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No.30693の一覧
[0] 【ネタ】転生者の憂鬱(ドラえもんの主人公に転生) 旧題【転生者の杞憂】[ライス](2011/12/23 19:16)
[1] プロローグ 転生者の跳躍[ライス](2011/11/30 13:29)
[2] 転生者の日常1[ライス](2011/11/30 03:40)
[3] 転生者の日本誕生1[ライス](2011/11/30 13:40)
[4] 転生者の日本誕生2[ライス](2011/12/23 18:47)
[5] 転生者の日本誕生3[ライス](2011/12/23 19:10)
[6] 転生者の日本誕生4[ライス](2011/12/23 19:11)
[7] 転生者の日本誕生5[ライス](2011/12/23 19:11)
[8] 転生者の日本誕生6[ライス](2011/12/23 19:12)
[9] 転生者の日本誕生7[ライス](2011/12/23 19:12)
[10] 転生者の日本誕生8[ライス](2011/12/23 19:13)
[11] 転生者の日常2[ライス](2012/01/01 19:53)
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[30693] プロローグ 転生者の跳躍
Name: ライス◆8338b650 ID:7cbbff90 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/11/30 13:29
※注意。野比のび太は完全なる別人です。口調も全く異なります。
      不快感を感じる可能性もありますので、注意ください。



現れたその珍妙なる存在。ドラえもんと名乗ったそれ。
私はそのドラえもんという存在をじっくりと見やった。
身長は恐らく、130センチ前後だろうか。前にも横にも太い。
愛嬌を感じさせる大きな口と、戯画染みた素朴な顔。
自然界には無さそうな、鮮やかな青とくっきりとした白。そしてアクセントに、鼻や尻尾の赤。
トリコロールカラーだというのに、ガンダムとかあたりのメカメカしさを感じさせない。

「あれ?どうしたの?のび太くん」

「……いや、なんでもない。すまないが、君は一体誰だろうか?」

私は混乱から立ち直ると、その存在に向けて尋ねかけた。
この、一歩間違えば狂気すら感じさせそうな存在は一体何者なのか、と。

「よくぞ聞いてくれました!ぼくは未来の世界からやって来たネコ型ロボット!子守ロボットのドラえもんです!
 ダメダメな君を救う為に、未来からやってきたんだ!」

「帰ってくれたまえ」

こんなみょうちきりんな存在に助けられるほど私は落ちぶれては居ない。
冷たく言い放ち、先程まで開いていたマンガを開く。永井豪作品の最新作、デビルマンの最終巻を読んでいたのだ。
この、子供向けとは思えない残虐で凄惨な物語。未来の世界でも滅多にないと感じさせる、この引き込まれる感覚。
著者はこの作品を書いている間、何か巨大なものに、この作品を書かされていると感じたそうだ。
それを納得させるだけの、不思議な魅力がこれにある。私にとっては古臭く感じる絵柄。だと言うのに、酷く面白い。

「ひどいよのび太くぅん!ほ、ほら!これ!君の未来のアルバム!」

そう言って、ドラえもんなる存在は、腹部に備え付けられていた袋……恐らくはポケットだろう。
そこから一冊の大きなアルバムを取り出して、床に置いて広げた。

「ほ、ほら!これ!君の未来の写真だよ!」

「……私には白い毛並みのネコの写真にしか見えんがね」

「あ!間違えた!てへへ……」

そう言ってドラえもんはアルバムのページを捲り、他のページを明示した。
そこにあったのは、私が成長したらこんな青年だろう、と言うような姿の人物。
所々に、白いものが多く混じり始めた髪を蓄えた両親の姿があった。
お説教は長かったり、人の話を聞かなかったり、おっちょこちょいだったりするが、料理が上手く優しい母。
マヌケだったり、やっぱり人の話を聞かなかったりするが、スポーツ万能で、休日には時折キャッチボールに興じたりもする父。
その二人が歳を取った姿。そのすぐ近くにはマヌケ面を晒した、未来の私であろう姿があった。

「ええっと、これがね、君が大学を浪人した時の写真。
 で、こっちが君が就職出来なくて会社を立ち上げた時の写真。
 それから、君が立ち上げた会社を花火で全焼させた時の写真で……」

「やめろ!」

アルバムを開いて、写真ごとの説明をするドラえもんへと私は怒鳴りつけた。
一体コイツはなんなのだ。人の神経を逆撫でする為に未来からやってきたのか!?

