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No.31193の一覧
[0] 【ネタ】第六天魔王と第六天魔王様々様!(織田信奈の野望 × ドリフターズ)[確変](2012/07/16 14:10)
[1] 2[確変](2012/01/16 16:28)
[2] 3[確変](2012/01/30 00:10)
[3] 4[確変](2012/02/22 15:34)
[4] 5[確変](2012/02/22 15:07)
[5] 6[確変](2012/07/09 01:18)
[6] 7[確変](2012/07/16 14:10)
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[31193] 6
Name: 確変◆563cbb8b ID:a67b6a9e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/07/09 01:18
 遅れて投稿誠に申し訳ございません! (土下座)。
いや、ホント色々ありまして……。PCぶっ壊れたり、パチスロで知ったto heart2に今更ハマッてさーりゃんや委員ちょにうつつを抜かしたりと。あっちへフラフラこっちフラフラしている内に気がつけば織田信奈の野望のアニメ放送日になってしまいました。
 そしてそれでも、待ってくれている人がいると知りこの度一念発起で急いで書き上げました。

 もう一度謝罪させていただきます。遅れてしまい誠に申し訳ございませんでした!




「フハハハハッ! 呑めい呑めい!! 」

 隻眼の男が盃を振り回し。

「モクモクモクモク…………」

 少女は淡々と料理を頬張り。

「おお! これは何という料理ですか?! とっても美味しいですぞ!」

 幼女が舌鼓を打てば。

「はて、これは何の宴だったかの?」

 枯れきった好々爺が一人ボケていた。

 場所は清州城の城下町。下級武士たちの集う、ある長屋では今宵、盛大なドンチャン騒ぎ。もちろん主催はあの男、果てさてここに至るまでの経緯を知るには、信奈達が蝮との会談を終えて清州城下へと戻ってきた辺りへと時間を戻す必要があった。


* * *


「着いた。ここがノブの住む家」
「…………で、あるか」

 織田家小姓の犬千代に連れられた先にある一軒の長屋(現在で言うところのアパート)に、信長は何とも微妙な表情を浮かべる。
 雑然とした碌に生垣もない長屋。試しに中に入ると床はギシギシと盛大な狂演を奏でる上に建てつけが悪いのか雨戸を閉めるのにも一苦労するほどに貧乏くさいものであった。名を「うこぎ長屋」という。

「(そうかぁ、“この頃”の儂に仕えていた下級武士たちって、こんな処に住まわされていたのか。…………もちっと、マシなもんにしてやるべきだったかの?)」

 異なる世とはいえ『織田は織田』。まるでかつての悪い点を改めて教えられているような自身の現状が、先の微妙な心境を産む原因。
 そこへ犬千代が「文句あんのか?」とでも云わんばかりに、ねめつけながら押し黙っている信長に訊いた。信長の長屋を見詰める表情が、長屋に不満を持っているように見えたらしい。

「……信奈さまが与えて下さったお家に不満?」
「いんや、雨風を凌げるのなら文句はにゃあて」

 これは信長の嘘偽りの無い本心だった。
 国主の嫡子として生まれ、紆余曲折を得ながらも“一応”は成功の道を歩んできた信長であったが、こと衣食住の住に関してはそれほど強く固執していたわけでもない。確かに、南蛮人を驚かせるほどのデカイ城を造り自室も南蛮風にこさえたが、それは民への象徴と敵から自分の命を守るためのものであり、南蛮風の部屋も趣味の延長にすぎない。

 信長も餓鬼の時分には、近隣の悪タレどもを率いて山で寝泊まりしたこともあるのだから、寧ろこのうこぎ長屋には懐かしさのようなものも感じられた。

「は~、どっこらしょっと!」

 どさりと、もう何年も張り替えていないような畳の上に横になって、開け放たれた障子の方向に足を向ければ、埃とカビのような臭いが入り混じったものを感じられる。そして薄暗く湿っぽい長屋の障子の向こう側、貫くような青空を望めば一羽の鳶がゆるゆると旋回を繰り返していた。

「ふぅ」

 悪くない気分だった。天下統一を夢見て傍若無人の限りを尽くし刃向う者は皆殺しと、かつての世界で周囲に敵ばかりをつくってきた信長にとって、枕を高くして眠れる日々はそうそう無く。今の何者でもないノブとして、こうやって誰にも命をつけ狙われることなく安然と横になれるのは、何とも心地が好かった。



「ん? ―――― むぅ、眠うてしまったか」

 ほんの一瞬 瞼を閉じただけのような気がしたが、目を開けば障子の向こう側の青も朱へと変わっている。気付かぬ内に長いこと眠っていたのが窺えた。

「……起きた?」
「おう。このペランペランの座布団、お前が敷いてくれたのか?」

 頭の下に敷かれていた座布団を指しながら云うと、犬千代はコクリと頷く。無愛想な様相とは反対に、案外 甲斐甲斐しい性格なのかもしれないと信長は思った。……犬だけに。

「イヤハヤ忝(かたじけな)い。お陰で、首が痛くて痛くて仕方が無いぞぅ? フハハハ!」
「人の気遣いを無下にするのは良くない。ノブは嫌な奴」
「若い内から冗談を真に受けていると、“大きく”なれんぞ?」
「…………胸なんてただの飾り」

