世界は収束するどれだけ足掻いても抵抗しても繰り返しても結果は変わらない変えきれない世界は矛盾を許さず、そして許容するその過程に意味は無く後に残るのは結果のみそこに『 』は既に無く『 』以外に何も無いそれは変えようもない現実で予め定められた事象であり世界にとっての決定事項人はそれを運命という運命というのは確かにある世界の意思。自然の摂理。そう言い換えることのできる、人では抗えない絶対的な力が―――幸か不幸か確かにそれは存在している世界線x.091015夕日が沈み始めた公園にエンジン音岡部達の前にタクシーが停まる「私はもう行くぞ」「うむ、いろいろ助かったぞシャイニング「ユウリだ」―――ユウリ」公園の入口に人影いつもの白衣姿ではなく長袖の白いワイシャツの岡部倫太郎、制服姿の鹿目まどかと暁美ほむら、制服の上からぶかぶかのジャージを着せられた美樹さやか、そして私服姿に戻ったユウリあれから―――結界から脱出してから―――すでに一時間が過ぎていた今岡部達は近場の公園にいる「着替えから何まですまんな」「別にお前のためじゃない、ユウリの知り合いだからだ」「・・・・・それはどんなツンデレなのだ?」「ツンデレじゃない!」場所が公園なのはあのままでは騒ぎに巻き込まれるのは面倒と思ったからだおそらく今頃は結界に閉じ込められなかった人達が突然多くの人間が集団失踪、行方不明になったと、また、魔女の脅威から生き残った者も含めパニックになっているだろう「わざわざ服まで持ってきてくれたのだ、この礼は必ず返そう」「必要無い」「とりあえず携帯を借りるぞ」「きゃあ!?どどどどどこ触ってんだHENTAI!!」一時間 この時間は岡部達が、体力の限界に達した岡部が気絶し、岡部が起きる間に血で汚れた服のかわりをユウリが調達してくれた時間でもあるまどかとほむらはまだ大丈夫だったが、さやかと岡部はそうはいかない、さやかは制服の背中部分が大きく破れていて、岡部は白衣の右腕部分は完全に失われ、所々破れているまた、ふたりとも血で汚れているのでとても表通りを歩ける姿ではなかった「HENTAIではない、俺はマァァドサイエンティスト、鳳凰院――――凶真だ!」「し、知らない、返してよ私の携帯」さやかと岡部は気絶しているので当然服を買いに行けず、まどかは危機から、皆が生きて帰ってこれた安心から気が抜けて体に力が入らず動けない、ほむらはさやかのかえり血を多少浴びてしまったがそんなに目立たない程度だったので問題はないが、助けてくれたとはいえユウリには、あまり知りもしない人間にまどか達のことを任せるのには気が引けた「お前は一度姿をくらますと見つけることができんからな・・・・・よし、アドレスは交換させてもらったぞ」「か、勝手なことするな!」「・・・・・・登録件数少ないな」「よけいなお世話だーーー!!」それを感じ取ったユウリが「・・・・・・・・・・ちっ」と舌打ちをしながらも二人分の服を買ってきてくれたことにほむらは驚き、まどかはユウリにお礼を言った「くそっ、もういくからな!!」「うむ、メールするから明日にでも我がラボにくるがいい」「らぼ?・・・・・・・じゃなくて誰がHENTAIの住みかなんかに―――!!」「まどか、もう歩けるか?とりあえずラボに戻るぞ、英雄殿もじきに目を覚ますだろうからいろいろ説明してやる」「うん、わかったよオカリン」「私もいいですか先生?」「もちろんだ、お前も“いろいろ”聞きたいことがあるだろうからな」「無視するなーーーーーーーーーーーーーーー!!」ユウリの叫びを軽く聞き流しながら携帯で呼び出したいたタクシーに岡部は気絶したさやかを後部座席に乗せ、怒りながら遠ざかりつつあるユウリの背に声をかける「ユウリ」「今度は何だ!?」「お前はこれから用事があるのか?なければ一緒に来てほしい」「断る、私にはやるべきことがある」「そうか・・・・できればお前には協力してほしかったが・・・・無理強いはできんしな、また今度にしよう」岡部は積極的にユウリのことを引きとめようとは思わない岡部は知っている 彼女は「あいり」という友人を助けるために魔法少女になったことを、そしてその後も魔女と戦う傍ら見知らぬ人々の治療を続けていると別の世界線で教えてもらった「まあ携帯の情報は手に入ったから今回の収穫はまずまずだな」「勝手なことばかり・・・・」ならば無理に引きとめはしない、彼女もまた自分と同じように誰かのために戦っているのだから、だからこそ伝える「ユウリよ」「なに」言動は出会ったときとは違い荒っぽくなっていているが、イラつきながらも返事をする彼女は良い子だと岡部は場違いな感動をおぼえた「お前は憶えていないだろうが以前にも、俺はお前に命を助けられた。