「とんでもない威力だな」
千雨の(『Fairy-01』が勝手に撃った)スターライトブレイカーを見てエヴァはぽつりとつぶやく。
「茶々丸、ちゃんと記録は残しているか?」
従者に一応確認を取ってみるが、返事がない。
「茶々丸?」
「…………しい」
「おい、茶々丸」
「うらやましい!」
意図がわからない言葉を叫ぶ茶々丸に目を丸くするエヴァ。
「デバイスとかいうのは千雨さんの魔力を一身に浴びるだけでなく、必要とあらば掠め取って自分で使えるんですよ!」
「……は?」
「……くっ、こうなったら私を千雨さんのデバイスのAIにしてもらうべく交渉を……」
おかしなことを言いだす茶々丸に、エヴァは引いた。
「ハカセ達に調整してもらったほうがいいかな……」
取り敢えず『Fairy-01』の言うとおり魔法を使ってみて、ミッド式の魔力制御が感覚で理解できてきた千雨。
「よし、じゃあ魔力カットできるか試してみよう」
ちびチルノはなのはたちに預けていたので、エヴァたちと一緒に引き取りに向かう。
「なのは~、ちょっとちびを……」
「おお、ほんたい! ちょうど良かった。実はリインに面白い技教えてもらったんだ!」
ばひゅんと千雨のところに飛んできたちびチルノ。
「ゆにぞん、いん!」
千雨に体当たり。そのまま千雨の中に消えた。後には核となっていた紙切れが残された。
「……エヴァ、どうもちびは消えたみたいだ」
豪快にひっくり返るエヴァ。
Q:式神がコントロールできなくて消せないんですが、どうしたらいいでしょう?
A:自分から本体、術者の中に戻らせるように仕向けるといいでしょう。あるいはしこたまダメージ与えて無理やり消すのもいいかもしれません。
その後、実験的にいろいろやってみた結果、氷を核にちびチルノを作ったり、魔力カットして消したりと、出し入れ自在になった。
「すみません。こんなことに付き合っていただいて……」
リンディに詫びる千雨。
「いいのよ。管理局が千雨さんのデータ欲しがってただけなんだから」
「てことは、やっぱりスカウト……」
「まあ、欲しがるかもしれないけど、千雨さんの意思次第ね」
ほっと胸をなでおろす。
後日、管理局から千雨にデバイスが贈られることになった。
「ま、ツバ付けとこうって魂胆やな。でもあんま気にせんでええと思うで」
そんなはやてのコメント。
「うらやましい!」
茶々丸の意味不明なコメント。
今回使われた『Fairy-01』の製作者は、千雨のデータを見て大いに喜んだそうだ。
「ハハハハ! おもしろいよ、長谷川千雨! 高町なのはといい、君たちは本当に面白い!」
「ドクター。回収された『Fairy-01』は、いかがいたしますか?」
「もちろん完璧に仕上げて長谷川千雨君に贈らせてもらうよ。急ピッチで作ったから満足できないところがいろいろあってね」