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No.31089の一覧
[0] 【一発ネタ】 もし平賀才人が色々と超越する筋肉をもっていたら 【ゼロ魔才人魔改造】 [義雄](2012/01/05 03:00)
[1] 【一発ネタ】 もし平賀才人が次元を超越する筋肉をもっていたら 【ゼロ魔才人魔改造】 [義雄](2012/01/06 22:03)
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[31089] 【一発ネタ】 もし平賀才人が色々と超越する筋肉をもっていたら 【ゼロ魔才人魔改造】
Name: 義雄◆285086aa ID:b6606328 次を表示する
Date: 2012/01/05 03:00
このお話はフィクションでファンタジーでおバカです。
実在する人物、団体、物理法則、異世界、クリストファー・リーヴ、筋肉とはあんまり関係ありません。
新年一作目がこんなお話でなんかごめんなさい。才人のビジュアルは各人の想像にお任せします。
※このSSは小説家になろう様にも投稿しています。




 むかしむかしあるところに、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールという女の子がいました。
 ピンクブロンドのふわふわした髪の毛に、絶世の美少女と言わんばかりの容貌、学年トップの明晰な頭脳を持ち合わせた、神さまからたくさんの祝福を受けた女の子です。
 だけど、彼女にはたったひとつ欠点がありました。
 高飛車なところ? スタイルに恵まれないところ?
 いいえ、個人の嗜好によっては長所となりえるところじゃありません。
 彼女は魔法が使えなかったのです。

「わたし、ゼロじゃないもん……」

 魔法が使えないものは貴族と認められないトリステインです。家族の風当たりこそ厳しくないものの、プレッシャーは感じてしまいます。
 おさないころから、日々おこたることなく彼女は魔法の特訓に励んでいました。
 雨にも負けず、風にも負けず、姉のいじわるにも負けず。十年近く努力をかさねました。
 それでも彼女は魔法が使えません。

「わたし、ゼロなのかなぁ……」

 親ばかなヴァリエール公爵は、魔法学院に一縷の望みをたくしました。
 そこの学院長であるオールド・オスマンならなにか手がかりをつかんでくれるのではないかという期待があったのです。
 ですが、どんな授業を受けても、図書館の本を読んでも、彼女は魔法が使えません。すべて爆発になってしまうのです。
 一年間、なんら進展がみられないまま時間だけが無情に過ぎていきました。

 翌日に召喚の儀式を控えた夜、ルイズは夜空に浮かぶ双月を見上げていました。
 明日失敗すれば落第です。そうなればきっと実家に連れ戻され、結婚を強いられることでしょう。
 ルイズは結婚自体はイヤではありませんでしたが、貴族の義務を果たせないまま日々を過ごすことには耐えられません。

「始祖ブリミルさま、どんな使い魔でもいいです。明日の召喚がうまくいきますように」

 これまでの人生で一番必死に祈りました。膝をつき、自然、ぎゅっと目がとじて握った手にも力がこもります。
 しばらくそのままの姿勢で、心の中でひたすらにお願いを繰り返しました。
 三十分ほどたったころでしょうか。ルイズはようやく立ち上がりました。

「あ、流れ星!」

 夜空をまっすぐにつっきる光はすぐに消えてしまいましたが、彼女の目にはその美しさが焼きついていました。

「きっとブリミルさまがわたしの願いを聞いてくれたんだわ」

 彼女はウキウキしながらベッドにもぐりこみます。その日、魔法学院に来てから一番深い眠りにつくことができました。





*****





 翌日、ルイズはどきどきしながら使い魔召喚の儀式をむかえました。
 色々な事情があって彼女の順番は最後、ひかえめな胸をおさえながら自分の番を待ちます。
 次々と成功して、人生のパートナーを得ていく級友たちの姿は、彼女にとって少し眩しいものです。
 それでも、けなげな少女はじっと頭の中で呪文を繰り返しながら待ち続けます。

「それでは、ミス・ヴァリエール!」
「はい!」

 とうとう彼女の番がやってきました。
 大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせながら杖を掲げます。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし……」

 ふと、少女は不安に襲われました。
 銀のゲートが出てこなかったらどうしよう。ゲートが出てきても使い魔が来なかったらどうしよう。そもそも爆発したら……。
 その不安は恐怖となり、どうしても最後の文章が紡げません。

「ミス・ヴァリエール?」

 担当教官であるミスタ・コルベールが心配そうに見守っています。
 いつもはルイズをからかってばかりいるゲルマニアからの留学生も、遠くから落ち着きなく見つめています。
 その視線に後押しされて、つっかえつっかえ続けます。

