<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


No.29891の一覧
[0] 【習作】協専ハンターの小規模な生活(HxH)[おんどり](2012/04/08 13:42)
[1] 1話[おんどり](2011/09/30 19:15)
[2] 2話[おんどり](2012/04/08 02:00)
[3] 3話[おんどり](2012/04/08 02:03)
[4] 4話[おんどり](2012/04/08 02:05)
[5] 5話[おんどり](2011/10/03 21:54)
[6] 6話[おんどり](2011/10/03 21:42)
[7] 番外・届かなかった人[おんどり](2012/04/08 02:04)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[29891] 3話
Name: おんどり◆0d01a232 ID:f5dba046 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/04/08 02:03
「今日からの修行は、この山を掘りぬくことだ」
「山を掘るって、これをですか?」
「そうだ、自分で掘ってトンネルを開通させろ」

そんな無茶な……。と呟くカロリナの前には大きな茶色い壁が立ちはだかっている。山というよりは巨大な円柱で、左右を見渡せば壁面は緩やかなカーブを描いているがその角度から察せられる規模は人一人が簡単に掘りぬけるほど小さなものではない。



ヌメーレ湿原に入って十日が過ぎた。カロリナの精孔も全て開き切り、纏を睡眠中でもほとんど切らさずにいられるようになっている。
そろそろ次の段階の修行をするために移動してきたのが、ここ、ヌメーレ湿原内にある人工の双子山だ。いま俺達が立っているのはそのちょうど挟まれた真ん中である。近くには大きなコンテナと設置式の大型クレーン、宿泊所がある。

「一日につき一本までならシャベルを支給してやる。掘った土はリアカーにいれて運び出して、あそこにあるコンテナに入れるように」
「えーと、ほんとに人力でトンネル掘れって言ってますか、もしかして?」
「当然本気だ。なに、車や列車が通れるものでなくていいんだ。大したことはない」
「う、分かりました。がんばります」

眼前に広がる巨大な質量から感じる威圧感のためか、カロリナは始める前からあまりやる気を感じられない。困ったものだ。一度トンネルを開通させることなど始まりにすぎないというのに。
俺はここで修行する者のための宿泊所から椅子を引っ張り出して座り、ジャーキーをかじりながら、作業を進めるカロリナをぼーっと眺める。これまでは精孔の開き具合をみたり、錬で精孔を刺激して、念能力発現を早めたりとやることはあったが今はそれもない。
カロリナのサバイバル能力はもうみたので、これからはこの双子山を中心に修行するにあたってここの宿泊所を拠点にするし、必要物資ももう運び込ませてある。
ジャーキーをかじることだけが俺の仕事なのかもしれない。それもありだ。


「師匠ー!この山、硬すぎるんですけど!!」

俺がジャーキーを歯だけでどれだけ裂けるかに挑戦していると、カロリナが先端のすっかり潰れてもはやシャベルとは言えなさそうな物体をもってやってきた。

「あ、しかも自分だけなんかおいしそうなもの食べてる!わたしも欲しいです!」
「夜まで我慢しろ。言い忘れたが最低でも四分の一は進めないと夕飯はなしだ。だいたいコンテナに3杯半くらいか」
「そんな!ここの土って本当に硬くてシャベルも全然歯が立たないんですよ。四分の一なんてむりです!ほら、もうシャベル壊れちゃってますし!」
「シャベルが壊れたなら、素手で掘るんだな。いいからさっさと行け」
「うぅ……」

まだ何かを言いつのるカロリナにぞんざいに手を振りながら、少しの害意とともに練で高めた念を放つと、すぐに口をつぐみ冷汗をかきながら作業にもどっていった。
念を覚えたとは言え、まだやっと精孔が開いたばかりのひよっこだ。強大な敵意のオーラに触れれば恐怖もするのだろう。こういった念も味あわせておくべきだ。


