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No.30469の一覧
[0] 【一発ネタ】エミヤシロウだけの聖杯戦争[ココア](2011/11/11 01:09)
[1] Prologue/無限選択[ココア](2011/11/12 19:07)
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[30469] 【一発ネタ】エミヤシロウだけの聖杯戦争
Name: ココア◆90860ec1 ID:0ba533b8 次を表示する
Date: 2011/11/11 01:09


英雄。西洋で言うならヒーローと呼ぶ存在。
剣を振るい勇猛に敵兵を打ち倒す剣士。
魔法を使い怪物を殺し、他者を癒す魔術師。
あらゆる脅威から人々を護る小さな町の正義の味方。
恋人や友、家族の為に命を投げ打ってでも戦う凡人。
紀元前の古典的な物語から現在もなおこのような人物は物語の主人公としている。
さて、物語を始める前に一つ問いたいことがある。
英雄の生涯、ストーリーにおいて最も重要となるは要因は何処か?
悲劇的で理不尽な最期を迎えることか?
怪物や千を超える軍勢に立ち向かい偉業を為すことか?
救世主と人々に崇められることか?

―――違う。

確かに悲劇は物語の締めにふさわしい。
英雄譚、英雄的行為がなければその人物は英雄とは呼べない。
それを称える人物がいなくては英雄にはならない。
しかし、最も重要なのは英雄が英雄的行為に至ることになった原因。
起源だ。
例えるならアーサー王物語において選定の剣を引き抜きアーサーが王になった瞬間。
アーサー・ペンドラゴンという英雄の物語は約束された悲劇の終わりに収束された。
英雄を英雄にした切欠。
様々な理由や思念がある。
そんな中で最も多くありきたりなものは―――悲劇。





一人の少年が歩いていた。
瓦礫と屍と半死半生の肉塊しかない風景を炎が包み込む。
黒い太陽がほんの少し前まで人が住む世界であった地獄を嘲笑うように照らす。
少年の網膜に目の前の光景が焼け付くように映りこみ、鼻孔には人肉が焼ける臭いがこびりつき、助けを呼ぶ声が耳から離れない。
心臓の鼓動が早くなっていくことを理解しながら全てを振り切り歩みを進めていく。
逃避したのだ、目の前の現実から少年は。
当然だ。十にも満たない少年に人を救う余裕はない。
瓦礫に埋もれた大人を救い出す腕力はない。
怪我に苦しむ人間を治療する知識もない。
母親に抱えられた子供を背負っていけるほどの体力もない。
この一歩を進めることが、一分一秒を生き永らえることが少年の限界なのだ。
当てもなくただ悪夢のような世界から抜け出したい一心で少年は歩き続けた。
結果を言えば少年は助からなかった。
紅い紅い煉獄で少年の中身は全て燃やし尽くされ伽藍堂のように空っぽの生きた人形と化したのだから。
夜が明けた。
機械のように歩き続けた少年であった人形は生きなくてはいけないという強迫観念に似た脳からの伝達を忠実にこなす。
だが、所詮は子供の肉体。
世界は赤から灰色に変わっていき、悪夢が終わりを迎えようしていたが絶え間なく歩き幼い体を酷使し続けた代償として少年は倒れた。
曇天の空をぼんやりと眺める。
雨が降ったのに頬に感じた湿り気で気付く。
しかしもうどうでもよかった。
苦しくて苦しくて他人を見殺しにしてでも生き永らえようとしたのに結局今死んでしまいそうになった自身をどうしようもなく不甲斐なく思って。
ぽつぽつと降り出した雨粒を注いでいる空に意味もなく手を伸ばした。
ただ、空が遠いなあ、と。
そのまま風景と同化しようとしたとき、一人の男が無骨な掌で支えるように死にかけた命を掴んだ。
助けられた自分より心の底から喜び、救われたような笑みを浮かべた姿を見て人形は新しい心を吹き込まれ少年に戻る。
感謝の言葉が聞こえた。
再び男が笑みを作る。
少年は思った。
この男のような笑みを浮かべたい、と薄れていく意識の中憧れ途絶える。
紅い紅い煉獄があった場所で少年は自身を英雄へと変える切欠に出会った。





此度の舞台の名は第五次聖杯戦争。
万能の願望機【聖杯】を巡る日本の一地方都市で六十年周期で開催される魔術儀式である。
聖杯を手に入れるには聖杯の導き手として選ばれた証―――令呪と呼ばれる聖痕を得るのが第一段階。
次に、選ばれた七人の人間、マスターは英霊と呼ばれる人類の守護者を召喚する。