だから何かあったら俺を頼ってくれ」「・・・・・憶えていない、だから関係無い」「ならば今憶えろ、俺はお前の味方だ、たとえ何があろうと助ける」「・・・・・お前の知ってるユウリは・・・・・今のユウリと違う・・・・・」ユウリは顔を伏せぼそぼそとつぶやくそう違う、今の「ユウリ」は「あいり」だ岡部の知っているユウリとは違う、だから岡部のその言葉は本物のユウリのものだ あいりのじゃないユウリは優しかった、魔法少女になってまで自分を助けてくれたそしてその後も見知らずの人達の傷を癒し続けた「ユウリ?」「だから・・・・もうかまわないで」そのうえ魔女と戦い続けてついに■■なって同じ魔法少女に■されたそう、ユウリは■された「ユウリ―――」「私はっ!私はお前が知ってるユウ・・・・・・・・・・・お前なんかに助けられるほど弱くない!!」ユウリは叫ぶ優しいユウリはもういない 岡部の知っているユウリはもういないここにいるユウリは偽物でここにいるユウリは復讐者たとえ祈りによってユウリになってもたとえ奇跡によってユウリになってもたとえ岡部にとってユウリにみえてもたとえ世界が彼女をユウリと認めても「味方?助ける?笑わせるなっ!あんな雑魚にも勝てないお前なんかになにができる」あいりは決してユウリにはなれないあいりは優しいユウリにはなれないだから「私のことをよくも知らないで勝手な事を言うな!」その言葉はユウリのモノその言葉はあいりのじゃないその言葉を受け止めてはいけないやさしいユウリとは違い、あいりは非難されるべき存在だからあいりはユウリと違い、助けるために魔法少女になったのではないあいりは復讐者目の前の男が憎いその言葉をあいりではなく、ユウリにかけてくれればユウリは■■にならずにすんだかもしれない■されずにすんだかもしれないこの男がユウリを一人にしなければ、あの場にいたならユウリは『死なずにすんだかもしれない』のにまた私と一緒に―――――――「私は違う、お前が知っているユウリとは・・・・・いや、ちがう、違う違う!」あいりは誰かを傷つけるために、復讐するために、殺すために魔法少女になったそのためなら他人など関係無い 復讐のために利用する 他人が死のうが関係ないもう何人かで実験もしたやさしいユウリにはなれない「お前の知っているユウリは・・・・・ユウリは・・・・ユウリはやさしいんだ!・・・・でも・・私は・・・・」支離滅裂な言葉伝えたいけど伝えきれない本当は伝えたい ユウリのことを知っている岡部に「ありがとう」とユウリのことを想ってくれている人に 彼女の優しさを知っている人にユウリのことを憶えていてほしい 忘れないでいてほしい私の大切な友達を「ユウリ、いや“君は”―――」「私はっ、わたっ・・・しは・・・・っ」ユウリはパーカーの裾を握りしめ、帽子で隠れた顔をさらに伏せる嬉しかった もういない、優しいユウリを知っている人がいてくれて「私は・・・・もう・・・・・」だからこそ、目の前の男とこれ以上関わってはいけないあいりは、ユウリはきっとこれから人を傷つける、殺すここには優しいユウリはいない ここにいるのは復讐者のユウリ知られたくない 優しいユウリを想ってくれる人に知られたくない 優しいユウリを憶えている人に知られたくない ユウリのことを理解してくれている人に岡部の中にいるユウリが私の中の優しいユウリが自分のせいで 悪 とおもわれたくない自分のせいで 嫌い になってほしくない「・・・・・・・・」「ユウリは・・・・・ユウリは・・・・」本当は理解しているこれは逆恨み理に合わないあの時のこともそうだユウリは死んだ死んだあと、「殺」された否、ユウリは既に死んでいた 殺されたのはユウリじゃないそれはあいりのため、なによりそれがユウリのためだったあいりの復讐すべき人間■■になったユウリから、あいりを助けられた人達■■になったユウリを殺した人達■■になったユウリを―――――――助けてくれたんだろう人達タクシーの運転手が未だに乗り込まない岡部に声をかけてくるユウリは視線を下げたまま背を向け立ち去ろうとする関わってはいけない 縋ってはいけない 