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No.30693の一覧
[0] 【ネタ】転生者の憂鬱(ドラえもんの主人公に転生) 旧題【転生者の杞憂】[ライス](2011/12/23 19:16)
[1] プロローグ 転生者の跳躍[ライス](2011/11/30 13:29)
[2] 転生者の日常1[ライス](2011/11/30 03:40)
[3] 転生者の日本誕生1[ライス](2011/11/30 13:40)
[4] 転生者の日本誕生2[ライス](2011/12/23 18:47)
[5] 転生者の日本誕生3[ライス](2011/12/23 19:10)
[6] 転生者の日本誕生4[ライス](2011/12/23 19:11)
[7] 転生者の日本誕生5[ライス](2011/12/23 19:11)
[8] 転生者の日本誕生6[ライス](2011/12/23 19:12)
[9] 転生者の日本誕生7[ライス](2011/12/23 19:12)
[10] 転生者の日本誕生8[ライス](2011/12/23 19:13)
[11] 転生者の日常2[ライス](2012/01/01 19:53)
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[30693] 【ネタ】転生者の憂鬱(ドラえもんの主人公に転生) 旧題【転生者の杞憂】
Name: ライス◆8338b650 ID:7cbbff90 次を表示する
Date: 2011/12/23 19:16
私は転生者である。
二十余年の人生を交通事故という詰まらぬ物で幕を閉じ、その果てにあったのは過去への輪廻転生。
テンプレ転生というものは知っている。その点から言うと、私は当て嵌まらないようで、当て嵌まっていた。
私が生まれた体は、極普通の男性。優れた運動能力も無ければ、何か特別な容貌があるわけでもない。
東京都の練馬区の借家に住む、ごくごく普通の両親の間に生まれた男児。優しい祖母に甘やかされるだけの少年。
そう思っていた。だが、そうではない事に気付いた。まず、この体は回復力が高い。
スタミナはそれほどではないが、回復力が高い。つまり、タフネスがある。打たれ強いのだ。
そして尋常ではない空間認識能力に、手先の器用さ。指先が全く震えないのだ。不随意筋を制御出来るのだ。
これがどれほど素晴らしい事かというと、自身の肉体を完全にコントロール出来るのだ。
くだらないことから言えば、裁縫の針に一発で糸を通せる。戦闘面で言えば、指先を全くブレさせない事が出来、正確な射撃が出来る。
他にも、風向きや場の様子から、どうすれば相手に射撃を命中させる事が出来るのかを無意識のうちに理解出来る。天性のガンスリンガーといえる。

私とて普通の人間だ。幼い頃は厳しい両親の元で育ち、テレビすらも無かった家庭ではあった。
その反動の如く、ひとり立ちをした後には様々なサブカルチャー作品を楽しみ、二次創作の世界にものめり込んだ。
であるからして、この体は何かの作品のキャラクターではないのかと想像した。

でなくば、この優れた空間認識能力と手先の器用さの説明がつかない。
フリーハンドで真円を描けるほどに手先が器用なのだ。いや、手先の器用さは肉体のコントロールの上手さが要因なのかもしれないが。
であるからして、優れた射撃能力を持っていることから、将来的には危険な事にかかわるのだろう。
無論、全くの杞憂であるのかも知れない。だが、備えあれば憂いなしと諺もある。
備えをするのは無駄にはならない。寧ろ無駄になったほうがよい。

私は幼稚園の頃には決心をし、体を鍛え始めた。
どちらかといえば運動神経の悪いこの体だが、運動神経は幼少期から体を鍛える事で成長させる事が出来る。
そもそも、意識すれば肉体を自在にコントロール出来るのだ。意識して肉体を上手く動かしさえすれば、体に動きが染み付いて、運動神経もよくなる。
例え運動神経がよくならなくても、いつでも自在に肉体をコントロール出来るように特訓すればいい。
後は間接を柔らかくし、筋肉をつけることだ。余り無理に筋肉をつけては成長の妨げになるが、成長の妨げになるほど筋肉をつけるのは難しい。

とは言っても、幼稚園児の私では出来ることは少ない。今出来るのは、精々幼稚園で出来た友人と共に遊ぶ程度だ。
走り回ることで肉体を鍛えられるし、後は適当に筋力トレーニングをすればいい。

そうして時は過ぎ去り、今でも何か出来る戦闘方法はないかと思案を重ね、糸を操るのを練習する事とした。
糸を使って相手を倒す。はっきり言ってマンガの世界の話ではあるが、この世界だってサブカルチャー作品の類の世界だろう。
ならば不可能ではないはずだ。そう考えて、私は父が趣味にしている釣り具からテグスを頂戴して色々と練習を重ねていた。

流石に軽い糸を自由に誘導するのは不可能ではあったが、先端に重りをつけて、それを自由に操作することはそれなりに慣れた。
今では必殺仕事人の如く、相手の首を絞めたりといった事も出来るようになった。流石に人間の首を絞めたことはないが。
そこらに置いた空き缶に糸を絡め、その空き缶の後ろにある木に重りの周囲の糸を巻きつけて、その空き缶を潰すということが出来るようになったのだ。
ボタンを押すだけで巻き取れるリールを造ったりするのに少々苦労はしたが、今では中々に気に入っている。
そのうち、金属製のワイヤーなどを用意するのも考えるべきだろう。一体いつ戦闘が始まるかは定かではないのだ。

