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No.30610の一覧
[0] 【習作】ZガンダムにニュータイプLv9の元一般人を放りこんでみる[ア、アッシマーがぁぁ!!](2011/11/21 17:15)
[1] 2話[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/02/24 23:53)
[2] 3話[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/02/25 00:39)
[3] 4話[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/03/22 02:04)
[4] 5話[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/05/10 05:57)
[5] 6話[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/05/26 06:30)
[6] 7話[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/06/07 06:44)
[7] ※お知らせ※  10/23 別板移行[ア、アッシマーがぁぁ!!](2012/10/23 11:02)
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[30610] 5話
Name: ア、アッシマーがぁぁ!!◆a9b17cc5 ID:f5fa12d2 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/05/10 05:57
漆黒の宇宙空間を進みながら、カミーユは必死で赤いモビルスーツ、リックディアスの後を追っていた。
連邦軍の機体からの追撃を躱すために、複雑な慣性軌道をとるMSは、気を抜けばあっという間にカミーユの視界から消えてしまう。
戦場に漂う濃厚な死の気配。火線に乗って飛び交う、敵パイロットの敵意が、カミーユの神経をすり減らす。
Jr.モビルスーツ大会優勝という経歴からくるカミーユの自信などは、今この場においては何の役にも立たちはしなかった。
状況に流されるまま、命の遣り取りをする場へと身を投げ出したカミーユが取り乱さずいるのは、Mk-2のコックピットに乗っているのが自分だけではないからに他ならなかった。
ガンダムMk-Ⅱのシートの脇に座り込む、真っ白い少女。
カミーユは自分を呼んだこの少女を、名前どころか顔さえ今日初めて知ったという事実を、今更ながら奇妙な事だと感じていた。

「どうして、君は俺を呼んでいたんだ?何故、俺の名前を知っていんだい?」
「…………」

カミーユの問いかけに、少女は答えなかった。
不思議な少女だ。カミーユは率直にそう感じた。けれどそれは、彼女の不可解な行動がそうなのではない。
まるで引き込まれる様な感覚。コロニーの人工的な重力とは違う、人を吸い寄せる力。
人類が宇宙に出てなお人を惹き付けて止まない地球の引力。そんな力を、カミーユは少女に感じていた。

『MK-Ⅱ、大丈夫か?』
「あ、はいっ……どのくらいで落ち着けますか?」
『そうだな、あと30分といったところだな』

少女に気を取られていたカミーユは、赤いリックディアスの突然の通信に驚いた。
リックディアスのパイロットの金髪の軍人。確か、白い少女からはシャアと呼ばれていた気がする。
確かに赤い機体に乗っているが、まさかこの人があの『赤い彗星』なんて事は無いだろう。
シャア・アズナブルは一年戦争の最期、ア・バオア・クー戦に出撃し死亡……というのが公式記録である。
少し軍に興味のある人間なら知っていることだ。

『一つ聞きたいが、ナナは――君と一緒にいる少女の様子はどうだ』
「ナナ……この子のことですよね?」
『ああ。やはり、知らなかったのか?』
「はい。無口な子みたいですから……」

白い少女――ナナは、カミーユとクワトロの会話を気にするでもなく、全天周囲モニターに映る宇宙をじっと見つめていた。
人見知りをしている、という印象は受けなかった。
寧ろ初めて会った筈のカミーユを信頼している為に、こちらの様子など気にしていない様にも見える。

『彼女は大切な娘だ。大変だろうが、気にしてやってくれ』
「……分かりました」

大切ならば、何故あんな戦場の真っ只中で、連邦の機体に乗っていたのか、とも思った。
大体こんな歳の女の子がエゥーゴで、しかもモビルスーツに乗っているなんて事自体が普通でないのだ。
そう考えて、ふと思った。普通でないというのなら、カミーユ自身も普通ではない。
遠くはなれた場所からこの少女の声が聴こえて、状況のせいとはいえ、ティターンズとMSで戦うことになった。

「どうして、俺だったんだ?俺でなくちゃならない理由が、あったのか?」
「……カミーユが、カミーユだからだよ」

返事を期待してはいなかった問いに、ナナをぽつりと答えた。
意味は解らなかったが、カミーユが聞いても、ナナはそれ以上の事は教えてくれない気がした。

(ファは大丈夫かな……親父とお袋は、どうなったんだろう。無事にいるのか……?)

