親書とやらも渡したし、木乃香もどうやら実家にいると安全らしい。ミッションクリアーということでなんか宴会が開かれる。
その前に千雨は、どうにかしてちびチルノを消すために魔法関係者に相談することにした。相手は関西呪術協会の長、木乃香の父、詠春である。
「君が放出する莫大な魔力によってちびチルノ君は維持されているようなので、魔力の放出を止めればおのずと消えるでしょう」
「無意識で放出してるみたいなんですが、どうやって止めればいいんですか?」
「……無意識ですか? 魔力の扱い方がわからないのですか?」
「これっぽっちも」
「……無意識でこれだけの勢いで放出……ナギ、いやこのか以上……」
取り敢えず魔法を学んでいけば無意識の魔力放出も止められるようになるだろうとのこと。修学旅行が終わったら学園長に相談するように言われた千雨。どうやらちびチルノとは長い付き合いになりそうだ。
宴会待ちしていた5班の面々がちびチルノのせいで魔法の存在を知ってしまった。他にもいろいろばれたが、千雨がチルノであることは信じてもらえなかった。
「さくらざきー! お前天狗か?」
「い、いえ、違います……」
「鳥みたいな羽あるのに天狗じゃないの? じゃあ鳥の妖怪?」
「えっ」
「何で白いの? こういうのカルビーっていうんだっけ?」
「い、いや私はアルビノで、ってあああああああ!!」
戻ってきた千雨はまたも頭を抱えることに。
「何で桜咲は羽出したまんまぐるぐる巻きに縛られてるんだ?」
「せっちゃん掟がどうのこうのいうて失踪しようとしてたから、止めるためにやむなく」
木乃香がきもちえー、と刹那の羽にほおずりする。ビクビク痙攣する刹那。
刹那が何か顔を赤くしてブツブツつぶやいていたので、千雨は耳を近づけてみる。
「……ああん……このちゃん、だめ……ダメや、ああッ……ウチもう……」
聞かなかったことにした。
宴会で酔っぱらった千雨。
「チルノでーす!」
「ちびチルノでーす! サイズチェンジ!」
ボンっ! とチルノと同じサイズになるちびチルノ。
二人が腕を組んでぐるぐる回り、ピタリと止まって声を合わせる。
「どっちがチルノだっ!」
このかが答える。
「右や!」
「ハズレ! 左がチルノだ!」
またまたボンと音を立てて右のちびチルノが元のサイズに戻る。
その光景を見ていた詠春。
「制御できているような気が……」