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No.28471の一覧
[0] 【ネタ】名前のない怪物【人外オリジナルファンタジー】[Jabberwock](2011/07/17 09:51)
[1] 02[Jabberwock](2011/06/24 00:59)
[2] 03[Jabberwock](2011/06/24 00:58)
[3] 04[Jabberwock](2011/07/03 00:52)
[4] 05[Jabberwock](2011/07/11 00:30)
[5] 06[Jabberwock](2011/07/11 00:41)
[6] 07[Jabberwock](2011/07/18 01:48)
[7] 08[Jabberwock](2011/08/04 21:14)
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[28471] 02
Name: Jabberwock◆a1bef726 ID:8fce89f0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/06/24 00:59
 傷ついた怪物がその失った血肉を手に入れるためには、まるまると太った鶏が8匹と堅焼きのパンが10個、名前を知らない色とりどりの野菜や果物が籠に一杯必要だった。
 全身を摺りこまれた薬草の臭いでプンプンさせ、包帯でぐるぐる巻きになったまま怪物は目の前に用意された料理を一心に掻き込んだ。
 この集落で貴重な動物性タンパク質である鶏を何匹も潰したわけであるが、子鬼たちは文句を言うどころか怪物がいらないというまで何匹でも潰して持ってきそうな雰囲気である。
 それだけ、子鬼たちに取ってあの戦士団を撃退したことが嬉しく、また思いがけないことだったようだ。
 実際、子鬼のリーダーから何度も感謝をされた…………もちろん言葉はわからぬが、こういった言葉は理解できなくとも何となく分かるものだ。
 さて、山と積まれた果物の皮すら剥かずにモリモリと口元に運びながら、怪物は一人考えていた。
 まず一つ、鎧と武器がだめになってしまったこと。
 鎧は言うまでもなく、あの死闘のせいでボロボロになってしまっていて、武器の長柄戦斧の方も怪物の膂力で散々に鋼鉄を叩いたものだから、刃が潰れてほとんど鈍器のようになってしまった。
 次に一つ、果たしてあの鋼に身を包んだ戦士たちは一体何者であるか。
 あの時には深く考えなかったが、どうやら子鬼たちとは住む世界からして根本から異なる種属のようである。何故、子鬼たちを殺そうとしたのか、彼らとは戦争状態なのか、それとも過去の遺恨か、はたまた宗教上の理由か。
 言葉も歴史もわからぬ怪物に、理解はできぬ。
 理解はできぬが、ただ一つ分かることがある。彼らは又来るだろう。
 ならば、悠長にただ待っているなど、怪物にはできない相談だった。
 さて、ならば一体どうするか?
 最後にひとつ残った血のように赤い果物をじっと見つめ、怪物はゆっくりとそれを齧った。
 ただ待つなど、性に合わぬ。