「使い、魔を……召喚…………」

 せよ、という言葉を言ったか言わないかのとき、空に瞬くものがありました。
 ルイズが疑問に思った次の瞬間、目の前の地面が大爆発をおこしました。
 その威力は凄まじく、普段彼女がやるような失敗魔法の比ではありません。地面がめくれあがり、大量の土砂が空中に舞いあがります。トリステイン魔法学院はあっという間に土煙に覆われてしまいました。

「な、なにが起きたんだ!?」

 コルベール先生は視界を確保しようと魔法で風をおこしました。シャルロットというガリアから来た小さな生徒もそれに倣って風をあやつります。
 しばらくして土煙が晴れたとき、みんなは信じられないものを見ました。
 ルイズの目の前に、大きな大きな穴ができていたのです。大きさは十メイルほどでしたが、深さは計り知れません。地下からは轟々と風の唸るような音が聞こえてきます。覗き込んでみても底は全く見えず、火のついた薪を投じても果てしなく落ちていくだけでした。
 また、奇跡的にもけが人はなく、大穴の前にいたはずのルイズですら土まみれになっただけでした。なにはともあれ一安心です。
 それから、どうしたものかとコルベール先生は悩みます。
 なぜなら、使い魔召喚の儀式は神聖なもの。ちょっとやそっとのハプニングでやめるわけにはいきません。ところが今起きている事態はちょっとやそっとのハプニングではありません。残るのはミス・ヴァリエールだけだし、一度中断すべきかと決めかけたそのときです。

「うわっ!」
「ゆ、揺れた……?」

 不可思議な感触が皆を襲いました。
 これは明らかに尋常なことではないとコルベール先生も決意し、召喚の儀式は中断されました。急いでオスマン学院長に知らせたり、学院が上を下にの大混乱に陥っているときも奇妙な揺れはおさまりません。
 あとになってわかることですが、この揺れはハルケギニア中で起きていました。
 そんなことを知らない魔法学院の先生たちは、授業そっちのけで謎の大穴を調査しなければならないと決定しました。
 調査隊には空気を送り込むための風メイジ、ギトー先生。土のスペシャリストであるシュヴルーズ先生。万一変な怪物がいたとき戦うためのコルベール先生が選ばれました。混乱していたこともあってそれが決まったのは日も沈み切ったころ、この暗さでは危ないということで、調査は翌日に持ち越されました。

 その間、使い魔が召喚できなかった少女はほっとかれました。なんせ未曽有の事件です。大貴族とは言え小娘一人にかまっている暇はありません。
 ルイズは仕方なく部屋にこもり、シーツにくるまって色々と考えごとをして、やがて眠りにおちました。





*****





 翌朝、絶好の探索日和です。大穴の淵にたくさんの先生が集まり三人の探検隊を見送ります。
 授業は中止になったので、その様子を見物している生徒もたくさんいました。ルイズもその中の一人です。
 みんなが見守る中、調査隊はフライを唱えます。いざ穴に飛び降りようとした瞬間、信じられないことがおきました。
 大穴から人間が飛び出してきたのです。

「っはー、あぶねーあぶねー」

 それは男でした。一同は誰一人その事実を疑えません。なぜなら、彼は裸だったのです。
 大多数の生徒は美術の時間に習うロマリア彫刻を連想していました。彼は素晴らしく均整のとれた体をしていたのです。隆起しすぎることのない筋肉、絶妙なバランスの肢体、若干背は低いものの人類として非の打ちどころがない完全体です。それでいて顔立ちはおさなく、ハルケギニアには珍しい黒髪の持ち主です。赤髪の女子生徒なんかは思わずじゅるりと舌なめずりしてしまいました。
 彼はきょろきょろと辺りを見まわし、それから自分が裸であることに気づき、慌てて局所を隠しました。それから、その体ににつかわしくない少年らしい声で弱々しく助けを求めます。

「る、るいずぅ~」

 これに驚いたのはヴァリエールさん家のルイズちゃんです。
 穴から飛び出た裸のマッチョマンが自分を呼んでいる、それも明らかに彼女のことを知った様子で。周囲の視線も彼女に突き刺さります。頭の良いコルベール先生は「彼はひょっとしてミス・ヴァリエールの使い魔なのでは?」と凄まじい直感を発揮します。
 この日、彼女はかけがえのないパートナー、使い魔を得ました。





*****





 ムキムキ男は平賀才人と名乗りました。日々筋トレをしまくっているむさい男です。
 でも、彼は平民ながらも凄まじい男だと、一緒に過ごしていくうちルイズは知りました。

 まず、シュヴルーズ先生の授業です。
 ルイズが指名されると、例の如く爆発を起こしてしまいました。
 しかし、才人は爆発の瞬間小石を握りしめ、教室に一切被害を出しませんでした。それどころか予備の小石を全力で握りしめ、鉄の『錬筋』すら成功させます。極限まで圧縮することで原子核と電子がなんちゃらかんちゃらトンネル効果でなんやかんやとルイズにはさっぱりわからないことを言っていました。

