ネギたちを助けに行ったのだが、刹那が彼らが最後にいたと証言する場所がボロボロになっていた。
「ウチの実家までの道が壊されてる!」
呆然とした木乃香の復活を待っていたら、5班とか朝倉とか茶々丸につかまった。いつの間にか刹那と千雨の荷物にGPS携帯を紛れ込ませていたようだ。
「ていうか、人間が一瞬で凍るとか千雨はいったい何をしたのです!」
夕映が千雨に詰め寄る。千雨は魔法関係が内緒なのでどう説明したらいいものか悩む。ネギがチルノを必死に隠そうとしていた時も同じような気持ちだったのだろうか?
「えーと、……妖精パワー?」
結局真実をいうしかなかった。もう妖精の存在は麻帆良では誰でも知っていることだし。
夕映の目がちょっと胡散臭いものを見る目になったので、千雨が焦る。
「嘘じゃねえよ。麻帆良中を騒がしてる妖精の正体は私なんだよ」
朝倉から昨夜のことを責められることを覚悟して、千雨は真実を告げる。
「またまた~」
全員から嘘吐き扱いされた。魔法関係を知っているはずの刹那、茶々丸まで一緒になって生暖かい目で千雨を見る。
「どっからどう見ても違うじゃない」
朝倉が所持していたチルノの写真を取り出して、千雨に同じポーズを取らせる。
「背格好とか顔立ちとか声とか似てるけど、やっぱ別人だよ」
「妖精さんはまさしく神秘のオーラ纏ってるよ」
もしかしてチルノモードで電話に出たりしてもびっくりされるのだろうか。
千雨がかわいそうな子扱いされていたところで、周囲を警戒していたらしい刹那が何かに気が付く。どうやらネギが来たようだ。無事であることにホッとする刹那と千雨。
「まって、まってくださーい!」
まるで誰かを追いかけているような声を出しながら、走ってくるネギ。
「やっぱり! あたい発見!」
どこからともなく聞こえる女の子の声。よく目を凝らすとちみっこい何かがネギの前を飛んでいる。
「よ、妖精さんやー!」
木乃香が嬉しそうに声を上げる。
「ああああああああ!! やっぱり見つかったー!」
ガックリするネギ。ネギの前を飛んでいた何かは一同の前で宙に浮かびながら自己紹介した。
「あたいはちびチルノ! サイキョーのしきがみだっ!!」
一拍おいて騒ぎ出す少女たち。千雨はちびチルノの『サイキョー』の一言に愕然とする。
「どうしたあたい? お腹でも痛くなったのか?」
ちびチルノが千雨の心配をする。
「ああ、お前を見てから頭痛と胃痛がしてきたよ……」
「あ、おうどんたべたくなってきた」
「頼むから消えてくれ」
千雨の切なる願いは、叶わなかった。