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No.28486の一覧
[0] 【習作】俺の方がファンタジー[ミケ](2011/06/22 09:01)
[1] 2話[ミケ](2011/06/22 22:07)
[2] 3話[ミケ](2011/06/25 19:37)
[3] 4話[ミケ](2011/09/13 08:21)
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[28486] 3話
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:9a8f54f5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/06/25 19:37
 他の六人の様子を見ると、当然だがチュートリアル画面の最中だった。
 全員、物凄い勢いで慌てているようだ。鏡に囲まれ、体が透明なのだから、当たり前だと思う。
 今されているのは、種族の説明。
 それは以下のようになる。
 ……エルフ族。治癒魔法と弓に長けている。
 ……ダークエルフ族。攻撃魔法と弓に長けている。
 ……ドワーフ族。鍛冶に長けている。
 ……コボルト族。裁縫・木工に長けている。
 ……獣人族。物理攻撃力特化。
……リザードマン。防御力特化。
……人間。全てが平均的。
俺のお勧めは人間だ。この世界は遊べる要素がいっぱいある。可能性を絞るのはもったいない。
説明の後に産まれてくる種族を選んでくださいと出て、種族のウィンドウが出てくるはずだ。文字のわからない組には俺が直々に音声でアナウンスした。
待つ事しばし、彼らは暴れたり戸惑ったりした挙句、とりあえず、自分の産まれた種族を選んだようだ。……つまらない。
性別を選んでくださいと出て、これも生来の物を選択。
すると、外装ウィンドウと年齢調節レバーが出る。ちなみに外装は、精巧なCGである。そこそこリアルだけど、本物と間違える事はない。俺が最も美しいと思うグラフィック。ゲーム内で遊ぶのだから、リアルでないと違和感がある。しかし、三次元の現実と変わらんキャラ、変わらん映像なんぞ、意味が無い。俺のこだわりが光った部分だ。この頃には彼らはシステムを理解し始めて、外装を決めて終了ウィンドウをクリック。
すると、出てくる数値の羅列。これはちょっと難しいかな……。
一応、ステータスの説明がアニメーション付きで流されるし、種族と希望するプレイスタイルにより、お勧めステータスを選ぶこともできる。
案の定意味がわからなかったらしく、お勧めステータスを選択していた。
ヒューズだけが、なにかとステータスをいじっている。
それが終了したら、名前を聞かれる。そして、これでいいか確認をして、ストーリー説明。
邪神が復活し、魔物が活性化する。冒険者たちは、邪神を封印する為に世界を巡る。うんたらかんたら。
俺から見たらありきたりすぎるストーリーだが、こちらの世界では斬新だろう。
 始まりの神殿で待っていると、六人が次々と入ってきた。
「来たか」
 今の俺は人間の魔術師風。もちろん、物凄い美形だ。
六人は、非常に戸惑っていた。目眩を起こしている者もいる。それも当然か。突然、視界が3Dポリゴンになったら驚くだろう。俺は、恭しく礼をする。
「ほっほっほ。ようこそ、フリーゲームオンラインへ。わしは案内人のエレインじゃ」
「エレイン? エレインなのか!?」
 ヒューズが駆けよってきて、俺は笑った。
「ワシの発明はどうかな」
「何故人間の姿を!?」
 ジュークの言葉に、俺はくるりと回って見せる。
「格好良い外装じゃろう? 開発者として教えてやろう。この世界だと、人間が若干有利じゃ。それと、爺なのはワシの趣味じゃ。みよ、この溢れ出る貫禄」
「この世界? 人間が有利? 一体……」
 戸惑うヒューズに、俺は答える。
「これは、夢を見せる装置なのじゃ。遊びの為だけの、無意味な装置。……それこそが、ワシの本当に作りたかった物。ワシの夢の世界へようこそ。おいで。チュートリアルはまだ作っていなくての。ワシ自ら、案内してやろうかの」
 俺は彼らに向かって手を一振りする。
「まずは、装備と道具を整えようかの。一通り楽しめるだけの金は今、渡しておいたから、ステータス画面と言ってみるんじゃ」
 六つのステータス画面が開く。中身は本人以外には見えない。今、ステータスのあれこれを言っても理解出来ないだろう。字が読めないのもいるし。まあ、最低限、数字位は読めるはずだ。
 俺は可視設定でステータス画面を出し、一部分を指差す。