 別段、胸のことについて云ったつもりは毛頭なかったが、冗談を云った時よりも眉間にしわを寄せて、ムッとさせて顔を背ける犬千代。どうやら自分の小さな胸に対しコンプレックスを感じているらしい。…………需要あるのに、勿体ない。

「いやいやいや! 勝家のことを考えてみろ? あいつは一見 堅物だが、其の実 猪武者が本当の処だ。あいつのように小さなことに囚われず生きておれば、心もオッパイも大きく豊かになるに違いない。
 だから犬千代も無表情だけじゃのうて、偶には思いっ切り笑ってみろ! そうすりゃあ、オッパイも『たゆんたゆん』に成るだろう」

 それに、笑った顔の方が断然、儂は似合っておると思うぞ? と、付け加えてニカリと笑ってみせながら云った。

「…………タユンタユン」
「おう、タユンタユンだ」

 両手を胸に置き「じい」と、自分の胸に視線を送る犬千代。多分、いまの彼女の脳内では、将来の栄えある自分のオッパイの未来予想図が生まれているのだろう。

「ま、それも冗談なのだが」
「…………ガックシ」

 しかし、そんな乙女の夢すら粉々に粉砕する信長。
 胸に置かれた手は宙ブラリンとなり、がっくりと肩を落としうな垂れながら犬千代は、半分だけ顔を信長に向けて「やっぱり嫌な奴だ」と、睨みつけて言う。

「だが、笑顔の方が似合っているというのは本当だぞぅ?」
「………… ノブは“変な奴”だ」

 それすら冗談に聴こえるが、悪い気はしない犬千代であった。



* * *



「浅野さまのところへ挨拶に行く」
「浅野……長屋の長か?」

 言いながら信長は思い出す。浅野といばサルの嫁となる「ねね」の養家である。後に、浅野家は秀吉の親類となったことで広島藩浅野家となるが、本能寺で没した事になっている信長は、当然そんな事は知らず只ねねがいるということぐらいしか覚えていない。

「んじゃ、行くとするか? それと飯はどうする?」
「帰ってから支度する…………うこぎの葉っぱの吸い物は、直ぐにできる」

 うこぎ長屋の名のとおり、ここの長屋の生垣はうこぎでできている。食用のうこぎは、満足に食べていくことのできない下級武士たちの貴重な食料とされ、根っこは煎じれば薬ともなる。そのため、生垣のうこぎは所々の葉が毟られており、生垣としての役割は最低限のものであった。

「吸い物か、俺ぁ、味噌和えの方が好きなんだがな」
「文句言わない。ノブも信奈様に御奉公すれば御給金が貰える。そうすれば、お米もお味噌も買える、だから頑張る」


 犬千代を先頭に歩き出す。夕暮れ時の長屋の前を歩くと所々から夕餉の香りが漂い、小さな家屋から家族の団欒が微かに届いてくる。
 『世界は違えど家族というものは何処も同じ』。そう信長は感じながら、ふと見上げた先に在る夕焼けもそこに浮かぶ箒で引っ掻いたような筋雲も、前の世界で観た光景と何一つ変わっていなかった。温かく、唯そこに在るがままに悠然と空を漂っていた。

「着いた」
「ここか……」

 長屋の長の住まいといっても他と大して変わらず、柱に適当な板をくっつけた様な佇まいがポツンと信長たちの前に建っている。唯一違う点を挙げるとするならば、雨戸が多少真新しいということぐらいだろう。やはり年寄りに冷えは大敵らしい。

 「御免」と犬千代が声をかけてから戸を開くと、部屋の真ん中に在る囲炉裏にあたっている老人がチョコンと座っていた。

「おうおう、信奈さま。すっかり大きくなられたのぉ」
「……違う。犬千代」
「おうおう、犬千代じゃったか。この前までめんこい柴犬じゃったのに、すっかり人間に化けてしもたのぉ」
「……元から人間」

 枯れきった感じの好々爺の大ボケに冷静に訂正する犬千代。その様子を見て信長はおもわず犬千代に耳打ちで尋ねる。

「(……おい、この爺さんが本当に長屋の長か? 大分、モウロクしちまってんぞ)」
「(大丈夫、こうみえても浅野さまは、長屋の管理はきちんとしてる)」
「ところで犬千代や? そちらの御仁は誰かの」

