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No.30693の一覧
[0] 【ネタ】転生者の憂鬱(ドラえもんの主人公に転生) 旧題【転生者の杞憂】[ライス](2011/12/23 19:16)
[1] プロローグ 転生者の跳躍[ライス](2011/11/30 13:29)
[2] 転生者の日常1[ライス](2011/11/30 03:40)
[3] 転生者の日本誕生1[ライス](2011/11/30 13:40)
[4] 転生者の日本誕生2[ライス](2011/12/23 18:47)
[5] 転生者の日本誕生3[ライス](2011/12/23 19:10)
[6] 転生者の日本誕生4[ライス](2011/12/23 19:11)
[7] 転生者の日本誕生5[ライス](2011/12/23 19:11)
[8] 転生者の日本誕生6[ライス](2011/12/23 19:12)
[9] 転生者の日本誕生7[ライス](2011/12/23 19:12)
[10] 転生者の日本誕生8[ライス](2011/12/23 19:13)
[11] 転生者の日常2[ライス](2012/01/01 19:53)
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[30693] 転生者の日本誕生6
Name: ライス◆8338b650 ID:7cbbff90 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/12/23 19:12
その後、事情を説明したらしいククルが何故か私とドラえもんを崇め始めた。
流石にこれには困惑した。何とか説明して、普通に接してくれと頼んだのだが、結局、丁寧語にドラゾンビさま、のび太様と言われるようになってしまった。
ドラゾンビの主なんていわなければよかっただろうか……でも事実だしな……。

さておき、最後まで責任を持つといった以上、居住地を失った彼等に新しい安穏の地を約束しなくてはならない。
流石にサービス過剰かとも思ったが、ここで野垂れ死なれては寝覚めが悪い。私の安眠の為に救われてもらうとしよう。

「さて、問題は何処に招待するかだが」

「私達の居たところでいいんじゃない?」

「う~ん……彼等は僕達とそんなに容姿がかけ離れてる訳じゃないから、ネアンデルタール人じゃなくて、ホモ・サピエンスなんだと思うけど……。
 日本に招いちゃって大丈夫かな?」

「問題ないと思うぞ。私達が居た場所は、現代で言うと東京都の辺りになるからな。後になって流入して来た部族とかち合う事もあるまい」

「実際、昔の日本には中国大陸の方から人が入って来たんだろ?なら、大丈夫なんじゃないの?」

「まぁ、ダメならダメでタイムパトロールがやってくるだろう……そうだろう、ドラえもん?」

「うん。無茶苦茶な事をやると歴史破壊罪って言うので注意を受ける事になるからね。
 意図的にやらない限りは厳重注意で済むし、こういうのが予定調和の場合もあるから大丈夫だよ」

未来から過去への介入も想定のうちに入っているということか?
という事は、遥か未来からの時間軸では全てが予定調和ということか……しかし、過去は常に変動していると聞くし……。
過去を改変すれば未来も変わるのでなくては、歴史破壊罪などという罪が成立するわけがない。
う~む……やはり、タイムマシン関連の事はさっぱり分からんな……。

「問題は移動手段か。全員を輸送出来るほど大型の道具はあるのか?」

「あるけど、もっと便利なものがあるよ。どこでもドア~!」

そう言ってドラえもんが取り出したのはピンク色のドアだった。ドアノブ部分に何か機械がついているな……。

「これはなんだ?」

「どこでもドアって言ってね、どこにでも移動できる道具なんだ。ほんとなら過去の世界では使えないんだけどね。
 でも、ここまでの道順をドアのコンピューターにインプットして来たから使えるよ」

「ほう。それは便利だな」

私が突っ込むと思ったか?甘いな。タイムマシンは時間移動の道具であり、さらには空間移動も同時に出来る道具だ。
時間と空間は密接に関係したものであり、時間を操作出来れば空間を操作出来るにも等しい。
時間を止めて移動して、目的地に到着した後に時間を動かせば瞬間移動したのと同じだしな。
なので、それほど驚くほどのものでもないのだ。時間移動の道具があるんだから、空間移動の道具もあるだろうとよそうしていたし。