二時間をかけて数メートルほどしか掘り進められていない作業地点に戻ってカロリナは泣きそうな顔をしている。確か山の直径は300メートルほど。四分の一堀りおおせるにははあまりにも遠い。
カロリナは棒の先に変な鉄塊がついただけのものとなったシャベルをじっと見つめた後、放りすてると、纏のオーラを精いっぱい漲らせて拳を突き出し―――陥没した。
予想していたよりもはるかに反発がなかったためだろう、大きくバランスを崩して体ごと山にぶつかっていき、大きく周りを崩壊させてそのなかにそのまま飲み込まれていったのだ。
さすがに窒息したら少々まずいので山に突っ込んだカロリナを引っ張りだす。体中泥だらけの有様だ。

「おい、生きてるか?」
「うえーぺっぺっ。何が起きたんですか?」

口の中にまで入ってしまったらしい土を吐きながらカロリナが復帰する。混乱はしているだろうが大したことはなさそうだ。

「今まで纏しててもあんなに威力出たことなかったんですけど。それにほとんど衝撃も感じられなかったし」
「これも念だ。ただしお前の念でも俺の念でもない。この山に念がかけられてるんだ」
「それってどんなのですか?っていうか念って生命エネルギーを操るものでは?」
「それはまだ秘密だ。ま、とりあえずいまの一撃をヒントに残りを掘ってこい」

釈然としない顔をしながらもカロリナは素直に作業に戻っていく。あるいは、夕食がかかっているので細かいことはどうでもいいのかもしれない。
しかし、今のは驚いた。シャベルが使い物にならなくなっていたからそろそろ手で掘ってからくりに気付くかと思ったら、まさかあんなに思いっきり自爆するとは。
まあ、おそらくこれで随分進めるようになっただろう。夕食までにはノルマが終わるかどうかはまだわからないな。



「おおー、久しぶりのパン!」
「このなかで一番注目するのがパンなのか?」
「だってもう10日も食べてなかったんですよ?ビバ、炭水化物!」
「まあ人それぞれか」
「いやいや、パンって言ったら主食じゃないですか!主食っていうくらいですからいつもは主にそれを食べてるわけで、それがないとやっぱ力がでなかったというかですね!」
「わかったわかった」


ときどきクレーンを動かしてコンテナの中身を反対側の山の上へ移すほかに、宿泊所からひっぱった電源を繋げたランプをカロリナの掘ったトンネルに設置していく程度で、後はビール片手につまみをかじりながら見てた俺によほど思うところがあったのか、例の一撃以降素手ならば山が掘れると気づいたカロリナは猛然と掘り続け、見事にノルマを達成していた。
とはいえ、香草のよく効いた青魚のリエット、熱々のとろけるチーズが魅力的な茄子と鶏肉のグラタン、鮮やかな彩りをみせる旬の野菜のコンソメスープと、久しぶりに文化的な飯を前にまさか一番の感想がパンにくるとは思わなかったが。

「はい。ところで師匠、あの山にかかった念ってなんですか?シャベルでは全然掘れなかったのに素手だとプリンみたいに簡単に掘れましたよ?」
「教えてもいいが、まずはお前の考えを言ってみろ」
「んー、あの山には金属に耐性があるとか、あるいは単純に素手じゃないと掘れないようになってるとかですかね。正直、念でできることの範囲がよくわからないのでこのくらいしか浮かばないです」
「まあまあだな。あの山はある技術によって物理的衝撃に対する大きな耐性とオーラに対する脆弱性をもっている。念は奥が深い。念でできることの範囲はとても広いがその限界は俺にもわからんよ。念能力は基本的なもの以外扱う個人によって千差万別だ。誰かにとっていともたやすく作ることのできる能力が、別の誰かには一生かかってもできないこともある。未来視や徐霊、飛行能力に瞬間転移だって出来る者には出来る。その人の個性が念能力を形成するんだ」

