<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


No.28418の一覧
[0] 【ネタ】僕「なんかQBみたいっすね?」神「効率的だろう?」【リリカルなのは】[タナカ](2011/06/26 14:01)
[1] 2話 「経験は大事、というお話」[タナカ](2011/06/26 14:01)
[2] 3話 Q:転生者はどんだけいるの? A:108人[タナカ](2011/06/20 16:03)
[3] 4話 いうなれば主人公は、マサルさんのフーミン、銀魂のメガネポジ[タナカ](2011/06/26 13:55)
[4] 5話 原作に登場するはずだった人たち、他[タナカ](2011/06/26 13:52)
[5] 6話 今回、名前を考えるのに一番時間が掛かった[タナカ](2011/06/26 14:08)
[6] 7話 一応、量産型にも性格設定はしてある。[タナカ](2011/07/03 17:47)
[7] 8話 カウントダウン開始[タナカ](2011/07/03 18:28)
[8] 9話 Credens justitiam[タナカ](2011/07/04 21:07)
[9] 10話 ニコポとはかように恐ろしいものなのだ[タナカ](2011/07/07 21:26)
[10] 11話 漸く主人公にも陽の光が、と思ったがそんなことはなかった[タナカ](2011/07/11 15:36)
[11] 12話 覚醒のゆきの、留守番の勇治[タナカ](2011/07/16 13:27)
[12] 13話 「ただいま」[タナカ](2011/07/19 21:45)
[13] 14話 A's編終了のお知らせ[タナカ](2011/07/23 19:25)
[14] 15話 オリ主で厨二の邪気眼[タナカ](2011/07/26 16:49)
[15] 16話 閑話みたいなもの[タナカ](2011/08/08 14:52)
[16] 17話 その頃、世界の裏側で[タナカ](2011/09/04 20:05)
[17] 18話 きっとターニングポイント[タナカ](2011/12/08 12:34)
[18] 19話 嵐の前の静けさ[タナカ](2011/12/30 18:46)
[19] 20話 「フリーダム壊滅作戦・上」[タナカ](2012/01/03 07:16)
[20] リリカルなのはTRPG・ルールブック 1/3改訂[タナカ](2012/01/03 08:05)
[21] ・転生者一覧(20話終了時点)[タナカ](2012/01/03 08:10)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[28418] 14話 A's編終了のお知らせ
Name: タナカ◆68fc5ba6 ID:85f33da0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/07/23 19:25

「父よ、朝だ! 起きるがよい!」

「う、うん……おはよう、ロード」

 いつものように娘のロードに起こされ、マイヤー・ディアーチェは体を起こす。

「ロード、母さんは?」

「母はもう出仕された、爺もとうに出られておる。レナードも騎士たちも起きているので、父が最後である」

「そう、ふぁあああー」

 マイヤーが欠伸と共に大きく伸びをする。
 いつものように妻のオーリスと義父のレジアスは既に出仕しているようだ。
 使い魔や騎士たちは当然、息子のレナードも起きている、と。

 全時空平和委員会ミッドチルダ地上支局クラナガン防衛隊本部、通称『地上本部』総司令である義父とその秘書である妻は多忙である。

 対するマイヤーは表向きは『地上本部』の窓際部署である第7資料室の室長だが、実際には全平和会暗部の象徴たる対『フリーダム』部隊、通称『ゴミ処理部隊』の隊長である。

 実は部隊所属者の家族と転生者以外には部隊員は極秘である。
 対『フリーダム』部隊はいわば『絢爛舞踏』の集団、全時空平和委員会の暗部たる血と恐怖の象徴だ。
 その人が、世界を揺るがす化け物と対峙できる化け物と知って、普通に会話できる人間は多くはない。

「主、起きられたのですか?」

 と、続いて部屋を訪れたのが「夜天の書の管制人格」であるリインフォースⅠ(アインス)。
 昨年、「守護獣」ザフィーラとの間に娘をもうけ、マイヤーがその子にリインフォースⅡ(ツヴァイ)の名を与えたので、わかりやういようにとⅠ(アインス)を名乗るようになっている。

「ん? Ⅱ(ツヴァイ)は?」

「今はヴィータが見ています。主、子供とはいいものですね」

 どうやら騎士達を代表して起こしに来たらしい。
 そして最近のⅠ(アインス)さんは毎日のように、子供はいいと繰り返す子煩悩になっている。

「うん、子供はいいねぇ」

 と、同じく子煩悩のマイヤーもそう返す。

 しかし、妻が多忙ゆえ子供たちの面倒は基本的にヴィータが見ているのだが、長女のロードが最近原作の闇統べる王っぽくなっているのが気がかりだ。
 ヴォルケンきっての常識人であるヴィータがおかしな教育をするはずがないのだが……今日、仕事先で聞いてみよう。

