:07)
[79] 第55話 学園祭準備[嘴広鴻](2012/04/12 19:34)
[80] 第56話 学園祭① カシオペア[嘴広鴻](2012/04/15 11:03)
[81] 第57話 学園祭② まほら武道会予選[嘴広鴻](2012/04/22 10:06)
[82] 第58話 学園祭③ まほら武道会本戦開始[嘴広鴻](2012/04/15 11:04)
[83] 第59話 学園祭④ 世界初は何気に日本らしい[嘴広鴻](2012/04/15 11:04)
[84] 第60話 学園祭⑤ 打撃技など花拳繍腿[嘴広鴻](2012/04/16 19:07)
[85] 第61話 学園祭⑥ ラストシューティング[嘴広鴻](2012/04/16 19:12)
[86] 第62話 学園祭⑦ ビームは英語でサーベルは蘭語[嘴広鴻](2012/04/16 19:06)
[87] 第63話 学園祭⑧ バトル・ミリオネア達成[嘴広鴻](2012/04/16 19:06)
[88] 第64話 学園祭⑨ ネギノ・トリガー[嘴広鴻](2012/04/19 19:00)
[89] 第65話 学園祭⑩ Dメール[嘴広鴻](2012/04/19 19:01)
[90] 第66話 学園祭⑪ 世界樹が綺麗ですね[嘴広鴻](2012/04/19 19:02)
[91] 第67話 学園祭⑫ 覚悟完了[嘴広鴻](2012/04/19 19:02)
[92] 第68話 学園祭⑬ 強制時間跳躍弾[嘴広鴻](2012/04/19 19:03)
[93] 第69話 学園祭⑭ 追撃のネギ[嘴広鴻](2012/04/19 19:03)
[94] 第70話 学園祭⑮ 超鈴音の消め…沈[嘴広鴻](2012/04/19 19:21)
[95] 第71話 振り替え休日出勤[嘴広鴻](2012/04/29 12:21)
[96] 第72話 ドキドキ★懺悔タイム[嘴広鴻](2012/04/22 10:17)
[97] 第73話 10年来の約束①[嘴広鴻](2012/04/22 10:36)
[98] 第74話 10年来の約束②[嘴広鴻](2012/04/22 10:44)
[99] 第75話 浮気調査[嘴広鴻](2012/04/22 10:18)
[100] 第76話 アーニャ襲来[嘴広鴻](2012/04/22 10:19)
[101] 第77話 ウェールズ帰郷[嘴広鴻](2012/04/22 10:19)
[102] 第78話 夏祭り[嘴広鴻](2012/04/22 11:02)
[103] 第79話 魔法世界出発[嘴広鴻](2012/04/29 12:26)
[104] 第80話 ゲートポート破壊事件[嘴広鴻](2012/04/29 12:51)
[105] 第81話 別行動[嘴広鴻](2012/05/03 18:35)
[106] 第82話 拳闘デビュー[嘴広鴻](2012/05/06 09:46)
[107] 第83話 “千の刃”登場[嘴広鴻](2012/05/10 20:45)
[108] 第84話 突撃! ラカンさんちの全財産[嘴広鴻](2012/05/13 10:55)
[109] 第85話 一方その頃[嘴広鴻](2012/06/17 09:59)
[110] 第86話 箒レース[嘴広鴻](2012/05/20 10:17)
[111] 第87話 朝チュン[嘴広鴻](2012/05/24 21:46)
[112] 第88話 オスティア終戦記念祭[嘴広鴻](2012/05/27 18:09)
[113] 第89話 じゃじゃ馬皇女[嘴広鴻](2012/05/31 21:03)
[114] 第90話 VSラカン① 切り札その一[嘴広鴻](2012/06/03 21:58)
[115] 第91話 VSラカン② 切り札その二[嘴広鴻](2012/06/07 20:25)
[116] 第92話 オスティア総督[嘴広鴻](2012/06/28 21:42)
[117] 第93話 話し合い[嘴広鴻](2012/06/17 10:47)
[118] 第94話 決裂[嘴広鴻](2012/06/21 19:44)
[119] 第95話 メメント・モリ[嘴広鴻](2012/06/24 09:18)
[120] 第96話 イレギュラー[嘴広鴻](2012/06/28 20:44)
[121] 第97話 墓守り人の宮殿[嘴広鴻](2012/07/02 08:03)
[122] 第98話 リライト[嘴広鴻](2012/07/05 20:13)
[123] 第99話 フェイト[嘴広鴻](2012/07/08 10:38)
[124] 第100話 造物主[嘴広鴻](2012/07/12 23:56)
[126] 最終話 ただいま[嘴広鴻](2012/07/15 14:07)
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[32356] 第82話 拳闘デビュー
Name: 嘴広鴻◆3550cb77 ID:9ca4420d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/05/06 09:46