やがて小学校に入学した私は、その優れた学力を教師に絶賛された。
元はといえば大学まで出た成人男性だったのだ。ひらがなを習う小学一年生レベルの勉強が出来ないはずもない。
そもそも自分の名前を漢字で書けるだけで褒められるというのは……そもそも私の名前の漢字は三文字しかないし。

まぁ、学力を褒められて困る事もとくにはない。それに、両親を安心させるという意味では必要な事だろう。
少しばかり悲しい事に、私の事をしきりに心配してくださった父方の祖母が、私の小学校入学を目前に逝去されたことだ。
あの優しい祖母に小学校入学時の晴れ姿を見せてやれなかったのは少しばかり心残りであった。

小学校では狭く深くという交友関係を作った。
というよりは幼稚園の頃から兼ねてよりの付き合いがあった人物と交友関係を継続したというべきか。
それ以外にも、浅く広く、それなりに会話を交わす程度の知人を作りはしたが、友人といえるのは3人か4人程度だ。
金持ちの友人、ガキ大将的な友人、クラスのアイドルのような少女、勉学も運動も出来る優等生の少年。
優等生の少年とは小学校に入ってからの付き合いであるが、人当たりもよく小学生はと思えない精神年齢を持つ彼とはよい交友関係を築いている。
この年齢では読者も余り居ないと思っていた様々な文書の読者であったのも私には嬉しい誤算であった。
ロビンソン漂流記や、エドガー・アラン・ポーの著作についての会話を交わせたのは中々に楽しいものであった。


時が流れるうちに、体を鍛え続けた成果は如実に現れていた。
そもそも、小学生の足が遅いのは運動能力が低いのもあるが、それ以上に体の動かし方を理解していないのもある。
陸上選手がフォームを変えた事によってタイムを大幅に伸ばすように、走り方が悪いのも原因であるのだ。
その点、私は二十余年の人生経験があり、運動神経も悪い方ではなかった。
身体能力も鍛え続けている為に他よりも勝り、結果として私はクラスで一番運動が出来るという評価を貰っていた。
さらには学力も高い為、完全無欠の優等生といえた。ユーモアも解し、ゲームやマンガも読むなど、典型的ながり勉ではないが。

そんな私は先生に気に入られている。まぁ、当然といえば当然だろう。手がかからずに成績優秀な生徒を好まない教師など滅多に居ない。
そしてそんな先生に気に入られている私を先生が嫌いな生徒が妬む事もある。
しかし、あの教師は生徒を贔屓するタイプではない。
厳格ではあるが、生徒を思い遣ってこその厳格さであり、人情家であることもうかがわせる。
例え間違いだらけであろうが、宿題をきちんとやり遂げて持って来て褒められている生徒が居ることも知っている。
優しさが故に厳しい人物といえるだろう。私も好きなタイプの人間だ。

時折思うことがある。それは、私が転生者でなければ、私はどんな人間だったのか。
成績優秀ではあったが、運動神経には恵まれなかった母。
運動神経抜群ではあったが、学力には恵まれなかった父。
二人のいいところを受け継いで生まれたように見られる私だが、私が転生者であるが故だろう。

恐らく、元の運動神経の悪さからすると、運動神経は母から受け継いだのではないかと思われる。
学力に関しては分からない。頭の回転のよさは発想力のよさと同義なので、精神が違う私では推測も出来ない。
顔は父に似ているので、もしかしたら学力は父から受け継いでいたのではなかろうか?
だとすれば、うだつの上がらない少年は、戦いの中でガンスリンガーとしての素質を開花させる、とか言うのではなかったのだろうか。

まぁ、考えても答えが出ないのではあるが。

小学二年生に上がった頃、唐突に視力が落ち始めた。
それこそ、数メートル先がロクに見えないほどにまで視力が落ちてしまった。
ガンスリンガーとして致命的ではないかと言える視力の低下。
私は悩みながらも、どうにかして視力を矯正出来ないかと苦労を重ねていた。
後々になって視力はそもそも矯正出来ないことを思い出し、私は眼鏡を着用する事を決心した。
凛々しい雰囲気があるならまだしも、少々間の抜けた顔に見えてしまうのが少しばかり気に食わなかった。

この時代の外での遊びの定番である野球。私は積極的に運動する方ではないが、時折ピンチヒッターとしてやることもあった。
動体視力を鍛える練習になるので、バッティングセンターに行く事があるのが原因でもあるのだろう。
この年代で時速150やら160の球が打てるのは早々居ない。

小学三年生は特に可も無く不可も無く過ごして行った。
そして、一年の終わりがやって来て、元旦がやって来た。
この時代、正月と言えば家の中でゆっくりするものであり、私も例に漏れず、自身の部屋でゆっくりとしていた。
その最中、唐突に声が響いた。それは私の未来を暗示する不快な言葉。その珍妙な濁声。
ガタリ、と、私の机が揺れた。そして、ゆっくりと、その机の引き出しが開いていく。

私は慄然たる思いで机の引出しから突如現れたその異形の物体を凝視した。
それは大小の球体を組み合わせたとしか言い様の無い姿をしており、目も覚めるような青色が純白の顔と腹部を縁取っていた。
這いずり回るような冒涜的な足音で私に近付くと、何とも名状し難き声で私と私の子孫のおぞましき未来を語るのであった。
また、それは時空を超越した底知れぬ深淵に通じる袋状の器官を有しており、この世の物ならざる奇怪な装置を取り出しては、人々を混迷に陥れるのであった。

「ぼく、ドラえもんです。はじめまして、のび太くん」



――――――――――――――


11月29日 21時前頃投降


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