「そんなことは後でよかろう。父よ、急ぐのだ! 寝坊組が全員揃わねば、朝ごはんが食べられないではないか!」








 新暦54年に起きた、通称「闇の書事件」は当時新人であったマイヤー・ディアーチェの手により解決した。

 といっても、マイヤーのしたことは闇の書の暴走プログラムを正常化し、バグ化する前の夜天の書のとしての機能を取り戻すことだけであったが。

 まあ、だけといっても本来は当時動ける転生者を総動員して、封印した後に無限書庫の封印区画に放り込むという力業によるものだったので、彼の功績といって問題はないだろう。
 これにより、闇の書は八神はやての元に転生することなく本来の機能を取り戻し、管制人格も消滅することなく原作と同じくリインフォースの名を与えられた。

 また、守護騎士達もなんだかんだと前科持ちにはなったものの、半世紀の管理局(この頃はまだ改名前)への勤労のみで実質無罪放免といえた。

 問題は、ヴォルケンリッターがディアーチェ家に居候することにより、所謂八神家居候ルートを狙った2名の転生者がマイヤーの元に転がり込んできたことである。
 しかもその転生者、ミストナム・フライム(5歳)とカイト・ゴーダ(5歳)の2名とも恋愛タイプの転生者のため、対象のシャマルとシグナムに一発で気に入られたため追い出すわけにもいかないという状況となった。

 とはいえ、マイヤー自身がヴォルケン・ハーレム、ヒャッハー! という人間ではなかったので、結局そのままでいいということとなった。

 さて、転生者マイヤーの目的は達したとはいえ、この時間軸に生きるマイヤー・ディアーチェという人間にはやるべきことが残されている。
 第一に、没落したベルカの名門であるディアーチェ家の復興。
 ここまで育ててくれた亡き両親の恩には答えたい。とはいえ、入局するまでその日の暮らしにも困窮した程だ、先は長い。
 第二に、夜天の書の主になったことによる原作改変に対する責任。
 ヴォルケンリッターの面々には原作以上の幸福を与えるのが、少なくとも原作を変えた人間の義務だろう。
 まあ、シャマルとシグナムは取り敢えず、彼らに任せるとして。
 最後に、結婚したい。
 最低でも、原作の名ありのキャラと結婚したい。原作メインなどと贅沢は言わないのでモブ以外でお願いします!

 と、そんなことを考えながら11年。

 エミヤズの本局襲撃事件による管理局の全時空平和委員会への改名。
 特定転生者への『フリーダム』の呼称と、対『フリーダム』対策本部と対抗部隊の設立。
 『スーパー・フリーダム』キラ・ヤマトの出現、そして原作開始時間に起きた「FZ事件」。

 今も多くの事件が起き、世界も平和とは言い難い。

 それでもマイヤー自身は、幾多の困難を経てオーリス・ゲイズとの結婚に漕ぎ着け、娘ロードと息子レナードを得たことで、間違いなく幸せを掴んだと断言できる。
 義父のレジアスも、最近は治安維持局のバランと孫自慢などをしており、原作のような焦燥感は一切ない。
 (キラは滅多にミッドチルダにこないので、クラナガンはかなり平和)

 ディアーチェ家もゲイズ家と結びつくことで、なんとかかつての名門としての矜持ぐらいは持てそうだ。

 シャマルは毎日つやつやして──ミストナムは反対にカラカラして──いるし、シグナムはカイト相手に毎日楽しそうに剣を振るっている。
 ザフィーラはいつの間にかにリインフォースⅠ(アインス)とよろしくやっているし、そのⅠ(アインス)も娘のⅡ(ツヴァイ)が生まれてより一層幸せそうだ。
 ヴィータも毎日マイヤーに文句を言いながらも、窓際部署の第7資料室で資料整理、偶に『フリーダム』の面々と戦うという、それなりに充実した日々を送っている。

 因みに、ヴォルケンリッターの面々は原作より2ランク前後実力が上がっている。
 これはマイヤーの魔力値の恩恵と、格上である『フリーダム』との戦いで必然的に原作以上の強さを身に付けざるを得なかったためだ。

