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No.28586の一覧
[0] 【習作】ぼくのかんがえたかっこいいしゅじんこう(なのは オリ主 オリキャラ 転生 原作知識無し)[ワット](2011/08/27 05:28)
[1] その1[ワット](2011/07/02 18:28)
[2] その2[ワット](2011/07/02 18:29)
[3] その3[ワット](2011/07/02 18:29)
[4] その4[ワット](2011/07/02 18:30)
[5] その5[ワット](2011/07/02 18:30)
[6] その6[ワット](2011/07/02 21:30)
[7] その7(大幅に修正、もとい添削)[ワット](2011/07/03 09:55)
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[28586] 【習作】ぼくのかんがえたかっこいいしゅじんこう(なのは オリ主 オリキャラ 転生 原作知識無し)
Name: ワット◆af659bef ID:a17bb401 次を表示する
Date: 2011/08/27 05:28

辺り一面、真っ白な世界。
床も白く、空間自体も白い中、二人はその場に存在した。



一人は椅子に座り、机に向かってなにやら書類仕事をしている男性。
もう一人はその男性に向かい合わせに床で正座の自分。


「あの……」


沈黙に耐え切れず、遠慮がちに口を開くが、その問いに返事は帰ってこなかった。
体感時間で30分ぐらいこの姿勢でいるのだが、正直に言って…………つらい。
そもそもにして自分が何故こんな場所にいるかがわからない。
わかっているのは気が付いたら此処に正座でいた、ということぐらい。

あとは………

必死に思考を巡らせて思い出してみる。
自分の名前は 渡辺 幸辰 
三月二日生まれの20才、地方の田舎大学生。出身地域は焼きカレーが名物? のあそこ。

うん、そうだ。そんな感じ。そして昨日は何をしてたんだっけ?

昨日は確か金曜日で講義は四コマ目に1つしかなかった。
そのあとはいつもどおりバイトに行って、くたくたになって、夕飯を作って、シャワー浴びて、布団を敷いて、歯を磨いて、寝ようとした。
そして携帯にメールが来ていたので確認したら……


「ふむ。そこまでにしたほうがいい」


そんな思考を遮るようにして、男性が漸く言葉を発した。
考え事に集中していたので、視界はぼやけていたのだが、男性の声を聞いて、焦点が戻る。
床に向けていた目線を、声の発生源のほうにむけると、どこか厳しそうな目で男性はこちらを見ていた。
灰色の髪はオールバック、細められた目と灰色の瞳、厳格そうな顔つき、服装は上下を黒のフォーマルスーツで薄紺のネクタイをしている。

なに を そこまで にしたほうが良いのか?

そんなことを問おうとして、止めた。
それよりも聞きたいことがたくさんある。
此処はどこ? 貴方は誰? どうして自分はこんな場所にいるのか? なんでこんな非常事態なのに自分は冷静でいられるのか?
などなど脳内にたくさんの疑問点が湧き出てしまい混乱してしまう。
しかし、相手側からアクションが出たのは好機だ。
だから動揺を抑え、先に挙げた疑問の中で一番マシなモノを尋ねてみることにした。


「えっと、私は何故ココにいるんでしょうか?」


その問いに対して男性は僅かに口元を緩ませる。
はて? 何か変なことを聞いてしまったのだろうか?
その疑問が顔に出ていたのを彼は察したのか、右手に持っていたボールペンを置き、告げる。


「いや、すまない。まさかそんな丁寧に聞かれるとは思わなくてね。ココに連れて来られた輩はだいたい口やかましく取り乱すんだ。
 此処はどこだ、お前は誰だ、なんで俺は此処にいるんだ、など。それらに比べたら君は大人し過ぎて困る、いや違うか、非常に助かるよ」

「はあ、どうも」


どうやら褒められているらしい、けれど、どこか釈然としないし意味不明なので手放しで感謝が出来ない。
どうにも気まずいので視線を自身の胸元に逸らして、気がついた。
男性は正装をしているのに対して、自分は寝間着……ではなく愛用の黒ジャージである。
あまりに彼とはこの場において釣り合わないので、恥ずかしくなってしまう。
とはいえ、男性は言った、【連れて来られた輩は~】と。
つまり自分の意思とは関係なくこの場に連れてこられたのであり、だからこそ、この服装は仕方のないことなんだ…よね?


