<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


No.28390の一覧
[0] [習作]Steins;Madoka (Steins;Gate × まどか☆マギカ)[かっこう](2012/11/14 00:27)
[1] 世界線x.xxxxxx[かっこう](2011/06/17 21:12)
[2] 世界線0.091015→x.091015 ①[かっこう](2011/06/18 01:20)
[3] 世界線0.091015→x.091015 ②[かっこう](2011/06/28 21:37)
[4] 世界線0.091015→x.091015 ③[かっこう](2011/06/22 03:15)
[5] 世界線x.091015 「巴マミ」①[かっこう](2011/07/01 13:56)
[6] 世界線x.091015 「巴マミ」②[かっこう](2011/07/02 00:00)
[7] 世界線x.091015 「暁美ほむら」[かっこう](2011/08/12 02:35)
[8] 世界線x.091015 「休み時間」[かっこう](2011/07/10 22:08)
[9] 世界線x.091015 魔女と正義の味方と魔法少女①[かっこう](2011/07/19 07:43)
[10] 世界線x.091015 魔女と正義の味方と魔法少女②[かっこう](2011/07/26 14:17)
[11] 世界線x.091015 魔女と正義の味方と魔法少女③[かっこう](2011/08/12 02:04)
[12] 世界線x.091015 魔女と正義の味方と魔法少女④[かっこう](2011/09/08 01:26)
[13] 世界線x.091015→χ世界線0.091015 「ユウリ」[かっこう](2011/09/08 01:29)
[14] 世界線x.091015→χ世界線0.091015 「休憩」[かっこう](2011/09/22 23:53)
[15] χ世界線0.091015「魔法少女」[かっこう](2011/10/29 00:06)
[16] χ世界線0.091015 「キュウべえ」 注;読み飛ばし推奨 独自考察有り[かっこう](2011/10/15 13:51)
[17] χ世界線0.091015 「アトラクタフィールド」[かっこう](2011/11/18 00:25)
[18] χ世界線0.091015 「最初の分岐点」[かっこう](2011/12/09 22:13)
[19] episodeⅠ χ世界線0.409431「通り過ぎた世界線」①[かっこう](2012/01/10 13:57)
[20] episodeⅠ χ世界線0.409431「通り過ぎた世界線」②[かっこう](2011/12/18 22:44)
[21] episodeⅠ χ世界線0.409431「通り過ぎた世界線」③[かっこう](2012/01/14 00:58)
[22] episodeⅠ χ世界線0.409431「通り過ぎた世界線」④[かっこう](2012/03/02 18:32)
[23] episodeⅠ χ世界線0.409431「通り過ぎた世界線」⑤[かっこう](2012/03/02 19:08)
[24] episodeⅠ χ世界線0.409431「通り過ぎた世界線」⑥[かっこう](2012/05/08 15:21)
[25] episodeⅠ χ世界線0.409431「通り過ぎた世界線」⑦[かっこう](2012/05/10 23:33)
[26] χ世界線0.091015 「どうしてこうなった 前半」[かっこう](2012/06/07 20:57)
[27] χ世界線0.091015 「どうしてこうなった 後半1」[かっこう](2012/08/28 00:00)
[28] χ世界線0.091015 「どうしてこうなった 後編2」[かっこう](2012/11/14 00:47)
[29] χ世界線0.091015 「分岐点2」[かっこう](2013/01/26 00:36)
[30] χ世界線0.091015「■■■■■」[かっこう](2013/05/31 23:47)
[31] χ世界戦0.091015 「オペレーション・フミトビョルグ」[かっこう](2013/12/06 00:16)
[32] χ世界戦0.091015 「会合 加速」[かっこう](2014/05/05 11:10)
[33] χ世界線3.406288 『妄想トリガー;佐倉杏子編』[かっこう](2012/08/06 22:26)
[34] χ世界線3.406288 『妄想トリガー;暴走小町編』[かっこう](2013/04/19 01:12)
[35] χ世界線3.406288 『妄想トリガー;暴走小町編』2[かっこう](2013/07/30 00:00)
[36] χ世界線3.406288 『妄想トリガー;巴マミ編』[かっこう](2014/05/05 11:11)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[28390] 世界線x.091015 魔女と正義の味方と魔法少女④
Name: かっこう◆7172c748 ID:3f6e4993 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/09/08 01:26
世界線x.091015

岡部倫太郎は知っている。自分が弱いことを

何度経験しても慣れない
何度戦っても怖い
何度死にかけても強くなれない

きっと、一生この弱さと共に生きていくんだろうと








(―――違う!?)―――慣れない

ゴウッ!!