「では、さっさと行くとしようか」

「うん。目的地は日本!」

「待てドラえもん。未来の銀髪びしょ……もとい、トレミーたちを迎えに行かなくては」

「あ、そっか。ごめんごめん。まずは和県へ!」

そう言ってドラえもんがドアを開くと、そのドアの先にはククルたちの村があった。
私は全員がくぐるのを見送った後に、地面に転がっていたツチダマの破片を拾い上げた。

「不自然に過ぎるからな……割れ方も妙だった」

土器の割れ方にしては破片が少なすぎる。どちらかというとプラスチックのようなものが割れたように感じる割れ方だった。
これを持っていって何か分かるものがあるとは思えないが、未来の世界の理不尽道具で調べてみれば何か分かるだろう。
私は周囲に取り残しがいないかを確認した後に扉の向こうへと行き、扉を閉めた。

「またアッラーになってるのかね君は」

「こういちいち拝まれちゃやりにくいよ……」

困惑気味のドラえもん。まぁ、仕方なかったのだから諦めるといい。
さて、私はタケコプターを起動すると空へと舞い上がり、トレミーたちを探す事とした。




しかし、全員に手伝ってもらっても、トレミーたちは見つからなかった。

「置き去りになんかするから……迷子になってエサも……」

「五月蝿い黙れ。私が一番後悔しているんだ。トレミー!イクシオーン!シャオローン!ペトルーシュカー!」

大きな声で呼んでみても、意味は無かった。あの時、日本に帰っておけと命令すればよかったのだ……私のバカ……。

「大丈夫だって。あいつらのこと襲える動物なんていないだろ。
 それに、俺様の家のムクだって、どっか行ってもちゃんと帰って来るし」

「幾らなんでも距離がありすぎるだろう……」

「けど、野比くん。動物には強い帰巣本能があるのは有名だよ。
 トレミーくんたちはどれに当てはめたらいいかは分からないけどさ。
 ハトなんかは何百キロの距離も帰って来るしね」

「あぁ……」

そうだな。今ここでクヨクヨしていても始まらない。
それに、ヒカリ族の人たちを何時までも放置してはおけない。

「行こう」

私は座っていた木から飛び降りると、タケコプターを始動させて飛んだ。


私達はヒカリ族の面々の元へと戻ると、彼等を日本へと招待した。
私達が作ったほらあなの近くの丘だ。あそこの湖は既に調査して飲めることが判明している。
ちなみに、ミネラルがだいぶ豊富だった。加えて水温が気温の割りには高い事から周囲に活火山があると思われる。

「おお……なんと美しい……」

「ここが僕らのパラダイスなんです」

「本当にここに住んでもよろしいのですか?」

「どうぞどうぞ。遠慮なく」

族長らしき老人が遠慮がちに尋ねてくるのをドラえもんは快諾する。私達の中からも反対意見は出てこない。

「僕達が調べた限りは誰も住んでません。好きなところに村を作ってくださいな」

そう、この時期の日本は正真正銘誰も住んでいなかった。氷期が始まるまでは海によって隔絶された島国だったのだ。

「こっちの丘の上がよさそうだよ!見晴らしがいいし、湖も近いし!」

周囲から丸見えではあるが、獣が襲ってくるのを即座に察知できる事を考えると、そちらのほうが良いとも言える。
ここら一体には誰一人として住んでいないのだから、丸見えであってもなんら問題はないのだし。



始まった村の建設。私達は各々の得意分野を生かして、それの手伝いをしていた。
源さんは周囲の草を刈り取る手伝い。出来杉くんは調査していた周囲の植生を村人に教えている。
そして私は木材を切断して柱にする手伝いをしていた。ジャイアンとスネオは知らん。

「ふむ……難しいものだな」

一番細い0番鋼糸。0.1ミリの鋼糸は、伸縮性も低く、強度を重視したものなので、緩めに巻いた後に急速に引けば、対象を切断する事も出来る。
試しに家でやった時には花瓶を真っ二つにしてしまったので、木を切断する事は容易かった。
しかしながら、切るべき場所に上手くかけるというのが非常に難しい。ゲームとかのキャラは良くこんな事が出来るものだ。
まぁ、何事も練習だ。マンガみたいにはいかないが、目の前の相手に対して使う事は出来るだろう。
目立たないし携行にも便利。隠し武器にはピッタリだろう。まぁ、私の本分はガンマンだとは思うのだが。

