世界線 x.091015私、巴マミは「・・・・やっと、・・・やっと会えた。」中学三年生で、魔法少女で、「俺は―、・・・・君をずっと探していた。最近胸の大きさに悩んでいて「―――――――てほしくて」今年上の男性から、「でも―――――――あって、何故か――――――で、」学校の有名な臨時講師から「だけどこうやって・・・・ッ。君に――――」今まさに全ての問題、障害を突破してきたような真剣な顔で「巴マミ」「は、はい?」私の目をまっすぐ見詰めながら「―――――――――――俺と一緒にいてほしい。」友達とか告白をとばして生まれて初めて求愛されました。数時間前 見滝原中学校玄関付近――――――――ヤンデレ魔法少女とエンカウント。・・・・・・・・最初から話そう。教頭先生との会話(未来ガジェット創作での注意・保護者からの苦情等の報告)を終え、今日の授業を全て消化した俺は暁美ほむらが転校してくる前に他の魔法少女とのコンタクトを果たすために三年生のいる教室に足をむけた。目的の人物の名は「巴マミ」。金髪縦ロールの、おそらくこの世界線でもすでに魔法少女として活動しているであろう少女。「休み?」「はい、巴さん今日は風邪でお休みって朝担任が言ってました。」―――風邪で休み。魔法少女は普通の人間よりもずっと丈夫だ。風邪などそうそう罹らんし、変身すればすぐに完治するだろう。優等生である彼女がズル休みをするとは思えないし、おそらく魔女関係だろうか?「・・・・・ふむ。食事中邪魔したな。ありがとう。」「いいえ~。」「っていうか巴さんに何の用なの鳳凰院先生?」「あ、気になる!なになに、何かやらかしたの?」巴マミの所在を教室でお昼の弁当をつついていた女子グループに聞いたところ、彼女は休みとの情報はつかんだ。が、いかんせん。彼女は有名だ。成績優秀、スポーツ万能、容姿も良く、物腰柔らか、面倒見もいい性格。ようするに人気があるのだ。そして会話が聴こえたのだろう。教室に残っていた生徒もこちらに集まってきて次々に言葉を発する。「何々?巴さんがどうしたって?」「なんか鳳凰院先生がマミさんに会いにきたって。」「・・・・・逢引?」「告白か!?」「許さない、絶対にだ」「あれじゃね?先週のー」「―――ああ、未来ガジェット?」「すごかったよね~、私感動したし」「ウチワと小型扇風機で何故か壁が――――」「射線上に人、いなくてよかったよね」「自動であおいでくれるってコンセプトがな」「あの時のマミさん可愛かった」「目が点だったね」「ラブ」「ああ、ラブ」「ラブだね」[Yes we love]気づけば教室でいかにマミが可愛かったかの討論が始まっている。彼女は皆から愛されていると実感する。このことを伝えたらきっと顔を真っ赤に恥じらうだろう。――――――すぐにでも伝えたい。「君は愛されているな」。と、やさしい彼女につたえたい。「・・・・・まったく、相変わらずだな。」何度も繰り返してきたこの[世界]で、もっとも仲良くなりたい人物。彼女はベテランの魔法少女であり、なにかと融通もきく、彼女はやさしく頼りになる、岡部は何度もそのやさしさに助けてもらった。だから彼女に頼ってしまう。年下の少女に頼りすぎの気もするが最早なんのそれ。それに岡部は知っている。彼女の脆さを。彼女はかっこづけで、見栄っ張りで、厨二病で、――――とても、さみしがりやだった。巴マミは、皆の前では明るく面倒身がよく頭もいい優等生としてすごし、生徒からはもちろん、生徒の模範というべき存在として教師からも評価は高い。彼女に告白する生徒も数多くいる。そして、外では人知れず人外の魔女と戦い平和を守っている。きっと必殺技を叫ぶ彼女に危機を救ってもらった人がこの町にはたくさんいるだろう。戦う彼女の姿は美しく、彼女に憧れる人間はどれだけいるのだろうか?そしてどれだけの人が彼女のことを知っているのだろうか?彼女は一人暮らし。両親は事故により他界している。彼女の面倒見のいいところや、魔女との戦いは彼女の性格や、戦いの「恩恵」にもよるが、そこには寂しさの裏返しもある。彼女は寂しいのだ。一人は怖い。孤独は嫌。