「あー、さっさと『フリーダム』の連中は死んでくれんかなぁ~」

 子供たちを魔法学院に送った後、そうボヤきながらヴィータと一緒に出仕する。
 第7資料室、別名「緩慢なる拷問室」の名で恐れられる部署だが、それでも『フリーダム』の連中とやり合うよりはましだと思う。

 戦闘馬鹿のペンドラゴンやプリンス、カウリにルミカとは違うのだ。
 ウィンドに迅雷、エーリヒほどの使命感もないし、カーミィナルほど拝金主義者でもない。
 『フリーダム』に通用する程度に強くなった自分が恨めしい。
 テスタロッサ家の連中程度に抑えておけば、あの魔女に見込まれることも無かったんだがなぁ。

 はぁ、とため息をつき、ヴィータに辛気くせーデスと文句を言われる。

「平穏が欲しいなぁ」

 マイヤーは天を仰いだ。






 対『フリーダム』部隊

『夜天の王』マイヤー・ディアーチェ
・局員。隊長。主に『地上本部』で『フリーダム』の動向を監視。特定の面子にはヴォルケンを動員して対応。
『剛拳』ペンドラゴン
・嘱託。戦闘員。普段は本局で修業。基本的に他の面子が来るまでの足止めが役目。
『火葬』八神迅雷
・局員。戦闘員。事務も一通り熟すので普段は本局の忙しい部署の手伝い。本来は査監部の第5課課長。役目は止めの一撃、まだ誰も倒せていないが。
『山羊座』カウリ
・嘱託。戦闘員。普段は本局で瞑想。二強以外は互角以上に戦えるので出動回数最多。
『小天位』ルミカ・シェベル
・嘱託。戦闘員。普段は本局で修業。最年少。実はカウリをライバル視している。
『雷神』カーミィナル・ドーン
・嘱託。『フリーダム』の素質がある拝金主義者のため金銭で入局させた問題児。部隊最強だが滅多に動かない。
『エース・オブ・エース』エーリヒ・ヨアヒム・ルーデル
・局員。対キラ最終兵器。覚醒して対転生者戦最強格に。
『スーパー』プリンス・ツールフ
・局員。ツンデレ。孫悟欽をライバル視し、ストーカーのごとく付け狙っている。
『ニンジャマスター』ウィンド
・局員。NINJA。ガチテロリストのゼロの動きを封じるため単独行動中。












      ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆   ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆













「その世界にはキラ・ヤマト、いや『機動戦士ガンダムSEED』という作品は存在するのか?」

『いや、ないだろうね』

「……そうか」

 その転生者はそう呟き、ルールブックに目を向ける。

「……例えば、自分の事を誰も信じないというスキルはどういった形になる?」

『……よく意味が分からないが、-500Pといったところかな』

「それじゃあ、自分の言うことを誰も理解しないというものはどうだ?」

『……それも-500Pでいいかな』

 『神』の言葉に転生者は再びルールブックのページを捲る。

「オリジナル・デバイスは……一旦展開した後は状態の変化は無し、形状はバリアジャケットと一体型でZGMF-X20Aストライクフリーダムガンダムとほかの転生者が一目でわかる感じに、武装はMMI-GAU27D31mm近接防御機関砲以外を実装する形で」

『武装の威力と装甲は原型機にあわせるかね』

「その必要はない。あくまで形状のみでいい」

『なら100Pで、名前は』

「ストライクフリーダム」

 熟考する転生者のページを捲る指が止まる。

「コーディネイターの項目がないが?」

『1世代なら15P、2世代なら30P、ハーフで5P、スーパー・コーディネイターなら50Pにしよう』

 返答を聞き、再び指が動き出す。

「名前は……片仮名1文字3Pか、地味に高いな。容姿をキラ・ヤマトにするには?」

『ふむ、美形の特定キャラで……40P』

 その言葉に必要なスキルはもうないと判断したのか、ルールブックを閉じる。

「マルチタスクは最低でも14は欲しいが……ああ、問題ないか」

 そう独りごちるが、すぐ納得したように頷く。

「では、このスキルで転生をお願いする」

『……どうでもいいがね。君はなんの為に転生するのかね』

 これまで見たことのないスキル編成──今後も見ることもないそれ──に、『神』が尋ねる。

「決まっている」

 転生者はとびっきりの笑顔で答える。

「世界に、絶望を届けるためさ」

 こうして、最凶最悪の転生者が誕生した。















      ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆   ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆















 彼は目覚めると共に端末を操作しニュースを映す。

『昨夜未明、突如として第12管理世界フェディキアのStワレリー空港を超S級次元犯罪者キラ・ヤマトが襲撃しました。幸い、いつものように死者こそいませんが、負傷者は1000人を越えており、更に空港は完全に瓦礫の山と化しています』

 アナウンサーが悲愴な表情で事件を読み上げる。

 彼はそれを見て愉悦の笑みを浮かべる。

 彼がこの活動を初めて5年。

 もう、管理世界の住人の殆どは『キラ・ヤマト』という存在を知ったことだろう。

 彼の目的の大半は達成したと言える。

【キラ・ヤマトという最悪のクソの存在を未来永劫全次元世界の全人類に記憶させる】

 これが彼の転生した最大の理由だ。
 ただそれだけの為に第二の人生全てをなげうち、原典の『キラ・ヤマト』への底知れない悪意で行動している。

 人を殺さないのも、『死んでしまってはキラ・ヤマトの悪行を語れないじゃないか』とそれだけの理由で殺さないだけ。
 原典とかそういったものはまるで関係なく、純粋に直接殺したら勿体無いという理由なのだ。

「さて、今日はどこへ行こう?」

 『フェアリー・ガーデン』に提供された隠れ家のベランダから街並みを眺め、彼は呟く。

「……ああ、そうだ。ミッドチルダは最初に行ったきりだ。今日はそこにしよう」

 ふと、頭をよぎった他の転生者たちにより、第1管理世界ミッドチルダをここ数年訪れていないことを思い出す。

 こうやって、彼は散歩に赴くかの様に襲撃地点を決めるのだった。








《転生者一覧が更新されました》







【リーゼエルザ・グレアム】New! 

年齢:35歳(/100歳)New!

・出身:何らかの実験施設(-200P)New!
・総合SSランク魔導士(100P)New!
・マルチタスクLv100→5000(300P)[限界突破]New!
・攻撃魔法使用不可:→マルチタスク(-200P)New!
・運勢:豪運(100P)New!

現在地:次元空間・全時空平和委員会本局 New!






【リーゼマリナ・グレアム】New!

年齢:35歳(/100歳)New!

・出身:何らかの実験施設(-200P)New!
・Sランク結界魔導師(25P)New!
・マルチタスクLv25→1000(75P)[限界突破]New!
・真贋判定(100P)New!
・運勢:豪運(100P)New!

現在地:次元空間・全時空平和委員会本局 New!






【リーン】New!

年齢:──(/──)New!

【種族:神】[限界突破]New!
・SSSランク結界魔導師(150P)New!
・SSSSランク結界魔導師[限界突破]New!
・SSSSSランク結界魔導師[限界突破]New!
【無限結界師】[限界突破]New!
・出身:原作開始前時にはすでに死亡(-500P)New!
・スクライア一族に対する洗脳タイプの魔法無効化(200P)New!
・ユーノ・スクライアが不幸にならない(250P)New!
【世界結界:リーンの翼】[限界突破]New!

現在地:封印世界・楽園の星ヴァルハラ New!






 先の「フリーダム・ゾート事件」解決後、2日に一度の割合でリーゼフランさんが連絡してくるようになった。

 主に僕の『転生者一覧』がお目当てなのだろうけど。
 とはいえユージンさんがアリサに付きっきりなうえ、迅雷のオッサンも本局の方に戻ってしまったので、放課後の話し相手に飢えていた僕としても願ったり叶ったりするのだが。

 あまり都合が合わないらしく、中々全平和会所属の転生者と顔をあわせることはなかったが、それでも彼女の身内というべき2名の転生者と話すことができた。

 リーゼエルザ・グレアム無限書庫長とリーゼマリナ情報部長の2人だ。

 無限書庫長を務めているというリーゼエルザさんはボソボソと話すのが印象に残った。それに顔の筋肉が存在しているのか疑問に思うほど無表情で、話している間は口以外の動きは僕には見受けられなかった。

 情報部長のリーゼマリナさんは先の2人とは逆に常にニコニコしている人だ。ただ本当に笑っているわけでないというのは僕にも理解できる。

 彼女ら3人がギル・グレアム提督とどういう関係なのか気になったので聞いてみた。

『義父さ、ああギル・グレアム義父さまが我々を施設から救い出してくれたのだ。まあ、ほぼ覚醒直後だったので何がなんだか分からぬ間に義父と義姉たちに抱かれていたわけだがね』

 おそらく極東の手引きだろうが、とボソリと呟く。

 要するに義理の娘ということらしい。
 それにしては名前にリーゼが付くのは変に感じるのだが、顔に出ていたのだろう説明してくれた。
 簡単にいえば、使い魔二人も彼からすると娘のようなものらしい。