「ここの数字が所持金じゃ。通貨の名はドリ。一万ドリと言ってみるんじゃ」
 金貨が一枚、彼らの手の内に落ちてくる。
 ヒューズだけは全額引き出していた。
「念じればまたステータス画面に戻せるが、それはまた後で。今は買い物じゃ。そうだな、まずは服を買いに行かねばの。下着姿では恥ずかしかろう?」
 そして、無人の街を歩いて行く。いくら俺でも、AIを作るのには時間が掛かるのだ。
 今いるAIは、店主位か。
 俺は防具屋へと向かう。
 彼らは、人の姿の見えない町を不気味そうな顔で見回しながらついてくる。
 防具屋では、色々な装備品が売っていた。
 キグルミから鎧、布の服からローブ。様々な物が展示してある。まあ、最初の町だから強いのはないけど。
 それぞれ、手を取って驚いた。物体を持つと、そのステータスが流れるようになっているのである。ホビットが、興味深く色々と眺めていた。まあ、ホビットは布製品好きだからな。
「サイズは気にせんでいい。ほら、さっさと服を決めるが良い」
 ダークエルフが立派なローブを持って店主の元に行くと、店主は気の良い笑顔で値段を告げ、装備の仕方を教えた。
 ほどなく、全員が装備を終えた。
 次は、武器屋。
 武器屋は、隣に広い試験場がある。
 ドワドが、店を鋭く見渡した。面白武器の数々を、一つ一つ見ながら言う。
「馬鹿な、こんな軽い金属、あるはずがない」
「そりゃ、夢の中の世界じゃからな。そこで武器の使い道を試せるぞい」
「これはどう使うのだ?」
 おずおずとダークエルフが銃を持って聞いて来た。
「ほっほっほ。よかろうよかろう。爺の腕、見るが良い。試験モードオン。パターン一」
 すると、俺の言葉に答えてスライムが湧いてくる。
 俺は炎の魔弾を次々と撃って敵を殲滅した。
 モンスターが現れた事、そして魔銃の両方に驚いているのだろう。
「お、俺もやっていいか!?」
 ヒューズが言う。
「呪文を覚えてない内は普通の弾しか出んよ。それとこれはMPを消費する。ステータスのこの部分の数字じゃ。普通の弾はアイテム欄のこの数字。無くなったら使えなくなるから注意じゃ。ああ、呪文とはこの世界の呪文じゃ」
「なら、教えてくれ!」
「魔弾の撃ち方の本が一緒に売っているであろう。それを読むんじゃ。さあ、他に使い道の知りたい物はあるかの? 何でも好きな武器を持ってくるが良い。ここの武器は一通り使えるでのぅ」
 その言葉に、ドワドが大剣を持ってきた。
「こんな大剣、どうやって使うんだ?」
「しっかり見ておくんじゃな」
 俺が使うキャラは魔術師が多いが、もちろん開発者として全ての武器とその技に精通している。リアルでは重さなどがあって出来ないが、ここはゲームの中。どんな装備もどんとこいだ。その上、人間なら初期武器は全て装備できる。
 俺は全ての武器で応用技を使って見せて、彼らの拍手を受け入れた。
 ヒューズとダークエルフは銃と杖、ドワドとジューク、ホビットとリザードマンは使いなれた剣を装備する事となった。
「では、それぞれの剣の使い方を教えよう。それぞれの武器には、必殺技が設定されておる。ステータスの武器の詳細選択を選び……」
 そうして俺は武器の必殺技の使い方を教える。
「体が勝手に動く!?」
「運動した事のない人間も一流の剣士に。それがこの世界の利点じゃ。ま、重さのある現実世界では通用しない技じゃがのう。ほっほっほ」
 俺はもう大得意である。
 ヒューズは、本を読み終わった途端に消えた事に焦っていたので、心配ないと告げる。
 ちなみに俺は指輪。弓は銃に比べて若干不利だが、優れた弓は量を撃つ事が出来る。これは、銃の機能につけていない。
 ドワドは武器屋を見て非常に名残惜しげにしていたが、後でまた来ればいいと引きずって魔術屋へ行く。武器屋のとなりだ。試験場は共通。
「ここでは魔術を買う事が出来る。ここは夢の中の世界じゃから、現実の呪文は使えんぞ。ただし、種族ごとによって使える呪文は異なるのじゃ。一番多いのは人間、ついでダークエルフ、次にエルフじゃな。獣人とリザードマンは、武器を使って戦う性質故、少ないのう」
「人間が一番多いのか?」
 ヒューズの質問に、俺は微笑する。
「言ったろう、この世界では人間有利じゃ。浅く広く、全ての種族の初期呪文が使えるのじゃ。全部を遊びたいなら、人間がお勧めじゃ。人間は全てのパラメーターが平均値じゃからのぅ。ただし、他の種族の得意分野で勝つ事は出来んな。まあ、魔法の使えない超凄腕の戦士と回復魔法の使える凄腕戦士が戦えば、勝つのは後者じゃからの。やはり人間優位じゃ。ヒューズ、お主が万能魔術師になりたいなら人間は正解じゃ。ただし、治癒特化ならエルフ、攻撃特化ならダークエルフになるべきじゃな」
