時間は飛んで昼食時。晴れた青空の下、僕たちはいつものように屋上のベンチに4人腰かけ弁当を広げていた。「あ~~~~~もう!!腹立つわねっ!!」「ア、アリサちゃん、お、落ち着いて……」そのうちの1人、アリサ・バニングスがきーきー悔しがり、隣のすずかが宥めている。僕はそれを横目にアリサの弁当箱からおかずをヒョイと取り上げて口に放り込む。「唐揚げおいしー」「~~~~~ッ!?」「は、春海くんもあおっちゃダメだよ~!?」僕の言葉に足をジタンジタン踏みしめる金髪ツンデレ幼女。向こうですずかが弱った顔で言ってくるし、確かにこのままじゃ(物理的に)危険な目に遭いそうなので自重しよう。「にしても律儀なヤツめ。結局僕とアリサの決着自体は着かなかったんだから、別にドローでいいだろうに」そう。なんでアリサが僕に弁当のおかずを渡しているのかと言うと、午前のドッジボールでの勝負の罰ゲームである。すずかが打ち取られ僕が羞恥心に塗れたあの後、結局アリサにボールを投げる前にチャイムが鳴って時間切れ。ゲームは審判に止められて僕たち白組の勝ちということで幕を閉じた。それでもアリサも自分も最後までコートの中に残っていたのだから引き分けになるかと僕は思ったのだが、当のアリサが自分の負けを主張してしまったのだ。断ったらもっとめんどくなりそうだったので、僕はアリサの弁当箱の中から唐揚げを徴収した次第である。「ふん。2回ともすずかに助けられちゃったじゃない。そのすずかもアンタに負けちゃったし」そう言って、しかめっ面で残りの唐揚げをハムッと口にするアリサ。こうして素直に負けを認めるというのも、ここ最近で彼女が身に付けたもののひとつだろう。(初めの頃はなのはとも衝突してばっかだったからなー)半ば予想していたことではあるのだが、アリサ・バニングスという女の子は今まで親しい友達と言える子を持った経験がなかったらしい。そのため、なのはやすずかのような友達ができた後も意地を張ったり謝り方が分からなかったりといったことが度々あって、そのたびに意外と頑固者のなのはとケンカに発展していたのだ。なのでそのたびに僕やすずかが緩衝材となって2人を諫める、というのがこの4人にとっての当たり前だった。ただ、なのはもすずかも口喧嘩ひとつで相手を嫌いになるような子じゃないし、アリサ本人も非常に聡いため反省する機会も多く、最近ではケンカの頻度も確実に減りつつある。アリサも友達との接し方を覚えてきているように感じるし。まあ、そもそも僕が口出ししなくても、彼女たちなら遅かれ早かれ自分たちだけで解決出来ていたような気はするけど。「の割には不満タラタラじゃね?」「あたりまえよ!次こそはぜったい勝ってやるんだから!」この通り、アリサはアリサで負けず嫌いは相変わらずだし。自分が間違ったまま負けたまま、とか我慢できる子じゃないのよ。ある程度愚痴ってようやく落ち着いたのか、アリサは僕を挟んで自分の反対側に座るなのはにしゃべり掛けた。「にしても、なのは。アンタもよく最後の止められたわね。絶対ダブルでアウトだと思ってたのに」そんなアリサの言葉が嬉しかったみたいで、途端になのははニコニコ笑顔に。「えへへ、春くんに特訓してもらったんだ」「ハルに?」「うん!こうするんだよって教えてくれたの!」「へー。やるじゃない、ハル。なのはって相当ニブちんなのに」「ア、アリサちゃん、ひどいよぅ!?」「事実じゃない」「うぅ~……」「まあ、ボールの受け止め方だけだからな。短時間でも大丈夫だったし。……すごいと言えば、すずかもだよな。今日はミラクルプレーの連発だったし」褒められるためにやったわけでもないのに褒められるのは少々居心地が悪いので、早々に話の矛先をすずかに移す。しかし、「う、うん……。