――――――――――――――――――――――――――――――――





 怪物は水袋の中に詰まった薬草水をぐいと呷ると、丁度良い高さに地面から頭を出した大岩の上に腰を下ろした。
 鎧はもう一度子鬼たちに打ち直してもらっている為、丈の長い麻布の服を着こみ、上から革製の胸鎧とマントを羽織っている。
 麻布の服は上下が一体になった服で、大きな脚が自由に動けるようにと腰のあたりから切れ込みが入っている。顔料なのか染料なのか、森の色に紛れるような濃緑色に染め抜かれていた。
 さて、腰を下ろした怪物は背負い袋から一枚の紙を広げると、同じように取り出したインク壺と羽ペンを使って今まで観てきた地形を事細かに書き込み始めた。
 川、森、岩場、崖、山、誰に学んだわけでもなく、怪物は測量士もかくやと言わんばかりに正確な地図を描きはじめる。
 やがて作業を終え、じっと地図を見ながら怪物はふと思い出したように首からかかった金の鎖を胸元から引っ張り出した。
 鎖の先には、あの時拾った例の落し物がある。
 時間を計るこの精巧な機械を、怪物は「時計」と名付けた。
 怪物は時計に残るあの戦士の香りを少しだけ楽しんだ後、ぱかりと蓋を開ける。
 怪物がこの時計を殊更気に入った理由の一つに、文字盤がガラスで覆われていて中の機構が丸見えになっているということだった。
 寸分の狂いもなく金色の歯車や振り子がカチコチと動くさまは、怪物に感心と畏敬の念を抱かせるに十分な脅威である。
 これ程に精巧で緻密なものを生み出すような種属がこの世にいる。
 たったそれだけで、怪物は世界の広さをまざまざと見せつけられた気分になるのだった。
 文字盤の意味は直ぐに理解できた。
 一日の間に一番太い針が2週、細長い針が24週、中心から下にずれたところにある小さい文字盤の小さな針は86400も一日に回る計算になる。
 時間を小刻みにして分けるということを一体誰が考え出したのか知らぬが、非常に有用なことだと怪物は感心した。
 怪物が地図を作り始めてから、丁度太い針が三つ進んでいた。
 日が登り切る前の薄闇から始めたこの作業も、すでに昼行性の動物たちが動き出すような時刻になっていた。
 怪物は地図の空白をじっと見つめると、やおら微笑を浮かべた。
 自分の世界はこんなに狭い。
 まだ知らない世界が、こんなにも広がっている。
 これから知るべき事が、想像もつかないほどたくさんあるのだ。
 それを考えるだけで、怪物はなんだか胸が高鳴ってくるのだった。
 子鬼からもらった真っ白い紙を丁寧に折りたたむと、防水用の革ケースに入れて背負い袋にしまい直してから、怪物は己の身長ほどもある柄付き草刈鎌を杖替わりにして立ち上がる。
 まだまだ、先は長い。





――――――――――――――――――――――――――――――――





 その音を怪物の耳が捉えた時、丁度怪物はそろそろ帰ろうかと思い始めていたところであった。
 金属同士がぶつかり合う、硬質な音。
 魂消るような悲鳴。
 戦士たちの雄叫び。
 怪物の体中にめぐる血潮が煮えたぎった。
 闘争だ、闘争の音だ!
 怪物は両手に長柄鎌を持ったまま風の様に疾駆した。
 行く手を遮る木々の中を、まるで無人の野を駆けるかのような速度で進む怪物の耳に、闘争の現場で響く音がだんだんと近づく。
 もう、殆ど目と鼻の先にまで近づいて、それでも怪物は立ち止まらない。
 先日の闘争はこちらの奇襲で始まったが、今は既に戦端が開かれている。
 こんな所をこっそり見てから襲うなど、そんな悠長な戦い方をする気分ではなかった。
 木々の切れ目を飛び出した怪物が眼にしたのは、5頭の馬と、それが引いている幌付きの車。そしてその周囲で傷つき、倒れながらもそれらを守ろうと戦っている男女。
 そしてその周囲で馬車をぐるりと囲んで弓を射かけ、槍を突き込む荒々しい風貌の男達。
 果たして、どちらに味方をすればいいか?
 そんな思考は刹那のうちに終わりを告げる。
 勝ち馬に乗るなど、そんな詰まらぬ真似は御免被る!

「助太刀仕る!!」

 百里先にも届くばかりの大音量でそう叫び、咆哮を上げながら長柄鎌を右から左に大きく薙ぎ払う。
 突然現れた怪物に驚きの声を上げる間もなく、三人の男が胴から両断されて地面に転がった。
 当然、その場にいた者は混乱し、狼狽した。
 特に今まで攻め手側だった包囲者の方の狼狽は際立っている。
 怪物に果敢にも立ち向かおうとした戦士たちは、一戟切り結ぶことすら難しく、風を切り裂く音が聞こえたかと思えば腕やら脚やら首が宙に舞っているという寸法だった。
 わらわらと80人ばかり集まっていた攻め手側の男達は、接近戦は分が悪いと悟ったのか、遠距離からの攻撃に切り替えた。
 矢羽が立てる特徴的な音と共に数十本の矢が飛んでくる。
 が、怪物はニヤリと挑発的な笑みを浮かべながら矢の雨の中に突撃した。