 次に、彼は洗濯が苦手です。なんせ筋肉のカタマリみたいな男ですから、微細な作業は苦手としています。ビリビリビリビリ何枚もルイズの高い制服を破いてしまいます。
 これにはルイズも怒りました。罰として鞭打ちをしたり、食事を抜いたり、犬のしつけを参考に色々試してみます。
 ですが、いずれも才人には通用しません。
 鞭打ちしても筋肉の鎧が跳ね返します。終いには鞭のほうが壊れてしまいました。爆発魔法でやっつけようにも目くらましにしかなりません。
 食事を抜いても近くの森に行ってシカやイノシシ、ひどいときにはオオカミやクマを狩ってきて食べました。「筋肉を維持するためにはタンパク質が必要だ」とルイズにはよくわからないことを言いながらもっしゃもっしゃワイルドに平らげていきます。彼にかかっては平民の戦士五人分と言われるオーク鬼すら赤子のようなものでした。
 ついでに言えば、「ルイズももっと食べないと」とわっしわっしとパワフルに少女の頭を撫でます。そのたび彼女は頭が握りつぶされないか、気が気ではありません。もっと言えば撫でられた直後は少しだけ世界が大きく見えます。平民だとか貴族だとかそんなチャチなものは気にしなくなりつつありました。

 さらに、彼はとてつもなく強いです。
 ルイズに対してだけでなく、彼はギーシュやマリコルヌなど他の貴族に対しても異常なほどなれなれしい男でした。
 その気安さが色々と問題を引き起こし、ギーシュはある日才人に決闘をふっかけました。
 結果は言うまでもありません。七体のワルキューレは青銅のソフトボールになってしまいました。
 それがキュルケの琴線に触れ、フレイムに拉致されかけたこともあります。ですが、サラマンダーの力をもってしても才人を引きずることはかなわず、逆にたかいたか~いと持ち上げられてしまいました。虎のように大きなフレイムは重さも相応で、とても軽々ともち上げられるものではありません。後になってルイズが聞いたところ、才人は身長百七十サントくらいのくせして、体重は五百リーヴル(約二百三十キロ)ほどあるそうです。凄まじい圧縮筋肉です。
 学院にフーケがやってきたときもパンチ一発でゴーレムを粉砕しました。フーケの正体がミス・ロングビルであることにルイズは驚きました。だけど、それをすんなり逃がした才人にはより驚きました。彼は「だってテファが……」とごにょごにょ言っていましたが、マッチョマンがそんな女々しく言い訳しても気持ち悪いだけでした。

 最後に、なんでこんなことを知っているんだということも知っています。
 彼はルイズが虚無の担い手であることを見抜いたばかりか、アンリエッタ姫がウェールズ皇太子に惚れているやら、アンドバリの指輪がどうたらこうたら、変なことまで知っていました。
 それでいてハルケギニアの常識みたいなところには疎く、それがまた変なところです。
 キュルケはギャップ萌えと言っていましたが、なんだか違うような気がします。


 ある虚無の曜日、ガリアからの留学生であるシャルロットに才人はお呼ばれしました。当然ご主人様であるルイズもついていきます。
 行先はなんとガリアの首都リュティス、それもヴェルサルテイル宮殿はグラン・トロワでした。これにはルイズも仰天しかけましたが、よくよく考えると才人の筋肉の方が非常識だと思い、落ち着いてジョゼフ王にあいさつしました。
 彼はそれをスルーして、才人に、親しげに声をかけました。

「久しいなサイト! 見た目も変わっておらん、おまえは本当に時間を超えたのか!!」
「ジョゼフさんお久しぶりです。シャルルさんは元気ですか?」
「それはもう、元気だとも。今日の政務が終われば駆けつける予定だ。すべておまえのおかげだ!」

 ガリア王ジョゼフは才人と肩を組んでがっはっはと大笑いします。
 この世ならざる光景でした。ルイズはもはや疑問しか浮かびません。その様子を見かねてか、才人はぽつぽつと説明しました。



 実は以前違うルイズに召喚されたこと、戦争や陰謀が絶えない世界だったこと。そして、ガリア王家に起きた悲劇。
 違うジョゼフと相対し、そのことを知った才人は我慢できなかった。もっと違う選択肢があっただろう。やりなおせなかったのかと。
 それに対してジョゼフは静かに首を振るだけでした。
 間違っている。その思いが膨らみ、才人は思いつきました。



