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No.29814の一覧
[0] 【習作】斧と剣【オリジナル・異世界・転生】『旧題:骨と斧』[家守](2012/02/04 17:57)
[1] 骨と斧/1[家守](2011/09/18 19:02)
[2] 骨と斧/2[家守](2011/09/18 20:12)
[3] 骨と斧/3[家守](2011/09/20 02:48)
[4] 骨と斧/4[家守](2011/09/23 01:05)
[5] 骨と斧/5[家守](2011/09/28 20:34)
[6] 骨と斧/6[家守@骨](2011/10/15 02:08)
[7] 骨と斧/7[家守@骨](2011/11/03 05:09)
[8] 骨と斧/8[家守@骨](2011/11/21 11:16)
[9] 骨と斧/9[家守@風化](2011/12/23 18:32)
[10] 骨と斧/10[家守@風化](2012/02/04 18:01)
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[29814] 骨と斧/4
Name: 家守◆8cd86407 ID:fb4853ae 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/09/23 01:05
 板が削れたが、紙があると聞いたのでそちらにすることにした。スリジエに譲ってもらい、これまでのことを記載する。
 それから、今日のことからまた書き始めることにしようか。何せ途中から日付が飛んでいたのだし、こんなものを読むのは私くらいだろうから問題ない。
 しかし、木で出来た万年筆もどきを黒い樹液に浸けて書くのか。こちらの世界はとてもエコロジーでよろしい。


転生53日目
 アルフヘイムに来てから数日。あの時のダークエルフの女性はスリジエと言うらしく、とても気さくに話し掛けてきてくれる。最初の強張った様な固い口調が嘘のようだった。名を聞かれたのだが、正直生前の名を覚えていない。骨とでも呼んでくれればそれでいいので「適当で良い」と言っておいた。
 さて、今日は女王と呼ばれるダークエルフの王に会いに行ったのだが、神々しいの一言だった。いやなに、そのままの意味だ。
 王樹という天を突くほどの大樹も圧倒されたが、それ以上に女王、イヴという名だそうだが、女王イヴはとても神々しかった。後光が差しすぎて見えないくらいに。私は瞼が無いが、閉じようとすれば視界は暗くなる。ついつい感覚的に瞼を閉じてしまったのだが、ばれなかったようだ。当然か。
 スリジエは至高の美貌を持つ女性だと言っていたのだが、これはそれ以前の問題ではないか。ある意味美しいのだが、もしやダークエルフには後光が見えていないのだろうか。その証拠に、私の前で女王に跪いているスリジエも、部屋の左右に配列しているダークエルフたちも皆当然のように目を開けている。何だろうこの差は。
 それはともかく、私のような骨はもの珍しいようで、皆じろじろと見てくる。女王は分からないのだが、多分見ているだろう。動物園のパンダの骨でもないのだが。
 やはりそのような珍しい骨はすぐには信用できないが、こちらから招いたのだからということで客人としてゆっくりしてほしいと言われ、手形のようなブレスレットを頂いた。ありがたいとスリジエに伝えてもらって、彼女の家へと戻ることになった。
 私の声は人狼、ウェアウルフと呼ばれている彼らのようなテレパシーに近く、直接頭に声が響くのであまり喋るなとスリジエに言われた。耐えられるのは彼女のような鍛錬された者のみで、王樹にいる者達は強い者が多いが文官に関しては別であり、彼らが倒れたりすれば一大事だそうだ。
 つまり私は一緒に話すだけで疲れるということだ。難儀な……。
 これからのことに想いを馳せ、何とでもなるさと結論づけて寝るとする。彼女の家は心地が良いが、いつまでもここにいるわけにはいかない。

