宴会も終わり、部屋でのんびりしていた3-A生徒たちのところへ白い髪の少年がやってきた。
少年はすぐに立ち去り、残されたのは石にされた少女たち。
しばらくしてから、千雨の石像がカタカタと揺れ動き始めた。全体にひびが入り、中から裸の千雨が現れる。
「ふう、全身を氷の膜で覆って何とか事なきを得たぜ」
まだまとわりつく石になった氷の膜をはがして、周りの状況を確認する。
「……夕映がいねえな。茶々丸はオーバーヒートしてたから見逃されたか」
木乃香に明日菜、刹那とネギは部屋にいなかった。千雨と同じように防御していたちびチルノも石の殻を割って取り出しておく。
「待っててくれよ、みんな」
そうして着替えをすませた千雨は茶々丸をけり起こした。
「千雨さん! 今さっきみんなの悲鳴が!」
悲鳴を聞いて駆け付けたネギに状況を説明する千雨。
「夕映が部屋にいたはずなのにいなくなってる。攫われたか、逃げたかのどっちかだと思う。先生は木乃香たちがどこにいるか知らねえか?」
「ええっと、確か長がちゃんと魔法のことについて説明するから、部屋に呼ぶって言ってました。アスナさんと刹那さんは……」
「兄貴! 姐さんならカードで念話できるはずだ!」
カモがトラウマを乗り越えて千雨の前に姿を現す。千雨も緊急事態なので特に何もしない。
「そうか! 『念話』! アスナさん! 無事ですか!?」
どうやら木乃香も一緒らしいことが判明。刹那がいろいろと気持ちの整理をつけるために一人でお風呂に向かったとのことで、まずはそこで合流することにした。
浴場に向かう途中、刹那が飛び出してきた。
「あれ、刹那さん? お風呂に行ったんじゃ!?」
「ただならぬ気配を感じて飛び出してきました。何があったんです!?」
「それが、みんな石にされちゃって――」
そこで、石が動くような音がする、一同が振り向くと、下半身が石化している詠春がそこにいた。
白い髪の少年に気を付けること、学園長に救援を求めるようにと二つの言葉を残したあと、全身が石化してしまった。
ネギはすぐさま携帯電話を取り出して、浴場に向かいながら学園長に電話をかける。
千雨もその様子を見て、最近登録したばかりの番号を呼び出す。
「千雨さんはどちらに電話を?」
茶々丸の疑問に千雨は答える。
「頼りになる友達がいてな! ちょっとそいつに助けてもらう!」
「なんだジジイ、マヌケ面して」
「エヴァンジェリン。ネギ君たちの救援に向かってくれんかのう?」
「いや、無理だろう。呪いを解かんことには麻帆良から出られないし、何よりいま私は……」
「孫の危機じゃし、わしも頑張らんとのう。ちょっと待っておれ、何とか呪いの精霊をだまくらかしてみる」
そういって準備を始める学園長。
「いや、今の私は本当に弱っているから、行っても役に立たんと思うぞ?」