 このリーゼフランさんがとの会話にたまに出てくる極東という単語、気になって聞いたところ極東日昇(きょくとうひのぼり)という転生者ということだ。
 リーゼフランさんたちの出身地である施設に所属していた科学者で、彼女たちが同胞と気づいた後に、覚醒にあわせるように管理局に施設の情報を垂れ込んだということだ。

 一応、命の恩人なので彼女が珍しく頭の上がらない転生者らしい。
 最もその恩人はマッド・サイエンティストを自称し、組織の裏側で色々するのが大好きという変人らしい。現在は全平和会の暗部を切り盛りするのが楽しいらしい。
 正直、一生会いたくないような人間に思えるのだが、そうもいかないのが僕の運命のようだ。

 さて、僕の『転生者一覧』であるが、僕の生まれる以前に死んだ転生者については記載されていないらしい。

 どう考えても転生者しかありえないスクライアの始祖、リーン・スクライアの事が記載されていなかったからだ。
 この始祖さんが一覧に登録されたのは、リーゼフランさんとの会話の最中、一覧の名簿の中に始祖の名が無いことに疑問を覚えた彼女にそのことを聞かれた時だった。

 それを告げると、リーゼフランさんはそういう仕様か! と舌打ちし、次までに怪しい人物をリストアップしておくと言ってその日の会話はお開きとなった。
 通信を終える際に、まあ、アイツは間違いなくクロだろうがと言っていたのが気になった。





 個人的に中途半端なところでお開きとなった日の翌日、珍しく連続でリーゼフランさんからの通信が届いた。

『すまない、高町勇治。緊急事態でな、なにも言わずにこの映像を見てくれ』

 そう言って、僕が断る暇も与えず──断る筈もないのだが──通信が別の画面に切り替わる。

 その映像は戦場であった。

 それは、先日の転校生ズとの戦いが幼稚園の遊戯に思えるかのような次元の違う戦いの映像だった。

『つい先程、キラ・ヤマトのバカがクラナガンに襲撃をかけてきた。幸い、というには不足だがあそこはマイヤーが常駐している。運良くドーンの強欲野郎が動いてくれた、絶対倒せんがなんとか被害を抑えることはできそうだ……』

 珍しく焦りを見せるリーゼフランさんが僕に解説するように言葉を重ねる。

 僕はその言葉を殆ど聞き流しながら映像を見る。

 画面の中では、僕のよく知るヴォルケンリッターの面々が濁流に流される木の葉のように、圧倒的な暴力に晒されている。
 それを画面の端に、中央では金色に光る雷神が青と白の悪魔に一方的な戦いを挑んでいる。

 画面を埋め尽くすほどの雷光は、しかし悪魔に簡単に回避され、6門の砲から放たれる3色6条の光線は全て雷神を貫く。

 それを何度か繰り返し、しかし両者はともに無傷。
 画面端で8つの子機から放たれる光線を必死に回避しているヴォルケンリッターのほうがボロボロだ。

 そのヴォルケンリッターたちに指示を出しているらしい青年──どこかで見たことのあるバリアジャケットを着ている──が、必死に立ち回っているようだが今のところ有効な手は打てていない。





《転生者一覧が更新されました》





【マイヤー・ディアーチェ】New!

年齢:26歳(/100歳)New!

・運命:闇の書のプログラム正常化(50P)New!
・出身:没落した名家(-50P)New!
・総合AAAランク魔導師(25P)New!
・総合Sランク魔導師[限界突破]New!
・総合SSランク魔導師[限界突破]New!
・魔力値:SS→SSSS(50P)[限界突破]New!
・マルチタスクLv5→50(15P)[限界突破]New!
・デバイス:夜天の書のバックアップ(50P)New!
・運勢:悪い(-50P)New!
・恋愛:原作キャラ(10P)New!
【天眼:戦場を盤外から見るように把握できる】[限界突破]New!

現在地:第1管理世界ミッドチルダ New!





【カーミィナル・ドーン】New!

年齢:16歳(/50歳)New!

・出身:何らかの実験施設(-200P)New!
・SSSSSランク結界魔導師(450P)New!
・攻撃魔法不可:→悪魔の実(-600P)New!
・防御魔法不可:→SSSSSランク結界魔導師(-225P)New!
・悪魔の実:ゴロゴロの実(900P)New!
・貧乏Lv2(-100P)New!