「はっ!」

よし、上手く枝の根元に絡まった。力を込めて引くと、根元から断ち切れる。
しかし、引き切るのに結構な力が要る。もう少し腕の筋力をつけたほうがいいかもしれないな。
筋トレのメニューに腕立て伏せを追加する事を頭の中のメモ帳に書き加えつつも、鋼糸を巻き取って再び投擲する。

「チッ、失敗した。もっと根元にかけなくてはいかんというのに……」

まぁ、根気よくやろう。





ある程度狙った場所にかけられるようになり、毎日練習する事を決意していた私の元に、ククルがやって来た。

「どうした?何か用か?」

「のび太。トレミーたちのことが心配か?」

「当たり前だ」

「そっか。きっと帰って来るよ。僕も昔、ローって言うオオカミの子供を飼ってたんだけどね。
 ある時、狩りの途中に行方不明になっちゃったんだ。でも、一月以上も経って帰ってきた。だから、心配要らないよ」

そうか、トレミーたちと逸れてしまった私を気遣ってくれたのか。
やれやれ、そこまでしょ気ているように見えたのか……しっかりしないとな。

「ありがとう。君の言葉で少し気が楽になったよ」

私はそう言って笑うとククルの肩を叩いた後に、振り向き様に鋼糸を放って、枝を切断した。
狙い通りに枝の根元から切断された木を見てみれば、切断面も非常に滑らかだ。
心の持ち様でこういうのはキレが変わる。釣り糸とは勝手は違えど、同じ種別のものなのだ。
今考えてみればあそこまでヘタクソだったのがおかしいといえる。

「すごい!今のは風の精霊に命令したのか?」

「さてな」

先端についた重りが見えなかったらしい。
後は、両手に物を持った状態でも、鋼糸を自在に操作出来るようにならなくてはならんな。



「天と地に満ち満ちる精霊達よ!我等が新しき村に平安あれ!」

『平安あれ!』

族長の言葉の後に、村人全員が唱和する。
村の中央で燃え盛る巨大な焚き火。それへと向けて、族長が祈りの言葉を上げる。

「村人に幸あれ!子にも孫にも、天と地の栄える限り、大いなる幸あれ!」

私達は村が作られ、命が助かった事に対する宴に招かれていた。
まぁ、断るのも悪かろうという事で招かれる事としたのだ。

「のび太様のお席はこちら。家来の皆さんの席はそっちです」

人当たりのよさそうな青年がそう言って岩の上に獣の毛皮を敷いた場所を指差す。

「いや、私は下でいい。変わりにドラえもんが座りたまえ。今回の立ち役者は君だ」

毛皮があっても岩の上は硬そうだからな……地べたの方がマシだ。
地に座った私は、焚き火を見やる。赤々と燃える焔は天までも焦がさんとばかりにその手を空へと伸ばしている。
広場の中央には、蒸し焼きにされたらしき牛。香辛料での味付けはされておらず、塩だけだろう。しかしやたらと美味そうに見える。
そんな事を考えつつ、切り分けられた肉を一口頬張ってみる。

「うまい!塩味がする!」

まぁ、味付けが塩しかないのだから当然といえば当然なのではあるが。
それでも美味だ。古代ではこれが当然なのだろう。もしも彼等を現代に招待すれば、現代の食事を美味だと思うのだろうか?
益体もない事を考えていると、隣の源さんが肉に手をつけていないことに気付く。そう言えば食器がないのだったな。
私は懐に手を突っ込んで、マルチパーパスツールと十徳ナイフを取り出す。ツールの方にはナイフ、十徳ナイフの方にはフォークとスプーンがついている。

「源さん、これを使うといい」

「ナイフにフォーク?のび太さん、ありがとう」

そう言って源さんが微笑む。考えてみれば源さんは唯一の女性だった。少し配慮が足りなかったな。
しかし、マルチパーパスツールと十徳ナイフの両方を持って来ていてよかった。
使い道が無いから持って来なくてもいいかと思っていたが、予想外に使う事になったしな。



その後、宴は滞りなく進んだ。ジャイアンが歌いだそうとしたり、火山が噴火したりといったハプニングはあったが、問題なく終わった。
そして私達はほらあなへと戻り、ココアを飲みながら会話をしていた。

