世界線0.091015→x.091015―――――――――ノイズ ――――? ――?―ここは? ―――――なんだっけ? ―わたし? ―――・・・・まどか? ―――そうだ ――わたしは ―――? ―――あれ? ―――こんなにちかくに? ――手を ―――まどか? ――――つたえなきゃ ―――? ―――――――なにを?「ほむらちゃん?」―――――まどか ―――こんどこそ・・・・・・・? ―――なに?――――ノイズ ――――わたしは たしか? ―警告 ―――まどかに ――?――――魔女になんかさせない ―――魔女? ―魔法 キュウべえ 時間 ―――? ―――――なんだっけ? ――――わたしー?「大丈夫?気分悪くなっちゃった?すぐ保健室に案内するからね。」『わたしの手を引いて前を歩いていた』まどかが焦った声をだしている。――――――――あれ? 前を歩いていたのは――――わたしじゃ? ―あれ?「・・・・・まどか?」「なに、ほむらちゃん?あ、歩くのはやかった?ごめんね、すこし休もうか?」「ううん、大丈夫だよ。・・・・・・・?」まどかに心配させたくない。まどかにはいつも笑っていてほしい。まどかの笑顔を無くさせない。そのためにわたしは――――。・・・・・・・・・あれ?(わたし・・・今日転校してきたのに、鹿目さん―まどか――――のことを知っている?なんか記憶が?)「――――?―――??」「そう?よかったー、あ、今まどかって呼んでくれたね。―――――改めて、これからよろしくね ほむらちゃん。」「う、うん。こちらこそよろしくおねがいします、かな・・・・・・・・ま、まどか?」「うん!じゃあ行こうほむらちゃん、保健室まですぐそこだよ。」「・・・・・ありがとう、まどか」「いいよいいよ、『さっき』も言ったけど何かあったらすぐにいってね?『私は、ほむらちゃんをたすける』よ」まどかがほむらの手を引いて保健室に歩きだす。暁美ほむらは疑問に思う。まどかが手を引いて笑顔を向けてくれる。この学校で初めて友達ができた。嬉しい。まどかが、わたしの手を引いてくれる。嬉しい。まどかが、わたしに笑顔を向けてくれる。嬉しい。まどかが、わたしの友達に『また』なってくれた。嬉しい。 ―――?嬉しい。当たり前だ。今までわたしの世界は病室だったんだ。初めて中学校に来て、困惑していたわたしを助けてくれたやさしい彼女が友達になってくれたんだ。嬉しいにきまっている。感動だ。きっとトロくさくて、勉強も運動も、はやりの服も、今時の遊び方も知らないわたしに友達なんてできないかもって思っていたのに、鹿目さん・・・まどかが友達になってくれた――なのに――――なのになんで? なんでわたしは―――――――――――――――――――――――――こんなにも泣いているんだろう?ぽろぽろ と大粒の涙が次から次に溢れてくる。―――でも、なぜ涙がとまらないのか―――なんとなくわかったとまらない。涙はとまらない。でも決してこの涙は不快じゃない。とまらない。涙はとまらない。でも解るこの涙は不安からくるものじゃない。とまらない。涙はとまらない。だって感じるのだ、――――この涙は「わわわ?ど、どうしたのほむらちゃん?やっぱりどこか体調が――――?」「―――ッぐす、…だ、だいじょ・・ッく・・・大丈夫だよ・・・・ッ・・・・ひっく・・・・うぅ・・・・・」右手から伝わる、自分以外のあたたかい感触が、まどかだから。彼女とは今日初めて出会ったはずなのに――――――彼女、鹿目まどか。右手から伝わる先にまどかがいる。まどかとこうしていられる。それがどうしようもなく愛おしくて、この瞬間のために自分は頑張ってきたと、この瞬間を自分は望んできたと、この瞬間が自分の祈りだと――― 漠然とだが、感じた。