「そ、それでね、僕はこんな未来を変える為に未来からやって来たんだよ!
 だから安心して、ぼくにドーンと任せておいてくれよ!」

「君はじつにバカだな。君が一体何者なのかも知らないのに、任せられるわけがないだろう」

私の未来がこうなるとは思えないが、何故見ず知らずの他人にそんな事を任せなくてはならんのだ。
というか、未来の子守ロボットは、こんなことまでやるのか?

「え、えーっと……」

ドラえもんが首を傾げる。どう言い訳したらいいのか、と言うよりは、どう説明したらいいのか分からない、と言う顔だ。
暫く沈黙が部屋を支配した後、唐突に私の机の引き出しが再び揺れだす。また同類が出てくるのか……?
そう思った私の予想は裏切られ、開いた引き出しから現れたのは、私と同年代だろう少年だった。
その全身タイツのような趣味の悪い服装はさておいて、その少年の顔は私に酷く酷似していた。

「やぁ、おじいさん!」

「私は君のような者を孫に持った覚えはない」

「あはは!ごめんごめん、説明してなかったね。
 ええっと、僕は野比セワシ。ええっと、野比のび太さんの、孫の孫が僕なんだ。
 つまり、あなたは僕のおじいさんのおじいさん。えーっと、なんて言うんだっけ?」

「つまり、君は私から数えて五代先の子孫である玄孫と言う事か」

未来の世界から来た、と言うのが本当の事であるならば、ありえない事ではあるまい。
話によると、野比家の直系長男は大体皆同じ顔をしているらしい。実際、私の父の幼少の頃は私そっくりだったらしい。
加えて、祖父の幼馴染であった祖母の話からすると、祖父も同様に私そっくりであったらしい。
つまるところ、直系長男は皆同じ顔をしていると考えて概ね間違いがないようだ。

「そうそう、それ。実は、おじいさんが過去で散々ヘマをやらかして借金をこさえたから、将来は酷い事になってるんだよ」

「今年でようやく10歳になる私に対してそんな事を言って何の意味があるのだね」

「だから!ドラえもんに頼んで、何とかしてもらおうとしてるんだよ!
 信じられるかい!?僕のお年玉は今年50円だったんだよ!?
 クリスマスのご馳走なんてしょぼいものさ!近所のファミレスでごはん食べただけなんだよ!」

「仏教徒ならばクリスマスなど祝うな」

「未来の世界じゃそんなもの関係ないよ!」

うるさい、私だって屁理屈を言ってる自覚はある。少し考えを纏めたいのだ。

「質問させてもらってもいいか?」

私は挙手をしてから尋ねかける。

「うん。何でも答えるよ、おじいさん」

「おじいさんはやめたまえ。君たちは一体西暦何年からやってきたのだ?」

「僕たちは2125年から来たよ」

2125年……150年ほど未来、か。こんな子供が気軽にやってくる、加えて理由は酷く下らないものと言っていい。
タイムマシンは余程普及しているのだろうか。過去を自在に改変してもいいと言う事は、時空の成り立ちはどうなっている?
過去を改変しても、別の要因によって同じ結果が発生するのか、あるいはその時代では変わりはするが、パラレルワールドが発生するだけか。
それとも、過去を変えれば未来も変わるのか。フィクションの世界ではその大別してその三つだ。
恐らくは1か2だろう。3ならば軽々しく過去の世界への渡航など許可されるわけがない。

「まぁ、少しは状況は飲み込めた。仮に君たちが未来から来た存在だとしよう。
 私は子々孫々と影響を残すほどの莫大な借金を作り上げてしまい、君たちはそれを変えようとしているのだな?」

「うん。そうだよ」

「それについて、過去を変える事は……いや、なんでもない。
 ついては、君たちが本当に未来から来た存在だと断定する為に未来へと連れて行って欲しい。ダメだろうか?」

過去を変える事は問題ないのだろうか。そう尋ねようとしたが、セワシは恐らく私と同年齢だ。
彼が私と同様に転生者であるならばまだしも、極普通の小学生の少年が刑法やらを把握しているとは思えない。
ならば、未来へといって警察関係の存在に尋ねるのが最も近道だろう。

「あ、それが一番いいかもしれないね、のび太くん。じゃあ、早速未来に行こうよ!」

「そうだね、ドラえもん。早速行こうか!」

二人はそう言うと、引き出しの中へと飛び込む。
引き出しの中を覗き込むと、そこには常にうねり続ける不可思議な空間があった。
底も奥行きも見えない不可思議な空間。その空間に奇妙な機械があった。
鉄板の上にピカピカ光るコンソールやら、街灯のようなものを取り付けた機械だ。
今の感性で言う未来の道具のようなもの。そんなものの上に、セワシとドラえもんが乗っている。

