※プじゃないです。ブです。ネタなのであまり深い事は考えずにどうぞ。
ヤマなし。落ちなし。
【フェイトさんレイブです 立ち食い蕎麦屋編】
「…………」
朝日が眩しいですね。徹夜明けで勤務を終えたフェイト・T・ハラオウンさんは一人ミッドにあるリニアレールのホームに立っていました。
眠気を通り越して頭はぼんやりしています。齢19で未だお肌の心配をする年頃ではないですけれど、流石に徹夜は不味いと思ったみたいです。
始発まで、まだかなり時間があります。でもお家に帰るにはリニアに乗らなければなりません。仕方が無いので待ちます。待ちます。待ちます。
始発が来るのはおおよそ20分後。ベンチに座ると眠ってしまうので我慢しているのは内緒です。
そんなフェイトさんのもとに、いい香りが届きました。ホームの隅っこにある太刀食い蕎麦屋からです。
あまり食欲はありませんでしたが、それでも蕎麦つゆのいい香りが漂ってきます。なんともいえません。
唾液がでるほどではありませんでしたが、それでも始発が来るまでまだ時間はありますので、ちょっと寄ってみようという気持ちになってしまいます。
時間潰しても兼ねて行こうとフェイトさんは決めました。立ち食い蕎麦屋に足を向けます。とってもいいにおいなんです。本当に。
「いらっしゃいまセー」
店に入るとおばちゃん達の掛け声に出迎えられます。人数は3人。一人は割りと最近管理内世界に指定された訛りの強い世界の人みたいです。わかりやすいですね。
そしてフェイトさんはどうでもいいことも知っています。おばちゃん達は早番で夜は訛りの男性が勢ぞろいになる事を…………食券を買います。
実はフェイトさん。立ち食い蕎麦は初めてではありません。通と呼べるほどではありませんが何度か店に入った事があります。
空腹時は割と美味しいです立ち食い蕎麦屋さん。で、も。
「………………」
ワンコインを握ったままフェイトさんは食券機とにらみ合います。注文するものを迷っているようです。
蕎麦もいいですが、うどんもいいです。そして盛り合わせを何にするかでフェイトさんの脳内は激しい葛藤が始まります。
フェイトA「今日は、天麩羅蕎麦だー!」
フェイトB「立ち食い蕎麦で天麩羅蕎麦など笑止! 半年に一回食べれば満足なレベルだよ天麩羅なんて」
フェイトA「な、なんだってー!?」
フェイトB「立ち食い蕎麦屋の原則は不味いが基本だ。手打ちの蕎麦屋に勝てると思ってんのかああん? 手打ちの蕎麦屋で萎れた天麩羅出てくると思ってんのかコラァッ!
金の無駄じゃー!」
フェイトA「んな事解ってるんだってばよー! この店のメニュー全制覇したじゃんか! その上で天麩羅だよ! しなしなの天麩羅は浸してやわらかくして、箸でわけて
口に入れても気持ち悪くならないようにして食べるのがいいの!」
フェイトB「馬鹿め、馬鹿めぇ! それならたぬき蕎麦こそ至宝!」
フェイトA「何ぃ!?」
フェイトC「まぁ、まぁ、落ち着きたまえよ君達。ここは一つ、無難にコロッケ蕎麦in生卵だ!」
フェイトAB「「はいアウト!」」
フェイトC「何ぃ!?」
フェイトA「朝っぱらからコロッケなんて濃いもの食わせんじゃねーよ!」
フェイトB「そーだそーだ! しかもコロッケは不味さの極み二号じゃないか! 塩素みたいなかっちり感があるんだぞー!」
フェイトC「いやーだって私これから寝るだけだし?」
フェイトA「っていうかこの前の夜も食ったじゃんコロッケin生卵! てんぷーらー」
フェイトB「そーだそーだー」
フェイトC「あまいな。天麩羅の胸焼けする感覚とコロッケの満腹感。そして最後に水を飲んだ時の爽快感。やっぱコロッケでよくね?」
フェイトA「えー」
フェイトB「解った私も妥協する。コロッケin生卵にお稲荷さん加えればまんぷくっぽくて朝ごはんによくね?」
フェイトA「うん。解った。天麩羅はまた今度にしよう」
フェイトB「天麩羅は胸焼けの筆頭だしねー」
フェイトC「ねー」
というわけでコロッケ蕎麦と生卵そしておいなりさんを買う事にしたフェイトさんでした。朝からよく食べますね。
おばちゃんに食券を渡してる間に水とお稲荷さんをゲットです。食べます。甘くて美味しいですねお稲荷さん。
なんども噛みます。
噛み千切ります。
お稲荷さんを。
食べ物はいっぱい噛むのがいいですね。
さて、蕎麦ができるまで店内を見渡すとサラリーマンらしき人が蕎麦を啜っています。皆さんご苦労様です。
ふとフェイトさんは気づきました。テーブルの上がとても汚いので備え付けの布巾で拭きます。これでOK!