「さて、本題に入る前に確認事項があるが、構わないか?」


男性は緩んだ口元を引き締めると姿勢を改めて聞いてきた。
先の質問ははぐらかされてしまったが、会話の流れから鑑みるに下手にこちらから行動せず、受け身姿勢でいたほうが彼にとって都合が良いらしい。
脱力して崩れてしまった姿勢を正し、彼に相対する。
その態度をあちらはYESと受け取ったようで、確認事項とやらを続けた―――



「君の名前は渡辺幸辰。20歳の男性。実父は田村竜宏、実母は小林雪菜。

 経歴は……この場に於いてはあまり関係ないので確認事項からは除外させてもらう。

 君は12月24日の22時32分に、当時交際していた恋人の高橋 恵美を庇い自動車に跳ねられて死亡」


「………………えっ?」


「先ほど言っただろう? 取り乱す、と。つまりはそういうことだ。ココに来た輩はほとんどが死人だよ」








死亡。








「……………えっ?」


意味が解らない、わからない、わかりたくない。
男性から告げられた言葉を理解したくなくて、でも彼の言葉はシンプル解り易くて、けれど認めたくなくて、だからこそ自身の記憶を探るしかない。


しかし。


「おぼえて………ない?」


数分前の思考―――男性から遮られる前の―――を継続するも該当する記憶が思い浮かばない。
男性からの確認事項が混乱を招き、その原因を探ろうとしても更に混乱してしまう。
最初は何の冗談だ、と言いたくなってしまったが、男性の様子を伺えば冗談や嘘を言っているようには見えない。


つまり―――


「私は死んだんですか………」


言葉の語尾に疑問符は付けなかった。
まるで自分に言い聞かせるように呟くことしかできない。





――――――静寂






あちらはなにも言わない。
こちらはなにも言えない。



どれくらいの時間がたったのだろうか、そして辺りを統べていた静寂を打ち破ったのは―――



「聞いても……いいですか?」

「どうぞ」



―――こちらだった。


「なんで私“だけ”記憶が無いんですか?」


男性の言葉から察するに
【ここに連れてこられた人たちは大抵取り乱す。それは彼らは死んだことに自覚があるから】
みたいな事柄をほのめかす様に言っている。
けれど渡辺幸辰にはその自覚が無い。
少なくとも覚えているのは、前日の布団に入って眠りに着いたところまでだ。
だからこそ考えてしまう、何故? と。
そんな意味合いを込めて尋ね、男性のほうを見上げると、彼は考え事をするように目を瞑り、そして開いて答えた。


「別に君“だけ”というわけじゃない。

 稀に自分が死んだ理由が思い当たらず、終いにはその過程を忘却する輩はいる。

 恐らくは君は狂ったんだろうね、あまりの痛みに。

 脳が、記憶が、そして魂が痛みに耐えきれず、自己を守るために消去したのだろう。

 言うべきか言わざるべきか迷ったが一応教えておく。

 君が車に撥ねられた後、約3分ほど苦悶の声を漏らしながら道路をのた打ち回ったらしいよ。

 そして、その果てに死んだ、というワケだ」


「そっ………そうですか……」


別に期待していたわけじゃないが、聞くべきでは無かった、と後悔する。
痛みに耐えきれず、のたうち回ったって………オイ。
もし第三者が見たら、今のお前のツラも事実に耐え切れず、引き攣ってるぞ、と言うだろう。
そんな動揺を余所に男性は机に両肘を突いて、手を組み姿勢を崩した。