カミーユの不安は口にされることなく、宇宙の闇へと溶けて消えた。











ようやく戻ってきたアーガマの居住区の一室。いやぁ帰ってこれて本当に良かった。
ジムが墜落したときはどうしようかと思ったが、結果的にMK-Ⅱもカミーユもエゥーゴに来た訳だから大成功じゃないか?俺的には。
しかしカミーユときたら予想通り、安定のでんp……じゃなかった、ニュータイプっぷりだよな。
「どうして俺を呼んだんだ……」なんて聞かれたから、俺も思わず「君が……カミーユだからさ(迫真)」なんて厨全開に返してしまった。
呼ばれたとか言われても身に憶えがないしなぁ。クワトロ大尉が電波でも飛ばしたんだろうか。

「ニュータイプのアムロ・レイの事はアングラの出版物で知っています。以前から、よく話題に上がる人でしたから」
「グリーン・オアシスでアングラか?軍事コロニーだってのに」
「初めからそうだった訳じゃないですよ」

くだけた態度でカミーユへ世間話を振るヘンケン艦長。
クワトロ大尉、ヘンケン中佐、ブレックス准将とエゥーゴ実働部隊のトップ三人が揃うのを見るのは初めてだ。
…けど、なんで俺もここに居るのか。専用のジムもおしゃかで傷心の俺は部屋に帰りたいのだが。絶対に場違いだよコレ。
呑気にコーヒーを啜る大尉と、ブレックス准将の顔をすげぇ髭だとガン見する俺を余所に、准将は快活に笑った。

「ともかく、君のおかげで二機ものモビルスーツが手に入った。これは普通では出来ない事だ」
「……偶然が重なっただけです。それに、ナナに呼ばれていなければ、僕は今ここにはいませんよ」
「ほう……」

カミーユの言葉で、俺へと興味深げに視線を移すブレックス准将。
なんだ、こっちみんな。と念を送ろうとしたところで、ヘンケン艦長がカチャンと俺の前へとカップを置いた。
なにかと思ったら、コーヒーだ。しかもミルクと砂糖たっぷりのカフェオレ。見ただけで胸焼けしそうだ。
「飲めよ」と良い笑顔でウィンクするヘンケン艦長。見た目と仕草のギャップが凶悪だ。
大尉といい、どうしてここの大人は俺へと甘い物を薦めるのか。見た目か。

「呼ばれた、というのはどういう事かね?この子が君に助けを求めたのか」
「いいえ。直接声を掛けられた訳ではなくて、無意識に語りかけられるような……クワトロ大尉には解るんじゃないですか?」
「何故、そう思うのかね」
「その……なんとなく、そうじゃないかと感じただけです」

カミーユに興味深々な大人たちを尻目に、俺はヘンケンからの贈り物と格闘中である。
あっま!!美味い不味いって話じゃねぇぞコレ、飲めんわ!
腹いせに大尉のカップとこっそりすり替えてやろうかと思ったが、大尉はテーブルの向こうなので届かない。

「…カミーユ、交換して」
「え?あ、ああ。いいよ」

仕方ないので隣にいるカミーユの、まだ手を付けていないカップと交換して貰う。
ずぞぞ…と一口啜る。うん、やっぱりブラックが良い。
如何にも自販機な薄いインスタントっぽい味なのはまあ仕方ないか。俺はコーヒーにはうるさいのだ。
味気ないコーヒーを啜っていると、テーブルの通信機から電子音が鳴る。

「クワトロ大尉だ――――解った、直ぐに行く」
「出てきたか?」
「恐らくは」

受話器を置き、さっと立ち上がる大尉たち。
連邦軍からの追撃だろうか?……ってそれ以外ないだろうけど。

「レコア少尉。二人を頼む」
「はい、ブレックス准将」

さっと身を翻し、去っていく准将は、歴戦の軍人といった感じである。
あれ?カミーユと一緒にレコアさんに預けられるって事は、俺ってば今回は留守番なのか?
いやまぁいいけどさ。なんか次かその次で凄い大変なイベントがあった気がするけど……なんだったか。
ガンダム自体、結構昔に見たっきりだからそんな都合よく憶えてないんだよな。

「気に入らなかったか?」
「……おいしくないよ、ヘンケン」

立ち上がりながら、そういうヘンケン。
女の子は身体が砂糖で出来ているとか聞いた事があるが、あいにく俺は中身が男だ。
おもむろに俺のカップを持ち上げたクワトロ大尉が一口だけ口に含み、盛大に顔を顰めた。

「これは、酷いな」
「そうか……難しいもんだな」

なにやら神妙な顔で頷く男たち。
シュールにもほどがあった。なんだこれ、シリアスはどこにいった。









「私の期待し過ぎかな。彼をニュータイプと思いたいのは」

艦橋へと続くエレベーターの中でブレックスが呟いた。
カミーユ・ビダン。偶然といえる運命のなかで、ガンダムを駆りアーガマへとやってきた少年。
クワトロにも、ブレックスの気持ちは分からないでもなかった。

「アムロ・レイの再来ですか。クワトロ大尉はどう思う?」
「意地が悪いな、キャプテン」
「他意はない。第一、自業自得だ」

暗にナナの事を責めている様に感じられるのは、仕方のない事だった。
クワトロ自身それなりの後ろめたさも在り、ヘンケンもまだクワトロを許した訳ではない。

「ニュータイプの少女か……どれ程の物かね」
「彼女は本物です。少なくとも、MSの操縦やカミーユ君の証言は、あの子の才能の証明になります」
「准将、私は反対です。あんな子供を……大体、ニュータイプだなんだと言って、早速ジムが一台おじゃんだ」