知られてはいけない優しいユウリを自分のせいで汚してはいけない「もう・・・・いくから」「おい」「私のことよりも・・・自分の心配をしろ、右腕・・・・普通じゃないだろ」右腕 岡部がユウリの買ってきた長袖のシャツに着替える際見てしまった血まみれだったボロボロの白衣を脱いだ岡部の右腕にはびっしりとした黒い刺青、痣があったその刺青からユウリは魔女と同じ気配を感じるそれは決して人が纏ってはいけない“モノ”“魔女の口づけ”「他の連中もまってる」「・・・・そうだな」 ―――関係無い それでも関係無い―――あいりは殺す 復讐する ―――だってそれは『ユウリのため』だからあいりはもう壊れている 自覚しているユウリはもういない 死んでいるだからこれは『あいりの意思』論理に非ず 道理に非ず 合理性の欠片もない優しい彼女はこんなことを望んだりしないかもしれないだが、望んだかもしれない ならば やる復讐には正当な権利がある 奪われたのだから彼女はもういないだから変わりに『あいりがやる』 復讐を殺された時、一番復讐したいと思うのは殺された本人だ 残された人間じゃない復讐は、死んだ人間にはできないから自覚している あいりは壊れているとユウリの言葉に岡部が頷き動く気配を背中に感じた―――ユウリユウリは歩きだす―――私はユウリじゃないからもう会うことは無いと、関わることは無いと確信し―――私のせいでユウリが嫌われるのはいやだ立ち去ろうとして「やっぱりお前も来い」「っ!?」岡部に手を握られて引きとめられたそしてそのままタクシーの後部座席に放り込まれる「なっ?」「出してくれ」「いいんで?」「かまわん」いきなりの事に戸惑いの声を上げるユウリを無視し岡部は助手席に座り運転手に声をかける運転手は一度ユウリの方に視線を向け確認をとったが岡部の言葉に従いタクシーを発進させた放り込まれた際にバランスを崩しまどかに支えられる形になっているユウリは声を荒げる「なっ、なんなんだよ!お前は!」「鳳凰院凶真」「ちが、ううん、そうじゃない、私にはも―――」「飛鳥ユウリの友人で、俺にとっては大切な仲間だ」「――――――」「ねえユウリちゃん」まどかがユウリの体を支えたまま優しく声をかける気づいていないまどかは彼を、自分達を助けてくれた小さな少女を抱きしめる震えていたそれに気づいていないのはユウリだけだった頬は濡れていた「ラボにはね、お菓子もあるしお風呂もテレビもあるの」「だからなんだ!私はもう―――」「それにね、オカリンがいつもいてくれるんだよ」未来ガジェット研究所岡部倫太郎のいる場所彼がいつもいてくれる場所大切な居場所「だから大丈夫だよ」世界は収束する幸も不幸も、良くも悪くも収束する今度こそ揃うだろうか何度も繰り返してきたこの魔法のある世界で今度こそラボメンの皆が一緒に「とうちゃーく!」「ふえっ?」日が沈んだ頃まどかの声が響く、近くに民家の無い、ほとんどが空き家状態のテナントビルばかりの少し寂しい場所、古い二階建ての建築物の前にタクシーがついたころで美樹さんが起きた「・・・ここ・・・・・どこ?あれ、まどか?」「おはようさやかちゃん、痛いところ無い?」「・・・・ん?」「まどか、今は・・・・一旦ラボ(?)に入ってから・・・」「あっ、そっか、そうだよね」美樹さんがまだ寝ぼけていてよかったもし今彼女が魔女の事を思い出したらパニックになっていたかもしれない周りにほとんど人の住んでいる気配はしないがこちらも体力の限界に近い、騒ぐにしてもできれば一度落ち着いてからがベストだ今日はいろいろあった・・・・・・本当に、今まで体験したことが無いことばっかりだまどかと美樹さんを支えながら建物の二階に上がるための階段を上がる階段の横に二つの郵便ポスト、何かのチラシと新聞が無造作に入ったのが一つ、まどかが美樹さんを支えながら片手で回収する階段を上がると三階、おそらく屋上へと続く階段と一枚の扉ボロボロの表札には「未来ガジェット研究所」の文字・・・・・・未来ガジェット?その下に住人の名前 「岡部倫太郎」 さらにその下にはボンドで付けたであろう木の名札ぱっと見で斜めに傾いている背の低い子供が頑張って付けました感を醸し出している「あ、それね、私が小学生の時に付けたんだ」「あ~、たしか転校してきたころだっけ・・・・・・・・あれ?ここラボ?なんで?」まどかと美樹さんの言葉に私は名札にもう一度目を向けるそこにはひらがなで『かなめ まどか』の文字「・・・・・・・・・・・ん?」