「のび太くんも早く乗りなよ~!」

ドラえもんが笑顔を浮かべて、そのゴム鞠のような手を振る。
私は溜息を吐くと、覚悟を決めると、いつでも部屋から出れるようにと用意していた靴を手に持って、その不可思議な空間へと飛び込んだ。
タイムマシンらしき機械に着地すると、私は靴を履きながら尋ねた。

「どれほどで未来へと行けるのだ?」

「すぐだよ」

そういいながらドラえもんが機械を操作すると、タイムマシンが動き出す。
慣性を感じさせないというのに、タイムマシンが動いているのは理解出来る。
車とは違う変な酔い方をしそうな動きだ。これも未来の技術だろうか。
慣性制御と言うと、様々な兵器に応用出来そうな技術だ。

「未来の世界に来たら、きっとおじいさんも驚くよ」

「だからおじいさんはやめたまえと言うのに」

セワシの声に反論しつつも、私は高鳴る胸を押さえた。
未来の世界だ。如何に胡散臭くとも、未来の世界。興味が惹かれないわけがなかった。
どんなところなのだろうかと想像を膨らませ始めた頃、タイムマシンが動きを止めた。

「ついたよ、おじいさん」

セワシ君の声と同時に、目の前に穴が浮かぶ。その先には町並みが見えた。
陽光を反射して輝くビル群。街中を行き交う人々はセワシの着ているような服を身に纏っている。
まさに過去の人間が未来の世界と想像するような世界がそこにはあった。
セワシとドラえもんが、その穴に飛び込むのに続き、私もその穴へと飛び込んだ。

すぐに見えた地面に驚き、腕から着地し、腕を折り曲げ、肩から落ち、背中、腰と言う順に着地していく。
咄嗟に受身が取れた事に少しばかり感動しつつも立ち上がり、平然と地面に立っている二人へと目線を向ける。

「ようこそ、おじいさん。ここが2125年の世界だよ」

「Hello Worldとでも言って欲しいものだ」

私は冗談めいて言いつつも、周囲を見渡す。
近未来的な町並みの中には、所々ロボットが混じっている。
明らかにロボットと分かる金属のボディ。人間と全く同じ造詣をしているのが居ないのは、不気味の谷が理由だろうか?

「おじいさん、これで信じてくれた?」

「ああ。信じるほかにあるまい。私が幻覚を見ていると言うのもありえるが、この質感は幻覚とは思えない」

すぅ、と息を吸い込めば、先程の過去の東京とは全く違う大気の匂いを感じさせる。
そこで私は言い表しようのない不思議な違和感を感じた。
一体なんだろうか?そう首を傾げた所で、セワシが私の腕を引っ張り、思考の中断を余儀なくされた。

「おじいさん、取り敢えず僕の家においでよ。ジュースをご馳走するからさ」

「私はコーヒーの方がいいのだが……」

引っ張られるがままに連れられていき、マンションの一室らしい場所へと招かれる。
貧乏だと言うのに、マンションに暮らしているのだろうか。まぁ、この時代ではマンションが一番安いのかもしれないが。
そんな事を思いつつも、低反発素材のようなもので出来たソファーに腰掛けて、私の前に座ったセワシへと尋ねる。

「私の曾孫にあたる、君の両親は在宅ではないのか?」

「父さんと母さんは木星に出張に行ってるよ。それに、元々ここには僕しか住んで無いし」

「ほう。航星間技術も発達しているのだな。それに加えてテラフォーミング技術もだ。
 しかし、君一人で住んでいるとはどういうことだ?」

「ドラミが居るからね。あ、ドラミって言うのはドラえもんの妹の事だよ」

「妹……?ロボットに親等関係などあるのかね」

「ドラミはドラえもんと同じオイルが使われてるんだよ。
 ここだけの話、長期間保存されてた所為で、成分の沈殿してた下側部分を使ったドラミの方が性能がいいんだ」

ロボットの性能とはオイルで決定されるものだったろうか。
機関出力と搭載されている処理装置と知能によって決定されるものではなかろうか。

「おじいさんの時代だと家族みんなで暮らすのが当然みたいだけど、この時代だと一人暮らしとかが当然なんだよ」

「そういうものなのかね。で、それを補う為に子守ロボットや、家事手伝いのロボットが居るのかね」

「うん。それに秘密道具もあるしね」

「君が存在を知っている時点で秘密道具ではないと思うのだがね」

「ドラミとドラえもんのポケットの中の道具は僕しか知らないから秘密道具だよ」

それを屁理屈と言うのだよ。

さて、そんな会話を交わしていると、トレイの上にジュースを載せたドラえもんがやってくる。
そして、そのジュースを私とセワシの前に置くと、私の左斜め前のソファに腰掛ける。