転生54日目
 今日は何も無かった。一日中家に居たため、少々運動不足かもしれない。太らなければいいが、とも思ったのだが、よく考えれば肉が無い。

転生56日目
 王樹に出勤するスリジエを見送り、家に戻る。まるでヒモである。
 さて、出かけるならばこれを持って行けと渡された単語帳。これはダークエルフの言語が書かれていて、日常で用件を伝える場合はこれを使えと言われた。そもそも言葉が通じるのに文字が読めないのはなぜだ。
 とりあえず買い物をしてみることにしたが、外を出てもここがどこだか分からない。女王イヴから頂いたブレスレットを手首の骨につけると、なんと空中に浮いたではないか。手首を覆うようにして浮いているリング状の華美なブレスレットは、やはりここがファンタジーな世界なのだと再確認させてくれる。まぁ今更何を、と思うが。
 大通りを歩いていれば店も見つかるだろうと思ったが、やはりここでもじろじろと見られる。中には怯えたような声を出す者もいるのだ、失礼な。
 そうして歩いていると衛兵らしきダークエルフに捕まり、「何だお前は」と言われた。何だと言われても、骨としか。
 ブレスレットが見えるようにローブを捲って右手を上げると、彼らは驚いたような表情をしてから私に謝罪をして慌てて去っていった。このブレスレットは本当に凄い物のようだ。
 結局目立たないように裏路地を歩き、遂には表通りすら分からなくなった。私は別に方向音痴でも無かった筈なのだが、はて。
 そのように歩いていると、襤褸切れを纏う薄汚れた少女を見つけた。もちろんダークエルフだが、もしや私は襤褸切れに縁があるのだろうか。裏路地であるため、少女以外には誰もおらず、少女を見てみても痣などは無かったため、単に飢餓によって倒れ伏していたのだろう。声をかけても返事が無かったのでおんぶしたが、何せ連れ帰って(何とか大通りを見つけた)すぐにスリジエに食事を出してもらうと、一気に掻っ込み始めたのだから。胃に優しいものを出してもらったとはいえ、危なっかしい少女である。涙を流すほどなのだから本当に久しぶりの食事なのだろう、もう少しで私の仲間になるところだった。
 スリジエに聞いてみたら、意外に飢餓は多いとのこと。ダークエルフは弱肉強食、弱者に興味が無いために暴行などはしないが、そのかわり助けもしないというのだ。なら仕方が無い。
 ちなみに、ダークエルフにとっての「弱肉強食」は、「弱者はただの肉であり、強者を食らうべき」という一つの理念らしい。ただの強い者好きのようだ。
 とりあえず少女を風呂に入れ、私も寝るとする。

転生60日目
 最近、日記の癖に長くなってきたので少し間を置いた。
 さて先日拾った少女だが、スリジエ自体は高給取りなので問題無いよと笑って許してくれたのだが少女が許さなかった。
 己も働くと譲らず、ならばと私の通訳を頼んだ。なぜか彼女は私のテレパシーに耐えられるようで、スリジエは微妙な表情だったが、少女は嬉しそうである。
 私の言葉をそのまま伝えてくれればいいと言えば、はいっ、と元気な返事が返ってきた。スリジエに遊ばれたが無難にポニーテイルに落ち着いた赤い髪がぶんと揺れる、可愛らしい。
 余談だが、少女の名はペルレ。彼女は幼くにダークエルフの親をエルフに殺され、路地裏を漁り続けて生き続けたそうだ。昔から不思議な力を持ち、それを使って食べ物を確保していたが、ここ数日はパタリと使えなくなっていて飢えたらしく、さらに風邪もひいたという。
 ちなみに、どうしてもというので名は私がつけた。名の由来は、確か真珠のドイツ語だ。どこかで見た覚えがある。彼女の透き通るような白い目(なんと白黒逆である)が真珠のように見えたからそう名づけた。元々の名はあったが、エルフに殺されるような親の名は嫌だそうだ。なんというか、意外にシビアである。ダークエルフとしては、敵であるエルフは「数多い弱者」のようだ。
 さて買い物だが、今度こそとは思うものの、やはり地理が分からなくては先日のように迷子になっては意味が無い。ということで私の得意技である散策をすることにした。今まで歩いた道を覚え、頭で地図を作っていくと分かってくるものである。そうして一通り歩くと、なんとまあペルレを拾った路地はスリジエ家のすぐ近くというのだから面白い話だ。
 とりあえず店の場所は分かったので帰ることとした。私の後ろをチョコチョコと着いてくるペルレをおんぶして家へと戻ると、スリジエは既に帰っていた。意外に部隊長といっても暇なのだろうか。