―――――ゆえに彼女は人の世話をやく。頼りにされたくて、寂しくないように。聡明な彼女は気づいている。自分が寂しがり屋のことをそして自分には勇気がないと、臆病者だと、一人ぼっちだと塞ぎこむ。岡部も最初のころは気づかなかった。彼女はいつも明るく、余裕をもって、皆を安心させるように笑っていたから。でも何度も彼女と関わるたびに、何度も繰り返すたびに気づいた。彼女は自分で思っているより何倍も寂しがり屋だ。すこし突き放すとすぐに不安になる、気づいていないのか若干涙目だ。よくバイト戦士とからかった。――――そんな彼女を、すごく愛おしいと思う。寂しがり屋のくせに、臆病者のくせに、誰かのために戦う彼女を―――。彼女は守りたい人で、自分は彼女に守られていた。彼女は助けたい人で、自分は彼女を助けきれなかった。――――――――――会いに行こう。巴マミに。相変わらず自分は彼女に頼りたいらしい、そして頼りにされたいらしい。君にいてほしいと伝えたいらしい。(やれやれ、中学生相手にまるで惚れこんでるみたいだな。)・・・・・・・あくまでも仲間として、友人としてだ。しかし目の前で彼女の話題で盛り上がるクラスメイトを見ているとなんか悔しい。彼女はラボメン(まだ予定だが)、魔法少女のことも含め自分の方が彼女を知っている。なのに「超電磁鈴蘭なんたら」なる未来ガジェットの記憶を持たない自分は会話に参加できない。――――ゆえに。「諸君。俺はこれで失礼する。――――エル」『『『『『――プサイ――』』』』』『『『『『『―――コングル―――』』』』』』――――彼女に、巴マミに会いにいくため教室をあとにする。巴マミはおそらく登校中に魔女の気配でも感じて街中をうろついているのだろう。ならば適当にうろついてれば彼女には会える。仮に会えなくても時間になれば彼女の住むアパートにいけばいい。不審がられるとおもうが魔法少女関連といえばなんとかなるだろう。(とにかく一つでもグリーフシードを分けてもらわねば)先ほどの騒動で忘れかけたが当初の目的を再確認。グリーフシード。魔女が孕んでいる黒い宝石状の物質。魔法少女は魔法を使用するとソウルジェム、各魔法少女がもつ魔法少女の証にして魔法の源。これは魔法を使用すると(宝石状のソウルジェム内に)穢れがたまる。穢れがたまるほど魔法の効率がわるくなる。グリーフシードはソウルジェムに溜まった穢れをこれに移し替えることで、再び魔法を使えるようになる。岡部が求めているのはこれだ。ソウルジェムを持たない岡部には必要ないと、魔法少女以外には無用の長物と思われるが岡部には必要だ。他の魔法少女への交渉用――――では無く。戦うために。(しばらくは他の世界線での経験上必要ないと思うが、同じ世界線でない以上油断は禁物だ。あるにこしたことはないだろう。)まずは学校からでるため玄関に向かう。そこで「・・・・ん?そこの生徒、授業はそろそろ始まるぞ。」玄関に向かう途中に女子生徒を見かけ岡部は臨時(バイト)とはいえ一応教師として声をかける。岡部の声に背をむけていた女子生徒は振り返る。左側につけたヘアピン。裾から覗くシャツ、リストバンド、靴下はみな左右バラバラ。(・・・・・・・なんか不吉な予感が)それらは決してだらしのない印象ではなく。(・・・うん。逃げよう。俺の会いたい魔法少女は巴マミ。マミマミだ)黒髪の―――どこか浮世離れした、美少女といってもいい彼女には似合っていた。「?・・・・・・・・ああ、なんだオカリン先生じゃないか。私はこれから緒莉子に会いに―――って、なんで急に逃げるんだい?―――――――ッと、捕まえた。さあ正当な理由を述べよ。でないと私は腐って拗ねて織莉子にいいつける――――」「うお、わ、わか、わかった。わかったから離れろ抱きつくな。あの距離を一瞬でつめるな哀戦士。」彼女、「哀戦士・呉(くれ)キリカ」が振り向く直前には来た道を全力で逆走しはじめた(この時点で7メートルはあった)が、岡部が逆走していることに気づくと2秒もかからずに岡部の背後まで追いつき背中から彼を逃がさないように飛びついてきた。