「ぬるいッ! この程度、見えない刃に比べれば!」

 あの怪人が放った不思議な斬撃を躱した時のように、地面を這うように戦場を駆ける。
 瞬きするように最高速度に達した的は更に小さくなり、弓手の戦士たちは狙いを迷う。
 一握りの熟練達はこちらに向いたままの怪物の顔に向かって次々と矢を放つが、ほんの少し怪物が頭を動かすだけでその堅牢な角が矢を弾いた。
 漸く他の物が同じように矢をつがえた時には、怪物の間合いである。
 異形の足が地面に蹴爪の痕を残しながら、人外の膂力と瞬発力によって振り回された長柄鎌が草の代わりに戦士たちの首を刈る。
 中空に驚愕の顔を貼り付けたまま、戦士たちの首が舞うと、リーダー格らしいの男が何かを叫んで笛を吹く。
 それを聞くや否や、まさに蜘蛛の子を散らすように攻め手側の男達は四方八方へ逃げ散っていく。
 それを見て、怪物は激怒した。

「待てッ! 戦え! 最後まで! 私と戦え! 臆病者共め、己等が始めた闘争だ、最後まで続けよ! 武器を取れ、腰抜け!」

 先日も同じように決着が付かずに逃げられて、怪物は消化不良の闘争心が爆発する。
 地面に捨て置かれていた槍を引っ掴むと、逃げる男たちの背中に向かって次々と投擲した。
 矢弾では絶対に立てられないような風斬音を立てて、地面とほぼ平行線を描くような美しい軌跡を描いた槍は男達を次々と串刺しにする。
 まるで吸い込まれるように飛来した投槍に背中から心臓を貫かれ、血塗れの死体が量産される。中には二人同時に身体を貫かれて絶命するものまでいた。
 だが、いくら開けた場所とはいってもここもまた森の中。
 取り逃がした男達は森の木々に隠れて何処かへ消えて行った。
 また、取り逃がした。
 怒りのあまり、怪物は地団駄を踏んで掴んでいた槍をへし折って投げ捨てる。
 まだ、敵はいないのか。
 地面に突き刺しておいた長柄鎌を引きぬいてぐるりと振り返った怪物が見たものは、まさに屍山血河と呼ばわれるような惨状。
 真っ二つになった死体から内臓が溢れ、緑の地面を赤く染めている。
 馬車の周りには恐怖と決死の視線で怪物を見る男女の群、そこまで見て怪物は漸く闘争が終わったことを実感した。
 全身に漲っていた怒りと緊張が弛緩し、怪物は腰に吊るしていた水袋からゴクリと中身を飲んだ。
 ちらりとその場に残った者たちを見て、ふと怪物は気がついた。
 先日己が戦ったあの戦士たちと、今戦った奴らは見た目が良く似ている。恐らく、同じ種属なのだろう。
 もしかすると、あれらの行方を知っているのかもしれぬと考え、そう言えば彼らの言葉は理解出来ないのだったと小さく溜息をつきながら怪物は馬車の方に向かって歩いた。
 恐怖に青ざめた顔で、鞠のように膨れた体格の男が一人、怪物の前に進み出た。
 男は震える声で何かを怪物に言ってから頭を下げる。たとえ言葉がわからずとも、さすがにこれは何の意味か分かった。
 怪物は煩そうに手を振って黙らせると、さてこれからどうしようかと右手で顎を指すって思案する。
 目の前の人々はどうみても怪物との闘争を満足させられるような手合いではない。
 うろうろと視線を左右させると、ふとその視線が一つの馬車で止まる。
 先程の戦いで流れ弾があたったのか、繋がれたまま馬が死んでいる。
 まだ何かを喋っている太った男を無視して怪物はその馬車にノシノシと歩み寄ると、死んだ馬を外して投げ捨てると、荷台からこぼれ落ちた荷物を放り入れた。
 そこで漸く怪物が何をしようとしているのか理解したのか、慌てた様子で男が怪物と馬車の間に割り込んで何かをまくし立てる。
 もし怪物が言葉を理解できたなら、少しは考えたかもしれなかったが、残念ながらただの雑音でしかなかった。