『かなめ まどか』「まどか」「なに、ほむらちゃん?」「・・・・・・・・・・ここに住んでるの?」まどかは当たり前のようにスカートのポケットから鍵を取り出す鍵にはまったくやる気の感じられないデザインのカエルストラップ岡部から鍵を受け取っていた場面はなかったならこの鍵はまどかの物?家族は?この世界は一体?疑問、違和感がますます強まる私はまどかを護るあの時、『再び契約しようとした時』に思い出した思い出したこの誓いでも、守れるだろうか、護れるだろうかやるべきことは沢山ある確認しなければならないことが沢山ある表札の事も私のことも私は何だ?何故こんなことに私はこれからどうすればいい何故魔法が失われている何故ソウルジェムが無い私は魔法少女だった今日、まどかに会うまでは保健室に行く途中まではあの時頭痛が原因?いやおかしい、何故それで最初の「わたし」になった?「わたし」が「私」にならず学校に来た記憶がある「私」が学校に来たはずなのに?記憶が、思い出が混同している解らない知らない怖いこの世界の情報を集めなければ階段の下に視線を送るアイツはまだあの魔法少女と話しているのか、上がってくる気配は無いアイツは私のことを知っていた魔女の事も、グリーフシードのことも「私」の記憶にいない、知らない人間、それも魔法関係者岡部倫太郎鳳凰院凶真オカリン「アイツ」は―――――誰だ?敵・・・・・・ではなさそうだ、彼は私達のために戦ってくれただが油断はできない、出来るはずもないいままで一人で繰り返してきたずっと、ずっと一人で私は―――私が表面上落ち着いて、内面で暗い感情に支配されつつある中、まどかがカギを開けて『おかえり、鹿目まどか。暁美ほむら。美樹さやか』「――――え?」混乱する私の頭にさらなる負荷がかかるどうしてこのタイミングでまどかの戸惑う声、それと聞きなれた声が開けられた扉の中から聞こえてきた私は、まどかと美樹さんを強引に後ろに引っ張るいきなりの事にバランスをとることもできず二人は廊下に倒れこむ「きゃっ」「ぅわっ」後ろからまどかと美樹さんの苦悶の声が聞こえるが無視して部屋の中に体を滑りこむように入る、そして施錠―――これでまどか達は入ってこれない「ほむらちゃん!?」「ほむら!?」「先生を呼んできて!はやく!」ドンドンと扉をたたく音、まどか達が心配しているのが解る、でも今はそんなことより「彼」を呼んできてほしい今の私はどんなに強がってもただの中学生―――戦えない「でもっ!」「はやく!!」躊躇う二人に強い口調で伝える目の前、わりと広いフローリング、部屋のやや中央に四角いカーペット、その上に足の短いテーブルと座布団、近くに三人ほど座れそうなソファー『警戒しなくてもいいよ、僕は敵じゃないんだから』「だまれ!!」テーブルの上にはお盆のったお菓子、コースターの上にのったコップ、そして白いヌイグルミのような『私の敵』「インキュベーター!!!」「ここが我がラボ、未来ガジェット研究所だ」「・・・・・・・・」まどか達が先に建物の二階、岡部の住処未来ガジェット研究所に向かっていくなか、ユウリは岡部に手を引かれ無言のまま放置されていたベンチに座った「・・・・・・・」「・・・・・・・」ユウリは何も答えないまどかに説得されるままここまできた自分が泣いていたことに気づいてからは何も話さず黙ったまま「・・・・・・・」「・・・・・・・」何を言っても反応が無い 返事が無い沈黙が続く中岡部は自分の手に感じる小さな手の少女のことを観察していた飛鳥ユウリ別の世界線にて自分を助けてくれた魔法少女三日間だけの短い時間を共に過ごした誰かのために動ける魔法少女それが岡部の知る飛鳥ユウリなら“この子”は誰だ?岡部の中の飛鳥ユウリとは別人に見える「俺の知っている飛鳥ユウリは料理がうまかった」「 」繋いだ手から僅かな反応があった「彼女は あいりという友達のために魔法少女になったときいた」「・・・・・・・・」「その後も魔女を駆逐するかたわら誰かを助けていた」「・・・・・・・・」「俺もそうだ、魔女に襲われ死にかけていたところを救われた」「・・・・うん」岡部の感じている疑問、それはもしかしたら同じかもしれないということ岡部倫太郎と暁美ほむらと同じ“タイムトラベラー”『・・・・・お前の知ってるユウリは・・・・・今のユウリと違う・・・・・』『私はっ!