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No.31193の一覧
[0] 【ネタ】第六天魔王と第六天魔王様々様!(織田信奈の野望 × ドリフターズ)[確変](2012/07/16 14:10)
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[31193] 3
Name: 確変◆563cbb8b ID:c9b6435b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/01/30 00:10
 やばい。2巻だけが近所の書店に置いていない……。今話は、フリーダムノブノブと一応シリアスノブノブが登場します。あと、少し「無理あるんじゃね?」的な所もあります。それでも良いという方は、宜しければ読んでいって下さいまし。





「お~い、お前等」

 右の手をシュタ! と挙げて村人たちのもとへ歩みながらフラフラと近寄って来る信長に、村人たちは「何だこいつ?」と云わんばかりの視線を向ける。
 焦げくさい匂いを漂わせ、元は上質なものであっただろう衣類は汗と煤で見る影もなく。おまけに右目の眼帯がおおよそ“侍らしからぬ雰囲気”を醸し出しており、信長の風体は「主君がうつけなら、家臣もまたうつけ」と、村人たちの眼にはそう映っていた。

「おい、お前等 聴いてんのか? 返事ぐらいしろよコノヤロー」
「はいはい、“かの有名”な織田家のお侍さまが、この様な辺鄙な村に何用で御座いましょうか? 我々はこれより龍神さまに贄を捧げる儀を執り行うところなのですが」

 言葉こそ丁寧そのもので、一見すると恭順する姿勢を取っているようにも視えなくもないが、今の村人の言葉を要約すると、

『あん? 尾張のバカ殿んとこの野郎が何の用だよ? こっちは大事な儀式があるから忙しいんだよ。とっとと用件云って失せろや』

 となる。当然 数多くの修羅場や嫌味な奴との面通しを経験した信長が、この村人の言葉を履き違える筈もなく。信長の額には怒りの血管マークが浮き彫りになり。口端がピクピクと反応する。

「(こんにゃろう……、人が折角、“ふらんく”に接してやったらツケ上がりやがって)……なに、お主らの大切な儀というものについて、訊きたい事があっての」
「なんでございましょう?」

 深呼吸を一つ。信長は怒りを鎮め冷静さを取り戻すと、贄となる娘と池を指して云った。

「何故、お主らはかような娘子を池に捨てるのだ? 中々の上玉ではないか、勿体ない」
「なっ!? 捨てるなどとは、とんでも御座いません! この娘は龍神様への供物として捧げ、その身をもって村を災厄から守る要となるのです。断じて、そのようなことは仰らないでいただきたい!!」

 口調を荒げ、怒りを顕にしていることからも、どうやらここの村人は『龍神』とやらを本気で信じているらしい。まぁ、ここまでは計画通りだと、信長は『したり顔』で顎鬚を撫でながら意地の悪い笑みを浮かばせる。

「では問うがの。一体誰が、何時、それも女子を龍神に捧げなくてはいけないと決めたのだ? 村を護るために贄が必要なら、男も女も関係無しにお主がいけばよかろう。贄となって村を災厄から守れるのなら、お主も本望であろうて?」
「うぅ……」

 捲し立てるように問われ息詰まる農民。所詮はこんなものである。
 何かに対し妄信しているものは、大概 外部からの問いに応えることに窮する。これまで閉塞に「こうしなくてはならない」と盲目的に信仰していたが故に、いざ理論的な問いへの答えが用意されていないのだ。

 そして、こういった者たちが最期に取る手段もまた限られてくる。

「じゃ、じゃあ、『贄を捧げるな』というのか?! もしそれで龍神様の怒りを買って災厄が起こったら誰が責任をとるっていうんだ? アンタが取るのか!?」

 つまりはこれ“責任転嫁”。
 今まで信じてきたことが無意味に帰すことへの恐怖と、贄を捧げない場合に何が起こるのか解からない未知への恐怖。村人たちにとって龍人への生贄とは、しょうもない博徒の「験担ぎ」(ジンクス)と大して変わらない。

 ―――― 例を挙げるとしよう。博徒が験担ぎをして勝った場合、「験担ぎのお陰だ」と賞賛し、験担ぎをしないで勝ったら「儲けもの」。負けた場合は「験を担がなかったせいだ」と負けを験の所為にする。しかし、いざ験を担いで負けたとしても「まぁ、こんな日もあるか」と不思議と納得してしまう。要するに博徒にとって験とは、負けた場合の『心の逃げ道』である場合が多いのだ。

 故に彼らは、“験=龍神”と、村へ災厄が降りかかる恐れを誰かの所為にしないと不安で不安で仕方がなくなり、博打打が験を担ぐのと同じ感覚で娘子を池に放りこんできたに他ならない。

「それでは、この儂が直々に試してやろう。その『龍神の怒り』とやらをなぁ、ヒヒヒヒ」
「はぁ?」

 信長は袴の腰紐を解きその身に纏う着物を脱ぎ棄てフンドシ一丁となった。
 齢50近くとなっても余分な肉をつけていないその勇ましい肉体に、男どもは口をあんぐりと開け。女は掌で目を隠すが、隙間からバッチリ観察しながら「キャアキャア!」と喚いている。
 そして信長は、この盲目の村人たちの眼に再び光を取り戻させる為に、体を張った行動に出た。

「と――ッ!」

―――― ザブン!