岡部のすぐそばで風が凪ぐ音がする
全身を冷や汗が伝う 思考する
襲いかかる影、視界を最大限まで広げ目の前の現状を再確認
距離にして約10mの位置に存在する魔女
結界から脱出するには魔女を撃退または駆逐しなくてはならない
自身にそれは実行可能か? 思考する

バキンッ!  右からきた影を右腕の甲冑でたたき落とす

(くそったれが、グリーフシードじゃ、いや、俺一人じゃ魔女単体にすらこのざまか)―――怖い

再度の攻撃に備え再び甲冑が“打ち込まれた”右腕を身体の前に突き出し、拳を握らず構える
可能、しかし20%以下と予測
眼前の魔女の知識を再確認 猫の魔女『ステーシー』
3mを超える身の丈 双頭の猫 背中から生えた8本の腕 継ぎはぎの女性の身体
腕の一本一本が成人男性の腰ほどある太さを持ち指先は鋭い爪 長さが身長と同じ約3m
直接の戦闘経験無し されど別の世界線での情報有り 二件

『―――――――――――』

魔女が笑う 笑ったのかもしれない 笑ってないのかもしれない
ただ、岡部には笑って見えた
ぎちっ 魔女が口を歪ませ吠える―――その残響が絶えぬ内、
五つの影が岡部を襲う

「ッ!」 ガガガガガンッッ!!

右腕を振るう 他の部位で受けてはいけない 思考する
捌く 被弾なし 右腕の『呪い』が這い上がってくる    ―――気持ち悪い
速く 鋭く 一撃でこちらを行動不能に出来る影
魔女は一歩も動いてはいない 互いの距離は10m
ゴウッ!目の前に映る影 高速に動く8本の腕
その継ぎはぎだらけの腕を振り回す 目視は困難

(前の世界線で聞いた特徴と違う?)   ―――予想より強すぎる

この身はすでに人間にあらず
右腕に装甲された黒の甲冑 ―――魔女
呪いにより肉体のポテンシャルは人間を凌駕する
情報を確認 思考する
M・Tさん「出てきたところを一撃で・・・・弱かったですよ?」
K・Kさん「出てきたところをこう、さくっと・・・・・・え?終わりだよ」
情報提供者に難あり そもそも情報とはいえない 強すぎたのか 魔女が弱すぎたのか ―――否

(「俺」が弱すぎるんだ) ―――強くなれない

この距離で相手の腕―爪―が届く “伸びている” ブチブチ プチプチ ―――不快音
継ぎはぎだらけの腕から腕が生える 伸びる 法則無視 当然 あれもまた奇跡の存在
消えゆく現実に抗う力 エントロピーの法則を凌駕する力
右腕に不快感 呪いが這い上がってくる ―――吐き気がする
ダイバージェンスの海を渡り アトラクタフィールドの壁を超え 収束を破壊する力
魔法 奇跡 岡部倫太郎が望み 欲し 求め 彼個人では欠片も得られない力

(このままでは・・・・)

ガンッ!   ギンッ!   ゴッ!      ぶしっ!

『―』
「ッ!」

被弾 左足に出血 薄皮のみ がくん と身体が傾く ―――痛い 苦しい 熱い
魔女の影―腕―が加速 速く 強く 強靭に 同時に襲撃 全ての影は距離を詰める
魔女は動かない 距離は変わらない しかし道は出来た 今まで影が邪魔していた魔女までの最短ルート
全力で踏み込む 好機にして勝機 20%以下の可能性
彼我の戦力差 圧倒的不利

「おおっ!!」  ドンッッ!!

踏み込んだ地面が砕ける 駆ける 翔る 凶刃が身体を引き裂く 直撃無し 全て突破
正面に魔女 顔面 右腕 全開 呪い 嘔吐感 一撃で ―――何度経験してもなれない
自身の戦力 右腕の黒い甲冑 鎧の魔女『バージニア』 グリーフシード 偽り無き奇跡
失われた魔女としての力 34% 僅かばかりを美樹さやかの手当てに ―――直撃

――ずどむっ!

