ゲームとやるという話を聞いた千雨は、主催者らしい朝倉和美に詳しい話を聞きに来た。
「はあ? ネギ先生とキスするゲームぅ?」
「そそ、上位入賞者には豪華賞品プレゼント。トトカルチョもやるよー!」
「はあ……」
「あれ? 興味ない?」
「うーん、のどかに悪いような……」
「いいじゃんいいじゃん、ゲームなんだから。十時半までは参加受け付けるから待ってるよー」
準備に忙しいらしい朝倉を見送って、千雨はトコトコと班部屋に戻る。
ドアを閉めた千雨は、一転して黒い笑みを浮かべる。
「面白いことになりそうじゃねえか」
「ま、まさか千雨さん……参加するのですか!?」
茶々丸が愕然とする。どこか非難しているように聞こえるのは気のせいだろうか?
「別にキスするわけじゃねえよ。いろいろ引っ掻き回させてもらうだけさ」
千雨はどうやって自分的に面白い展開に持っていくか考え始めた。
「……ククク、全員正座っつーのも悪くねーかなぁ」
「桜子、あんたまだどこにかけるか決めてないの?」
「うーん、どこもなんだかピンと来ないんだー……」
ゲーム開始。
『――おや、どうしたことだ! 6班代表の千雨選手の姿が見えない! これはいったい!?』
物陰に隠れた千雨はチルノモードにチェンジ。勢いよく走りだした。
『な、なんだぁ!? ……これはまさか! 妖精だ! 妖精が現れたぞ! 何が起きている!』
千雨はダッシュで移動して、標的を探す。
「見つけたぁっ!」
『なんと妖精が鬼の新田に枕を投げつけた! 馬鹿にしている、挑発しているぞ!』
新田を怒らせた千雨はダッシュで逃げる。
『これはチャンスか!? 妖精が新田を引き付けている間に……いや、違う! 新田の移動スピードが上がって、見つかる危険性は大きく跳ね上がった!』
「ヒャッハァ! ゲームモードはLunaticだあッ!」
『各班、新田の怒鳴り声を聞いて逃げる逃げる! これはもはや手が付けられない!』
追いかける新田を誘導し、千雨は目的の場所にたどり着いた。
『妖精がピタリと止まった! 追いついた新田が、え、ちょ、もしかしてここって――』
千雨は実況中の朝倉を女子トイレから引っ張り出して新田にぶつける!
「ぎゃあああっ!!」
「な、朝倉ッ! お前、部屋の外のトイレで何を……。なんだこの機材はっ!」
各班のゲーム参加者を映すモニターを見て、3-Aの生徒が遊んでいることを知る新田。
『お前たち全員ロビーで正座だっ!!』
新田の怒鳴り声がテレビから流れた後、千雨の指示で部屋に戻っていた夕映はテレビの電源を切った。
「……さあ、みんな寝るですよ」