あくまでもナナの兵士としての才覚を認めるクワトロに対し、ヘンケンは猛烈に反対した。
クワトロが半ば強行したナナの同行は、結果を見れば確かに惨憺たる物だろう。
機体を失い、幸運に恵まれなければ、少女はそのまま敵地で果てていた。
だが、それでも。まだクワトロは、アーガマからナナを引き離される訳にはいかないと思っていた。
呼ばれたというカミーユ。それは嘗て自分がした、ララァとの運命的な出会いを思い出させる。
カミーユとナナ。この二人が同じ時、同じ場所に存在しているは偶然などではないと、クワトロは確信していた。

「カミーユ君にはセンスがあります。彼がナナに惹かれてエゥーゴへとやってきたのなら、そばに置いてやるのは必ず良い結果に繋がると思いますが」
「詭弁だぞ、大尉」

今度はカミーユを引き合いに出すクワトロに、ヘンケンが噛み付く。
歳を経て、皺を重ねた顔を顰めたブレックスは、「ふぅむ」と重々しく頷いた。

「よかろう。二人の子供に関しては大尉に任せよう」
「ですが、准将」
「中佐の言い分はもっともだ。しかし、あの子らに本当に素質があるというのならば、我々がその力を必要とする時は必ず来る。戦争の世は、何時であっても英雄を求める物だ」

不服さを隠そうともせず、ヘンケンは鼻を鳴らした。
要約すれば「必要ならば使え」という准将のお墨付きだ。
ヘンケンには悪いが、このブレックスの冷徹ともとれる現実的な考え方は、クワトロにとって有り難かった。
ニュータイプが世を治める時代。それがそう遠くない物ではないか。
クワトロは誰にも知られることなく、胸中でくすぶり続ける理想に思いを馳せた。







「カミーユ君、少しいいか」
「クワトロ大尉?なにか」

ノーマルスーツを取りに、レコアさんと一緒にロッカーへ行く途中で大尉に呼び止められる。
艦内は戦闘配置で慌ただしさを増している。
俺ときたらパイロットなのに、格納庫にもいないけど……機体がないんだもんなあ。

「グリプスで戦艦が建造されている、という話は聞いたことがあるか」
「グリーン・ノア2で、ですか?話しだけなら……内容は全然」

だろうな。と頷くクワトロ大尉。
グリプスの戦艦……ドゴス・ギアだったっけ?なんかデカくて赤くて強いヤツ。
NT補正が凶悪だった初代G○ェネの悪夢のような強さのせいで、中の某輪っかの人のイメージしかない。
戦艦なのにMSの攻撃をギュンギュン避けるとか絶対何か間違ってると思うんだが。

「話は変わるが、MK-Ⅱの装甲は昔の物と一致するとデータが出たが、本当か」
「はい、母はそう言っていました。母は材料工学が専門でしたから」
「MK-Ⅱは所詮、MK-Ⅱだと言う事か……」

落胆した素振りもなく、淡々と事実を確認する大尉。
ガンダムMK-Ⅱは、ティターンズが自軍の新たな象徴として『ガンダム』の名前を持ったMSを作ろうとしたのが始まりだったか。
ジオン残党討伐を掲げるティターンズの意向もあって、純粋な連邦系の技術のみで開発されたおかげで、部分的に旧式な所も多々あったとか。
結局一番の難点は大尉が言ったように、装甲がジムと同じチタン合金セラミック複合材な事なんだろうけど。

「モビルスーツの性能の差が、戦力の決定的差じゃないんだよ」
「あら。良い事を言うじゃないの、ナナ」

大尉がしたり顔で話すもんだから、つい言ってやりたくなったのである。
意味が分かってないだろうレコアさんが合いの手を入れてくると、大尉が僅かに顔を引き攣らせた。

「……ともかくだ。カミーユ君はナナと一緒にいてやれ、ナナも今回はいい。次までにはMK-Ⅱが使えるようにアストナージがなんとかするだろう」

誤魔化すような態度の大尉――ってちょっと待て。
MK-Ⅱってまさか、俺を乗せる気じゃあるまいな……!
愛機クゥエルが殉職してお役目御免……とは思ってなかったけど、なぜにMKーⅡ!?
普通そこはジムⅡ――は勘弁して欲しいけど、リック・ディアスとかさ?もうちょっとすればネモも完成する筈だし。
俺の理想はアーガマの後方支援なのに、ガンダムなんぞ乗ったら目立って仕方ないのは目に見えてる。
狙い撃ちとか冗談じゃないぞ。自分がド派手な機体だからって俺に趣味を押し付けないで欲しい。

「追ってきているのはルナ2の部隊だ、間違いなく第二波が来る。準備だけはしておけよ」

そう言ってさっさと行ってしまう大尉。
さ、流石にMK-Ⅱはないよな?だってカミーユが乗る筈だし、他の人だって反対するだろう……するよな?
でも、そういやMK-Ⅱって三機あるんだよな。バラすヤツとアナハイムに送るヤツとで。
もし俺の知っている通りに話が進むと、無理してバラさなきゃ機体が一機余るわけで……い、嫌な予感が。
此方に来てから、俺の嫌な予感って外れた試しがないんだけど……まあ……なんとかならぁね!!(ヤケ

俺の哀しみを余所に、アーガマの艦内には、第一種戦闘配置の指令が下された。


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