―――だから「・・・・ひっく・・・・・・・うっく・・・・ぐす・・まどか・・・・まどかぁーーーーーーーー」涙はとまらない。湧き上がる感情に抗えない。抗う気すら起きない。ほむらは流れ続ける涙を拭うこともせず目の前の少女、まどかの胸に飛び込む。「にゃ?――――とと、・・・・・・・・・・・えっと、・・・・うん、大丈夫。大丈夫だよ、ほむらちゃん。・・・ここにいるよ」自分の胸に飛び込んできた少女をまどかは倒れそうになりながらもなんとか耐え、抱きしめる。「よしよし、ほむらちゃん、今はい~~~~~っぱい泣いていいからね。」まどかには何故ほむらが泣いてるのか解らない、でも――――今なお、泣き続ける女の子の髪を撫でながら、まどかはやさしく、でも決して離れることがないように抱きしめ続けた。世界線x.091015「転校生大丈夫?無理しすぎだって。」「・・・・ぜえ・・・ぜえ・・・ッ、ごめんなさい、何故か・・・いける気がして」「暁美さん心臓の病気でしたっけ?なのにいきなり全力疾走は・・・・」「・・・・・ぜえ・・・うく・・・・、べ・・・別の授業の・・・・・ぜえ・・はぁ・・時みたいに・・こうすればできるって気が・・・・・・・・うう」「そういえばほむらちゃん、最初は解らなさそうだったのに、次の瞬間答えわかったようにスラスラ解け始めたよね?」「う、うん。こうすれば・・・正解かもって、・・・何故か思って書いたら正解だったから、・・・・体育も同じようにすれば大丈夫かなって・・・・」ほむらは今木影でのびている。心臓の手術が成功し、病気も治ったとはいえ、その身は長い病院暮らしで「もやしっこ」だ。急な運動に耐えられるわけがない。ほむらもそれは解っているが何故かいけると思ってしまった。―――――友達ができて浮かれすぎていたのかな?まどか、さやか、仁美に囲まれながら思う。大泣きしてから教室に戻るとクラスの皆が駆け寄ってきた。この学校はガラス張りの教室のため、双眼鏡であたりを探索(何故か双眼鏡を持っていた そしてパンツを探索)していた皆から「教授」と呼ばれている生徒が渡り廊下でまどかに泣きついているわたしを見つけ皆に知らせたらしい。その際「ホントはすぐに駆けつけるつもりだったんだよ、でも」「うん、まあなんか、ねえ?」「あの距離で謎の固有結界が――な」「あそこに突入は無理だろ常考」「だから空気よんでみんなで静観することにしました」「みんなで静観」とのこと。そのあと恥ずかしさのあまりにパニックになったりもしたが、まどかからのフォローもありなんとか落ち着いた。ほむらが無謀に挑戦した原因はそのあとからの授業からだ。「では、この問題を暁美さん。」「は、はい。」(どうしよう。全然わからないよ)ボードの前まできたほむらは問題の答えが解らない。せっかくまどかや皆と仲良くなれたのに恥ずかしい。そう思ったほむらの脳裏に映像が浮かぶ。(あ・・・・あれ?これかな?)「・・・・ん、正解です。席に戻っていいですよ。」「・・・・・え?あ・・・いえ、わかりました。」授業が終わりさやかが話しかける。「転校生さっきの問題解ったんだ、ねね、あたしにも教えてよ」「えと、ごめんなさい美樹さん。わたしにもよくわからなくて。」「へ?どういうこと?」「なんかデジャブ?答えの書かれた画面が見えたって、今ほむらちゃんとその話してたの。」「なにその特殊能力!あたしもほしい。」というやりとりがあって、それ以外の時間でも似たようなことがあった。そして体育の時間。(こうやって走れば体に負担も少なく早く走れる。・・・・うん、やってみよう)結果「うう、気持ち悪い。」