ゲート二次「職業:蛮族の王様」第一話
ゾルザルに憑依したオリ主
弟に「王位任せた!」発言の後、父王説得して大公になる
母方の実家の協力の下、こつこつと内政を行う
血筋・種族・育ちに拘らない雇用でイタリカと仲良しに
自衛隊と開戦後は文化的・経済的交流を続ける
皇太子になって逃げ場の無いディアボを拾った後に自衛隊へ贈る
地球側の他政府に関しては自衛隊を解して貿易を開始
ヒャッハー!ぼろ儲けだぜー!してたら何時の間にか父から王位を押し付けられて王様エンド
突然でなんですが転生しました。
異世界の大国の王族!しかも第一皇子様!
ヤタ!これでカツルwww
そう思ってた時期が私にもありました。
いやー流石は中世ヨーロッパ風ファンタジー異世界。
人権思想も何もあったもんじゃありませんね。
貴族主義による圧政、稚拙な理由による侵略、おまけに迷信を信じ続ける頑迷さ…。
そして何よりも捕虜への拷問や虐待、奴隷の存在とかもうね…。
平和の極地とも言える平成日本の住民にはちょっと…。
しかしこのままでは自分はそんな国の王様になって、他国と握手しながら足で蹴り合う外交をしたり、然して大罪でもない人間を処刑しなけりゃならないんだよな…。
そんなん、耐えられる訳ないじゃない。
と言う事で、私ゾルザル・エル・カエサルは王位争いからの離脱を決意しました。
「父上、私は王位継承権を破棄しようと思います。」
「…急にどうしたのだ。何かあったのか?」
謁見の間での爆弾発言に、流石の父上もちょっと返答に窮した様だった。
「御存じの通り、私は争い事が嫌いです。そんな私が罷り間違って王になったとあっては必ず国益に反する事態となりましょう。しかし腐っても私は帝国の皇子。その時になってうろたえるよりも、今自ら継承権を破棄しようと考えたのです。」
「…翻意するつもりは無いのだな?」
「はい。」
一応、国内の有力者の一部(極右派みたいな連中)には協力(と言う名の邪魔者の排除)を取りつけているので大丈夫だと思うが…。
現にざわめく謁見の間の中では一部が「ふん、臆病者め」「本人がああ言っているのだし、了承すべきだ」「これで我らにも…」とか私利私欲丸出しのセリフが聞こえて来るし。
「良かろう。そこまで言うのなら…ゾルザル、そなたの継承権を破棄しよう。」
「ははっありがとうございます。」
こうして私はゾルザル皇子からただの王族のゾルザルとなった。
現在、継承権破棄から十数年経過しました。
いやー、色々ありました。
母上の実家で勉強(主に経済経済経済魔法経済農業経済経済経済経済経済軍事経済経済経済魔法魔法経済経済経済魔法…ほぼ経済)しつつ、前世知識生かして写本・出版事業を興しました。
他にも農業において肥料の開発(原材料:近場の森の腐葉土+小魚の灰)、未開発地の開拓等々…
特に貴族向けの金貸しは大きな収入です。
貴族って言うからにはやはり見栄えは大事な訳で、随分と困っている方も多い訳です。
中には借金だらけな方もいる訳でして、他の金貸しなら絶対に貸さないブラックリストになっている事もあります。
そうした方々に優先的に低金利でお貸しします。
するとやはり食いついてきます。
でも借金だらけだから、やっぱり返せません。
そんな時は借金の証文等をこちらで買い取ります。
で、買い取ったこれを裕福な他の客へ売ります。
大抵買うのは皇帝や皇帝や皇帝や大貴族や皇帝や大貴族や皇帝や皇帝や皇帝や皇帝だったりします。
これによって買った側は証文にある借金を払う事となるのですが、それ即ち証文を売った貴族の弱みを握った事に繋がります。
皇帝の権力は益々盤石なものとなり、貴族は貴族で相手の弱みを握れるので旨みがあります。
こちらは借金を取り立てられるし、買った父上も貴族もはした金を払うだけで貴族の弱みを握れる。
あくどいという事無かれ。隙を見せた者が悪いのです。
とは言っても、相手は択んでます。
主に奴隷商人の後援者だとか侵略大好きヒャッハー!とかね。
ただ鍛冶や鉱物利権は専門知識は無いですし、ノウハウも商業ギルド・鍛冶ギルドががっちりで外部にはほぼ出てこないから無理。
他は貴族の私有地だったりするのでやっぱり無理。
幸いにも祖父母は高齢で楽隠居、母上とはほぼ絶縁状態だから横槍が入る事は無い。
それにここの文化レベルでは本は贅沢品、字の判子を使って低コストで大量生産するだけでもうけが出る。
農業も領内の一部を実験場にして色々やってみた結果、それなりに良い物が出来たし。
おかげで大富豪ってほどじゃないけど結構裕福になれました。
でも良い事ばかりじゃない。
大陸内にいる少数いる亜人族。
その中の一つのウォーリアバニー(首狩り兎)の居住地域が帝国によって侵略された。
目的は美女で知られるウォーリアバニーの性奴隷化だ。
そのあんまりな理由に口があんぐりと開いたのは仕方ないだろう。
平成の住人である私には、戦争とはもっと経済的・政治的理由があるものだと思っていたのだが……この世界ではどうも違うらしい。
あ、逃げてきたウォーリアバニーは受け入れました。
他にも我が領内には多数の亜人と人間とのハーフがいます。
対外的には私の奴隷という事になってますが、実際は領内で普通に雇用して仕事してます。
おかげで風聞が酷い事になりましたよ…。
しかし領内で平和に暮らす人々を見ると素で「この思いは間違いなんかじゃなかった…ッ!」をやってしまいました。
ちなみに仕事内容はメイドや役人の補佐から農地開拓、腕が立つなら偽装護衛(外見はメイドや執事)というのもある。
皆まじめに働いてくれて感謝してます。
やはり一度辛い経験があってそこから助けられると忠誠度が上がるらしいです。
一応、私費で奴隷市場に出された亜人が買い漁ってるんですが……もーいるわいるわ。
幾ら買った所で尽きませんよ、えぇ。
でも根本の人身売買は国が関わっていないとは言え、国内の有力者が後援してる事もあって迂闊に手を出せません。
王様になってたら手を出せたんでしょうけど……ごめんね、それは死亡フラグだからごめんね。
そして今日もお小遣いを奴隷市場と本屋で消費する。
商売が軌道に乗っても、さっぱり私個人の懐は潤いません。
ついでに亜人趣味だと思われて、見合いの話もさっぱり来ません。
私、結婚できるんだろうか…。
「殿下、仕事が溜まってますよ。」
「いや、テューレ殿。落ち込んでる時位休ませてくれても…」
「ダメです。」
とほほ…
ちなみにテューレさんは能力と立場を生かしてウォーリアバニーの纏め役兼秘書として活躍してくれてます。
うちの亜人達の中で一番の出世頭です。
「早くしてください。」
「はい。」
ついでに私に一番辛く当たる人でもあります。
誰か…私に平和と潤いを…。