━━━━━ 綾瀬夕映 ━━━━━



 魔法世界ムンドゥス・マギクスに来てから約1週間が経ちました。
 ネギ先生達とは別行動をとり、アーニャさん達と一緒にアリアドネーに短期留学中という名目で性転換薬資料集めをしている私ですが、なかなか資料集めは捗りません。
 普通に紙媒体のの資料ばっかりなので、私の“世界図絵オルビス・センスアリウム・ピクトゥス”が役に立たないのです。

 これはもう禁書庫に忍び込むしかないのでしょうか?


 もちろんアリアドネーの授業もキチンと受けています。
 私達は魔法騎士団候補生の授業を体験させてもらっていますが、超さんは通常状態では魔法を使えないので資料室や図書館に篭りっぱなしです。
 魔法騎士団候補生の授業は私達が今まで受けていた地獄の修行よりも数段ヌルい内容だとは思いますが、それでも今までと違った授業なのでタメになりますね。


 あ、ガンドルフィーニ先生も私達と同じ授業に参加したりアリアドネーの先生方と教育について話し合ったり、現実世界ムンドゥス・ウェトゥスのことについて聞かれたりして、結構充実しているそうです。
 …………たまに奥さんと娘さんの写真をずっと見詰めているときがありますが。











「なーーーに見てるのユエとアーニャちゃん!?
 …………あ、拳闘大会の中継? “グラニクス夏季大会ミネルヴァ杯”かぁ」

「あ、コレット」

「ええ、そうです。現実世界ムンドゥス・ウェトゥスではこういう拳闘大会などはありませんでしたからね」


 広場でアーニャさんと一緒にお茶をしつつ、小型テレビを見ていたら声をかけられました。

 この人はコレット・ファランドール。私が入った魔法騎士団候補生のクラスの同級生で、私のルームメイトでもあります。
 亜人なので人間とは違う耳を持っているのですが、小太郎さんとは違って長く垂れ下がった耳でした。ダックスフンドとかビーグルとかそんな感じの………………ちなみに小太郎さんは黒い柴犬。
 突然ルームメイトになった私でも仲良くしてくれるような良い人ですし、クラスの成績が最下位でもめげずに授業に励む頑張り屋さんでもあります。


 …………コレットみたいな亜人は魔法世界ムンドゥス・マギクスと同じく幻想。魔法世界ムンドゥス・マギクスが崩壊するのと同時にコレット達も消えてしまうことになります。
 正直、コレットと仲良くなるまでは身構えていたところもあるのですが、付き合ってみると私達と同じ人間としか思えないので、次第に気にならなくなりました。
 そもそも茶々丸さんが仲間にいる時点で、幻想とか現実とかは細かいことなんですよね。

 しかし、せっかくこちらでコレット以外の知己も得たことから、魔法世界ムンドゥス・マギクス崩壊を阻止するための意志を固めることが出来ました。
 私も性転換薬の資料集めばかりに勤しむのではなく、超さんのお手伝いもシッカリしていきましょう。