「いやはや……くたびれたなぁ……」

「しかし、彼等を助ける事が出来たのだ。よしとしようではないか」

「そうね……この2、3日、いろんなことがあったわね」

「思いがけない冒険をしちゃったよ」

「僕も最初はいろんなことを調べに来たつもりだったけど、何時の間にか冒険になっちゃってたよ。楽しかったけどね」

そう言うと同時に沈黙が降りる。本当に色々あったものだと回帰しているのだ。
思えばククルが現れてから、怒涛のような勢いで物事が進んでいったな……。

「そう言えば、ここ2、3日勉強をサボっちゃったなぁ……」

「マンガの新刊も出てるだろうし……」

「お稽古もしなくちゃ……」

そろぞれが懸念事項を言い出し始める。確かに、私も筋トレなどが出来なかったな……

「この辺りでいっぺん帰ってみるか?」

「そうね」

「私も賛成する」

「うんうん。帰ろうよ!」

ジャイアンが帰ることを提案すると、私達が口々にその提案に乗る。
そろそろ私も帰りたいと思っていたところだった。本も途中だったしな。

「それでは、明日の朝に出発することとしよう。諸君、寝過ごすなよ?」

私が冗談めかして告げたのを最後に、その日は解散となったのだった。




翌朝、私達はヒカリ族の集落へとやって来て、一度家へと帰る旨を伝えた。

「トレミーたちの好物でな……帰ってきたら、これをやってくれ。頼む」

「うん。任されたよ、のび太」

私はククルにトレミーたちが帰ってきたら世話をしてくれと頼んだ。
トレミーたちをこの時代に置いて行くのは心残りだ。それに空想サファリに送らなくてはいけないはずなのだし……。

「ドラゾンビさまがいなくなると心細くなりますな……もしまたギガゾンビが来たら……」

「絶対とは言えんが、恐らくは来ないだろう。仮に来たとしても、また助けに来る。
 責任は最後まで持つといったからな。ギガゾンビの事で何かあれば、必ず助ける」

別れを惜しむ族長へとそう言った後に、私達は元の時代へと帰った。


久しぶりの現代は、なんとも言えず新鮮なものがあった。
この排気ガス臭い空気も、ゴミゴミとした町並みも懐かしい。

「さて、それじゃあ解散だな。なんだかラーメンが食いたくなっちまった」

「そう言えば、今日のおやつはメロンだってママが言ってたな……」

食い気が先に立っているジャイアンとスネオに苦笑しつつ、去っていった二人を見送る。

「のび太さん、素敵な冒険をありがとう。それじゃあ、ピアノの練習をするから」

「あぁ、頑張ってくれたまえ。君のピアノは人の心を落ち着かせる力があると私は思っているよ」

特に君のヴァイオリンの音色を聞いた後は強く実感するよ。
さりげなく失礼なことを考えつつも、家へと帰っていった源さんを見送る。

「それじゃあ、野比くん。僕は調べたことを纏めようと思うから。採集した植物も押し花にしようと思うし。
 出来上がったら君にも見せるよ。押し花でしおりを作るから、受け取ってくれると嬉しいよ」

「あぁ、楽しみにしている。私の方も、地質や水質などの環境面の調査をしたからな。そちらの方を君に見せるとしよう。
 押し花のしおりも楽しみにしている。ただのしおりはどうにも味気ないからな」

地質調査だの植生調査だの、小学生らしくないと自覚しながらも私は出来杉くんを見送った。



残った私は、何となく寂しいような思いを感じつつもそれを振り払い、数日振りに読書を再開するのであった。




「のびちゃん、さっきお風呂沸かしたから、お風呂入っちゃいなさいな。なんだか疲れてるみたいよ」

夕食をとった後に、読書を再開する気にもなれず、居間で何とはなしにテレビを眺めていた私に母が言う。
言われて見れば、確かに疲れていることが分かる。私は母の言葉に大人しく従う事にして、風呂場へと向かった。

「風呂は命の洗濯というが、大昔の公衆浴場は死体が浮かんでいるのもザラだったらしいな……」

唐突に思い出したことを言いつつ服を脱いで洗濯機に入れようとしたところで、スラックスの中に何かが入っているのに気付いた。
取り出してみるとそれは素焼きの土のカケラだった。そう言えば、ツチダマのカケラを持ってきていたんだったな。