「・・・・はぁ、ほら転校生こっちおいで。」そう言ってほむらのそばによって膝枕をするさやか。「はい暁美さんこれタオル濡らしてきましたから使ってください。」「あ・・・・ありがとう、美樹さん、志筑さん。」「気にしない気にしない。」「そうですわ、でも無理はもうダメですよ」「そうだよほむらちゃん、急に倒れた時はホントにビックリしたんだから。」ほむらの髪を撫でながらまどかは皆が心配してたことを伝える。「うん、・・・・・・・ごめんね、まどか」注意されているのに髪を撫でられる感触が気持ちよくてついつい頬が緩む。(みんなやさしいな、こんな時間がずっと続いてほしいな)願う 祈る 望む 心から(他の何もいらない、だから、わたしからこの時間を奪わないで)昼休み教室岡部はまどかからほむらを紹介された。――――だが。「・・・・・・・・・・・・君は誰だ?」「え?ぁ・・・あの・・・・・・あ・・・・暁美・・ほむらです。」「今紹介したばっかじゃん岡―――」「――?貴様があの『ほむほむ』だと!?」「ほむ!?」「鳳凰院先生相変わらず飛ばし――――」「わあ!それいい響きだよオカリン!」「「「!?」」」まどかの言葉に三人が驚愕する。「ほむほむちゃん♪」「ま、まどか?それは・・・それだけは・・・・でも・・・・・・うう、・・・・まどかが・・・そういうなら・・・」「だめです暁美さん。」「そうだぞ転校生。ここで折れたら未来永劫『ほむほむ』だぞ?」「人生で一番輝く場面で『ほむほむ』ですよ?」『ほむほむちゃん』 『大丈夫だよほむほむちゃん』 『ほむほむちゃんは最高の友達だよ』「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ギリで・・・・・いや・・・・・・・・・・・・意外と?」「ほむほむちゃん♪」「うん、まど――――」ほむらが今後の人生のターニングポイントを決定しようとしたとき「そんなことはどうでもいい!!」岡部の怒気―――――普段の彼からは想像もできない焦りと戸惑った。これまで聞いたことの無い声に、ほむらはもちろん、さやかや仁美、まどかさえも体を硬直させた。「暁美ほむら、俺の質問にこた――――「オ、――――オカリン!!」――――――――――――――ッ!」岡部の台詞をまどかの、涙交じりの叫びが遮る。――――ギリッ拳を握り、唇を噛みしめ耐える。落ち着け。冷静になれと自分に言い聞かせる。まだ確かめる事がある。「・・・すまない。怖がらせてしまったな、謝罪する。だが暁美ほむら、君に質問がある。正直に答えてほしい。」「あ・・・あのねオカ―――」「すまないが少し黙っていてくれまどか、すぐにすむ。・・・・・・いいか?」まどかの問いかけを遮りほむらに確認をとる岡部。固まるまどか。その様子に息をのむさやか達と他のクラスメイト。ビクビクしながらも頷くほむら。「・・・・は・・・・・はい」「・・・・・・・すまない、本当に怖がらせるつもりはなかったんだ。この質問もちょっとした確認だ、質問の意味が理解できなければそれでいい。・・・・・もし思い当たることがあれば俺はそれらの『関係者』だと理解してほしい。君の答えがどうあれ俺は君に危害を与えるつもりはない。・・・・・・・・・質問だ。君は『何度繰り返した?今回が初めてか?』。」岡部の質問に少し悩み顔をしたほむらは怯えながら首を振る。「あの、ご・・・・ごめんなさい、なんのことか・・・・わたし、わからないです。」「・・・・・そうか、・・・・・・突然こんなことを聞いて悪かった。・・・君が俺の『知っている』少女かと思ってな。・・・俺はこれで失礼する。・・・・・・・・・ああ、そうだ、暁美ほむらよ。」「はい!