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No.28486の一覧
[0] 【習作】俺の方がファンタジー[ミケ](2011/06/22 09:01)
[1] 2話[ミケ](2011/06/22 22:07)
[2] 3話[ミケ](2011/06/25 19:37)
[3] 4話[ミケ](2011/09/13 08:21)
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[28486] 【習作】俺の方がファンタジー
Name: ミケ◆8e2b4481 ID:9a8f54f5 次を表示する
Date: 2011/06/22 09:01
俺の方がファンタジー

 焚かれるフラッシュ。相次ぐ質問。俺は、壇上で気分よくそれに答えていた。
 俺の名は世尾遊太。新たなる筺体、バーチャルバーチャルの開発者である。
 ここまで来るのは長かった……。テストプレイには、既に一万人もの人が申し込みをしている。バーチャルバーチャルとは、ゲームの中に入って遊べる機体で、専用ゲームは今の所一つ。それが、VRMMO、「ウィザードオンライン」だ。魔術師となって謎ときをしつつ冒険をするという物で、俺はそれを世界一のゲームだと自画自賛していた。
「世尾さんは、全てのゲーマの夢と言ってもいいゲームを開発したわけですが、今後の目標は?」
「そうですねー。デスゲームとか、興味ありますねー。命がけの戦いとか、痺れちゃいます。実はバーチャルバーチャルには頭をレンジでチンする機能があるんですよー」
「またまたぁ、御冗談を」そんな返事が返ってくると思っていた。けれど、空気は凍ってしまう。俺は焦った。
「ほ、本気にしてるんですか? やだなぁ、単なる冗談ですよ。そんなわけないじゃないですか」
 俺は必死に言い募るが、探る様な目線は変わってはくれない。
 後日、会社に捜査が入ってしまった。
 警察が会社に押し寄せる中、俺は社長に説教を受けていた。
「全く、何を考えているんだね」
「すみません、社長……。でも、調べられて痛い事はありませんから、大丈夫ですよ」
「馬鹿もの、家宅捜索と言うのは、押収された物が戻って来るとは限らんのだ。最悪、パソコンや資料が押収となってデータの作り直しになる」
 その言葉に俺は蒼褪め、ぺこぺこと頭を下げる。
「まあ、デスゲーム疑惑は元からあったのだ。そう言う小説が氾濫しているからな。しっかり調べてもらうのは悪い事ではないだろう」
 そういって自分を納得させようとする社長。そこで、部下の机を漁っていた警察官が声を上げた。
「見つけました! デスゲームの計画書です!」
 俺と社長は目を点にした。
「み、見せて下さい!」
 俺が見ると、それはバーチャルバーチャルのブラックボックスの設計図……けれど、俺が作った物じゃない。正確には、俺の作った機能に、余計な機能がついていた。
 すなわち、頭をレンジでチンする機能。
「ええええええええ!? ち、違うんです! 俺はこんな機能つけていない!」
「署で話を聞かせてもらおうか……」
 警察官が俺の肩にしっかりと手を乗せる。
「世尾君、まさか……」
「本当にデスゲームを計画していたら、あんな場所で話す筈ないじゃないですか! 信じて下さい、お巡りさん!」
 必死で訴えるが、俺は署に連れていかれ、逮捕された。
 その上、今まで開発に全てを注ぎ込んできた事による緊張の糸が切れて過労で倒れ、病気を発症。俺は獄中で命を落とした。
 以上が、俺の前世である。
 

 荘厳な神殿で、俺は祈りを捧げていた。真正面には光の神、ライトモア様の像と祭壇があり、神殿は全体的に蔦の装飾がされている。俺の他にも、多数の一族……エルフ族が祈りを捧げていた。エルフ族。俺が生まれ変わった種族である。
 ライトモア様は、いつもこの世界を見守っているらしい。俺は全く信じていないが、異端者狩りが怖いので表向き信仰している事にしている。
 そして、エルフ族はライトモア様が生み出した生き物だという。
 長い耳と、額のここによって違う紋章が特徴だ。
 セレイン・ユーユーと言うのが俺に与えられた名前。
 この世界にはライトモアに作られたと主張するライトモア派と、ダークネスに作られたと主張するダークネス派がいて、緊張状態となっている。
 ライトモアには、エルフ族、獣人、ドワーフ。
 ダークネスには、ダークエルフ族、リザードマン、ホビット。
 それと、どちらにも属する人間。
 この七種族が、この世界の知的生命体である。
 エルフ、ダークエルフは魔法に優れ、獣人、リザードマンは力に優れ、ドワーフは鍛冶、ホビットは布製品を作るのにたけている。
 魔物も存在しているが、よくあるファンタジーの物語のような魔王はいない。
 ゲーマーがファンタジー世界に転生したのだから、本望だろうと思う人もいるだろう。
 しかし! しかしである。
 魔物と戦うと痛いのである。魔物を殺すって事は、生物を殺すって事なのである。
 更に言えば、俺は二次元ラブである。エルフぅ? 三次元のエルフなんてみて楽しいものか! ここじゃない、俺の理想郷はここじゃないんだ。俺の理想郷は、いつだって想像の中にある。
 祈りの時間を終えると、俺は研究室に急いだ。
 研究室の右側面には大きな檻があり、その中に多数の鳥がいる。
 三対の羽をもち、頭に宝石を嵌めた色取り取りの鳥。
 俺の作った人工生命体、ネットワークバードである。
 こいつらは頭の宝石でネットワークを形成する。人工衛星の代わりだ。
 半径十キロ以内の媒体と通信が出来るようになっているのだ。こいつを作り、繁殖するのに二百年ほど掛かっている。エルフの長い寿命には心から感謝だ。
 俺はそれらの鳥には見向きもせず、データ媒体である宝石を鞄に入れた。
 俺の目標は、打倒ダークネスを隠れみのに、VRMMOを作る事。
 ライトモアとダークネスの争いになんぞ、興味はないのだ。
 いつか、この世界をゲームで席巻してやる。
 それが俺の目標だ。


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