手を挙げ質問してくるカロリナに、ワインを飲みながらそう語り、指先からオーラを形状変化させて文字を描いた。

『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』




場所を双子山に移して三日目、ひたすら山を掘っていたカロリナだが今日は前日までに比べ劇的にスピードが速い。手で前方の壁を打ち壊し、崩した土をシャベルでリアカーにつめ、コンテナまで運ぶという作業だったのが、シャベルをオーラで覆うことで直接壁を壊してリアカーにつめるようになったからだ。
これは纏の応用技で「周」という。体以外のものにまで自身のオーラを纏わせる技術だ。一工程減り、壁を崩すにも手であったときよりもシャベルの方が当然簡単に大きくできるので、効果は瞭然としている。
だが応用技は基本技とはケタ違いに体力と気力を消費する。まして、カロリナは纏以外の基本技も満足にできない段階だ。消耗は激しいだろう。おまけに土を掘るという行為自体が激しい全身運動だ。ひたすら掘り続けるというのも精神的、肉体的に持久力を問われることになるだろう。
この訓練で全身の筋力、持久力、精神力、オーラの総量、それを操る技術力、そのすべてが向上する。


「今日は随分と早く終わったな」
「そう!師匠、すごいんですよ。シャベルにオーラを纏わせたら土がさっくさくです!毎日シャベルを渡してくれたのはこういう事だったんですね」
「そういうことだ。それは「周」という纏の応用技だ。体以外のものにオーラを纏わせる技術だな。よく気付いた」
「えへへ、あの土はオーラであれば掘れるっていってたのと、毎日もらえるシャベル、あとは師匠がオーラの形を変えてたのとか、よく考えたら纏のときはオーラで服の上まで普通に纏ってるんだしできるかなー、と」
「上出来だ。これからは毎日のノルマが終わったら1時間の休憩を挟んで「練」の訓練にはいる。ついでに休憩中は「絶」の訓練もしておけ、その方が回復も早い」
「あー、休憩はありがたいです。速く掘れるのはいいけどなんでかすごくつかれちゃいまして。最後の方はなかなかうまくシャベルにオーラを纏わせられなく……」

カロリナはテーブルの上にぐてーと倒れ込みたれている。まあ纏を覚えて一週間足らずの初心者がこの修行をやればそうなるだろう。
とはいえ、カロリナがそうだったように基本的に纏さえできればなんとか形にはなるのだし、オーラの総量が多くなった方が練も覚えやすい。促成でひよっこのカラを外すにはこれでいいと思う。

「べつに絶は完璧でなくともいいから、瞑想で精孔を開いていった時のことを思い出して、今度はそれを閉じてオーラが出ないようにすればいい。極度の疲労やオーラ不足に効果がある。あとは完璧に近づくほど、気配を遮断できる」
「おおー、一気に影が薄くなりましたね」
「わかったら自分で試しとけ。休憩時間はもう始まっているんだぞ?」

「絶」を実践して見せ、それに対し失礼な感想をいってきたカロリナの発言は黙殺する。カロリナの「絶」はまあまあといったところか。一般の動物やちょっとした武人までには使えるだろうが、鋭敏な感覚を持った野生動物を相手にするには少し心もとない。
現状の目的にはこの程度の錬度でも問題ないだろう。どうせ、後々いやでも上達することになる。



「体内にエネルギーをためるイメージ。細胞の一つ一つから少しずつパワーを集めどんどんどんどん増えていく……たくわえたその力を一気に―――外へ!」
「まだオーラに力強さが足りない。もう少し、練ったオーラを纏でとどめるんだ。もう一度」
「はい!体内に……」

休憩時間が終わり、練のコツを教えた後はカロリナが実践するのを見ている。
やはり休憩を挟んだとはいえ、基本の纏にくらべオーラを大量に消費する応用技を使った後だけあって、オーラが枯渇気味なのかカロリナの錬は精彩を欠いたものになっている。
これ以上、無理にやらせてもあまり意味はないかもしれない。一応、短時間とはいえ纏よりはほんの少し強いオーラを纏えているので良しとしよう。