「はい、コロッケ蕎麦と生卵ー」
「ありがとうございます」
すぐできます。流石立ち食い蕎麦屋さんです。
自分のテーブルまで運ぶと、フェイトさんはそこらへんにいるオヤジのようにテーブルにひじをついて食べます。行儀が悪い。
箸を取る前に七味を取り一振り。これでOK。フェイトさん的に立ち食い蕎麦に関して思う所は色々あるようです。まず始めに
不味いが基本。それが立ち食い蕎麦です。
当たり前ですが手打ちの蕎麦屋さんと一緒にしてはいけません。
リーマンや陸戦魔導師さんや社会人の方々がサッと食べてサッと食べ終えることができる。それが太刀食い蕎麦です。
蕎麦は腹にも溜まりますしサッと食べられる点では最高です。何より、駅のホームにあり電車の時間と相談しながら食べられるのがグッド。
ただし味に期待するべからず。
箸を割りすする前に、フェイトさんは卵をサッとかき混ぜます。
不味いがわかりながら食べてしまうのはある意味スキモノ。そして不味いものを工夫して食べるのもまた一つです。
生卵はサッとといて麺に絡ませて一気に食べます。
ズッ!!!!とすするフェイトさん格好いいです???
麺の不味さはさることながら、生卵の甘みととろみを一緒にすすると美味さがあがります。
しかししるに卵は流れるのでスピード勝負。一気に食べます。箸休めには輪切りの葱をしるに浸して食べます。
運が悪いと葱は臭いです。本当に臭いです。
なのでごまかします。
生卵にしても、割らずに飲むと下手したら臭いです。
そこは味わいしるの出番なのです。頑張れしる。それいけしる。
麺、葱。麺、葱。麺、葱と繰り返して食べ終わったらコロッケに入る前にワカメを食い尽くします。
基本ワカメが臭いという事はありません。ねぎや卵と違い加工されているものなので新若布と比べるのは愚かですがそれでもおいしいですよ。
まずくないって素敵ですね。
そして、麺という山を食べ終えお腹も満足したら最後の砦コロッケです。
これが一番まずいんです。最悪です。当然店で揚げたコロッケではなく大量生産された量産型コロッケな上、味がおかしいです。
スーパーに売ってるコロッケと食べ比べると解りますがハッキリ言ってまずいです。でも食べる。汁に浸して食べるんです。
こう……たまに塩素の匂いがたまにかぎたくなる人にはコロッケはお勧めです。
最後はスープを飲んで一息ついたら、最後は水を飲み下して終わりです。
「ふぅ」
うまずかった。
です。マナーとしてテーブルの上は拭いておきましょう。しっかりと自分のところを拭いたフェイトさん。
最後はお皿を指定位置に戻して終わりです。
「ご馳走様でしたー」
「はーいまたよろしくねー」
たまに食べたくなってしまう立ち食い蕎麦。その魅力は言わずもがなです。
「美味しかった……」
誰もいないのをいいことにお腹を撫でながらゲップをするフェイトさん。
下品ですね。電車が来るまで後10分ぐらいです。それぐらいはのんびり待ちましょう。
ふと、葱の輪切りを思い出しなんだかカエルが食べたくなってきたフェイトさんでしたがそれはまたの機会に。
「あー……」
一人ぼやきます。
「まずかった」
意訳にてとてもおいしかった、です。
ごちそうさまでした。