あ、いや、え、えとえと、……そ、そうでもないよ?」向けられた当人は何やらキョドってる。そのままキョトキョト目を逸らしながらごはんをパクリ。<……ひょっとして、自分の力がどういうものか自覚があったりする……?>『さぁの。こればかりは本人に確かめるしかなかろ』<いやだけどな、これ明らかに本人気にしてるぞ>僕の目の前にはごはんを喉に詰まらせてケホケホむせるすずかの姿が。隣のアリサが背中をさすってあげている。<……この話題には触れない方が良さげだな>『それが賢明じゃの。お主も深入りするつもりはないのじゃろう?』<話の規模にもよる。すずか個人の問題なら幾らでも相談に乗ってもいいんだがなー……>僕が懸念するのは個人では話が済まなくなってしまった場合だ。通常、人外の力や異能力というものは家系、つまり『血』に由来する。これは多くの場合、一族の中の遺伝子に要因が存在するためだ。もちろん少数例ながら、俗に『先祖返り』とも呼ばれる突然変異も当然あり得るが。 (全て葛花からの受け売りである)問題はすずかの力がどちらに属するものであるのか、ということだ。すずかの能力が突然変異であり、家族の中でも彼女一人であるのなら僕もある程度は自由に動ける。ただの一般人がこんな事に精通している筈もなく、また僕自身も向こうから見れば単なる一友達に過ぎないからだ。目立たぬようにさり気なくアドバイスをすれば、若しくは直接的に動いてもすずかに黙っていてさえ貰えば良い。もっとも、すずかの家族がただの一般人で彼女の力を知った上で周りから隠そうとしているのなら、また多少話が変わってくるが(今日のすずかの活躍ぶりを見るにその可能性は低そうだけど)。面倒なのは、すずかの力が完全に『血』に由来しているときだその場合、ネックなのは月村家は海鳴の町でも有数の大企業であるということ。つまり、この海鳴の地の歴史を紐解く限りでは由緒正しき地主のひとつになるというわけだ。当然、一族としての横のつながりも相当なものになるだろう。そうなると、異能の存在が一族の中では周知の事実である可能性が非常に高い。いや、どちらかと言えば逆で、“異能故に発展した一族”と考えるのが普通だろうか。まあどちらであっても、そのときには僕のような子供が彼女たちの力に勘づいていると知られるのははっきり言って滅茶苦茶マズイ。現代社会で生活を営む上で、普通人と異なる力なんて百害あって一利無し。それが一族規模ともなれば情報統制はかなりのものだろう。黙っていることを条件に僕のような子供なんかスルーしてくれるのならともかく、悪ければ口封じのために拉致監禁および洗脳。最悪、僕の家族にまで害が及びかねない。拉致監禁は大袈裟だとしても、流石にそんな可能性を捨て置いてまですずかの問題に深入りするような度胸や蛮勇を、僕は持ち合わせていない。確かにすずかのことは好きだけど、ただの一小学生の身分では話が大きすぎる。<とにかく、この問題は保留。すずかの家に遊びに行ったときにでも家族の人を『視て』みよう。そもそもすずか自身が悩んでない可能性だってあるしな>そもそも今の考えは全部僕の妄想の域を出でないし。向こうが今のままの関係を望んでいるのなら現状維持を優先するつもりだ。この秘密は墓まで持って行けば良い。『深入りしすぎて勘づかれるでないぞ?』<そこは最大限に注意するって>なんせ僕の家族にまで飛び火する可能性があるのだ。父さんたちに迷惑をかける訳にはいかない。そこで思考の渦から復帰すると、そこではようやく落ち着いたすずかが話題を変えるように話を振ってくる。『ように』というか、実際話題を変えるためだったんだろうけど。「そ、そういえば。昨日、大通りの交差点で事故があったんだって」「あ、それ、あたしも見た。昨日ちょうど車で通り掛かったのよ。