「そこまで。後は寝るまで絶と錬を一時間ごとに交互に繰り返しておけ」
「はい。指導ありがとうございました」

俺がそう伝えると早々にカロリナは絶に切り替えてぐったりと座り込んだ。初めてオーラを限界まで振り絞ったことで生命エネルギーそのものの枯渇という経験したことのない感覚にまいっているのだろう。

「師匠ー。体に力が入らないので甘いものが食べたいです。具体的にはチョコロボくんだとなおグットです!」
「宿泊所に砂糖ならたっぷりあるな」
「冷たい……。師匠はビールとかワインとか飲んでるじゃないですか。わたしにも嗜好品が欲しいです」
「――そうだな。一日で300m山を掘ることができたら考えよう。菓子の手配はしておく。「チョコロボくん」だったな?」
「本気ですか?ほんとですか!?やっほー!!今、わたしのやる気は当社比で3倍にはなりましたね。超がんばります!」

さっそく山にむかったカロリナだが、テンションで一時的にオーラは復活してもすぐにガス欠をおこして倒れることになった。だから絶と練の訓練をしろといっていたのに。
俺は気絶するまでオーラをだして山を掘っていたカロリナを宿泊所に引きずって行きながら、菓子程度でこんなに発奮する安いプロハンターがあるか、とため息をついた。



翌日からカロリナの生活は、朝は錬の修行、二時間ほど続けた後は休憩を挟みつつひたすら山を掘り続け、夜は絶と練を繰り返すというものになった。
少々詰め込みすぎかとも思ったが、朝晩が練で時間がとられるので山を掘れないのに不満を漏らす以外には真面目に取り組んでいた。
驚いたことに、気絶した日から五日目には見事に一日で300mを堀きり、念願の菓子を手に入れたのだ。これは、オーラに脆弱性を持つ山の性質と、練で分かるようにオーラには強弱をつけられることをもとに、少ないオーラを限界までケチって運用した結果だ。
なにやら望んでいた方向とは少し違う育ち方で課題をクリアされてしまったが、これでもオーラの総量は伸びてきている。問題はないだろう。それにしても念能力を覚えたばかりなのに随分とうまくオーラを操るもんだ。オーラの形状変化に適性のある変化系に系統が近いのかもしれないな。
そうしてカロリナは順調に一日で掘り進める距離を伸ばしていっている。

俺はというと、たまにアドバイスする以外には一本トンネルが開通するごとにこの山に特殊な性質を与えているもの――山の下に隙間なく書き込まれている神字――にオーラを通してトンネルを崩壊させてまた穴のない山に戻したり、クレーン車を動かしたりと退屈な補助をしていた。
山を掘り始めて十二日、暇つぶしに読んでいたシリーズものの小説も読みつくしてしまったし、ライスの粒にカロリナの訓練風景やこの湿原にいる珍奇な生物を描くのにも飽きた。カロリナの錬も少しは力強くなり、オーラ量の方も一日にトンネルを三本開通させるまでに至っている。次の段階に進んでもいいだろう。


「今日からは午前中のメニューを変更する。まずは練をしてみろ」
「はい!」
「そのオーラをすべて眼に集中するんだ」
「……っはい」

カロリナは、纏の時とは比べ物にならない、練で高めたオーラを操ることに初めは少し手間取ったようだが、毎日「周」を使った山掘りをしていただけあって少し不安定ながらもうまくオーラを集中できていた。

「それが「凝」という錬の応用技だ。オーラに対する感受性が上がって隠されたオーラを見ることができるようになる。念能力者同士の戦いでは必須の技法だな。この指の先に何が見える?」
「ハンター協会のマーク、ですか?」
「見えているようだな。十分だ。今は全力で凝をしているが、慣れたらカメラのズームのように自在に加減できるようになっておけ。少しでも違和感を感じたら凝!目を凝らすのと同じぐらい自然にできるようになること」

