やってきました図書館島探検タイム。
「まさかいきなり落とし穴があるとは……」
これでも図書館探検部の千雨。あんなところに落とし穴などなかったと記憶しているが、あったものはしょうがない。
「まあ、結構下層のほうまで落ちたみたいだし、せっかくだから探検して行くか」
「いえいえ、それはちょっと困ります」
フッと隣に現れる謎の人影。
「どちら様ですか?」
「この図書館島の謎の司書、クウネル・サンダースです。ちょっとあなたに興味がありまして、今日はご招待させていただきました」
「あの落とし穴は……」
「私が作りました」
こともなげにいうクウネル。
「それにしても無茶苦茶な出力の魔力ですねえ。これならナギの呪いを解いてしまうのもわかります」
「はあ」
「お茶会などいかがですか? ああ、もちろん全部終わったらちゃんと出口まで送って差し上げます」
いざとなったら転移して帰ればいいや。図書館島の秘密もわかるかもしれないので、クウネルについていくことにした千雨。
お茶を飲んでいたら、クウネルが用件を口にした。
「実はわたし、あなたの過去に興味がありまして」
「あんまりしゃべりたくないんですが……」
「しゃべる必要はありません。ほいっと」
ポンと千雨の頭に手を置くクウネル。
「……こ、これはっ!?」
動かなくなったので、不思議に思った千雨はクウネルに声をかける。
「クウネルさーん」
「…………か、カエル」
ボンっと音を立てて消え去るクウネル。後には古そうな本が残された。
「……帰るか」
残された古本を拾って、元来た道をたどる千雨。
部活終了後、提出しようかとも考えたが、魔法関係だということに気が付いたので、そのまま持ち帰ることに。
今日はちゃんとした修行場所を整えるべく、修行はお休みでエヴァの『別荘』を掘り出すらしい。
『別荘』を探す前に千雨はエヴァに本を見せることにした。
「この本は何処で手に入れた!?」
「図書館島で拾ったんでな、お前に話を聞こうとして持って来た」
直後、いきなり本を殴りだすエヴァ。見た目的にはかわいそうな行動をしている。
「ど、どうしたんですか、エヴァンジェリンさん?」
「クウネルって人に恨みでもあるのか?」
はあはあと、肩で息をするエヴァ。一息ついて、ネギに本を差し出した
「す、すまん。取り乱した……ぼーや、お前の父親の手掛かりが見つかったぞ」
「え、本当ですか? うわーい! やったあ!」
千雨には何が何やらよくわからなかった。