なんかまだ小さな男の子だったみたい」「うにゃ、かわいそうだね…」「……うん、そうだね…」なのはが哀しげに顔を歪めると、とっさに話題を出してしまったすずかでさえ後悔するように顔を伏せた。「ニュースでは、その男の子って歩道橋から落ちちゃったんだって。あそこって先週も大人が事故にあってたわよね、たしか。クラスの男子たちなんか『あの交差点は呪われてる』とか言って。まったく、男ってホントに不謹慎なんだから!」アリサは怒ったような顔をして言葉を紡ぐ。こうして全く知らない人間のために悲しんだり怒ったり出来る彼女たちを見ると、彼女たちほど感情が揺れない自分に少し思う所が出てくる。勿論その人たちの死を悼んだりといった感傷こそあるものの、目の前の少女たちほど強い感情を抱くことはない。別にそのことに罪悪感を抱くわけではないけど、なんとなく年取って薄汚れたなーとは思うわけで。「まあ、確かにその男子たちは不謹慎だけどな。お前らもあんまり気にするなよ?意味がないからな」「意味がないって……そこまで言うことないじゃない!」持参した水筒のお茶を飲みながら告げる僕の言葉に、立ちあがって激昂するアリサ。なのはとすずかも声にこそ出さないものの、その視線には非難の色が浮かんでいた。たぶん僕の発言が死んだ者を否定する薄情なものに聞こえたのだろう。「ホントのことだよ。今ここでアリサたちが悲しんだり怒ったりしたって、その男の子や大人の人が喜ぶわけでなし」「だからって!」「───だから」尚も言い募る僕に再度怒声を上げかけるアリサ。僕はその言葉を遮るように声の語調を強めた。「お祈りでもしてやれ、その2人が天国に行けますようにって。そっちの方がよっぽどその人のためになる」ニッと笑って出来る限り明るく告げる。この鬱々とした雰囲気を少しでも改善できるように。アリサは意表を突かれたような顔になって口を噤み、そのまま少し考えるとムスッとしてベンチの自分の席に座り直した。「……そういうことはもっと早く言いなさいよ」「そりゃすんまそ。……ま、悲しむのは家族の役目、悼むのは人の役目、ってな」僕の言葉に感じるところがあったのか、アリサたち3人は目を閉じた。死者へと、追悼の意を捧ぐべく。そんな3人をしり目に、僕は傍らに浮かぶ葛花に呼びかける。<葛花。頼む>『ふん。まあ良かろ』短い呼びかけで全部を察して、葛花は白い狐の姿になるとそのまま校外にまで飛び去っていった。「……………………」僕は白い狐が飛び去った空を見上げる。(呪いの交差点、ねぇ……)サンサンと太陽の光が降り注ぐ空には、雲の一つも無い、嫌味なくらい青い空が広がっていた。時間は更に飛んで夕方。授業は終わり、アリサとすずかは習い事があるとのことで先に車で帰った。「じゃーなー、なのは。士郎さん達によろしくな」「うん!ばいばい!」席に残ったなのはに手をフリフリ振ってバスを降りる。昨日恭也さんが「明日はどうせ筋肉痛で碌に鍛錬にならないから来なくていい」って言ってたので、今日の出稽古は早速のお休みである。昨日はそれがちょっと不満だったのだが、今は正直ありがたかった。ポツリポツリと道を行く人の中に溶け込むように歩いていると、『戻ったぞ』<おかえり>昼休みに飛び去った葛花が音もなく僕の背後に現れる。今は再び童女の姿に戻っていた。<で、どうだった?>『“黒”と“灰”じゃな』<あちゃー、やっぱり?……大通りって言ったら、うちの家族の行動圏内だよな。聖祥の奴らもよく通るはずだし>昼にもアリサが通りかかったって言ってたよな。流石にこれを放っておくのは、……ちょっとマズいかな……?<じゃ、さっそく今夜中に行くから。監督よろしく>『身体は大丈夫か?』<今日1日でだいぶ治った。あとはメシ食って寝る>『お主がそう言うのなら儂は止めはせんがの。