 ヒューズは考え込む。
「エルフや、ダークエルフに……?」
「所詮夢の世界じゃ。ワシの作ったルールに反しなければ、どんな姿も想いのままじゃよ。おお、男女の違いでもステータスは変わるぞい。ただ、この世界はエッチな事は出来んの。エッチなのはいけないと思います、じゃ。結婚システムはあるがの」
「子供を作るときにはどうするんだ」
「夢の世界で繁殖する必要が無い。人口を増やしたければ、あの端末を現実の人間に使わせればいいのじゃ。さて、試し方じゃが。使いたい魔法の書物を選んで、使い方を読んで試験場で使うのじゃ。買う前なら、書物は消えないが、覚えた呪文を試験場以外で使っても発動せん。また、試験場で魔法を発動させるには魔法の書物の所持が必要じゃ。買った後は、一度読めば消滅するから注意するんじゃ。その代り、その後はずっと使えるようになる」
 そして、俺は試しに呪文を使ってみる。
『火の精霊よ、集い集いて我が魔力を代償に願いを叶えたまえ』
 俺が言うと、炎の精霊である小さな光が集まって来るエフェクトと、展開する魔法陣。
『出でよ、聖なる炎。全てを焼きつくす業火よ、ファイヤーボール!』
 風が吹き、炎が魔法陣に向かって寄り集まり、それを俺が放つ。
 それは案山子に向かって飛んでいき、大爆発を起こした。
「ふふん。こんなもんじゃ。かぁっこいいじゃろう?」
「しかし、呪文を唱えている間に殺されるのでは。それに精霊とは?」
「そりゃそうじゃ。だから、戦士が魔術師を守り、魔術師が戦士を補佐するのじゃ。精霊はワシの考えた魔法を補佐する生き物じゃ。万物に宿っておる設定じゃ。さ、やってみるんじゃ」
 ヒューズが呪文を使うと、案山子が凍る。
 ダークエルフは案山子を黒こげにした。
 次に道具屋。これはステータスと照らし合わせて説明するだけで終わった。
 鍛冶屋で鍛冶スキルを試した時、ドワドは怒った。
「こんなのは鍛冶ではない!」
 割りとリアル思考を追及しているんだが。それでも本職にとっては業腹か。
「だって夢の世界じゃもの。お手軽に鍛冶屋気分を楽しめればそれでいいんじゃ」
 次に木工スキル、縫栽スキル、料理スキルを試す。ホビットは逆に、楽しそうにしていた。
 町の外には、ダンジョンが一つある。
 回復役がいなかったので、ヒューズに回復呪文を覚えさせてそのまま連れて行った。
 攻撃されても、痛みの無い違和感。
 敵がポリゴンになって美しく消えて行く事。
 その後に素材が落ちている事。
 全てに、彼らは驚いていた。
「まあ、こんな所じゃの。十日ほどここで遊んでおくれ。外ではちょうどそれで一日が経過するはずじゃ。この世界はまだこの始まりの町と旅立ちのダンジョンしか出来ておらん。まあ、楽しんで、不満だった点を掲示板に書いてくれればよい。テスト用端末は配るし、あれは5人まで取り込める。信用出来る奴を呼んで一緒に遊んでくれれば嬉しいの。それと、これは秘密厳守じゃ。わかったの?」
「夢の中に、世界を作る……。素晴らしい道具です、エレイン様」
「今更様付けなどくすぐったいのぅ、ヒューズや。テストプレイヤー、しっかり呼んでくるんじゃぞ。では、最後に課題じゃ。宿を探して休むんじゃ。まあ、この町小さいし、すぐ見つかるじゃろう」
 そして俺は外から眺める事にする。
 ドワドとホビットは鍛冶や縫栽スキルを磨く事にしたようだ。
 ヒューズとダークエルフは魔法を色々試している。
 リザードマンとジュークは剣術を極める事にした模様。
 俺は時々それを眺めながら、町の住人を作る事に専念した。
 奴隷のベットと食事も手配しなくてはならない。
 夕方、俺はログアウトしてくるのを待ち、ついでログアウト方法を教えるのを忘れていた事を思い出す。幸い、一定の時間が経つと強制ログアウトされるように出来ている。
 出て来た6人に食事をご馳走し、三人を送りだした。
 翌日から、奴隷三人にテストプレイを手伝わせながら、ゲームを作りこんでいく。
 それと同時に、テスト端末の作り方を裏でわざと漏らした。もちろん、ダークネスサイドにもゲームを広める為である。テストプレイヤーが充実し、掲示板にも要望も増えた頃。
 俺の耳に噂が届いた。
「ドワーフのドワドが新しい鉱物、ミスリルや新しい武器、刀を作った」
「ジュークが新しい剣術を生みだし、道場を作った」
「ヒューズが神の僕、精霊の存在を発見し、新たな魔法を編みだした」
「最近、食堂で珍しい料理が出るようになった」
 うん、とりあえず、話を聞こうか。


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