「ふーん…………新米拳闘士かぁ。相方はオコジョ妖精?
 相手はベテランみたいだし、どういう試合になる…………アレ? この顔、ナギ……?」


 すいません。それネギ先生です。
 ネギ先生の試合を見たかったのでどこでも見れるように小型の携帯テレビを買ったのですが、ちょうど今日が拳闘士デビュー戦なのです。
 せっかくなのでアーニャさんと一緒にテレビ越しに観戦します。


 それとネギ先生は10歳の子供では拳闘大会に出してくれそうにないので、最初の一試合は幻術で大人verになって出場し、勝ってから正体をバラすとの事でした。

 ちなみにネギ先生の相方はアルちゃんです。
 相方として出ることが決まったとき、アルちゃんは「これでようやく出番が……」と感動していたそうです。メタなことを言っては駄目ですよ。

 “ょぅι゛ょ誘拐犯コズモ・エンテレケイア”とかメガロメセンブリアの元老院とかのことはいいのかな? とも思いましたが、“ょぅι゛ょ誘拐犯コズモ・エンテレケイア”なら返り討ちにすればいいだけですし、元老院も直接的に仕掛けてくる理由はまだないので問題ないみたいです。



 そしてコレットなのですが、お義父さま……ネギ先生の父であるナギ・スプリングフィールドの大ファンなのです。
 初めてコレットの部屋に泊まったとき、飾ってあるナギグッズについて質問したら凄い勢いでお義父さまについて語られました。

 …………私がネギ先生の“魔法使いの従者ミニストラ・マギ”であるということがバレたらどうしましょう?
 何かとんでもないことになりそうなのですが…………。


 私だけではなくアーニャさんや佐倉さん達も、ネギ先生の知り合いであるということは隠すように注意されています。
 “ょぅι゛ょ誘拐犯コズモ・エンテレケイア”のこともありますし、お義父さま達に関する面倒事に巻き込まれるのを避けるためなのですが………………一番面倒臭そうなのがお義父さま達の熱烈なファンということが悲しいです。

 バレたら絶対騒ぎになるでしょうねぇ。







 …………あ、ネギ先生が重力魔法で対戦相手を潰した。妖精さんがまるで蚊トンボのように落とされました。
 でもちゃんと手加減したらしく、ナニカが飛び散ったりとかはしていないようです。


「うわ、凄い。重力魔法じゃん……」

「(これでもネギは手加減しているっていうんだから反則よねー)」


 あっという間に勝ってしまいました。
 相変わらずネギ先生はさすがです。










『どうもー☆ 勝利者インタビューデス。ランキングでも常に上位に位置するラオ・ランコンビ!! そのベテランを下しての見事なデビュー戦おめでとデス!!
 新人さんお名前は!?』

『あ、ネギ・スプリングフィールドです。こっちは使い魔でオコジョ妖精のアルちゃん』


 そしてポン!と幻術を解き、子供の姿に戻ってインタビューに答えるネギ先生。

 相変わらず重大事をあたかも何でもないように言い放つネギ先生! ある意味でさすがです!
 ですがそこに痺れませんし憧れません!!!

 魔法世界ムンドゥス・マギクスでは“スプリングフィールド”という名前が爆弾になり得るといったのはネギ先生でしょう!
 もっと周りの迷惑のことを考えてく「えええ「“スプリングフィールド”ですってぇーーーっ!?」っておわぁっ!? 委員長!?!?」…………み、耳が……。
 そんな耳元で叫ばれても困ります、委員長。いったい何事ですか?





『はー、子供だったんデスかー………………って、え? “スプリングフィールド”と今言ったデスか!?
 それはかの“千の呪文の男サウザンドマスター”と同性…………もしや血縁者!?
 そういえばどこか面影が……てゆーかソックリデス!?』

『はい。ナギ・スプリングフィールドは僕の父です』

『な「ちょっ!? ナギ様の息子ぉっ!?!?」

「ああっ、委員長! テレビ見えないじゃん!」


 そして私達が見ていたテレビを奪い去る委員長、エミリィ・セブンシープさん。
 この反応からすると委員長も凄いナギファンのようですが…………この人ってこんなキャラでしたっけ?