「さて、ここからが本題だ。君は《転生》という単語は理解できるかね?」

「……はい。輪廻転生とかですよね。漫画とか仏教とかで有名な」

「ならば問題ないな。率直に言えば君には転生してもらう。加えてそちらに拒否権は無い」

「わかりました」


男性の命令口調に拒絶せず肯定すると、彼は意外に思ったのか、訝しげな表情を浮かべていた。


「わからないな。理由は聞かないのか?」

「ええ。聞いたとしても答えてくれるような気配がしませんでしたから。それに―――

「それに?」

 ―――情けない話ですが、精神的に疲れました。
 こんな夢みたいな、いや、夢で在って欲しい話は早く終わらせたいです」


本当に情けない。
けれど自分の体面すらどうでもいいと思ってしまいたくなるぐらいに疲弊している。
両肩は重く、首筋は痛くて、頭は垂れ下がり、まさに無気力状態。

夢で在って欲しい。

記憶が無いのではなく、ただ知らない事柄だったとして、また一日を始めたい。
この夢が醒めたら、朝起きて、目が覚めて、土曜日なのだから午前中から夕方までファミレスでバイトをして―――


「了解だ。君が望むのであれば、早々に切り上げるとしよう。

 まず君の転生先の世界は《渡辺 幸辰》が住んでいた世界とは似通いながらも異なる。

 故に転生した後は以前の世界から持っている固定概念を破ることをオススメするよ。

 まあ、つまり君は《渡辺 幸辰》の記憶を持ったまま《×× ×××》になる、ということだ。

 しかしながら前回の記憶というのは先も言ったように固定概念として《×× ×××》の足を引っ張りかねない。

 よって、その世界の基本的な知識を転生と共に与えることにする。

 最初は知識情報の氾濫によって混乱してしまうかもしれないが、赤ん坊から始めるのだから、なに、時間はたくさんある。ゆっくり整理すると良い。

 そしてこれは結構重要なことなんだが………………聞いているのかね?」


「あっ、はい、すいません。続けてください」


現実逃避紛いに呆けていると男性から注意され、より細められた目で睨まれてしまった。
話を早く終わらせてほしいと頼んだのはこちらなのだから、呆けていたのは失礼な態度だったのかもしれない。
慌てるようにして謝罪し、先を促すと、彼は軽く鼻を鳴らし、話を続ける。


「君に限ってこんなことを考えることは無いと思うが、仮に転生先の世界で死んだとしても今回みたいなケースはまず起きない。それを忘れないようにしたまえ」

「はい」

「よろしい。連絡事項は以上だ」


男性はそのように締め括ると姿勢を崩し、後ろに寄りかかるようにして天を仰いだ。
遠まわしにさっさと話を終わらせろ的なこと言ってしまったので、連絡事項は駆け足みたいになっていたのは、無論自分のせいなのだが。


「………あの」


聞きたいことが、どうしても確認しなければならないことが一つだけ……ある。


「どうぞ」


男性はいまだ天を仰ぐような姿勢のまま答えた。
彼の背中側から背もたれが軋むような音を立てている。
というか、これは明らかに上から目線(事実そうなのだけれど)で見下されてるのか、それともただ面倒なだけなのか。
もし後者であるならば、外見や口調の割に形式的な儀礼が苦手な人? なのかもしれない。


「メグは………高橋 恵美は無事でしょうか?」


先程、現実逃避している間に少しだけ思い出したことがあったのだ。

其れはデートをする約束

確かに自分は土曜日の夜に、恋人のメグと約束を交わしていた。
クリスマスイブということもあってシフトが忙しい中、同じバイト仲間やチーフと二カ月ぐらい前から話し合って無理に開けてもらった時間。
認めたくはないが男性が告げた自分の死亡時刻は明らかにその時間帯を指している。
もしかして、と思うと不安が止まらない。