 過去に遡ればいい、と。



 どうすれば昔に、それも物理的に戻れるか。才人はハルケギニアに来る前、なにかの本で読んだ内容を覚えていました。
 すなわち、光の速度を超えれば過去に戻れると。
 あとは非常にシンプルな話、彼はただひたすら走っただけです。それが凄まじく速く、光すら超越しました。たったそれだけの話。途中足が地面につかなくなり、成層圏付近を光速で飛び回ったのはほんのお茶目。

 三年前に戻り、父王が崩御する直前のジョゼフに才人は会うことができました。そして、これから先なにが起きるか、つたない言葉で懸命に説明しました。
 最初ジョゼフは不審者の言葉だと取り合いません。それどころか衛兵も呼びました。まぁ、才人は光速に至る過程で服が燃え尽き、全裸だったので仕方ありません。それらはすべて才人が筋肉でねじ伏せました。それでもジョゼフは全裸のマッチョマンの言うことなんて信じません。
 ならばと、才人はジョゼフに虚無の習得方法を教えました。ジョゼフがそれにしたがって習得した魔法は『記録』、それをもって才人の瞳に残った記憶を読み取ったのです。
 結果、彼は才人の言葉を信じました。そして弟のシャルルを問い詰め、兄弟はわかりあえたのです。

 さて、感動的なシーンでしたが才人は三年後に帰らないといけません。別に三年たてば元通りだし、残って良い気もしたけれど、なんとなく帰らないといけない気分になったのです。
 どうすればいいか悩みます。うんうん唸って考えます。そして一つの解決策を思いつきました。



 逆回転すればいいんじゃね、と。



 才人はガリア兄弟に見送られ、さっきとは逆方向に走り出します。ぎゅんぎゅん加速して、ついには時を超えました。
 この世の法則を超越し、才人は無事三年後に帰ることができました。ルイズが召喚前夜、そして召喚直前に見た光は才人が走る姿だったのです。
 ところが、完全無欠に思われたこのプラン。少しばかり計算ミスがありました。走行距離が足りないせいで時間が戻り切らなかったのです。
 それどころか入射角を間違えたせいで魔法学院の敷地に大穴を開けてしまいました。これには才人もびっくりです。
 大穴の深さはおおよそ八百メイルにも達します。スカイツリーより深く、光も届かない地の底で、才人はこれまた仰天すべきものを見ます。光が届かないと言いましたが、視界には困りません。才人ほどの筋肉にもなると発光することもできるのです。
 それはさておき、風石の大鉱脈です。
 才人は風石というものを直接見たことがなかったせいで「綺麗な石があるなぁ」という感想しかありませんでした。ただ、それがぶるぶる震えて今にも暴発しそうなのが素人目にもわかります。
 自分が考えなしに着地したからだなと反省した才人は、とりあえずこれをなんとかすることにしました。
 と言っても作戦は至ってシンプルです。
 握りつぶす。ただその一言で説明できます。

 こうして人間掘削機になった才人は風石を圧縮し、延々と続く大鉱脈をすべて封印してしまいます。それが終わるころにはすでに日も暮れていて、仕方ないから才人は大穴の底で眠ることにしました。
 翌日、寝坊したと思い込んで飛び起きた才人が勢い余って飛び出してきたというのが、召喚の儀式の真相です。

「……じゃあ、わたしアンタを召喚してないじゃない」
「そこらへんは別にいいんじゃない?」
「なんで前のルーンが消えてるのよ」
「タイムパラドックスとか、そんな感じだと思う」

 色々な疑問はとけましたが、イマイチ要領を得ない使い魔の言葉にルイズはため息しか出てきません。

「こまかいことはよい! 今宵は宴をひらくとしよう!!」

 ガリア王の言葉が真理をついているような気がして、ルイズはもう一度ため息をつきました。



 それから、才人はトリステインからガリアに出向し、そこからさらにエルフとの外交官に任命されるという複雑なことになりました。彼はサハラに赴き、エルフと一緒に効率的な筋トレグッズの開発に精を出します。
 その筋トレグッズのおかげで、ヴァリエール家の次女は見る見る健康体になっていったり、長女が結婚出来たりともう筋肉様様です。
 ハルケギニア全土で『始祖ブリミル』と『大いなる意思』に変わり『大いなる筋肉』『我らの筋肉』として才人が崇められるのはまた別のお話。
 ロマリアが『光の国』改め『筋肉の国』になるのももっと別のお話。

 とにかく、平賀才人の筋肉のおかげで、一人の苦労人をのぞいて、異世界には平和がもたらされました。



 めでたしめでたし。


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