 私が知っていた委員長はもっとクールで落ち着いた感じの麻帆良の委員長さんみたいな…………ああ、なるほど。納得しました。
 ネギ先生を前にした麻帆良の委員長さんにソックリなんですね。そんなところまでは似ないで欲しかったのですが。





「どーゆーことなんですか、ユエさんっ!? ナギ様の息子が拳闘大会に出場!?!?」

「…………それよりテレビ返してくださいです」

「お嬢様、テレビの続きを見ればわかるのではないでしょうか?」


 そんな悠長としてないで委員長を止めてください、ベアトリクス・モンローさん。
 …………むしろ貴女もテレビの続きの方が気になっていませんか? 地味にナギファン?

 というか本当にテレビ返してください。
 ネギ先生を見れないじゃないですか。





『ほ、本当にナギ・スプリングフィールドの息子さんなんデスかっ!? え、何歳なんデスか!?』

『そうですよ。少なくとも“紅き翼アラルブラ”の高畑・T・タカミチとアルビレオ・イマからはそう聞いてます。それにこの杖は父が残したものですし、“動く遺言”も受け取りました。
 それと僕は今年で10歳です』

『高畑・T・タカミチとアルビレオ・イマ…………。
 確かにさっきの重力魔法はアルビレオ・イマが使っていたものにそっくり…………ハッ!? もしやコチラのアルちゃんの名前はアルビレオ・イマから取ったのデスか!?』

『いや、ソレはただの偶然です。
 この子の本名が“アルベール・カモミール”なのでアルちゃんと呼んでいるだけですよ』

『…………え? この子って男の子?
 そ、それより何故ナギ・スプリングフィールドの息子さんが拳闘大会なんかに!?』

『いやー、僕って普段は現実世界ムンドゥス・ウェトゥスに住んでいるんですけど、たまたまこっちに来てたら今回のゲートポート破壊事件で帰れなくなっちゃいましてね。
 現在帰る手段を研究中なのですが、帰れるようになるまで研究ばっかりで過ごすのも不健康ですので、運動と修行がてら出場することにしたんですよ。
 魔法世界ムンドゥス・マギクスを案内してくれるはずだったジャック・ラカンにはすっぽかされましたし…………』

旧世界ムンドゥス・ウェトゥスにっ!?
 …………そういえば確か高畑・T・タカミチは旧世界ムンドゥス・ウェトゥスで活動をしていると聞いたことが………………だから今までそんな情報が一切なかったのデスか。
 あっ、もしかして拳闘大会出場の目標は、オスティア終戦記念祭で行なわれる“ナギ・スプリングフィールド杯”デスか!?』

『そうですねぇ。せっかくそういう大会があるのだから目標にしようと思います。………………父の名がついた大会ってのは少し恥ずかしいですけど。
 父の名に恥じぬ戦いをしてみせますので、応援よろしくお願いしますね。それと修行も兼ねてますので、自分に自信がある強敵の人を闘技場で待ってます。ガンガンかかって来てください』





 そう言い残し、手を振りながら退場していくネギ先生。

 英雄の息子の突然の出現ということで、観客の人達は大盛り上がりです。
 おそらく明日にはネギ先生のことが魔法世界ムンドゥス・マギクス中に知れ渡ることになるでしょうね。



 そして私の周りも大盛り上がりです。







「きゃあああぁぁーーーっ! 10歳であの強さ! 本物だよ、本物! 絶対に本物のナギの息子だよーーーっ!!!
 重力魔法といい、もしかして“紅き翼アラルブラ”の人達に教わったのかな!?」

「ナギが行方不明になったというニュースが流れたのが10年前で彼は10歳。おかしい話ではないですね」

「ナギ様御本人がいなくなってしまって久しい今…………このネギ様は迷える私達のために天が遣わしてくださったのですね!!! …………って、ナギ様の息子ということは、ナギ様は結婚なされていたというのですか!?
 ああ……ナギ様は皆のモノだというのに…………でも結婚なされてなかったらネギ様がいなかったわけで………………くっ、ネギ様の母親はいったい何処の誰なのですかっ!?」




