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No.32238の一覧
[0] 【一発ネタ】 トウジさん 【エヴァ+HUNTER×HUNTER】[義雄](2012/04/10 23:50)
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[32238] 【一発ネタ】 トウジさん 【エヴァ+HUNTER×HUNTER】
Name: 義雄◆285086aa ID:b6606328
Date: 2012/04/10 23:50
 人類を滅ぼさんと第三新東京市にやってくる冒涜的なまでの巨大さを持ち、どこか進化の系統樹にて悪魔の助けを受けたような、もしくは外宇宙めいた容貌を持つ怪物、使徒。N2地雷をはじめ、戦略兵器を使用し地図を塗り替えんとする覚悟で迎撃に臨んでいるというのに、その十五年ぶりの侵攻は防げず、都市部に甚大な被害をもたらしている。

 そんな戦争さながらの状態であるというのに中学校の授業は平常通り行われていて、それが日常にしがみつきたがる人間のせいなのか、それとも絶対に大丈夫だという確信があるからなのか、この街にやってきたばかりの碇シンジにはわからなかった。例え前者であろうと後者であろうと、シンジに文句を言う気はない。彼自身、ただ惰性で転校して、自己紹介も控えめに休み時間に取り囲まれてもあいまいににごし、同年代の者と積極的に係わりをもってこなかったのだから。

 中学二年という多感な時期を過ごす少年少女たちは、疎開でその数を大幅に減らしていたものの、思春期の陽気さを失うことなく思い思いのお喋りに興じており、あるいはその笑いこそが彼らの住む第三新東京市で狂気じみたこの世のものならざる戦いが起きていることを否定せんがため、必死に振舞っている仮初の姿であるのかもしれない。

 他者と触れ合わぬ少年はその心の袂を覗くこともできず、今朝も時代に取り残されたウォークマンから流れるクラシックに逃げ場を求め、傍目にもわかる黒いイヤフォンで外界との接触を拒んでいる。使徒を倒し、学校で生活を送り、放課後はパイロットとしての訓練。本気で人類を絶滅させようとする怪物に対して随分余裕をもっているなとシンジですら思うことがあった。

 何もない日常というのは、ふとした拍子に目まぐるしく激変するものであった。
 ガラリと教室のドアを開けた少年、周囲に興味がないと思われているシンジですら目を見張った。

――なんだあれ。

 少年、いや、それはもはや男と言ってもいい年齢、身長に見える。まだ少年らしさを残した顔立ちだけが彼を中学生だというかすかな希望を与えてくれる。黒いジャージを身に着け、だがいかほどの時間をかけて鍛え上げたのか、肥大化した筋肉がそれすらを押しのけ外界へさらされんと自分を主張していて、本来ジャージとはゆったりしてあるべきなのにピッチピチしている。 

――なんだあれ!?

 しかも髪が長い。一般的に言う長髪、なんてレベルではなく、もはやどこまで伸びているのかわからないほど長い。だというのに重力に従うことなく、物理法則に反して髪は逆立っていた。いかなる原理か天翔ける龍のように虚空で踊り、近くのクラスメイトは迷惑そうに見える。
 そんなどこから見ても異常しかない光景だというのに、クラスメイトは口々に「トウジさん」と親しみと畏怖との混じった声をかけている。あのくらいの長髪なんでもないと言わんばかりに。

――と、都会ってすごい。

 シンジは親戚の家に、田舎の方に預けられていたのでこんなにビルの立ち並ぶ街ははじめてだった。それも繁華街に出歩くこともなく、自宅と学校、それとネルフ本部だけを行き来する生活だったので、あの長髪は彼にとって目を見張るほどおかしいものだとは感じたけれど、周りの反応から察するにここでは一種ファッションとして通じていると、いささかに腑に落ちないながらも納得した。

 まぎれもない変化が起きたのは、教師が脱線をはじめた数学の授業時間であった。
 シンジの端末に誰かがメッセージを送ってきた。内容は彼がエヴァンゲリオンのパイロットであるかを問うというゴシップめいたものであったけれど、彼ははじめての事態に最初驚き、思わず辺りを確認して、後ろの座席の女子二人がぱたぱたと手を振っていることに気づく。そして催促するようにもう一度Y/Nの文字がディスプレイに浮かび、シンジは否定する理由もないから正直に「YES」と打ち込んだ。それがいけなかった。

「うそっ!?」
「やっぱりかよ!」

 授業中だというのにどっとみなシンジの席にかじりつく。矢継ぎ早に飛ばされる質問もどうでもいいものが多く、彼が映画やドラマで活躍中の芸能人であるように賞賛の声を浴びせ、教師の耳が遠いのをいいことにやりたい放題である。
 シンジは、他人と極力関わりを持ってこなかった少年は嬉しいやら恥ずかしいやらという不思議な感情に包まれていた。面と向かって褒められたことは滅多になく、人の注目を浴びたこともなく、ただただ降ってわいた機会に嬉しさ混じりの困惑を感じていた。
 喧騒は授業後もしばらく続くかと思われた。

「転校生」

 抑揚のつけかたが少し関西を想起させる呼びかけ。さして大きいわけでもなかったのにさっとシンジを囲んでいた群集は押し黙り、道を開けた。
 その様子はまさに王の道であり、ただの中学生には相応しくない光景であったが、道の先に佇む影を見てシンジは納得した。

――あの人だ。

 影だけでわかる人物がじっとシンジを見据えて、ぽつりと一言こぼした。

「This way」

――なんで英語!?