 一見すると、とても長屋を管理できるような感じではないが、住まいを借りる身として信長は挨拶する。

「御初お目にかかる浅野殿。それがし織田家新参者のノブに御座る。信奈様のご配慮により本日よりここの長屋の一室を借りうけることとあいなった。よろしくお頼み申す」

「あ~、そんな畏まらんでもええ。それより、空いとった部屋は犬千代の隣じゃったかの? あそこの部屋は長いこと誰も使っておらなんだ。一度、畳をお天道様にあてんと、シラミが湧いとるかもしれんぞ」
「うわっ、マジか?!」

 それを聴いてか、隣に座っていた犬千代がススっと信長から距離を開ける。どうやら、この好々爺が長屋の管理はきちんとしているというのは、確からしい。

「あ~、今ン所は大丈夫だな、特に痒くもない。おい犬千代、明日畳干すから今晩泊めてくれ。シラミがいちゃあオチオチ寝てられん。」
「……駄目、貞操の危機」
「あん? 心配せんでもええわい。おまえみたいなチンチクリンに手を出すほど餓えては……」

 ギュウと言葉の途中で信長の腿のあたりを思い切り犬千代に抓られる。

「痛テテ、わぁったよ! なら、旨いもの奢ってやっから、それでひとつ手を打ってはくれんか?」
「美味しいもの―――― 、一晩だけならいい」
「決断、早えな!?」

 彼女の心の天秤があっさりとこちらに倒れ込んだのに驚かされたが、シラミからの危機を何とか脱することが出来た信長。そうと決まれば話は早いとばかりに立ち上がる。

「んじゃ、ちょっくら行ってくる。犬千代、おまえはここで待っておれ」
「……お金、大丈夫?」

 「心配せんでもええ」。それだけ言い残して、信長は足早に外へと駆け出していった。



「戻ったぞぅっと、ととと!」

 味も色も薄く、湯に近い茶を啜りながら犬千代が浅野と囲炉裏を囲んでいると、外へと出ていた信長が半刻もしない内に足で戸を開けて戻ってきた。その両の腕には抱えきれないほどの荷物と背には大樽を背負っていたためバランスを崩しかける程の量であった。
 包みを広げれば、肉や魚、山菜などの色とりどりの食べ物に加え、果ては甘味や果実など実に様々な料理が並べられた。そして極めつけには、背の大樽の中身も中々に上物の酒とあっては、犬千代も疑いの眼差しを向けて訊いてしまう。

「盗んだ?」
「馬鹿を云え。ちゃんと買ったワイ!」

 これは嘘偽り無く本当のことである。確かに信長は、今となっては下級武士の新参者に過ぎないが、かつていた世界では天下統一まじかの大大名で超セレブ。こっちの世界に持ってきた物品も、それはそれは値を張る一級品ばかりだったのである。
 信長はその中から、現在の清州城下の経済でも妥当な値の付けられる“そこそこの品”を売り(それでも多額の値がついた)、こうして食料を買い揃えてきたのである。まさに、今の信長は『強くてニューゲーム』の所持金ウハウハ状態なのは言うまでもない。

「しっかし、買いすぎたかな? 軽く宴が開けるぞ……ん?」

 宵越し銭は持たないとばかりに買い込んでしまった食料を前に少々頭を悩ませる信長。その隣には眼をキラキラさせながら、今にも涎を零しそうなほどに嬉々とした声をあげる少女が居た。

「わわわ、これは何という食べ物ですか?! とっても美味しそうですぞ!」
「コレコレ、“ねね”や、はしたないぞ?」
「あう、申し訳御座いません爺さま」

 お預けを喰らった犬のように少女はシュンとなって、料理から離れると浅野の隣に腰を掛ける。

「お見苦しい所を見せてしまったのうノブ殿。この子はねねといっての、儂の養子じゃ」
「(ほう、この娘がの……)いやいや、お気に召されるな浅野殿。それよりも、ねねと申したか、儂は此の度お館様に召抱えてもらったノブという。これからよろしく頼む」
「おお! では、あなたが皆の噂していた狒狒様で御座いますか!? ねねの方こそ宜しく頼みまするぞ!!」

 元気が良く、十にも満たないであろう子だが何とも耳の速い子である。あの猿を立てて、支えていった女房なら納得であった。ちなみに余談ではあるが、秀吉とねねが結婚した時、秀吉は二十五歳でねねは十四歳だったという。現代だったらまごうことなき犯罪である。おまけに恋愛結婚…………リア充、爆発しろ。

「よしッ! 食い物ん腐らせても勿体ない。犬千代、長屋に戻って寝ている奴ら叩き起こしてこい! いっちょお近付きの印に酒宴でも開こうではないか!」

 こうして話しは冒頭へと移り。急きょ浅野宅で開かれることとなった、下級武士たちによる宴会の席。無礼千万、格式なんぞ糞喰らえのドンチャン騒ぎの宴会は佳境へと入る。
 それと同時に、楽しい時は束の間とばかりに、この宴の席に陰を注すある人物が迫っていた。

 ――――― かつての信長の苦々しい思い出を引っ提げながら。




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