 …………委員長達の目が怖いです。何だか周りにドンドン他の人が集まってきましたし…………。

 隣に座っているアーニャさんと目を合わせると、アーニャさんもわかっているように頷いてくれました。
 これは絶対に私がネギ先生の“魔法使いの従者ミニストラ・マギ”であることは言えないですね。












━━━━━ 龍宮マナ ━━━━━



 ネギ先生から預かっていた全財産でネギ先生一点買いしておいたら、勝ち金がとんでもないことになった。今日は新人として出たためにオッズが高かったからな。
 実はコッソリと自分でも身銭切ってネギ先生に賭けておいた。ネギ先生が負けることは有り得ないだろうから、絶対勝てる賭けをしているようなものだ。
 換金した後に勝ち金のいくらかを神楽坂達や綾瀬達に生活費として送金して、更に当座の私達の生活費を残しておいたら、明日から再び全財産をネギ先生に賭ける仕事が始まる。

 しかもネギ先生がオッズが圧倒的にならない程度に手加減する予定なので、これからは今日のような高倍率はなくとも、そう簡単にはオッズが急激に下がるということはないだろう。
 実力がバレないように魔力や気の大半を封印すらしている始末だし。


 最終的にはいったい何万……何百万ドラクマになるんだ、コレ? 明日からは1日で何試合も組むらしいし。
 こうなったからには私も魔法世界ムンドゥス・マギクスに隠してあるいざという時のための財産引き出してきて、ネギ先生に賭けて儲けさせてもらうとするか。











「ん? あれは…………トサカだったか? 何やってんだあの人?」

「どうしたんでしょう?」


 試合が終わり、長谷川と茶々丸と一緒にネギ先生を控え室まで迎えにいったら、今回ネギ先生が所属することになった“グラニキス・フォルテース”に所属しているトサカという男が何故かネギ先生の控え室の前にいた。
 しかも何だか“信じられないようなものを見た”という顔をして遠くを見詰めているが…………何があったんだ?







「やあ、トサカさん。ネギ先生に何か用なのかな?」

「…………おう、アイツの連れの嬢ちゃん達か。
 いやな…………幻術使っていたことに対して文句を言おうと思って控え室に殴りこんだんだが、何故か控え室にいたのがスカした男でもなくガキでもなくて、身長が3m近くある筋肉ムキムキのマッチョでな。
 ………………おかしいな。俺って最近疲れてんのかな?」


 微妙な小ネタするんじゃない。
 どうしてあの子はこういうどうでもいいところで人をからかったりするのかな?

 それに今の表現って京都のときの………………いや、思い出すな。思い出すんじゃない、私。
 女の子としての生き方なんて捨てた私だが、さすがにアレを許容出来るほど達観出来ているわけじゃない。


「…………いや、それも幻術なんだろう」

「そうだよな。アレも幻術だったんだよな。睨まれた瞬間チビっちまいそうな凄え迫力持ってたけど、アレも幻術だったんだよなぁ。
 ………………って、テメェラ! よくも幻術なんか使って騙しやがったな!!!」

「別に騙してませんよ。本当のことを言わなかっただけです」


 おや、ネギ先生。お疲れ様。
 …………ちゃんと子供verみたいだね。





「おわっ!? 急に出てくんな!!!
 …………って、あー……ボウズ? マジでそのガキの姿が本当なのか? それに“千の呪文の男サウザンドマスター”の息子って…………」

「さっきインタビューで答えたことは本当ですよ。
 まあ、結果的に騙したみたいになってしまいましたが、この姿だったらそもそも入団テストすら受けさせてくれなかったでしょう」

「そりゃあそうだがな…………その姿だったら門前払いしてただろーよ。
 …………でも未だに俺は信じられねーよ。まさかそんな大物がウチの拳闘団に入ってくるなんて…………」