かるく隠をかけたオーラで描いたマークはしっかりと見えているらしい。準備は整った、では課題を与えるとしよう。

「このヌメーレ湿原には明らかに他と違ったオーラをもった生物がいる。そいつらをその凝で探し出して捕獲してこい」
「はい。他と違ったオーラってどんなのですか?」
「見ればわかる。最低でも写真に収めなければ今日の飯は無しだ」
「ええ!こことっても広いんですよ!?もうちょっとせめてヒントを!」
「なせば成る。ほら、行って来い」


言って、カロリナにポラロイドカメラを手渡して追い払う。モチベーションを保つためだとはいえ、功罪に報いるのが食糧関係ばかりというのも芸がないかもしれない。次回は何か別のものを考えるとしよう。
まあ、今回は特に変える必要もないだろう。無事に「キリヒトノセガメ」と「ホラガラス」の写真を撮ってくるはずだ。


―――なにせ昨日、念能力者に頼んでおいたのだから。


キリヒトノセガメもホラガラスもヌメーレ湿原の固有種として登録されている生物だ。それは間違いない。
ただそれはハンターの修行のために動かされていたそれらが偶然、観光客のカメラにとらえられてしまったため登録されているにすぎない。そもそもこんな人間の少ないところで、ほとんど人間相手に特化しているような生き物がいるわけはないだろう。

「キリヒトノセガメ」は具現化系念能力者の念獣で、霧の中でだけ活動できるという制約をもった大型のカメに見える存在だ。ただしそれはフェイクで、実際には背中に生えた人のシルエットをした「ヒトニイチゴ」の一つが本体だ。
無差別に人間大のオーラを感知して霧の奥に誘導し、襲いかかる。正確に本体のイチゴを攻撃しなければ次々に別のイチゴに本体が移り、キリヒトノセガメの力も上がっていくというやっかいなもの。「凝」でわずかなオーラの違いを感知して本体を見極めながら戦わなければならない。

「ホラガラス」は操作系念能力者の端末で、実際には他の地域にもいるハシビカラスとかわらない。念の恩恵を受けたホラガラスは人語を操り、嘘八百を並べ立てヌメーレ湿原各地へ人間を誘い、罠にはめる。
特に「ジライタケ」の群生地帯につれて行かれれば厄介だろう。ジライタケは微妙な模様のパターンの違いによって、オーラに反応して爆発するもの、オーラのないものに反応して爆発するものの2種類があるキノコだ。ホラガラスを捕まえるには、多くの罠やジライタケを切り抜けるための鋭い洞察力と素早く纏と絶を切り替える技術、そしてさらに空を飛ぶ、念で強化されたホラガラスを追うスピードが必要だ。


どちらの能力者も別にここでなくとも活動できるハンターだが、安全、安定に金が入るためもっぱらこの仕事を請け負っているらしい。羨ましいことだ。
今のカロリナでは残りの日数全てを使ったとしても両方捕まえることは難しいだろう。よくてキリヒトノセガメを捕らえられるくらいか。

「師匠―。でっかいカメいましたけど強すぎです。練でなぐったのにびくともしませんでしたよ……。もの凄くパワフルだったんで逆に逃げてきました」
「キリヒトノセガメだな。写真もよく撮れている。今日のところはいいだろう。一か月が終わるまでには捕まえろ」
「うぐ……。はい。でもまるで歯が立ちそうにないんですよね。なにか必殺技みたいの念にないんですか?すっごいビームとか」
「ハントは力押しだけじゃない。よく見て、よく考えて、うまくやるんだな」
「はい……」


少しよれた格好で帰ってきたカロリナは必殺技を望む。俺の弟子は脳筋だったようだ。まあ、念能力を得て自分が飛躍的に成長したことには気づいていただろうし、また壁があった時に同じように一気に強くなる術を求める気持ちはわからないでもない。
だが今は基礎を固めることこそが一番の近道だ。じっくりやっていくとしよう。




前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.025377988815308