小説家になろうでも連載中です。
バッドエンド注意。
真っ暗やみの中、綺麗な女の人が言った。
「貴方を祝福しましょう。希代の聖人よ」
真っ暗やみの中、格好良い男の人が言った。
「貴様を祝福してやろう、希代の罪人よ」
称えよ、称えよ。彼の者を称えよ。
この者は我らが祝福せし神子である。
怒号。
憎しみ。歓声。それは祈り。それは絶望。
怖くなった俺は、逃げ出した。
走って、走って、その果てにあるのは……。
何か、嫌な夢を見た気がする。俺は眠い目を擦り、起き上って服を着替えた。
窓を開けると、ゆったりと空を飛ぶ竜騎士や、馬車を引っ張る魔物が見える。
俺の名はサーディス。魔法と召喚術の世界の、宮廷魔術師の息子である。妾で、第二子だけど。そして、科学の進んだ世界からの転生者。
召喚術の事故で魂だけ呼び出され、偶然胎児に宿れたのは僥倖だった。
乗っ取る形になってしまった胎児には申し訳ないが……。宮廷魔術師である、父アルフォンスも俺を殺しているので、お互い様だと思ってほしい。
今日は、兄貴のバルガスの初召喚の日だ。召喚を見るのは初めてなので、胸が高鳴る。
軽く身だしなみをチェックして、心を切りかえると、部屋を出た。
男女の笑い声が、聞こえた気がした。