ななななんでしょうか?」教室から出でいこうとした岡部が振り返り声を掛ける。「まどかと、まどか達と仲良くな。君は何も心配することは無い、『あとのことはまかせろ』。彼女達は知ってのとおり良い子だ。」その声にさっきまで感じていた恐怖は消えた、そしてその声はほむらを不思議と安心させる効果があった。「まあ、さっきまで怯えさせた俺が言っても微妙だがな」「い、いえ、そんなことないです。」あわててお辞儀するほむらを、「ふっ」と、やさしく微笑みながら再び教室の外に向かう岡部。そのやさしい顔を何故かほむらには寂しげに見えた。―――――そして彼女にも「ねえ、オカリン。」岡部の白衣の裾をちょん、と掴み顔を伏せながら岡部を引きとめる。―――――――なにかあったの?・・・・ポンッ「・・・・・・・そうだ!まどか、おまえにも聞きたいことがある、というかこの場にいる全員にな。」まどかのやわらかい髪をワシャワシャと撫でながら岡部は出来るだけ不自然にならないよう意識しながら声をかける。その声に今まで聞き耳を立てていた生徒も岡部に注目する。「なに?なにオカリン、私なんでも答えるよ?」「ありがとな、まどか。」まどかは伏せていた顔を上げ岡部に詰め寄る。両手で岡部の胸元を掴み見上げる彼女は、どこか子犬が必死に親に縋りついているように見えた。親に甘えるように、そして子供ながら親を守るように、安心させるように。(・・・・・・心配をかけさせたな、相変わらずこういうときはどの世界でも鋭いな。)やさしい気持ちが生まれる。岡部はそんなまどかを抱きしめるように、今度はやさしく両手で髪を撫でていく。その感触に安心したようにまどかは微笑む。「それで?なに?なにオカリン?」「・・・・・・・・むっ」「「ほッ」」両手を背中にまわしはやくはやく と、まどかがせかす。険悪なムードから脱したと安堵するさやかと仁美、まどかを盗られた気がしてなんかむくれるほむら、―――ガッテムと唸るクラスメイト。「なに、この中に――――――グリーフシードを知っている奴はいるか?」瞬間――ザッ!と視線をはしらせる。(とくに怪しい奴はいないな・・・・・・ほむらもまどかもシロか。)以前まどかには探りをいれたが念のための確認だ。彼女はまだ魔法少女では無い。ほむらも、さやかも何のことか解らないようだ。「どうやらいないようだな。ではまた明日だ。」まどかと岡部は最後にお互いをギュウゥ~~~~ッと抱きしめ離れる。そして岡部は右手をまっすぐ向け、左手の人差し指を額に付けポーズをきめる。「エル」『『『『『『プサイ』』』』』 ほむら除く生徒一同「え?え?」『『『『『『コングルゥ』』』』』』 岡部 ほむら除く生徒一同「な、なんなのーー?」戸惑うほむら、当たり前だ。彼女はまだ転校初日で岡部の授業を受けたことが無い。「フゥーーーーハハハハハハハ。今まで病院でパソコンしか相手がいなかったお前にこの鳳凰院凶真がチャンスを与えよう。我が言葉に続くがよい。―――――いくぞ!」「――え?―――え?」あまりにも突然の振りに戸惑うほむら。「がんばってほむらちゃん!」「転校生、あんたならできる!」「暁美さんファイトですわ!」『『『『『ガンバ』』』』』そこにまどかの応援、それにクラスメイト達からの声援に応えるため決意をかためる。「ど、どうぞ!」そして―「ぬるぽ!」「がっ!」『『『『『『・・・・・・・・・・・』』』』』』―――――病院生活の彼女は@ちゃんねらーだった。必死に言い訳をしている彼女を放置し教室をでる岡部は気づかなかった。今までの会話を聞き、今岡部の背後から近づいてくるどこか浮世離れした女子生徒がいることに。情報を整理する岡部は気づいていなかった。