転生62日目
 夜の話である。
 斧を手入れしているとペルレが遠慮がちに部屋に入ってきて、凄く良い斧ですねと賞賛してくれた。いやこの斧の価値がわかるのか、その幼さで。
 とも思ったのだが、スリジエに聞いてみたら妖精種は長寿で、平均寿命は大体三百歳。見た目二十歳ほどのスリジエですら六十は生きているという。まさかの年上だった。
 そこでペルレはいくつかと聞いてみれば、笑顔で三十二と答えてくれた。そうかこの子もか……。
 補足として、女王イヴは千以上で、破格の年長だそうだ。もしや、それで光り輝いていたのだろうか。エルフやダークエルフはある年齢の姿で成長が止まり、寿命がくればパタリと死ぬらしいが、恐らくアレは蝋燭の最後の輝き、風前の灯に違いない。
 ところで斧で思い出したが、あの世界の私の家はどうなっているのだろうか。数日しかたっていないのだが、ウェアウルフや猿などの問題もあろう。いやウェアウルフは大丈夫か、問題は猿と熊か。全く面倒な。
 日記に書くような愚痴ではなかった。
 ペルレの話に戻すが、彼女は不思議な能力を持つ。それはここ数日は使えなかったが、最近また使えたという。それを見せてもらったらなんと驚き、ワープである。
 正確にはワープホールであるが、ペルレは宙に楕円形の穴を作り、そこに手を突っ込むと私のパンを取り出したのだ。その後暫くすると、スリジエがパンを知らないかと訪ねてきたところから、ペルレが取り出したパンのことだろう。なんと凄い力だ、それを盗みにしか使わなかったことに恐れ入る。
 凄いなと誉めたが、照れながらも謙遜したペルレ。なんでも、彼女の手が入る程度の穴しか作れないし、彼女自体が非力なため戦闘には使えないという。まさに戦闘快楽種族らしい謙遜だった。どうもダークエルフは血の気が多くていけない。
 なんだかんだで斧を使っているが、私とて魔術を使ってみたい。いつか使えるようになろうと思っている。そして使いたい魔術の一番が今見たワープである。便利だからだ。何とかならないものだろうか、羨ましい限りだ。

転生65日目
 どうも最近は書くことを多くしてしまう。
 折角だから短く書こうと思うので、箇条書きにしてみた。しかし何が折角なのだろうか。
・朝起きるとご飯を食べるスリジエとペルレを見た。
・スリジエを見送り、ペルレと共に商店街へ向かった。
・売りに出している狩人に、肉を野菜と交換してもらう。
・日常茶飯事の野良喧嘩を目にしながら帰宅。筋骨隆々の褐色美形な男性が殴りあうなんて誰が得するのか。
・帰宅途中に「精霊の広場」に寄る。ここは地形として神の祝福を受けた場所であり、精霊が集まる広場だ。
・なんと女性同士が喧嘩していた。素早い上にどちらも魔術を使いながらナイフで交戦していた。なんだろうこの国。
・少しだけ喧嘩の魔術を見ながら長椅子で休憩。ペルレも座って眺めている。その表情は真剣なので、やはり強さはダークエルフにとって大事なのだろう。
・帰宅。スリジエは既に帰っていたので、夕飯。私は二人を見ながら椅子に座っていた。
・終身、いや就寝。間違ってはいないことに少々気落ちしそうになる。
 このくらいか。これが普段の生活である。

転生71日目
 スリジエが戦士長から任務を受けたらしく、明日から暫く家に帰れないと言い出した。
 どうも最近買い物以外何もしていないので私もついていくと言うと、ぺルレも、と話が進み、スリジエは渋っていたが結局三人で行く事となった。行先はドワーフの国で、単なるお使いらしい。お使いと言っても重要なお使いではあるのだが、戦闘事にならないのは良いことだ。
 ただし、どこでエルフとはち合わせるか分からないので斧は持っていく。
 移動手段はなんと馬。なんとも何も中世のような文明なので別におかしくはないのだが、馬に乗ったことが無い私はどうすればいいのだろうと困ってしまう。ぺルレでさえ乗ったことはあるというのだからどうしたものか。
 幸い私は骨なので体重は軽い。馬で二人乗りは少々狭いが、仕方ないのでスリジエにしがみついて乗ることにする。まったく二本も足があると言うのに歩かないとは情けない、今の疲れ知らずの身体だからこそ言えることだが。
 厩番(うまやばん)である渋いダークエルフは仰天した顔でこちらを見ていたが気にするだけ無駄というもの。もう慣れたとも言う。
 今回は長旅ということで、皆ローブを被っている。私は別として、彼女らは煤けたローブを着ていても絵になるというのだから羨ましい。
 旅支度を一通り済ませ、明日に備えて多めに食べて早めに寝た。例によって私は何も食べず癖で寝た。