アホみたいだ。

本当に彼女を心配し、想っているのであれば、男性から告げられた時点で真っ先に確認すべき事項だっただろうに。
自分本位な考えをしていた渡辺幸辰は情けない男、彼氏失格に値する。
そんな風に自己嫌悪に陥っていると男性はいつの間にやら姿勢を変え、両手を組み、膝を組んでリラックスしていた。
けれど彼の表情は体勢とは裏腹に真剣な表情で真っ直ぐにこちらを見つめている。


「彼女は無事だ。生命活動においても支障はない。
 加えて言うなら、事故に遭う寸前に君がとっさに突き飛ばしたおかげで巻き込まれずに済んだ。
 外傷に関しても掌をすりむいた程度だよ。安心したまえ」

「よかった。教えてくれてありがとうございます」


どうやら彼女は無事でいてくれたらしい。その事実を聞いてどこか心が軽くなったような気がした、が。
しかし男性の表情は相も変わらず真剣身を帯びている。


「………なにか?」

「君をあちら側に転生……いやこんな単語使うから誤解が生まれるのか。君の記憶を《あちら側》へ転写する前に少々お節介をさせてもらおう」


またもや意味がわからない。転生という単語を使うことで誤解が生まれる? あちら側へ転写する?


「《転生》という単語を使ったのは、ソレが一番理解しやすいからだ。
 私個人としては君が行うのは《転生》じゃない、と思っている。もちろん“私個人”を強調しているのだが」

「どういう意味でしょうか?」

「そのままの意味だよ。君の世界で言う《年寄りの冷や水》。軽く聞いてもらうだけでいい」

「はい」


男性は軽く咳払いをして、先ほどの長話をするときの姿勢を取った。



「《渡辺 幸辰》は死んだんだよ。死んだ人間は甦らないし、甦らせない。これは《こちら側》の鉄則だ。

 もっとも《あちら側》でどうなっているのかは、管轄が違うので知らんがね。

 限りある《生》を懸命に生きて死ぬ。そうして初めてそれは《生命》と呼べるものだと私は思っている。

 端的に言えば、だ。君は《あちら側》で《×× ×××》として生きて、死ね。

 同様に《×× ×××》として死ぬために、生きろ。間違っても《渡辺 幸辰》での《生命》を引きずるべきじゃない。

 あくまで《渡辺 幸辰》の物語を知識で知っている、ということにして欲しい」



「……………………………………………………………………………………ごめんなさい。半分も理解で無いです」



情けないことこの上ない。恐らくありがたい説法なのだろうが、わからなかった。
たぶん、新しい人生を謳歌しろということなのだろうか? けれどソレは変な話に思えてしまう。
男性の話が正しいのであれば、記憶を消すなり出来るだろう。
まあ、誰でも簡単に思い付きそうな矛盾を彼は理解した上で言っているのだろうから、尋ねても答えてはくれない、きっと。
けれど男性は満足そうに頷いている。はて?


「別に構わんよ。むしろそこまで期待などしてはいない。ただ私が言ったことを忘れないで欲しいだけだ」


これはひょっとして彼の自己満足ですか? まさに《年寄りの冷や水》?


「さて、そろそろ刻限だ。………っと、そういえば1つ質問をいいかな?」

「はい、どうぞ」

「《リリカル》やら《なのは》やらの単語に聞き覚えは?」

「いえ……無いです。それは何なんですか?」

「いや、なんでもない、忘れてくれ」


口元になにやら含み笑いを浮かべながら、男性は机上の書類にサラサラと音を立てて、まるでサインをするかのようにボールペンを躍らせた。


その瞬間―――


「―――――ッ!?」



耳鳴りがする。頭が痛い。両手を床について、堪えようにも耐え切れない。







痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ
いたいいたいいたいいたいいたいいたいぃぃぃーーーーーッ!!?






その耳鳴り、痛みは急に止んだかと思ったその時―――






















最後に聞こえたのは、そう、テレビの画面を切るような―――そんな音。























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