私はお前が知ってる・・・』『お前の知っているユウリは・・・・・ユウリは・・・・ユウリはやさしいんだ・・・・でも・・私は・・・・』『私は・・・・もう・・・・・』この台詞は、“未来の彼女”がタイムリープしてきたのではないか?未来のユウリは過去のユウリとは違う、現在にいるユウリとは違う岡部倫太郎、暁美ほむら同様に時を遡った存在ではないのか?同じ人物でありながら別の人物「短い期間とはいえ彼女の優しさは本物だったと確信が持てる」「・・・うん」もしそうだとしたら彼女はいつから来た?姿は岡部の知っている姿と変わらない 当然だ、タイムリープは記憶を過去に送る“未来の記憶を思い出させる”見た目は変わらない ただ中身が違う人は変わる、過ごした時間で、切っ掛け一つで別人になる なってしまう厨二病の大学生がテロリストになったように病弱で弱気な少女が冷徹な人間になるように父親想いの優しい少女が悪魔になるように「そして重度の@ちゃんねらー」「・・・・うん・・・・・・うん?」もしそうなら全て話そう俺も同じタイムトラベラーだと未来に何があっても、何が起ころうとも一人じゃないと伝えよう自分と似た境遇の人がいるそれだけで人は救われた気持ちになれる幸い、岡部倫太郎の事を、この世界のことを話しても世界線変動率(ダイバージェンス)には影響はないこの世界は、岡部倫太郎によって歪んだこの世界線はある一点において「シュタインズゲート」と同じ―――――「そして知的飲料水ドクペをこよなく愛し――」「え?あれを・・・・?ユウリが?」もっとも、それは岡部の楽観的予想だ都合良く彼女が岡部達と同じ経験をしているとは思えない時間逆行という特異すぎる能力はそうそう無い「毎日携帯で@ちゃんねるを巡回し続け――」「そんな・・・・ユウリが・・・・・いってくれれば私は――」たしかに彼女は岡部の知っている彼女とは雰囲気が違う未来から来た、または他の世界線から来たといえば経験上岡部は納得できる「彼女はいっていた、IDが真っ赤になってしまったと」「そんな・・・ユウリっ!」が、それよりも有力な予想があるその予想が当たった場合、さらに疑問が生まれるその疑問の答えはある程度予想はつく最悪は避けたい、だが聞かずには、聞かなければならない――――だから「そして全てに嫌気がさしたユウリはカリスマ性溢れるこの鳳凰院凶真に全てを委ね心の拠り所にした」「・・・・ふぇ?」「そう、俺と飛鳥ユウリはその時から爛れた関係にシフトした」「なっ・・・・・・なっ・・・・」「いや~可愛かった」「おっ・・・おま・・・・おまえ・・・・まさか」「なに、最初は年齢差とか社会性とか悩んでいたがあそこまでアタックされては男としては・・・・・な?」「まさかっ・・・・ユウリと?」「当然、若い男女が一つ屋根の下・・・・・あとは言うまでもあるまい」「&%&#&‘?*‘@!!!」「なに、恥ずかしがることあるまい、この鳳凰院凶真、臀部の蒙古班ごと愛する度量を――」「貴様アアアアアアアアアアアアアアッ!!!」ゴッ!とユウリの体が輝く岡部と繋いでいた手は振り払われたユウリはベンチから二階に上がる階段の所まで飛び引き岡部を睨みつける輝きが収まるとそこには魔法少女に変身した深紅の姿カマかけ【サイズ・ハング】にこうまでかかるとは素直な子だと岡部は感心する感心する一方でユウリの鋭すぎる視線に一歩下がる「何を怒っている?同意の上でのことだ」「ゆ、ユウリはまだ中学生なんだぞ!?」「そっちから誘っておいてその言い草は酷いな」「なっ!?・・・・・くぅ・・・ゆうりは・・・・ユウリは」怒りに拳を震わせる彼女に岡部はさらに追い打ちをかける「だいたい俺達の事に“他人”のお前が口を出す権利は無い」「なんだとっ!私はユウリの一番の親友だぞ!お前なんかよりもユウリのことを知っているんだからな!」「――――――」その言葉は岡部の思考を一度止めた予想が当たってしまった彼女は彼の知っている飛鳥ユウリでは無いそれは覚悟していた、解っていた、元々ここは別の世界線、岡部の知っている彼女とは違う別人「いいか!ユウリはただ料理が上手いだけじゃない、大会に出てそれに優勝できるくらい素晴らしい腕なんだぞ!そんじゃそこらの連中と一緒にするな!それに料理だけじゃなくて他の家事全般も完璧だ、掃除も洗濯もこなすスーパー中学生で友達思いの超可愛いんだ!普段は悪ぶっているように見せているけどホントは可愛らしい物が大好きでいろんな小物を持っているけど皆の前では恥ずかしくてそれを表に出さないようにしてるけど皆そのこと知ってて、なのにそれに気づかないままカッコ良く見せようと振る舞う萌えキャラなんだ!」