東京にある、とある高層ビル。
都心のど真ん中にあるのに、そのビルはまるで墓場のような薄気味悪い雰囲気が漂っていた。
そんなビルの一室に奴らはいた。
「……混乱の時代の新たなる秩序。
我ら『ガイア教』の使命は世界征服!」
「…しかし、その前に」
「…目障りな奴が」
その部屋の中に、普通の人とは一線違う者どもが中で話し合っていた。
中には、明らかに人のそれとは違う者どもも混ざっていた。
そして話は、どんどんと盛り上がっている。
「我らが宿敵!
『ザ・ヒーロー』!
奴さえ倒せば、この世界は我らの物……」
若い男がホワイトボードに張り付けられた、男の写真を睨みながらそう言った。
「……ここは私めにお任せを。」
「…おまえは!」
ここで手を上げた者は、明らかに見た目が人間ではなかった。
背中には黒い羽が生え、人のそれよりもやや大きめな体格。
修験者の衣装を着て、顔にはカラスのそれに似ていて嘴がある。
そして、身の丈より大きい剣を持っていた。
「いかに、『ザ・ヒーロー』といえども我の風の如き素早い動きにはついてこれまい。
数時間後には、わが剣は奴の血で染まっていることでしょう。」
「……ふむ。
では、『妖魔・カラステング』に告げる。
貴様の剣で『ザ・ヒーロー』の首を打ち取ってこい!」
「ははー!!
了解しました!『カオス・ヒーロー』様!」
【一発ネタ】転生戦士 ザ・ヒーロー【メガテン的ネタ】
そして、東京のとある公園の一角。
そこに奴らはいた。
『ガイア教』一行は『ザ・ヒーロー』に向かって話しかけた。
「『ザ・ヒーロー』そして、『ヒロイン』よ!
今日こそ貴様らの命日だ!」
「……。」
「……。」
一方、『カオス・ヒーロー』に話しかけられた、『ザ・ヒーロー』一行はまるでやる気が感じられない。
『ヒロイン』『ザ・ヒーロー』どちらもベンチに座ったままのレベルである。
「俺ら今日デートなんだけど。」
「『カオス・ヒーロー』君。悪いけど別の日にしてくれない?」
「っちょ!おま、一週間前から連絡入れただろ!
『新人研修』のため、決闘お願いしますって!」
「そうなの?」
「あ~。そういえば、そんなメールが来ていたような……。」
返事にすら、やる気が感じられない『ザ・ヒーロー』。
そして、やんわりと断りを入れる『ヒロイン』。
しかしながら、『ガイヤ教』全体のスケジュールから今日はぜひとも『ヒーロー』との決闘をしたい『カオス・ヒーロー』。
そもそも『ガイア教』は世界の革新を目指す集団。
既存のルールなぞくそ喰らえである。
「というわけで、いけえ!
『外道・チンピラ』ども!」
『カオス・ヒーロー』の合図とともに、『カオス・ヒーロー』の後ろにいたガラの悪い複数の男たちが『ザ・ヒーロー』に向けて突撃した。
男たちの見た目は、なぜか多くの物がモヒカン、トゲ付き肩パッドといった世紀末スタイルなのはお約束だろう。
「「「「ヒャッハー!!」」」」
「「「「「リア中は消毒だ―!!」」」」」
「あ?」
《SUMMON ケルべロス》
「ギュアアアアアアアア!!」
「「「「「「「「「おそれいりやした!