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
召喚されるのは神話や伝説、歴史において英雄と称される人物。
故にこの聖杯戦争とは英霊を用いた命懸けのバトルロワイヤル。
勝者は七組の中で最期まで生き残った一人。

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。 繰り返すつどに五度。 ただ、満たされる刻を破却する」
だからこそマスターは勝ち残るためにより優れた英雄を呼び出すために縁ある聖遺物を触媒に召喚を行う。
ある者はその英雄が実際に用いた武器を。
ある者は憧れた人間に似た気質の英雄を呼び出すためにその肉体の一部を。
ある者は己に相応しい英霊がくるのを確信して触媒を用いらなかった。
 
「――――Anfang」
そうして、運命の歯車が動き出す。
この地に己が従えるサーヴァントを呼び出す呪文を御三家の一つである遠坂の当主は家法である赤い宝石を携えて唱えた。

「――――告げる」
器は紡ぐ。
少女は紡ぐ。
人形は紡ぐ。
魔術師は紡ぐ。
一人の英雄を呼び出すために。

「――――告げる。 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
聖杯を望む理由は誰もが違う。
しかし、誰も敗者になることは望んでいない。
召喚のために描かれた陣が召喚者の魔力を奪い、光り輝く奔流を生み出し風を吹かせる。

「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を敷く者」
紫の髪をした少女は隠し持った触媒である赤銅の髪と出来損ないのガラクタを持って淡い期待に縋る。
彼女は諦めていた希望を形にするため懸命に声を張り上げる。
自分を救ってくれる騎士がきてくれることを願って――

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者―――」
これを唱えるのは狂戦士を呼ぶ者だけ。
銀髪に赤い眼をした少女は体内の魔術回路を駆け巡り感じる悪寒も苦痛もものともせず静かに言葉の羅列をなぞらえていく。
自分を捨てた憎い男への憎悪を胸に。

「 汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
言霊の終わりと共にマスター達の魔力は枯れ尽くしてしまいそうなほど一つの円に集約されていく。
暴風が吹き荒れるのを止み、閃光に目が眩み閉じた瞼を開くとそこには奇跡が顕在していたた。
かくして、六騎の英霊が集いイレギュラーによって全てのサーヴァントは揃う。

七つのクラスに振り分けられたエミヤシロウというサーヴァントによる聖杯戦争が始まる。





聖剣を持った凡庸な剣士。
「確かにオレは担い手じゃない。
 ―――だがな、それがお前に負ける道理にはならないよ」


赤い弓兵。
望むのは自分殺し。
「そうか。私の望みは結局叶うことのない妄想でしかなかったのだな―――」


紅い槍を持つ槍兵。
望むのは再戦。
「これがオレの望んだものだ。行くぞ――――!」


壊れた魔術使い。
望むのは第三魔法。
「殺す。殺すころすころすころすころすころすころすころすころす」


英雄になれなかった偽者。
望むのは救済。
「今度こそ―――今度こそは……!」


ハガネノココロを持つ暗殺者。
望むのは災厄の破壊。
「恨んでくれていいさ。これがオレの救済の形だ」


体が剣で出来た狂戦士。
望むのは守護者殺し。
「……Ar……cheraaaaAAAAAA!!!」


最後に八番目のサーヴァント。
イレギュラーではないイレギュラー。
本来の役者。
クラスは、セイバー。
「一つ、問おう。貴方は私の知るエミヤシロウか?」
真名をアルトリア・ペンドラゴン。




聖杯戦争から生まれたエミヤシロウを見て衛宮士郎は何を思う。
七つの終わりが新たな道を生み出す。
一人の人間から生まれた英雄達による第五次聖杯戦争、開幕。












解説みたいなあとがき

Zero見てsnを再びプレイしたときに衛宮士郎って第四次、第五次聖杯戦争が原因で生まれた英雄なんだからそれに関係する人間が皆エミヤシロウ召喚する触媒になる可能性あるんじゃない?って思いつきで書きました。
終わりが読めないので挫折して一発ネタになりましたけど……

触媒は

士郎→自分+家(Fateルートに近いものから)
凛→宝石
桜→自身+髪の毛+士郎の投影品(HFに近いルートから)
イリヤ→自身+石斧(HFに近いルートから)
ダメット→冬木市+ルーン石の耳飾り(クー・フーリンの槍を持つ士郎)
モブ魔術師→冬木市
マーボー→自身+冬木市+泥(HFに近いルートから)

という感じです。
実際、冬木は衛宮士郎の故郷だし聖杯戦争関係者は士郎の根幹に関わるから触媒として充分作用すると思うのはやっぱり自分だけなんでしょうか



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