だからそれについては驚かないただ彼女は飛鳥ユウリではない、岡部の知っている飛鳥ユウリではないのはもちろん、「この世界」の飛鳥ユウリ本人でも無い彼女がこの世界の飛鳥ユウリなら岡部の言っていることが嘘だと解るはずだ、否定するはずだ岡部はこの世界線でまだ飛鳥ユウリとは出会っていない仮に、仮に彼女が未来からタイムリープしてきた・・・・・という可能性もあるがそれも無いだろう彼女が未来から、“これから、未来に岡部と出会いタイムリープしてきた”、なら解るが、それは“無理だ”暁美ほむら、そして自分自身の経験で解った『この世界』特有の残酷性“タイムリープによる現在いる世界線でのやり直しが出来ない”“岡部倫太郎は同じ世界線に存在できない”“シュタインズゲートに似た特性”α世界線でも、β世界線でも、この本来の世界線、μ世界線でもない岡部倫太郎によって生まれた、交わるはずの無かった世界線、存在しない世界線――――χ世界線世界線x.091015 → χ世界線0.091015「金髪のツインテールという希少価値だけでなくジャージ+スパッツという萌え精神武装【メイド・オブ・エンブリオ】のファッションセンス!私が入院した時に毎日お見舞いに来てくれた博愛精神!もっともそれは私が相手だからであって他の人間では毎日とはいかないだろう、なぜなら私がユウリにとって一番の親友であり、仮にユウリが私以外の人間に毎日お見舞いに行くようなら私があらゆる手段で妨害するからだ!」ならば目の前の飛鳥ユウリそっくりの少女は誰だ?双子の姉妹という感じではないし本人曰く一番の親友親友、友達、それはいい、だがここまで外見が似ているのは偶然か?親戚?自分のことをユウリと言った、名前も同じユウリ?なぜ彼女は岡部の中の飛鳥ユウリを演じようとする?「本物の飛鳥ユウリ」はどうした?「いいか!お前がいかにユウリの事を理解した気になろうが私に比べれば月とすっぽん、たっ、たとえお前がっ、お前がユウリの彼氏だとしてもそんな一時的な関係で―――」どうした? 予測はつく、目の前の少女が飛鳥ユウリを演じているなら(「お前の知っているユウリは・・・・・ユウリは・・・・」)あの台詞は?親友のことをまるで過去のように話す彼女の様子は?泣きだしそうなあの表情は?「つまり、私はお前とユウリの関係を認める訳には―――」「君は“飛鳥ユウリ”ではないのだな」「―――――――え?」「さっきまでのことは嘘だ、すまない、だがおかげで君が飛鳥ユウリではないことが解った、・・・・・・・・・本物のユウリは今どこにいる?」「え・・・・・あ」勢いよく喋っていた少女は勢いをなくし自分の失言に気づく岡部は金と深紅の少女から目を逸らさない彼女には助けてもらった、恩はある、恨みなんてあるはずが無い、だけど、たとえそれが目の前の少女を傷つけることになっても「彼女は俺の仲間だ、答えてもらうぞ」岡部は真実を、飛鳥ユウリの存在を確かめる詰め寄る岡部にユウリは下がってしまう目の前の男よりも圧倒的に強いユウリが後退るあいりは願いによってユウリになった、誰に知られても関係ないと思っていたそれは別に復讐に影響は無い、邪魔になれば殺せばいい―――そう思っていた「ユウリ・・・・ユウリは―――」だけど、コイツはユウリのことを知っていて、ユウリのことを心配していて、大切に想ってくれているそれが解ってしまって、でも真実は―――ユウリのことを話していいのか解らない怖い彼女を知る彼に伝えることが、何よりその事実を自分の口から、ユウリが「死んだ」と言うことが何よりも怖いなにか、ないか言おうとし、でも結局何も言えない「ゆっ・・・・・ゆう・・・・ユウリは「オカリーーーーーーン!!」「岡部さん!!」ごふっ!?」そして逃げ出そうかとも考えた矢先に・・・・・・・・突如現れたまどかとさやかにユウリは押し潰された二人ともかなり急いでいたのか階段の下にいたユウリに気づくこと無く降りてきたためユウリとぶつかり三人仲良く地面に転んだまどかとさやかはユウリがクッションになったためダメージは低そうだが、横からの不意打ちで二人分の突進で地面に叩きつけられたユウリは顔からダイブしていた「いたた、あっ!?ごめんねユウリちゃ―――」「うっ、いた」「んなこと言ってる場合かまどか!岡部さんほむらが―――」「ふご!?」