「さぁ、どうぞ召し上がれ」

「頂こう」

ストローを加えて呑んでみると、確かにセワシの言うとおりに美味しい。
しかし、なんだろうか、この味は。呑んだ事のない味だ。

「木星パイナップルのジュースだよ、美味しいでしょ」

「これがパイナップルかね。リンゴのような味がするぞ。
 しかもなんだね、その妙な名前の果物は。腰掛けレンコンだの、タマネギボムだの、砲丸ピーチなどありそうだな」

少なくとも土星ナスは間違いなくありそうだ。

「あはは、そんな変な名前の野菜はないよ」

「そうか……それはよかった……」

正真正銘の宇宙農家など見たくもない。

「ええっと、それでおじいさん。これからドラえもんについてもらって、おじいさんを何とかしてもらおうと思ってるんだけど……」

「特段困る事もない。問題は両親の説得だが、ドラえもんが頑張りたまえ。私は一切関与しない」

「ええっ!?のび太くん手伝ってくれないの!?」

「私は君に手伝ってもらう事など特にない。君たちの語る未来はどうにもおかしいとしか思えんのだ。
 ロボットの頭脳ならばさぞかし素晴らしいのだろう。その頭脳で説得を考えておきたまえ」

「わ、分かったよ……」

しょんぼりとしてヒゲらしきものが垂れ下がるドラえもん。なんとも言いようのない愛嬌がある。
確かに、子守には最適なロボットなのかもしれない。

「私は少しばかり未来の世界を見て回りたい。問題あるだろうか?」

「特にないと思うよ。お金は無いから、殆ど何も出来ないと思うけど」

そう言ってセワシが笑う。まぁ、私はこの世界を見て回りたいだけだから問題はない。
マンションの部屋から出ると、ポケットの中に入れっぱなしだったリールを弄びながら歩き出した。

街中を歩いていると、過去の世界よりも大気が綺麗だと言う事に気付く。
2010年ごろには環境問題がどうのと問題になっていたが、その問題は解決したようだ。
しかし気になるのは、街路樹などが全く見当たらない事だ。もしや、大規模な浄化装置などで大気を浄化しているのだろうか。
タイムマシンまで作れる技術力があるのならば、その程度容易くやってのけてしまいそうだな。

そんな事を考えながら歩いていると、私の目的である交番を発見する。
表には2メートルほどの全長がありそうな、大柄な体躯を持つロボットが立っていた。
警察関係であることを明示しているのか、黒と白のカラーで塗装され、その顔は犯罪者の威嚇目的か随分と厳つい。

「すみません、少々尋ねたいのですが」

私はそのロボットに声をかける。すると、ロボットは膝をついて私に目線を合わせる。親切だな。

「ハイ、ナンデショウカ」

まさにロボットというべきか。平坦な口調の合成音声が響く。

「タイムマシン関連の刑法について尋ねたいのですが。意図的な過去の改竄と言うのは許可されているのでしょうか?」

目的である過去の改竄についての疑問。今ならばまだ未遂の領域にあるだろう。
セワシの将来の為にも、今のうちに止めておくべきではないかと思う。

「ハイ。許可サレテオリマス」

しかし、ロボットの返答は私の全くの予想外だった。
過去を自由に変えられる。それでは、世界は滅茶苦茶になってしまうではないか。
居るべきはずの人間が居なくなり、居ないはずの人間が存在する事となる。
そしてそれを戻す為に誰かが再び過去を変えようとすると繰り返しが起こることとなるだろう。
そうなっては世界に大混乱が招かれるはずだ。

「モチロン、違法デアル事モアリマス。例エバ過去ノ生物ノ意図的ナ捕獲ハ政府ノ許可ガ必要デス。
 モシモ違法ニ行オウトスレバ、24時間時空ヲ監視シテイルタイムパトロールガ急行シマス」

ならば、そのタイムパトロールとやらが現れなかったと言う事は、ドラえもんとセワシの過去の改竄は容認されていると言うのか?
私の未来を変えるということは、下手をすればセワシが生まれない可能性すらもあると言う事になるのだぞ。
そもそも、そんな事をしてしまえば明らかなタイムパラドックスが発生するはずだ。
私の未来が変われば、将来的に結婚する相手も変わる可能性もある。そうなればセワシは生まれない。
ならば、セワシが派遣したドラえもんは現れない。ドラえもんが何処から現れたのかが分からなくなり、矛盾が発生してしまう。
仮に結婚する相手が変わらないにしても、何か大きな矛盾が発生するはずだ。それなのに容認されている?

