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No.3012の一覧
[0] 魔法少女リリカルなのは~ABYSS~[くるる儀](2008/05/08 21:45)
[1] 第二話 It is led from the abyss and it is a boy. [くるる儀](2008/05/10 00:15)
[2] 第三話 The boy meets the girl in the different world. [くるる儀](2008/05/14 21:35)
[3] 第四話 Meeting 'Family'. End during a day[くるる儀](2008/05/17 12:41)
[4] 第五話 Two fencers in morning in the different world[くるる儀](2008/05/23 23:34)
[5] 第六話 Magic girl.And fencer in abyss[くるる儀](2008/06/10 06:32)
[6] 第七話 1st of a magic girl and the boy fencer[くるる儀](2008/06/20 23:18)
[7] 第八話 Girl's mind. Boy's mind[くるる儀](2008/06/25 23:06)
[8] 第九話 Another magic girl[くるる儀](2008/06/25 23:29)
[9] 第十話  A hot spring trip and an unexpected reencounter.[くるる儀](2008/06/29 23:22)
[10] 第十一話 The thought that does not come. The thought that I want to convey.[くるる儀](2008/06/29 23:27)
[11] 第十二話 Wizard of the third person.[くるる儀](2008/06/30 16:53)
[12] 第十三話 Considerable crisis. Mind to which it is puzzled.[くるる儀](2008/06/30 18:07)
[13] 第十四話  Determination and the past of boy.[くるる儀](2008/06/30 19:18)
[14] 第十五話  Decisive battle of sea. ―― The last Cahira.[くるる儀](2008/07/01 17:19)
[15] 第十六話  Rest of moment. ―― Desire that begins to overflow[くるる儀](2008/07/01 17:38)
[16] 第十七話  Mind that knocks against. ―― Boy who can be angry[くるる儀](2008/07/01 21:18)
[17] 第十八話  When the fate shuts. ―― Sword in abyss[くるる儀](2008/07/01 22:17)
[18] 第十九話 Day of departure and separation. ―― New prologue[くるる儀](2008/07/01 22:57)
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[3012] 魔法少女リリカルなのは~ABYSS~
Name: くるる儀◆db611947 ID:ba474dac 次を表示する
Date: 2008/05/08 21:45
少年は光の中にいた

手足の感覚が消えていく。方向の感覚もあいまいで、昇っているのか落ちているのかもわからない

何もない空間に存在する『自分』という矛盾。だがその矛盾もやがて消える

自分は消える運命だった。その運命を受け入れてここまで来たのだから

辛くないといったら嘘になる。悲しくないわけがない。もう流すこともできないが、泣け叫んだこともあった

それでも、変わると決めたから。大切な使命を果たすと、約束を、守ると決めたから

でも唯一の心残りは―――

ガイ、ナタリア、ジェイド、アニス、ミュウ……ティア

どうしようもない馬鹿だった自分を、仲間だと言ってくれたみんなに、もう会えないこと

『ごめんな、みんな、ティア。約束、守れな―――――』


……ルーク。………界へ………めて………幸せを


最後に聞こえた声が、なんなのかわからぬまま


ルーク・フォン・ファブレは、この世界から消滅した




少年が出会ったのは、不屈の心を持つ少女

消えたはずの自分に戸惑いながら、少年は再び歩き出す

誰も知らない、深淵の世界より導かれた、一人の少年の物語



魔法少女リリカルなのは~ABYSS~




それを見つけたのは、本当に偶然だった
桃子に頼まれたお使いを済ませた帰り道。ふと気が向いたので、通りがかった公園に寄った
休日の午後の公園にはまばらだがそれなりに人がいて、それをしばらく眺めていた
しかしいつまでもこうしていてはお怒りをかってしまう。ベンチから腰を上げて、



一瞬の、光を見た



本当に、それは一瞬の光だった。自分以外に気づいたものがいないのがその証拠
おそらく自分も、偶然にその方向を見ていなければ気付かなかっただろう
その光を見た公園の外れの林に行くと、そこには少年が倒れていた

倒れていた、というのが正しい表現なのかは疑問だ
仰向けに空を仰ぎ目を伏せている少年は、ただ眠ってるようにも見える
だが、意識がないことがすぐにわかった
素早くその少年のそばにいき、呼吸、脈拍など調べて、異常がないことに安堵する

よくよく観察してみると、少年はどこかおかしかった

木々の緑に映える紅い髪と腹筋の部分をさらす奇妙な服装からみて、少年はおそらく日本人ではないだろう
その少年の首にかけられたネックレス。その中心に嵌め込まれた朱の宝石からは不思議な『何か』を感じ取れた

そしてなによりも
『何故』少年はこんな所にいるのか
『何故』少年は気を失っているのか
それは、一瞬だけ見えたあの『光』と何か関係してるのか

「まぁ、今はそんなことより―――」

少年を背中におぶさる。わずかながら身じろぎしたが、気づく気配はなかった
いろいろと気にはなるが、どの疑問も少年をここに置いておく理由にはならない―――少なくとも、私にとっては

帰ったら桃子はどんな顔をするだろうか。いや、そんなこと考えるまでもない
きっと彼女は何も言わず、あの太陽のようなほほえみで少年を迎えるだろう
そのほほえみを思い浮かべ、そういえばこの少年はなのはと『同い年くらい』だろうか、などど思いながら、私は我が家への帰路についた






ちなみに、わが妻は私の予想通りの対応で出迎えてくれたのだが、私は公園に置き忘れた買い物袋を取りに再び公園へと向かうのであった




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