「正直な話、拳闘団はどこでもいいので辞めろと言われたら辞めますよ。
 今なら何処の拳闘団でも拾ってくれるでしょうからね」

「馬鹿野郎! そんなことしちまったらウチの拳闘団が笑いモンにされるじゃねーか!
 …………あーー、もうっ! お前わかってやってんだろ! 歳の割りにシッカリしてやがんなぁ。大人の姿のときは血も涙もないヤバイ奴って感じだったが、ガキの姿でも本質は変わんねーみたいだぜ」

「辞めろと言われないのなら精々頑張りますよ。とはいえ今度の“ナギ・スプリングフィールド杯”までになるでしょうけどね。
 でもその間にこの拳闘団の宣伝はシッカリしますから、トサカさん達も僕達にそれなりの便宜をお願いします。ギブアンドテイクでいきましょうよ」

「…………けっ! こうなった以上それしかねぇのはわかってんだよ。
 オラ、座長のとこ行くぞ。一度テメェの口から直接説明しておけ。これから客の対応が忙しくなりそうだからよ」

「了解です。
 …………というわけで千雨さん達はアスナさん達への送金とかをよろしくお願いします。アルちゃんも一緒に」

「わかりました。お兄様」





 了解。それが終わったら先にホテルへ戻っているよ。

 今日から泊まるホテルはグラニクスで一番高級なホテルで、泊まる部屋は寝室やリビングなどの複数の部屋を使えるいわゆるスイートルームだ。これからはそこを拠点として活動していくことになる。
 ちなみに長谷川名義で泊まることになっていて、ネギ先生の名前は使っていない。

 宿泊費はこれからのネギ先生の拳闘士としての活躍で問題ないし、何だかんだで良いホテルというものはセキュリティもその分シッカリしているからな。
 荒くれ者達が大勢いる魔法世界ムンドゥス・マギクスだが、その分荒くれ者の対応も慣れているだろう。

 長谷川のような完璧な素人がいるのなら普通のホテルよりも安心出来る。



 そして何よりネギ先生のファンへの対応が楽になりそうだ。高級ホテルなら従業員がそういうのはある程度弾いてくれるからな。
 そもそもネギ先生の名前を使っていないからファンが押しかけてくるなんてことはないと思うが、それでも念を入れておくことに越したことはないだろう。

 いやぁ、正直言って魔法世界ムンドゥス・マギクスでのナギ・スプリングフィールドの知名度を舐めていた。
 ネギ先生が自分の正体をバラしてからはもう大騒ぎだ。

 それこそ普通のホテルなんかに泊まっていたら、ナギファンの連中がそのホテルに押しかけてきそうな勢いだったよ。
 それを考えたら宿泊費は高くとも安心出来る場所に滞在すべきだ、というネギ先生の考えは間違っていない。


 …………少し気にかかるのが、寝室がいくつもある部屋を取ったので、名義上は私達全員が同じ部屋に泊まることになっているということだな。
 まあ、ネギ先生が襲ってくるなんてことは思いつかないので私は別に同じ部屋でも構わないのだが、神楽坂辺りがこのことを知ったらどういう反応を示すのだろうか?
 嫉妬されたりしなければいいのだが…………。











「…………相方として出場したのはいいのですが、結局は何の役にも立てませんでした」

「いや、それは仕方がないだろう…………」

「気にすんなよ、アルちゃん」

「私達が相方として出場するわけにはいきませんし、このままアルちゃんに頑張ってもらうしかありません」

「それはわかっているのですが…………」


 私の肩に乗り移ったアルちゃんが沈んだ声でそう言うが、例え私が相方だったとしても同じだろうさ。

 それに茶々丸が言う通り、他に相方として出場出来るのがいない。
 長谷川は言わずもがな実力的に駄目だし、私はまほら武道会のような一地域でならともかく世界規模で見世物になる趣味はない。茶々丸はエヴァンジェリン関係で駄目だしな。
 だいたいネギ先生の相方が女だったら、熱烈なナギファンから余計なやっかみを買いそうだ。