その際、岡部の背中にはやわらかい感触があったのだが、彼にはその感触に浸る時間も気づく余裕もなかった。(しまった。この学校にはこいつが――、)呉キリカ。見滝原中学にいるもう一人の魔法少女。彼女の戦闘能力は高い。魔法で創った足まで届く鋭い三本の爪。その一振りは並みの魔女なら一撃。元からの身体能力による素早さ、さらに相手の時間を遅滞させる独自の魔法。一対一の戦闘で彼女に勝つのは難しいだろう。パートナーの魔法少女と組まれたら勝算の――――。「愛戦士。なんて嬉しい言葉だ。」自分にしがみ付く少女。味方ならどんなに頼もしいだろうか。だが簡単にはそうはいかない。数多の世界線で岡部は何度も彼女に殺されかけている。油断はできない。「・・・哀戦士?」「うむ、愛戦士だオカリン先生」彼女はパートナーの少女を狂的なまでに溺愛している。彼女の障害になるものには一切の遠慮、加減、容赦をしない。彼女のためなら同じ魔法少女でも殺す。「愛」について独自の考えをもっていて「愛は無限に、有限だ。」を合言葉に呉キリカとの会話にはいつ戦闘に発展するかわからないので注意が必要だ。(今戦いになれば何もできんぞ、―――――しかし何だ?これまでの世界線と様子が?)「哀戦士よ、すこしいいか?」「ん?なんだオカリン先生、・・・・ああなるほど、前からがいいのだな。心得た。君は大胆だな」「ええい違うは馬鹿者め。」いそいそと岡部の正面に回り込むキリカを岡部は引き剥がす。(なんでこんなになれなれしいんだ?オカリンとか呼んでるし、)あまりにも自然にくっ付いてくる。ようやくこの「魔法のある世界」に「元の世界」、この世界に因果の無い自分にもようやく因果というものが定着してきたと、時間の繰り返しの中べ漠然と感じてきたというのに、それが妙な方向に向かっているような気がする。「なんだ、つれないではないか。私とオカリン先生の仲ではないか。」「どんな仲だ。それに俺はオカリンではない、鳳凰院凶―――「あの愛らしい生徒が『オカリン』と呼んでいるではないか。」「・・・・・・・まどか、か。はあー」この世界線の幼馴染は―――――「ふう」。岡部はため息をつき冷静になる。どうやらこの世界線の彼女とは「まだ」敵対関係にはないらしい。それでも油断はできない。どこか壊れている哀戦士はパートナーの彼女のためなら顔見知りでも殺す。殺せるのだ。いつかの世界線で彼女は学校の皆を巻き込んだ殺戮を行ったこともある。そう簡単に安心はできない。「まあいい、授業のにはなるべくちゃんと出ろよ哀戦士、留年するぞ」「それは困る。緒莉子と同じ高校に通いたい。」「ならば少しは勉学に励むことだ。俺はもう講義がないのでな、これで失礼させてもらうぞ」もう少し彼女との会話で情報を集めたいがグリーフシードが無くては何かあった時に対応できない。ゆえに当初の目的、巴マミの探索にうつるべく会話をきる。―――それに。「むう、もう少し会話のキャッチボールをしようよ、私は織莉子以外にあまり話し相手がいないのだ~よ」「口調が変だぞ哀戦士。すまんが急ぎの用件があってな、また今度だ。」「・・・・わかった。また今度、その時は『また』―――――彼女、呉キリカも、パートナーの「美国織莉子」も本来はやさしい少女だ。ほとんど殺しあいの敵対者でしかなかったが、彼女達と協力した世界線もたしかにあったのだ。ならばきっと彼女たちとも(彼女達と解りあえると信じて――――――信じて。岡部は世界に――――裏切られる「あの夜のようにお互いの愛を語り合おうオカリン先生。」「ぴょッ?」世界が凍った。世界は凍った。岡部は気づいてなかったが二人のやりとりを眺めていた者は以外といた(岡部は何かと有名人だ)。聞き耳をたてていた生徒は固まり、近くを通りかかった職員は運んでいた教材を落とし、鐘が鳴る前に教室に戻ろうと走っていた生徒はそのまま壁に突っ込んだ。――――――岡部は思考が固まり社会性を落とし、今後の生活のための壁にぶつかった。「うん。私の『愛は無限に有限』にという考え方は変わらないが、オカリン先生のいった愛の考え方には少なからず感銘をうけた。まさか私が愛について織莉子以外の他人とここまで話するとは――――――その台詞に周りは状況を理解。