───じゃがな、』そう言って葛花は僕の背中から首に腕を回し、抱きつくようにして顔を寄せる。まあ容姿的に傍から見ればただのおんぶにしか見えないだろうけど。『はてさて、はたして本当にお主がやる必要はあるのかの?』<あん?>僕から葛花の表情は見えない。それでも、その声色から、雰囲気から、気配から、今の彼女が笑っていることはありありと解かる。───冷淡に、冷酷に、酷薄に、凄惨に。『以前にも言ったとは思うが、この地には恐らく退魔の者も居る。お主が動かずとも近しい将来に其の者が動くことは必定ぞ』『何故、お主は動く?何故、お主は───闘う?』『儂は別段、他の者が如何なろうと毛先ほども興味は無い。そんなモノは千余年も有れば擦り切れる。儂が“在る”のは今この刹那のみの為』『しかし、お主は別じゃ。お主は儂が千余年待ち侘びた“二代目”。お主が死ぬことは儂としても本意ではない』『お主が動くのなら、儂もある程度ならばこの力を貸そう』じゃが、と言葉を翻す葛花。首に回された腕に、幽かな存在感が宿る。そしてその声に宿るのは、外見に似合わぬ艶然な笑みに隠れた、しかし隠し切れない、確かな“怒り”。『───何の理由も無く惰性の儘に使われるのは、些か以上に気に喰わん』それは“誇り”。自身の存在に対する確としたプライド。『答えよ、和泉春海。応えよ、我が二代目の担い手たる者よ。───主は何が為に闘う?』いつの間にか立ち止まった僕たちを、帰途に着く人々が次々に追い抜いて行く。「……………………………」多分、ここは一つの分岐点。これから先、霊などいう非日常と付き合っていく中で幾つも訪れるであろう、数多くの分かれ目のひとつ。これに応えられないのならば、此処で何かが確実に終わるのだろう、そんな問い。だから僕は、自分の本心を語る。真剣に、誠実に。<今、此処で僕が動かないと、誰かが怪我するかもしれない。誰かが死ぬかもしれない。だから、僕は皆のために───>そう。僕が皆を助けたいから。……って、「んなわけねぇー」思わず声にまで出てしまい、周りの人が奇妙なモノを見る目で見てくるが、今の僕は気にもしない。なんか自分で言ってて胡散臭いことこの上なかったんだけど。何、皆のために闘うって。僕ってどこのマンガの主人公?むしろこれって最近は敵役に多い主張な気がするんだけど。<てかお前もその問い何回目だ?幽霊退治に行くたびに訊いてきて。いい加減耳ダコだっつーの>『むー。いいから答えるのじゃー!』叫びながら僕の目の前に上下逆さまに現れる葛花。その透き通るような白い頬っぺたを今はプクーッと膨らまして、こちらを睨んでいた。『全く、最初の頃の初々しさは一体何処に……』初々しさって。精神年齢三十路近い男に其処まで似合わない単語もないな……あとお前のカリスマタイム、めちゃくちゃ早く終わったなぁ。<何のためも何も……、これで何もせずに、明日にでも友達が死んでたりしたら目覚め悪いからに決まってんだろ。>『それは他者の為とどう違う?』<あほ。頼まれてもないことの理由をわざわざ他人に押し付けるかよ。ぜーんぶ自分のためだっての。明日の僕の快適な日常ライフのためだっつーの>ハァっとため息を吐く葛花。カッチ~ン。<なんだ、その妙にムカつくため息は>『お主も、自分の言葉の矛盾くらい気づいておろう?日常を謳歌せんがために、非日常に自ら喧嘩売ってどうする』まったくコイツ馬鹿だな~、なんて顔をしながら逆さまで首をフリフリ振る葛花にムカ。そんな葛花に僕が言ってやれることは一つだけ。<アーアー、キコエナーイ>ガブリ「イテテテテテテテ噛むな噛むな噛むな!!スッポンか、テメェは!?」結局、背中で僕の頭部に噛みつくロリ狐は家に帰り着くまで離れませんでした。え、周りの通行人?メッチャ見てたよ、コンチクショウめ。あーっ。