「すみませんが、そのタイムパトロールの駐屯地や交番のような詰め所は何処にあるか教えていただけませんか?」

「申シ訳アリマセン。タイムパトロール法デ、駐屯地ハ秘密トナッテオリマス」

「そうですか……」

仕方ない。取り敢えずは書店でも探して、時空関係の法律を調べてみよう。会話をするよりは詳細に調べられるはずだ。
子供だと判断して説明を適当にされる可能性も高いからな。私はロボットに礼を言って立ち去ると、書店を探して歩き出す。

だが、この時代既に書店と言うものは存在していなかった。全て電子書籍となっており、紙媒体の書籍は存在しないようだ。
何処からともなく響いてきた案内の人工知能に聞いたのだ。未来と言うのは便利なものだ。
ちなみにだが、ここは私の時代で言うと東京都の練馬区に当たるらしい。トーキョーシティー・ネリマブロック・ススキガハラストリートらしい。

どうしたものかと考え込みながら歩くうちに、気付けば私はどこぞの路地裏に迷い込んでいた。
そして、歩くたびにザリザリと足の裏で砂が擦れる音に気付く。先程の街中では塵一つ見当たらなかったと言うのに。
この先に何があるのだろうかという興味が引かれ、私は歩調を早めていく。

「住民ノ方。コノ先ハ危険デス。通行止メトナッテオリマス」

唐突に私の目の前に、先程の警察のロボットを更に大きくしたような警備用ロボットらしきものが現れた。
手には銃器らしきものまで持っており、実力行使も辞さないのではないかと予想させる。

「この先に何が?」

「コノ先ハ、ロボット生産工場デス。危険物質ナドガ散布サレル場合モアリマスノデ、人間ノ方ハオ帰リクダサイ。
 マタ、整備サレテイナイ地域デモアリマスノデ、砂ナドデ転倒サレル可能性モアリマス」

なるほど。機械管理がされていないのか。幾ら未来の時代と言えど、必要のないところまで整備はしていないと言う事か。
私は納得して踵を返すと、案内にと警備用ロボットがつけてくれた、トンボのようなロボットの誘導で街中へと戻る。
案内ロボットにセワシの家まで案内してもらい、私はようやくセワシの家に帰り着く。

「お帰り、おじいさん。何処まで行ってたの?」

私が出る時と同様の場所から動いていなかったセワシが尋ねてくる。

「少し町を見てきた。驚くほど技術が発達しているのだな」

特にあの案内ロボットなど、どう考えても羽が動いていなかったのに飛んでいたしな。どういう理屈で動いているのだろうか。

「それじゃあ、のび太くん。そろそろ元の時代に戻ろうか?」

「ん、あぁ。そうだな。戻るとしよう」

ドラえもんに促され、今の今まで抱いていた違和感を拭いきれないままに私は元の時代へと帰る事とした。
タイムホールとやらを開いた場所へと戻り、そこからタイムマシンに乗り込む。

「それじゃあドラえもん、おじいさんのこと、頼んだよ」

「うん!任せてよセワシくん!」

ドラえもんの面倒になる事などないような気もするが、口は挟まなかった。わざわざ挟むほどの事でもないと思ったのだ。
そして、私とドラえもんはタイムマシンに乗り、20世紀へと戻っていく。
流れ去る謎の空間を見ながら、私はこの先へと思いを馳せた。

一体、この先何が起こるのかはわからない。
だが、私は既に覚悟を決めていたのだ。どんな未来が待っていようと、乗り越える。乗り越えて見せる。


―――――――――――――――――――――――――

取り敢えず、プロローグを書き上げて見ました。
アイディアを下さったDr.Jさん、ありがとうございます。
誤字脱字などがありましたら、報告してくださると有り難いです。

11/29 12時前後投降
11/30 13;30修正


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