「命を助けてやったのだ、これくらいは代価として頂こう」

 そう言って怪物がゴトゴトと馬車を引っ張り出すと、今や血の気が完全に引いた顔で男が喚きながら怪物に食ってかかろうとするのを、筋骨隆々とした男と細身の男がその両脇を押さえて羽交い絞めにする。
 二人の男は緊張に強ばった顔で怪物をチラチラと見ながら、何とか太った男を落ち着かせようと何かを喋りかけているが、羽交い締めにされた方は今や半狂乱の体で喚き散らしている。
 どうやらよほど大事なものが乗っているらしいと考えながら、怪物は終いには「ウワァァァアァァ!!」と号泣し始めた男を尻目に森の中に消えた。







――――――――――――――――――――――――――――――――






 ガタゴトと森の中の獣道を進みながら、怪物はいい気分で歩みを進めた。
 風に木々が揺れる音、小鳥の囀り、小川のせせらぎ、それらすべてが渾然一体となって調和している。
 怪物はぼんやりとした思考で「まるで歌のような……」と考え、はたと気がついた。
 そう、歌。
 何か、自分は歌を知っていたはずだ。
 まるで心の中にゆっくりと沈み込むように、怪物は己が生まれた時から心の中に確かにあった「歌」を歌った。



  もし貴方があの国に辿り着いたなら もし貴方が私の故郷に辿り着いたなら
  どうか表通りの煉瓦の家に 金木犀の咲き乱れる煉瓦の家に
  どうか訪ねてくれないか 赤い髪の可憐な少女を
  もしも少女が「あの人は何処に」と尋ねたら どうか答えてくれないか
  「あいつは戦い、龍になった」と 答えてくれないか
  私の両腕は血で汚れ 貴女の綺麗な髪を汚してしまう
  私の両手は鋼を持つことしか知らず 貴女の両手の握りかたを忘れた
  私の両足は敵味方の屍を踏みしめ 貴女の家には踏み込めない
  私の喉は戦の雄叫びを上げ続け 愛を囁く言葉を失った
  戦の魔力に私は捕まった 私は戦い続ける 祖国のためでなく 貴女の為でなく
  私は戦い続ける 戦友のためでなく 大義のためでなく ただ己の戦を続けるために
  私は龍になった 私は龍になった 私は戦を貪る龍になった
  今日も私は戦場にいる 私が滅びるまで 戦は終わらない
  嗚呼 どうか誰か 私の故郷に辿り着いたなら
  嗚呼 どうか誰か 私の愛した少女に出会ったなら
  伝えてくれないか 私が龍になったと 私は帰らぬと
  伝えてくれないか 貴女の愛した人は 名前を失い 龍になったのだと



 そこまで歌いきり、思わず怪物は鉛を飲み込んだようになった。
 自分が歌った低音域にぴったりと合わせるように、誰かが高音域を歌っていた。
 まさか、妄想だ。
 そう切り捨てようとした、その時である。

「成立年代不明、作者不詳、『ドラゴンルーラーの悲哀』第一楽章、ミネアポリスの大図書館で埃を被る古歌を、しかも、今はもう失われた古アンギラール語で歌う、貴女は一体誰?」