 心の疑問は声に出なかった。ぽかんと口を開けたまま、トウジさんと呼ばれる少年はずしずしと教室を出ていく。
 ドアに手をかけたときだけ振り返り。

「Follow me」

 と、シンジに残していった。
 教室内は先ほどまでの陽気な喧騒とは違い、みな怯えているような雰囲気を漂わせている。

「と、とりあえず鈴原の言うとおりいった方がいいわ」

 顔がひきつっているクラス委員長らしい女子が言う。確かに行くのは怖いけれど、行かなかったあとはもっと怖い。
 シンジは覚悟を決めて立ち上がり、廊下に出た。背後からは心配やおそれ、救急車呼ばなくていいかとかそんな無責任な声ばかり。やっぱり他人は頼れないと思って、トウジさんがどこにいったのかわからず途方に暮れた。
 道行く生徒に「黒くて長い髪の子、見なかった? トウジさんって言うらしいけど」と、シンジにしてはがんばって声をかけて、懇切丁寧に多少の畏怖を込められながら教わり、なんとか校舎裏にたどり着くことができた。

「遅かったね」

 トウジさんの付き添いなのか、シンジよりかるそうなメガネ男子が言う。そんなこと言われてもそっちが勝手にいったんだし、とは言えなかった。
 一歩踏み出たトウジさんの上背は見上げるほどもあって、その上髪の毛が教室と違って天突くように立っているものだからどこに焦点を合わせてわからない。
 ずいと、四股を踏むようにトウジさんが足を開き、しなやかに身体を沈める。拳の形はグー、左手を軽く添えて、圧倒的握力で握りこむ。

「First comes rock」

 光る要素なんてどこにもないはずなのに、シンジはその拳が赤光を帯びているように見えた。

「ジャン、ケン」

 なんだろうと疑問に感じた瞬間、世界が揺れた。
 音速をも超えた暴虐の塊が、空気の壁を破砕する音をもって迫り、シンジの頬を打ち貫いた。あまりにも速く、あまりにも強く、彼は衝撃や痛みを感じる間もなく壁に叩きつけられ、そこではじめて痛覚が追い付いた。
 今こうして意識をとどめているのが奇跡であるような、生涯においてはじめて味わう激痛は、のたうちまわりたいという欲求もありながらそうすればさらに痛みが増し、シンジはただ仰向けに倒れていることしかできない。
 意識の浮沈を繰り返すシンジを前に少年らしい声音が届く。

「わしはおまえを殴らないかん。殴っとかな気がすまへんのや」

――い、意味がわからない。

 言っていることは、なるほど理解はできないが少年らしいもの。しかしその巨体に中学生らしさなど微塵もなく、シンジは理不尽さしか覚えることができない。
 なんで英語からいきなり関西弁になったのか、それも意味がわからない。

「悪いね。この間の騒ぎであいつのお父さんの弟子のお兄さん、男として使い物にならなくなってね」

――それほぼ他人じゃないか!

 シンジは心底ツッコみをいれたかったが、身体は産卵中の鮭のように痙攣するだけで何も言えない。

「ま、そういうことだから」
「ぼくだって……」

――乗りたくて乗ったわけじゃない。

 きびすを返した二人に、蚊の鳴くような声がなんとか届いた。
 トウジさんは無言でつかつかと歩み寄り、ぐいとシンジの胸ぐらをつかむ。そしてなんの容赦もなく、もう一発ジャジャン拳を顔面に叩き込んだ。
 蝉時雨の降り注ぐ中、熱気を孕んだ風だけが倒れたシンジを優しく包みこんでいた。
 意識もほとんどとぎれているシンジに、青髪の少女が近づきぽつりと言う。

「非常招集。先、行くから」

 それきり、ぱたぱたと駆けて去って行った。シンジを回収するものはなく、使徒が来てもそれは変わらず、痙攣するシンジの上に時間だけが無情に過ぎて行った。









 第四使徒ことシャムシエルはシェルターを抜け出したトウジさんがなんとかしました。

今度こそ了



ゴンさん
・黒髪でツンツンした髪型
・カイトを思うあまり中性的な顔立ちのピトーをぶん殴る、しかも二回
・キルアがブレーキ役

トウジ
・黒髪でツンツンしてるともいえる髪型
・妹を思うあまり中性的な顔立ちのシンジをぶん殴る、しかも二回
・ケンスケがブレーキになってるかもしれない

ゴンさんは黒髪でツンツンしており、トウジもまた同様である。
ゴンさんは中性的な顔を二回ぶん殴ったことがあり、トウジもまた同様である。
ゴンさんにはキルアというブレーキ役がいて、トウジにもまたケンスケというブレーキ役がいる。
二辺夾角相等よりゴンさんとトウジは合同であることが成り立つんだよ!!



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