ユウリの上に圧し掛かる形で現れた二人まどかはユウリを潰す形に謝ろうとして、それをさやかが遮るいつもの彼女ならそんなことは有り得ない、ただあまりにも非常事態なのだろう、余裕が無く切羽詰まった感情が此方まで届く、彼女は今軽いパニック状態だっただから自分の下にいるユウリの頭を結果的に地面に押し付けてしまったことに気づいていない「ふご!?ちょっ、いたっ、痛い」「ほむらが大変で中に何かいて私たちにお願いしてほむらがいけってそれで岡部さんが―――」「落ち着け!何があった!?」二人の様子にユウリとの会話を一時的に切り上げ二階に跳びだそうとする岡部「オカリンほむらちゃんが一人で家の中でヌイグルミと一対一なの!」「は?」「おりて!どいてっていってイタィ」跳び出そうとした岡部は普通は訳のわからない二人の言動を理解したもちろんこれが“初めて”の時は解らなかった、ただ似たようなことは“毎度”あったので理解できたのだ暁美ほむらが未来ガジェット研究所にくるラボメンのナンバーは未来ガジェット研究所に訪れた順で決めてきた毎回№05以降はバラバラだったが№04まではいつも一緒だった世界線の収束予め定められた事象世界の決定事項鹿目まどかは№02、暁美ほむらは№04ほむらが№04になることを世界が決定しているなら今だ№02までしかいない未来ガジェット研究所にほむらは踏み込めない世界が邪魔をする、どんな偶然を起こしても、絶対にこの世界で彼女がラボに踏み込むには収束を破壊するか、№03がいないと出来ないそしてまどかのいったヌイグルミ世界が決めたラボメン№03ほむらよりも先にラボに踏み込める存在「安心しろ、アイツは仲間だ」「「え?」」「い・い・か・げ・ん・に!」岡部は胸の不安を一旦おろす非常事態、たとえば泥棒や犯罪者、魔女が再び現れた訳で環無いと解り安心したユウリがキレかけるなか、岡部の言葉に二人は呆気にとられるあの声はあの時、恐怖と共に現れた。「キュウべえ」と名乗った生き物だろうと二人は予想した実際はほむらが扉を速攻で閉めたため姿を見たわけではないが、あの頭に直接聞こえてくる独特の声は未だに頭の中に残っている岡部は言った、仲間だと、でもほむらの取り乱しようは普通じゃないだから、もしかしたら岡部はあの白いヌイグルミと別の何かを勘違いしていて大丈夫と安心しているかもしれない「オカリン!」「岡部さん早くほむらの所に!」「ふぎっ!?」だから取りあえず岡部をほむらの所に、今も一人でいる友達を助けるためにユウリの頭を無意識に地面に押し付けていることに気づかぬまま声を荒げる「オカリン急いで!!」「岡部さん!!」「わかった!わかったから取りあえず彼女を―――」岡部が取りあえず二人をユウリの上から退くよう伝えようとして―――ユウリが爆発した「コルノ・フォルテーーーーーーーー!!」ぼひゅっさやか達の下から、ユウリとの間から牛鹿の異形が現れるまどかは横に転がされ、さやかは牛鹿に跨る形に、ユウリの顔はようやく地面と離別したいきなりの事にさやかはパニックになる「おわーーーーーーっ!?」「さやかちゃん!?」「いいかげんにしろよお前ら!!」「落ち着け指圧師!彼女は普通の人間だ」「ユウリだ!!」一気に場が混乱してきたさやかは夕方にあったことを思い出したのか、突然現れた異形に驚いたのか、落とされないように首にしがみついているが確実にパニックになっていたまどかはそんなさやかに駆け寄ろうとするが牛鹿が暴れるように動いて近づけない岡部はこのままでは不味いとユウリに声をかけるが咄嗟の事にあだ名で呼んでしまいユウリの癇癪を煽る形になった「う~~~~~~~~~~~っ!!!」「さやかちゃん!!」「落ち着くんだ!!」「はっ」鼻で笑うユウリを余所に岡部とまどかはさやかが振り落とされないように声をかける岡部が携帯を取り出し『失われし過去の郷愁【ノスタルジア・ドライブ】』を発動させようとする「おっ――――!!」「!?」「え?」「む?」しかしその前に美樹さやかは自ら動く、美樹さやかは普通の人間だ、一般の家庭に生まれ、普通に生きてきたどこにでもいる中学生で普通に友達がいて、好きな異性がいて、普通に学校にきて帰り道に寄り道して遊ぶ、日本の何処にでもいる普通の女の子だだが、彼女は岡部曰く『英雄』であるたとえその身に魔法が無くとも、たとえ自分の身が危険に晒されようとも、彼女は誰かのために行動を起こせる人間だったそれは夕方の魔女の時でも発揮されたそれは彼女の強さと言ってもいいだろうそして今その強さが再び現れる「―――――――オッ!!」