と言う間に時間は飛んで深夜。下の妹達に子守歌がわりに絵本を読んでやった後(寝付くまで読まされた。てか母さんに頼め、妹達よ。なんで僕が3冊も読んでんだよ)僕は母さんにおやすみを言うと、しばらくして自室の窓から外に出た。そして現在目の前には、昼間にすずかが言った大通りの交差点がある。ちなみに僕の身代わりとして、丸めたクッションをベットの中に入れて葛花に幻術で僕に見えるようにして貰った。葛花のヤツ、化け狐だからか何気に結構多芸である。「さて、と。アリサたちの話じゃその男の子って歩道橋から落ちたんだっけ…」『昼間は歩道橋の上に居ったぞ』「お、そうなんだ。仕事早いな」『ふふん、褒めろ崇めろ奉れ。そして儂は新世界の神となる』「それ死神」というかどんだけ壮大な野望持ってんだよ。おまえ実は悪霊だろ。周りには人が居ないということで声に出して葛花と話しながら、大通りの交差点に掛かっている歩道橋の階段を上る。周囲は闇夜に包まれているものの、月明かりや幾つかの街灯のため足元に不安は無い。眼下の道路には車一台無い。元々海鳴市はどちらかと言えば地方に位置するので深夜まで走っている車は稀であり、辺りは静かなものだ。そうしてそれほど長いとも感じない階段を上り切り、上り切ったところで右へ曲がると歩道橋の中央に目を向ける。───其処に座り込んでいたのは、まだ小学校にも上がっていないような男の子だった。服装は特別なものでも何でもなく、ありふれたTシャツと半ズボン。歩道橋の真ん中辺りで柵を背もたれにして体育座りをしていた。その表情は生気が致命的に乏しく、視線が何処を見るでもなく宙空を彷徨っている。───そして、その全身の輪郭はぼんやりと霞み、彼の向こう側が透けて見えていた。「まだ初期段階ではある、か。……すんごいギリギリっぽいけど」『元々が単なる童の霊じゃ。言霊に幾らかの甘言を乗せただけで何事もなく逝けるじゃろ』“霊”そう。早い話が、此処に居座っているこの子供は俗に『自縛霊』と呼ばれる存在だ。こういう交通事故現場なんかでは定番ではあるものの、この子はその中でも力が弱めだ。それもその筈。こんな小さな子供が、そんなに薄汚れた未練なんて抱けるはずがないのだから。そもそも霊という存在の力量というものは持って生まれた才能を除けば、想いや未練の強さがそのまま個々の力に比例するのだ。その量だけでなく、質も。想いが澄んでいればその霊は“正”に、未練や欲望に囚われると“負”へと傾く。更に言えば、例え元々が“正”に傾く霊であったとしても、年月を経るとその魂は容易く濁る。葛花の話では極稀に霊力がなくても何年も生前の人格を保っている霊も居るらしいが、そのためにはよっぽど精神力が強くなくてはならないとかで、生憎と僕は遭ったことはない。これから先も会えるかどうか。それはそうとして、「確かにその通りだが、もうちょっと言い方を考えなさい」人聞き悪すぎだろ、甘言とか。『事実じゃろうが』「失敬な。僕は常に清廉潔白誠心誠意品行方正を志しているというのに」『清廉潔白(笑)誠心誠意(大笑)品行方正(爆笑)』「殴るぞ、ロリっ狐」『やってみい、ショタ坊主』『……お兄ちゃん、…だれ?』空気を震わせることなく届いたその声にピタリ、と僕と葛花が止まる。そのままお互いの方に向いていた顔を、声の発生地点に向けると───虚ろな表情で宙空を見つめていた男の子が、これまた虚ろな表情で此方を見やっていた。(あとがき)という訳で第七話の1、更新しました。今回は初の主人公の陰陽師らしいところですね。やっとですね。……展開が遅くて誠に申し訳ありません orz1だけでは展開が急すぎて訳わからない部分も多いと思いますが、そのあたりを説明する2も割かしすぐに投稿できると思うので、次もよろしくお願いします。