(((((((―――ああなんだ、いつものか、ああびっくりした。いやホントびっくりした!)))))))岡部の女性関係の誤解は彼の臨時講師のバイト開始のころからあとがたたない。よくも悪くも彼は有名人で何かと噂がたつ。いつもの厨二病の台詞も奇跡的のタイミングで生徒と職員の心をうち、勘違いさせてしまう。だから今回も「それ」だろうと考えそれぞれの向かうべき場所に向かう。そして岡部は――――「うんうん、時に愛は弱く、儚く、一時の幻のような存在かもしれない。だが確かに――――――ん?おーーーーい、オカリン先生どこにいくのだ。まだ話は――――――」今度こそ運命石の扉{シュタインズ・ゲート}に辿りつくために―――――――――逃げた。そおして、夕日が沈みかけた誰もいない公園で岡部は「まどか」から届いていたメールを読み終えて時間を確認する。16;45メールの内容は『なんかお昼頃オカリン関係の騒ぎで職員会議寸前だったみたいだけど「いつもの」誤解で解けたみたいだから怖がらずに早くラボに帰っておいで~~~~♪』このメールに気づくまで岡部は走り続けていた。自分の明日からの社会的状況と後ろから「愛について」だの「織莉子に」だのと聴こえてくるキリカの追跡から逃げ切るためひたすら走り続けた。気づけば16;45.学校を出たのがお昼頃だとすれば実に3時間近く走っている。「・・・・・時間の進み方がおかしい。・・・なぜ俺は一人でこんな時間まで全力マラソンを」キリカからの追跡を奇跡的に振り切り、まどかのメールから「いつもの」の単語が気になるが我が身の明日は刑務所ではないらしく、また3時間あまりの運動も可能と理解できた。だが――「・・・・・結局マミには会えず足はパンパン、たった一つの出来事でビクビクするとは――。情けないな俺は」『帰りは遅くなるから今日は家に戻れ』と簡単なメールをまどかに送信し、公園のベンチに横になる。(今日は無駄に、・・・いや一応有意義に?疲れたな)体力の限界か、慣れないことでの心労か、岡部は落ちてくるまぶたに抗うことができなっかた。そして、岡部が寝息をつき始めた時、公園に彼女が現れた。「あら、鳳凰院先生?」魔女探索を終えてこれから帰宅しようと公園を通りかかった「巴マミ」は、学校で話題沸騰の臨時講師をみつけた。――――?どうしてこんな所で?まだ本格的に寒いというわけではないがこの時間帯は肌寒い。こんな所で寝ていては風邪をひいてしまう。「えと、先生起きて・・・起きてください。風邪を引きますよ。鳳凰院先生」ゆさゆさと体を揺らすと岡部は身を震わせゆっくりと体を起こす。まだ寝ぼけているのか視線が危うい。「あ、あの、大丈夫で―――――「・・・・やっと、・・・やっと会えた。」「え?」マミの言葉を目の前の青年の言葉が遮る。「俺は―、・・・・君をずっと探していた。」まだどこか眠たげな視線だったが、途切れ途切れの言葉だったが、私、巴マミは「―――――――てほしくて」そこには確かな意思と「でも―――――――あって、何故か――――――で、」今まさに全ての問題、障害を突破してきたような真剣な顔と「だけどこうやって・・・・ッ。君に――――」やさしい笑顔で「巴マミ」「は、はい?」私の目をまっすぐ見詰めながら「―――――――――――俺と一緒にいてほしい。」友達とか告白をとばして生まれて初めて求愛されました。そして――――「・・・ふ?ふにゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~う!!?」ボシュウッ、顔どころか体中を真っ赤にして公園の真ん中で、いままで出したことのない奇声を大声で発していた。「・・・・・・・はッ!?」「ん?どうしたまどか」「なんかオカリンがかつてない程の勘違いをさせているような?」「・・・・・・あーうん。またかい、岡部の奴、次から次えと飽きもせず」「まあキョ―マ君には自覚がないんでしょうけどね」「・・・立ち悪いよな、相変わらず。しかし相変わらず感度いいな岡部レーダー。」「幼馴染だもん。・・・・大丈夫かな~オカリン?」