「さやかちゃん!?」「―――――オッ!!」「君は!?」「――オッ!!」「」まどか、岡部、ユウリが見守る中、美樹さやかは動く彼女は今確かにパニック状態だった、それでも彼女は動く震える体でまどかとほむらを抱きしめたように振り下ろされる魔女の腕から友人を守ったように暴れる牛鹿の上で魔法を知らない少女はパニックになりながらも行動を起こすいままでの経験の中に打開策は無い、それでもこれまでの人生で蓄えられた知識を、走馬灯の様な一瞬の中で走らせる震える友人を、どうすれば慰められるかと、とっさに行動したように振り落とされる狂気からどうすればほむらが助けきれるかと、咄嗟に行動したようにそれは最善の行動とは違ったかもしれないけど美樹さやかはどうしようもない状況において動ける強さを持っているそう、暴れる異形の牛の上に跨る中、彼女の知識はこの状況に近い知識を無意識ながら引き出し、実行した「オーーーーーーーーーーーーーーレッ!!!」その言葉がどういう影響をユウリの牛鹿にもたらしたかは謎だが、牛鹿はさやかを乗せたままラボの空きテナントになっている一階に突っ込んだ「ああああああああああああああああああああ!!?」「さやかちゃーーーーーん!?」それからも一悶着あったが、幸い、“背中の呪い”の事もあってさやかには大きな怪我もなく救出できた岡部は再び気絶したさやかを抱き上げ残りの二人に声をかける「まどか、ラボに上がるぞ」「うん!ほむらちゃんがまってる!」「ユウリ・・・・と呼んでいいのか解らんが、お前も来い」「・・・・・・・」「・・・・・・・俺も俺の知っているユウリの事を話してやる、取りあえず上がれ」「・・・・・・・・・・・・わかった」しぶしぶながらユウリも了承してくれた岡部を先頭に階段を上がる階段を上がるにつれ二階のラボからほむらの怒りの籠った声が聞こえてくるまどかが心配そうに岡部に声をかけるが、岡部は問題ないと諭すそんな岡部にまどかは不満そうな感情を抱くが岡部は気にしない大変なのはここからだ、「キュウべえ」と「暁美ほむら」の関係、ほむらの協力なくしてキュウべえは完全な仲間に“なれず”、しかしてそのほむらがキュウべえを憎んでいるやるべきことはやるべきことは山積みだ“呪われた”自身の体“最悪の可能性が生まれた”鹿目まどか“魔法少女じゃない”暁美ほむら■■を蓄積できないキュウべえ確かな確証が持てない“ユウリ”未だに“親御さんに連絡していない”美樹さやか「ユウリよ」「・・・・・・なに」「俺より先に・・・・・正確にはこの子より先にラボに入ってくれ」「・・・・・?なんで?」ラボの入口の前で岡部はユウリに意味の解らない事を要求するユウリはもちろん、まどかも首を傾げているそんなことより、ほむらちゃんを早く助けてと訴える岡部にしても、この行いに深い意味は無いこれはただの我が儘、世界の収束も関係ないただ、岡部にとってラボの№06は美樹さやかで№05は、元の世界と同じ『閃光の指圧師』であってほしいそう、ただの郷愁みたいなものだ目の前のユウリは飛鳥ユウリではないが、彼女は飛鳥ユウリの親友のようだし、それならと思ったから、ただ、本当にそれだけだこの世界の、χ世界線でのラボラトリーナンバーは“一つに突き二人存在する”「特に意味は無いが、出来れば頼む。一応この子を抱っこしていて両手が使えんし、扉を開けるついでだ、頼む」「それなら私が――」「わかった」まどかの言葉を遮りユウリは扉を開けた、その瞬間ほむらの怒鳴り声が大きく聞こえたが岡部達に気づいたのか―――まどか達、さやかが何故かお姫様抱っこ状態で気絶しているのを見て―――声を失う「キュウべえ、ほむほむ、ユウリ。この瞬間をもってお前達を未来ガジェット研究所のラボメンに任命する」『あれ?君には僕が見えているの?君は女性でも無いのに変な人間だね?』「・・・・先生、それはどういう意味ですか?」「・・・・・・・」岡部の言葉にキュウべえは不思議そうに首を傾げ、ほむらは岡部の言葉に不信感を抱いている、恐らくキュウべえと一緒の扱いに嫌気がさしたか、または岡部がインキュベータ―に対し友好的に接するからだろうユウリは岡部を見上げて何も言わなかった「ファンタジー最前線のお前がいうな、あと言葉通りの意味だ」岡部はキュウべえとほむらにそれぞれ返事を返しさっさと本題に入る「取りあえず汗をながして飯だ―――――その後」宣言「円卓会議を始めようか!」