 それと長谷川の護衛もある。
 私か茶々丸のどちらかが相方として出場するとなると、長谷川の護衛は1人になってしまう。これだと何かあったときに対応出来かねない事態になり得る可能性がある。
 だからこの組み合わせが長谷川的に一番安全…………じゃないか、一番安全なのはネギ先生の相方として試合に出場することだな。うん。


 …………まあ、それはともかくとして、アルちゃんにはネギ先生の側に居てもらわなければならない理由が別にある。





「…………で、ネギ先生の機嫌はどうなんだ? 試合で少しはストレス発散出来たのか?」

「駄目ですね。歯ごたえがなかったせいか余計にストレスが溜まってしまいました」

「一撃で終わっちまったらしょーがねーだろうな」

「ネギ先生は大丈夫なのでしょうか?」


 神楽坂達と別行動をし始めてから約1週間。日に日にネギ先生の機嫌が悪くなっていく。
 特にここ2、3日が酷い。夜に飲む酒の量もドンドン増えてきてるし…………。

 やっぱり神楽坂達が側にいないのが心配なんだろうなぁ。


 とりあえずアルちゃんを常時ネギ先生に貼り付けておいて、オコジョ妖精得意の人間の感情を感知する魔法でネギ先生の機嫌を調べてもらっている。
 ネギ先生の機嫌が最悪になってもし爆発でもしそうになったなら、何とかして神楽坂達と電話で会話させるなりしてストレス発散させるなどしなければならない。

 ちなみにその旨は念報で既に神楽坂達に伝えておいた。
 まだイエローゾーンに入ったばかりなのでそこまでする必要はないが、オレンジゾーンに入りそうになったら準備しなければ。
 神楽坂達は神楽坂達で竜退治したり賞金首を捕まえたりして楽しんでいるそうだが、少しは私達の苦労を理解してほしいものだ。


 まあ、ネギ先生の機嫌が悪かったおかげで、拳闘団にも楽に入ることが出来たのはよかったがな。
 何しろネギ先生が入団するために拳闘団を訪れたら、ネギ先生の纏っている雰囲気だけで入団テストが免除になったぐらいだ。拳闘士という職業柄、他人の強さには敏感なのだろう。
 それからトントン拍子で今日の出場が決まったよ。





 それと“火星-水星間魔法輸送扉ゲート・オブ・マーキュリープロジェクト”のために、ネギ先生の身元をバラすことになったのが上手い具合に働いてくれるといいが…………。

 魔法世界救済のために“火星-水星間魔法輸送扉ゲート・オブ・マーキュリー”を魔法世界に設置するとなると秘密裡に行なうことは出来ないだろうし、何よりネギ先生としては自分達のことなんだからと無理矢理にでも魔法世界の住人に協力させたいらしい。
 なのでネギ先生が魔法世界の話題を掻っ攫って注目され、誰もがネギ先生の言うことを無視出来なくなったときに全てをバラすことにするそうだ。


 それまではただの年齢の割りに強い純真な子供(笑)を演じるらしい。



 もちろん混乱は起きるだろうが既に対応策を構築している以上、致命的な問題にはなるまい。
 だが魔法世界の協力を得られるのならそれに越したことはない。具体的に言うとメガロメセンブリアとヘラス帝国、それにアリアドネー辺りのな。
 そのためにも父親の威光を利用してでもネギ先生の発言力や影響力を大きくするようだ。


 …………まあ、そんなわけでネギ先生の身元をバラしたが、それを知った各地の猛者がネギ先生に挑んでくることになるだろう。
 出来るならネギ先生のストレス発散になるぐらいの生贄……じゃなかった、強敵が挑んできてほしいものだな。





━━━━━ 後書き ━━━━━



 カゲタロウ逃げろーーーっ!!!



 それといちいち魔法世界救済案の説明をするのはメンドイので、“火星-水星間魔法輸送扉ゲート・オブ・マーキュリープロジェクト”という名前をつけて一言で済むようにしました。別に宝具が飛び出してきたりはしません。

 ちなみに地球や火星に一番近い“金星”ではなくて“水星”の魔力を使うのには理由があります。
 ヒントとしては“ネギの原作知識は32巻まで”です。


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