「ぶはぁ!」

 『口で言っても解からないなら、身体で判らせろ』とでも云わんばかりに信長は、あろう事か件のおじゃが池へと飛び込み。池の水を全身に浴びて、手で隈なく身体を洗いはじめたのだ。
 汗と垢が水の中に溶け込み、初夏の日差しで火照った身体が程良く冷まされていくそう爽快感に信長は、さも気持ち良さそうに云う。

「お館様も如何ですか? この池の水は澄んでる上に、“ちべたくて”心地がよいですぞぅ!」
「遠慮しておくは、狒狒! わたしは城に帰ってから湯浴みする予定だからね」

 馬上から様子を見ていた信奈も流石にこれは予想外であり、豪快に笑い飛ばしながら信長に応える。この狒狒はいったい次になにをしでかすのか? と、興味津津に目を見張る。

「うぅむ、ついでに“せがれ”も洗っておくか」

 腰上まで水に浸かり、フンドシ取ると股間に手をあてがいワシャワシャと“ナニ”を丹念に洗いはじめる。そこでようやく、信長の行動にフリーズしていた村人が我に返り、怒声を発する。

「あ、あぁああ、アンタ! 何をしてくれる!! そんなことを仕出かして、龍神様の怒りをかってバチが当たっちまうぞ!」

―――― ピシャン!

「うぇっ?!」

 信長が投げつけたふんどしが、村人の顔面にクリーンヒット。水分をタップリと含んでいた為に甲高い音を奏でる。
 それを池から上がった信長は、村人の顔面に貼り付いていたふんどしを剥がすと、水けを絞ってから腰に巻いた。

「き、汚ったねぇな! 何てことしやがる!!」
「なんだ、怒ったか?」

 あたりまえだ! と吼える村人。百姓としての意地と男のプライドが、身分の差すらも越えて信長に喰って掛る。

「まぁ、当然だにゃあ。儂でもんなことされれば怒るわい、いや『人ならば』誰しも怒るだろうな……。だが、龍神とやらは怒ってはおらんぞ? お主以上に非道なことをしたというのに。ほれ! あの水面の如く穏やかなままじゃ」
「それは、今すぐという訳じゃ……」
「では何時、龍神の怒りが儂の身に降りかかる? 明日か、明後日か、それとも来年か?」

 信長に気圧されて徐々にたじろく村人たち。オーラ、覇気、呼び方は多々あるだろうが、信長の身体から発せられる『それ』は、和紙に墨をおとすかのように周囲の雰囲気を一変させる。

 今や村人は龍神よりも、目の前に立つフンドシ一丁の男を畏れていた。

「ええ加減にせぇよ、お前等。人間 生きていりゃあ、辛いことの一つや二つ有るもんだ。それを飢饉や不幸の度に、やれ『神の怒りの所為』だのと―――― それこそ、神に対する冒涜ぞ!」
「うぅ……」

 これでいい、もう王手だ。信長の目にはそう映った。村人たちの眼は神への盲目的なものではなく、『人間らしい』不安いっぱいの顔つきになっている。

「で、では、我らは一体どうすればよいのですか?! もうこの村じゃ、龍神様に縋るほか無いのです!!」

 この問いに、信長は詰みの一手を放つ。

「それこそ、簡単のことよ! 神に縋るのを止めて、人に縋れば良い!」

 信長は信奈を指して云う。

「ここにおわす織田信奈公は、今でこそ尾張の小国の大名に過ぎぬが、いずれは天下を治める御方! その御方が、なぜ直々にこんな辺鄙な村まで視察に訪れたと思うておる?」
「な、何故で御座いましょう?」
「お館様は、天下取りの手始めに今川を討つ。そして、三河、遠江、駿河を平定した暁には、ここいらの山を開拓し尾張とを結ぶ街道を設ける所存だ」
「おおっ!」

 徐々に村人たちの心の針が、こちらにと傾いてきているのが在り在りと視える。誰しもが、あやふやな存在の神よりも可能性のある『明るい未来』に心を奪われていた。

「だというのにお主らは、未来を担う若人を殺しておる! お館様はそれに嘆き、村のためを想ってここへと参ったのだ! ほれ頭が高いぞぅ、面を下げぃ!!」
「こ、こんな村の為に、尾張の大名様は御心を割いて下さったのですか……」

 ははぁ! と、ある者は涙し、ある者は感激に心を打ち震わせながら頭を垂れる。最早、村人たちの心の中に龍神は居ない。在るのは、織田信奈という『人』への忠誠心だった。

 本当のところ信奈は、馬鹿な村人に神はいないことを教えてやるつもり“だけ”だったが、贄を止めさせ更に忠誠を得たのだから、これはこれで悪い気はしない。
 それに、信奈は信長の人心掌握もしくは、話術とでも言うべき能力を高く評価しつつあった。仮に池の水をすべて汲み上げたところで、村人は龍神がいないということを理解しても“こう”は成らなかったであろう。

「よいな? もう贄なんぞに人足を欠くような真似はするでないぞ」
「滅相も御座いません! 織田信奈様のお優しい御心遣いを無下にするような真似は、今後一切いたしません!!」
「うむ、ではお館様! 我らもそろそろ暇……、むっ?」

 何かを見付けたのか。信長は再び踝(くるぶし)の辺りまでおじゃが池に入り、ジッと水面を眺める。

「ふんっ!」

―――― ザバァ!

 熊のように水に手刀を入れ、一匹の魚が陸に打ち上げられる。

「こ、こりゃあ……」
「『鯉』だな。これがお主らの崇めておった龍神の正体じゃろう。見よ、今の今まで池に投げ込まれてきた娘子たちを喰ろうて、まるまると太っておるわい」
「こ、こんなものの為に……」

 龍神の意外な正体を知り、愕然とする村人に信長は云う。

「後悔先に立たず。娘たちに悪いことをしたと思うなら、村のためになることを今一度 真剣に考えよ」

 それこそが、池に散っていった娘たちへの供養となろう。そう、言い残して信長たちはおじゃが池を後にしたのであった……。



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