どうか これで みのがして くだせえ!」」」」」」」」」
ザ・ヒーローは
¥370
てにいれた
「YOEEEEEEEEEEE!!!」
「「相変わらず、やすっ!」」
『ザ・ヒーロー』が『ケルべロス』を召喚したことにより、すぐにへたれる『チンピラ』ども。
『カオス・ヒーロー』は『チンピラ』どもの余りのへたれっぷりに、『ザ・ヒーロー』と『ヒロイン』は『チンピラ』達の所持金の低さにビビった。
「おまえらもっと頑張れよ!」
「いやいや、あいつの目明らかに『人殺し』の眼をしてやした。」
「鬼か!」
「鬼の方がまだかわいいと思う。
ありゃ、死神だね。」
「破壊神じゃね?」
いくら、『特攻隊』や『処刑ライダー』に成れない新前の『チンピラ』とはいえこれはひどい。
頭が痛くなりそうな『カオス・ヒーロー』に、後ろにいた『カラステング』が話しかけた。
「では、私めが奴の首をとることにしましょう!」
「おお、では任せたぞ!
『カラステング』!」
「は!では!」
そういって、『カラステング』は剣を構え、『ザ・ヒーロー』に真っ直ぐ突っ込んでいった。
しかし、『ザ・ヒーロー』の前を『ケルべロス』が行き、『カラステング』の行く手を阻む。
「むう、我の邪魔をする気か!
なれば、貴様から先にわが剣のさびにしてやるわ!!」
「グルアアアアアア!!」
『カラステング』と『ケルべロス』が激突し、二匹の悪魔による戦いが始まる……。
「《ジオ》」
「ぐう!」
CHOCK!
そして、『ヒロイン』の横やりが入り、動けなくなる『カラステング』
「《ジオ》」
「ぐう!」
CHOCK!
「《ジオ》」
「ぐう!」
CHOCK!
「《ジオ》」
「ぐう!」
CHOCK!
《SUMMON ピクシー》
「「《ジオ》」」
「ぐう!」
CHOCK!
「「《ジオ》」」
「ぐう!」
CHOCK!
「「《ジオ》」」
「ぐう!」
CHOCK!
……………………………………………
………………………
………………
…………
……
…
「ぬわー!」
「カラステング―!!」
こうして、《ジオハメ》で殺された『カラステング』。
元々レベル差があるのにひどい話である。
あまりの一方的な虐殺に、『ザ・ヒーロー』と『ヒロイン』はベンチに座ったまま。
『チンピラ』は顔を青くして、後ろで震えている。
そして、『カオス・ヒーロー』は静かに震えていた。
そして、大声で言った。
「ええい!
今日という日はこの俺自ら相手してやるわ!!」
このままでは引き下がれないと、やられた『カラステング』の弔いのため、『チンピラ』の仇討のため(チンピラは死んでません)。
『カオス・ヒーロー』は立ち上がる!
「おおおおおおお!!」
そして、『カオス・ヒーロー』のうなり声とともに、体、そして顔にもオカルトチックな模様が浮かび上がる。
そう、『カオス・ヒーロー』は悪魔と人間の融合体である『悪魔人間』であるのだ!!
「《ジオ》」
しかし、『ヒロイン』は無情にも変身中の『カオス・ヒーロー』に《ジオ》を唱えた。
どうやら、デートの邪魔をされたのが相当ご立腹らしい。
「馬鹿め!
その攻撃は事前に対策済みだ!」
しかし、あらかじめ《ジオハメ》を警戒していた『カオス・ヒーロー』は《麻痺払いリング》を装備しており、《ジオ》を喰らっても麻痺はしない!!
そうして、この隙に『カオス・ヒーロー』の変身が終わった。
「では、尋常に勝負!!」
「神経弾 くらえ!」
「あふん」
SLEEP!
……………………………………………
………………………
………………
…………
……
…
「今日は臨時収入が入ったことだし、ちょっといい所行ってみない?」
「いいわね!
最近、モールの中に新しいお店ができたらしいから、そこに行きましょう!」
きゃっきゃ
公園に残されたのは、ぼろ雑巾のような悪魔と悪魔人間ぞれぞれ一体ずつ。
そして、まるで子供がお化けを見たかのごとく、青い顔をしてただただ震え続けるモヒカンたちだけであった。
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なんとなく頭にフレーズがわいて書いちゃいました。
後悔はしてない。