 怪物の総身に電撃が走った。
 馬車の固定具を手放し、御者台の後ろに垂れている布を捲った。
 果たしてそこには、両手両足を鎖でつながれ、鈍色の鉄檻に囚われた小さい人影。
 褐色の肌と檻の中一面に広がる金色に近い栗毛、その両目は玻璃玉のように透き通った水色で、驚愕の視線を向ける怪物を水面のように写している。
 そして、その額から、細長い一本の角が天に向かって生えていた。

「お、お前は、一体……」
「それはこちらのセリフなのですが、まあいいです。私の名はレギオー。全言語交渉士です」
「なぜ、私の言葉が通じる」
「また質問ですか……。先程も言ったようにそれは私が全言語交渉士だからです。それが意味を持って発せられる言語である限り、私が理解出来ない言葉はない。さあ、今度は貴女が名乗る番です」
「私は怪物だ、名前はない」
「…………それだけですか?」
「ああ、語るべき歴史は、私にはない」
「はぁ……」

 若干の呆れを込めながら、レギオーは小さく溜息を付いた。
 そしてその透明な瞳に一瞬だけ狡猾な光が過ぎった。

「ところで、一つ提案があるのですが」
「なんだ」
「この戒めを解いて頂きたいのです。汚らしい蛆虫どもにこのような枷をかけられてしまって不自由極まりない」
「分かった」
「え………………」

 何故か唖然とした顔のレギオーを他所に、怪物は鉄格子を力任せにひん曲げると、へたりこんでいたレギオーの両脇に手を挿し込んですくい上げ、御者台に座らせてその両手足にはまっていた鎖と枷を引きちぎった。
 まるで紙か何かで出来ているかのように、怪物の手の中で引きちぎられた鎖は、突然白熱したかと思うとパッと一瞬だけ光って粉々になってしまった。
 怪物は驚いて鎖を離してしまったが、手から離れる一瞬に掌を熱で軽く焼かれて「あちち」と手を摺り合わせる。
 その様子を呆然と見守っていたレギオーは、震える声で恐る恐る怪物に声をかける。

「あ、ああ、あの、く、首輪、も、その」
「おお」

 そう答えて、その細い首を殆ど絞め殺すようにして嵌っていた黒くて頑丈そうな首輪に両手をかける。
 レギオーはそこで初めて怪物の両手の指が合わせて16本もあることに気がついて顔色を青ざめたが、その尖った爪を持つ指がぶちりと首輪を引き裂いて捨てると、その小さな瞳がこぼれ落ちるのではないかと心配になるほど目を見開いた。
 怪物は引きちぎった首輪をすぐさま投げ捨てると、案の定首輪は投げ捨てられた先で真っ黒な炎を上げて燃え尽きた。
 さっきの白い光と違い、あの炎はなにか嫌な感じがするな、と怪物は首輪が完全に燃え尽きるまでそれを見守ると、漸く視線をレギオーに戻してギョッと身を引いた。
 レギオーはその折れそうなほど華奢な両手で己の首元をさすっていた。
 その両目から、滂沱のごとく涙を溢れさせながら。

「な……い……首輪、首輪が……な、い…ッ。無くなった……ッ! 首輪が……、あ、ああぁ」
「い、いけなかったのか」
「ち、がいます……ちがう……ああ……ない…首輪が、外れた!!」
「外したほうが、良かったか」
「あ、あり……ありが、とう、ありがとう……、ああ……神様!」
「神じゃない。怪物だ」

 その言葉には答えがなかった。
 いや、もしかしたら答えたのかもしれなかったが、泣き声と一体になって聞き取れなかった。
 わんわんと子供のように泣きくれるレギオーを目の前に、途方に暮れた怪物はぎこちない手つきでその頭を撫でる。
 すると、レギオーはちょうど怪物のお腹の辺りに抱きついて、腹の中にたまった物をすべて吐き出すように泣き暮れた。
 額の一本角が、当たって少し痛い。
 だが、不思議と怪物は嫌な気分にはならなかった。









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狂言回しにして相棒登場


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