建寧二年 10月上旬(曇り)
李膺さんがなにやらお悩みの様だ。
「なぜだ。我々は漢の為に戦う同志だったのではないのか?」
とか
「安帝の治世以前の状態にしてどうする!」
とか
結構精神的にやばいっぽい。
今までは宦官と言う巨大な敵がいたから結束出来ていたが、その巨大な敵が居なくなって、派閥が出来てバラバラになっている。
清流派を自称する家柄もあり名声もあった人達が死んでしまった事で、空いたポストを争っているわけだ。
袁家や楊家と言った超名門は、清流派と言っても宦官と離れたり、くっ付いたりしていたわけで、言うなれば日和見していた。清流派間の名声はないが、力はある。出世は家柄で決まる時代だし、この隙に自分の派閥の人間を使って高い官位を得ようとしている。
その勢力と仲が悪いのが今回死んだ人達の派閥で、大きな犠牲を払いながらずっと戦い続けてきた人達。なんにもしないで地位だけ欲するのは彼らからすれば面白くないわけで、そんな家を放っておいて高い地位に就かせろと言っている。
そこに名声も家柄もないが金や力があるという地方の豪族勢力も入るとめちゃくちゃになってくるわけだ。
安帝の時代に作られた左雄が設けた孝廉基準。言いかえれば豪族による人材推挙をしばる為の制度を使って清流派の仲間入りをした人だからその制度でやりたいし、漢の為に戦ってきた者を高い官職にして復興したい。
でも名門はプライドが高いから冷遇されると、一族をあげて寇賊になり、長年培った人脈でいくつかの地方豪族に
「兵を出してくれれば地位をあげるよ」
と言って巻き込んで寇賊にする。
漢独自のシステム。負けた事をなかった事にして官位をあげて取り込んでしまおう作戦を逆手に取られ、妥協できる条件を勝ち取るまでその勢力と戦うなんて事になりかねない。
順帝の時代なんて毎年のように反乱ばかりだったそうだし…
こんなかなりやばい状態を調整してる李膺さん。ご苦労様です。
「…陛下。」
もう辞めさせてくれと言うんじゃないだろうな?
「なに?」
「成人した事ですし正妻を取られてはいかがですか?」
建寧三年 1月上旬(曇り)
正妻を貰えた。
ヒャッフーーーーー。
名門の袁家の娘さんで政略結婚臭がしまくりだが…そんな事は関係ない。
これで魔法使いから卒業できるぜ(精神年齢的な意味で)。
なかなかかわいい子だし、皇帝最高!って感じだ。
そんなこんなで床で世界で一番競技人口が多いスポーツに取り組んで
ラストスパートに入ろうとしたら…
「陛下。今日は駄目な日ですよ。」
「えっ?」
「予定通りだと17日後なら大丈夫です。」
………なんのことだ。
聞いたところ
男性は女性をエクスタシーに導くことで、
高まる「陰」の気を吸収し、活力を得る。
女性の「陰」の気を取り入れた精液は体内を逆流し、男の内臓を強化。
そうして長生きになり、極めると不老不死になるらしい。
簡単に言えばS〇Xして射〇我慢すればするほど内臓が強化されて長生きできるってことらしい。
しかし、子供を作らなければならないので、出生率の高い月経の後の五日間のみ〇精が許されている。
つまり男が一人の妻でエクスタシーに導かれるのは1ヵ月に最大でも5日…。
しかも妻は3日、妾は5日に1回ヤることを強制されているわけで、簡単に増やすわけにもいかない。
したとしても時期がダブったらどうするんだ。
「月経の周期を教えてくれ。」
なんて言うわけにもいかないし…
もし俺が50人の妾でハーレムを作ろうとしたら、1日に平均10回を50歳まで続けなければいけない上、〇精できないなんて事になるわけだ。
皇帝になっても良い事がないじゃないか!!
というか拷問?
騙された!!
おい、なにが良い思いが出来るだ。
一人我慢大会に参加させられたようなもんじゃねえか!
萎えた。すごく萎えた。
もう女なんて抱けなくていいや。
もうなにもかもどうでもよくなったその時
「なら変えてみせろ!」
厨房?なんか厨房が出てきてそんな事言い始めた。
「理不尽な事があるならそれを変えてしまえばいい。お前はそれが出来る地位にいるのだ。」
………そうだ。
政略結婚でかわいい嫁ゲット?そんなもので満足するなんてありえない。
これから騙される歴代皇帝の為にもこんな決まりはなくさなければならないのだ。
今のままでは駄目だ。力が弱すぎる。
中央集権化を行い、儒教とかそんなものにとらわれないだけの力を!
そして董卓ちゃんとか、かわいい子を妻に迎えて、好きな時に好きなだけヤることが出来るようにする。
この糞儒教な考えのせいで多くの漢達が涙を呑んできたはずだ。
それをどうにかしなければ…
革命だ!!
…あ、ここまでがプロローグですよ。
この設定だと一刀君は萌将伝だとすぐ死にそうだ。
儒教ってホントに男の敵だね。
修正
楊家だったけど、袁家の間違いでした。