現在地:第1管理世界ミッドチルダ New!





【キラ・ヤマト】New!

年齢:20歳(/100歳)New!

・総合SSSSSランク魔導師(900P)New!
・マルチタスクLv10→1000(30P)[限界突破]New!
・容姿:キラ・ヤマト(40P)New!
・デバイス:ストライクフリーダム(100P)New!
・誰も自分のことを信じない(-500P)New!
・誰も自分の言うことを理解しない(-500P)New!
・名前:キラヤマト(15P)New!
・コーディネイター(15P)New!
・スーパー・コーディネイター[限界突破]New!
【ハイパー・コーディネイター】[限界突破]New!
【グレート・コーディネイター】[限界突破]New!
【時間制御:棒立ち】[限界突破]New!
【運命制御:被弾しない】[限界突破]New!
【手加減:生きてないと僕の悪行を語れないだろう?】[限界突破]New!

現在地:第1管理世界ミッドチルダ New!






 ナンダコレ。

 圧倒的じゃないか。
 さっきから攻撃が当たらないのは【運命制御:被弾しない】で、逆に回避できないのは【時間制御:棒立ち】のせいか!
 というか、ハイパーとかグレートって何だ!
 何より、戦闘スキルを何も取ってないのに強すぎる!

 って、実は強い理由はなんとなくわかる。
 純粋に戦い方が上手い。

 偶に弾幕を掻い潜って、シグナムさんとヴィータさんが近接攻撃を仕掛けているが、恐らく渾身の一撃であろう二人のそれをビームサーベルっぽい武装で簡単に凌ぐ。
 直後に二人を巻き込むように放たれる雷光を、わざわざ当てないよう蹴り飛ばしたうえで余裕をもって回避している。

 反応速度と状況把握能力が恐ろしいレベルで高い。

 しかし、このカーミィナルってのもかなりやばいな。
 今、躊躇なく二人を巻き込もうとした。何となく、先の転校生ズと同じ臭いを感じる。

 と、キラがあさっての方角を見る。
 その隙は逃さんとばかりに、カーミィナルが雷光を放つがそれが当たることはない。

 キラの見た方角から何かが来るようだ。

『……間に合ったか?』

 と、リーゼフランさんが呟く。

 何やら切り札を切ったようだ。

 キラが考え込んでいる。
 その間も、子機(多分ドラグーン)による攻撃は続き、ヴォルケンリッターとその主っぽい人は逃げ回り、カーミィナルってのは続けざまに攻撃を仕掛けるが尽く回避されている。

 と、どうやら考えがまとまった模様。
 キラは肩を竦めて、魔方陣を展開した。

『逃げる……いや、引いてくれるか』

 リーゼフランさんの言うように転移魔法陣だ。
 しかし早いな。
 電撃による攻撃を避けながら一瞬で展開し、同じように一瞬でそれを発動させたぞ。

『エーリヒ、キラは撤退した。特命は解除、通常任務に戻れ』

『jawohl!』

 彼女のそんなやりとりが聞こえる中、画面の方ではカーミィナルが不満そうな顔でキラの消えた場所を睨んでいる。
 どうも、初対戦っぽい。
 反対に、夜天の主っぽいマイヤーって人はホッとしたような顔で、シャマルさんと一緒に他の面子の治療をしている。
 こちらは何度かやりあっているようだ。
 不満そうな顔──といっても不満なのは自身の実力不足についてのようだが──でシグナムさんとヴィータさんが、ザフィーラさんに何やら語っている。
 よくよく見れば、リインフォースさんがいるな。
 僕には予想もつかんが、闇の書のバグをどうにかしたんだろう。

『結果としては、想定した中で二番目に良い。マイヤーが粘ってくれたおかげで一般市民の被害や施設の損害は無し、初動が間に合えばキラも何とかできるという実績はあげた。問題は、その初動がミッド以外ではどうにもならんことだが……あと、欲をいえばドーンのバカが相打ち気味に手傷を負わせて死んでくれれば言うことはなかったのに……』

 取り敢えず、聞こえてくる彼女の呟きは無視することにしよう。

 しかし、先の事件で覚悟を決めてはいたが、僕の想像以上に管理世界は混沌としているようだ。
 恐ろしいが、今後の予定の変更はしない。
 これだけ状況が混沌としていると、原作崩壊とかの次元ではなく、明日が平和である保証もない。
 他の実力がある転生者とつるむのが正しいだろう。

 しかし、それでも。

 僕は、この先生きのこれることができるのだろうか?



前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.025532007217407