転生72日目
 旅途中である。一日で着くとは思っていなかったが、馬の足で半日以上走ってもまだ遠いと言うのだから相当だ。とりあえず夜営ということになり、予めある程度持ってきていた炭を拾った小枝と組み合わせて火を付け、携帯食である干し肉と凍らせた生野菜を少々火に炙って二人が食べた。例によって私は省略。
 寝ずの番は当然私。眠気などありはせず、いつもの習慣で寝てはいるが瞼を閉じて横にならないと寝られない。
 安心しきってぐっすりと寝ているぺルレと、対照的にナイフとボウをすぐ傍に置き傍からでも浅く眠っていると分かるスリジエ。ここら辺は経験の差なのだろうか。

転生73日目
 今回の夜営で、ある程度余裕のあるスリジエがドワーフについて説明してくれた。
 ドワーフは妖精種の一つで、国も一つ。アルフヘイムのほぼ全土に広がっているほど大きい地下帝国だけだそうだ。彼らはエルフとダークエルフの戦争に対しては中立を貫いており、依頼が来たら物を造るがどちらかに与するわけではないという。ドワーフは妖精種の中でも多岐にわたる武具や魔術具から生活用品まで造っている上に、筋力が妖精種四種族中最も高い。さらに精霊が味方しているピクシーと仲が良いため、エルフもダークエルフも中立を貫くドワーフに手は出せないという。
 気難しい者が多いため注意する事、と言われてしまった。どちらにせよ私は喋らないと思うのだが、ぺルレが心配である。
 ところで寝ずの番をしていると、発光する小さな人間?を見つけたのだが、これはもしや妖精ではないだろうか。妖精の世界で妖精を見つけたとは縁起が良い。明日スリジエに自慢してみようか。

転生74日目
 それはピクシーだよ、と諭されてしまった。
 そろそろドワーフの国への入口が見えるというが、見渡す限り岩山である。踏まれ続けていたのだろうが、今まで走ってきた道はある程度舗装されて道と分かるようになっていたが、途中から岩山に入った辺りで怪しくなった。また迷子は勘弁してほしい。
 と思ったのだが、ある壁に張り付いた大岩の前でスリジエが「タフト・アルアルド」と言うと大岩が独りでに動き、その奥に道が続いているではないか。まるでアラビアに伝わる盗賊のねぐらだ。
 洞穴の様な道を馬で進めると、途中から坂になっているのが分かった。それを過ぎれば洞穴を抜け、広大過ぎるほどの街が展望できた。そこかしこで響く物を造る音が少なからず反響していることから、地下であることがよく分かる。
 地下である筈なのだが、その広さは尋常ではない。あまりにも広すぎて最早視界では地下とは分からない。
 馬を歩かせ宿に辿りつき、とりあえず一泊する事となった。長旅は疲れるようだ。
 恰幅の良い女将さんから鍵を受け取り同じ部屋で寛ぐ。二部屋も取るとお金(通貨は一応ある)が勿体ないし、なにより唯一の男性が骨である。何を間違えろと言うのか。
 明日はある高名なドワーフに頼んでいた女王イヴが使う剣を取りに行くらしい。重要なのかそうでないのか私には少し分からないが、まぁ重要なのだろう。私もついていくことにする。



著者:骨









後書き
 少々急ぎ足のためクオリティが大分下がったような。
 コメントを返してこそいませんが、感想は読ませて頂いております。皆様、骨が好きな紳士淑女なようで何より。
ところでデモンズソウルってした事ないんですが、そんなに骨が強いのでしょうか…。


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