それをタオルの上に置いておいて、私は風呂に入った。


「あぁ、ドラえもん。少し頼みたいことがあるのだが」

風呂に入って部屋に戻った私は、どこからか出してきたマンガを読んでいるドラえもんへと言った。
ずばり、ツチダマのカケラを持ってきたので、それを調べて欲しいと。

「え?のび太くんもツチダマのカケラを持ってきてたの?」

「も?君も持ってきていたのか?」

「うん。だっておかしかったからね」

そう言ってドラえもんがツチダマの手の部分の破片を取り出す。考えることは同じだったというわけか。

「ならこれも渡しておく。私ではモース硬度が幾つだとか、弾性限界がどの程度かを調べることしか出来んからな」

「うん。任されたよ」

そう言って私が渡した破片をドラえもんがポケットに仕舞う。
そして、その後はとくに何か変わることもなく、私は眠りについたのだった。




翌日は始業式だった。学校が始まったのだ。休みが明けると、行くのが面倒でたまらないな。
そんな事を考えながらも、私は滞りなく始業式を終えた後に、家へと帰っていた。


「う~ん……あ、お帰り、のび太くん」

「ただいま。ツチダマのカケラについて、何か分かったか?」

「うん。大変な事が分かったんだ。これ見てよ」

そう言ってドラえもんが、よく分からない機械を操作する。
すると、数秒の後に、空中にモニターが浮かび上がり、それに図形が表示される。

「これは……分子構造か?見たことの無い分子構造だな……陶器に似ているが……金属にも似ている……。
 金属だとすると合金か……?陶器だとすると、この構造からして硬度は高いな……しかし合金だとすると弾性に非常に富んでいるな。
 この二つの性質を組み合わせて、硬度は高く弾性に富んだ理不尽な素材か、脆くて柔らかいゴミのような素材かは分からんが……。
 ん?なんだこの小さい点は。ゴミ……という割りには小さいしな……微生物でもないだろうし……」

不思議な素材だな……一体どうやって作られた素材なんだ?
この分子構造を持った物質を作る何て不可能としか思えないぞ。

「う~ん……形状記憶セラミックに似てるけど、ちょっと違うような……」

「私の耳はおかしくなった」

なんで陶器類のはずのセラミックが形状記憶になる。どう考えてもおかしいぞ。

「セラミックに合金を合成して、ナノマシンを組み込んだ素材だよ。
 凄く硬くて丈夫で、すぐに元の形状に戻る素材なんだ」

「未来の技術ってやっぱり凄い」

未来の道具だけじゃなくて、素材も凄かった。突っ込みたくて堪らないが、それでも技術力には感心してやる。

「待て、未来の技術?これは7万年前にあったものだぞ?」

「うん……はっきり言えることは……ギガゾンビはただのまじない師なんかじゃなかったってことだ!」

「チッ……!ジャイアンたちにこのことを知らせよう。それからタイムパトロールに連絡だ。
 どう考えても歴史破壊罪が適用される行為だぞ、これは」

「それよりも僕達で助けに行かなきゃだよ!のび太くん!」

そう言って騒ぎ立てるドラえもん。確かに心情は理解できるが、子供の出る幕ではないだろう!

「とにかくタイムパトロールに連絡をしろ!私はジャイアンたちに連絡をする!」

「う、うん……」

私は部屋から飛び出すと、家の電話を使ってジャイアンたちに連絡を入れて家に呼び出した。
そして、数十分の後に集まった面々。ヒカリ族が危険だと言えば、全員がすぐ集まった。
子供の出る幕では無いと説明をしはしたが、やはり、全員を押さえきれるわけもなく、過去へと行く事となった。
まぁ、自覚はしていたのだ。私だとて、子供が出る幕では無いと分かっていても、心情では行きたくて仕方なかったのだから。
言って見れば、彼等に押し切られる形でないと、私は行く為の踏ん切りがつかなかったとでもいう。



私達は過去へと降り立っていた。私達の作ったほらあなの近く。ヒカリ族の新たな村がある場所。
そこにあったのは煙を噴き上げる家々の残骸。人の息吹は一切感じられない、残骸があるだけの場所。

「やられたっ……!」

ギガゾンビはここに来ていたのだ……!


9話

2011/12/02 22:47 投稿


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