サンドバックをバットで殴ったような重低音 水袋? 感触 魔女の首がのけぞる それだけ 踏みとどまる 倒せない
左の視界ギリギリに影 回避 空中 不可 右腕の甲冑 咄嗟に左目を庇うように

(―――――――ああ、・・・・・・・・・無理か)

衝撃に岡部の視界は左の光を失い、そのまま吹き飛ばされた






「オカリンッ!?」
「ッ!」

まどかとほむらは岡部が巨大な裁縫用の毛糸玉の山に突っ込むのを見て血の気がひいた
最初は岡部と魔女、実力は拮抗しているように見えたが、すぐにそれは勘違いと気づいた。
岡部は辿りつけないのだ、魔女に。
鞭のように撓り、高速で動くそれは、それだけで魔女を守る盾となり一瞬で槍になる。二人にはそれがただの影にしか見えないほどの高速。
岡部はすでに人間の動けるスピードを越えた動きで影を右腕一本で凌いでいた。凌ぐしかなかったのか、岡部が近づこうとしてもその度に影に阻まれ体を弾き返されただただ防戦一方の構図ができた。
魔女は余裕なのか一歩も動かない。影は彼に届くのだから、対し岡部は右腕以外は生身、動きこそ人間離れしているが明らかに無理をしている事が解る。
そして今
ドンッ!という音と共についに魔女に接近し、一撃を与えた岡部は、魔女のただ一撃で吹き飛ばされた。

「オ・・・オカリン・・・・オカリンッ!」
「だっ、駄目だよまどか」
「オカリンが・・・・・・オカリンが!」

よろよろと、まどかは岡部が吹き飛ばされた巨大な毛糸玉が山積みにされた、今崩れていく場所に近づこうとし、ほむらが静止の声をかけるがまどかは止まらない。
ふらふらと、

『―――――』

そして、岡部が埋もれている場所に、その前に魔女はいた。
魔女が近づいてくるまどかに視線を向ける。
そこでようやくまどかの動きが止まる。
魔女は身体はそのまま崩れた毛糸玉に向けたまま、視線と一本の腕をまどかに向け――――

ゾクリッ  背筋に悪寒が走った

「まっ――――――」
ぼっ!!

ほむらが声をだしきる前に魔女の腕はブチブチッと不快音をたてながらまどかの顔に伸びる。

その動作は魔女にとっては何気ない動きの一つで
ほむらにとっては言葉一つ発することができない速さで
まどかにとっては腕を向けられたところまでしか知覚できなくて
その腕は、その爪は



バギャァァァァァァンッ!!

まどかの眼前で、黒の光沢を放つ物体がその身を破壊されながらも弾き返す
それは後になって美樹さやかの傷口を覆っていた黒の甲冑だったとわかった
まどかは未だ何が起こったのか解らず
ほむらは目を瞬きする暇もなく
魔女は予想しなかった手ごたえに一瞬の躊躇を生み  

―――――直後 魔女の正面で 風と声が炸裂した

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

自身の体の上に積み重なっていた人間サイズの毛糸玉の山を吹き飛ばし岡部は駆ける
走る 駆ける 翔る 飛ぶ 跳ぶ 
左目は潰された 右腕の甲冑は爪の直撃で貫通していた
目と掌に蛆が這いずる様な感触がする 修復と再生 呪いの進行が加速
バボッ!岡部に向かって魔女が左の側の4本の腕を高速で打ち出す 伸ばす 加速する腕 影 必殺の爪

いかに巨大でも裁縫道具では決定的なダメージを与えられない
右腕の甲冑でも出力不足 倒しきれない

走る 駆ける 翔る 飛ぶ 跳ぶ 跳躍 飛翔
4本の影を飛び越える 空中 逃げ場無し 回避不能
ズギュル!!
一瞬で魔女の右側の腕が絡み合い一本の腕になる
ぎちぎち!
絡み合った魔女の腕が軋んだ音を上げる 視線が交差 伸ばされた岡部の拳は魔女にはまだ届かない 二つの猫顔が刃の様な歯を愉快そうに歪めている それは一瞬の出来事
届かない 黒の甲冑は魔女を倒す奇跡に届かない

この空間には代償無き結果は存在せず 対価無き奇跡は有り得ない

「穿てッ!!」

ギシィッ と異音を放ち黒の五指が

故に、代償ある結果は存在し 対価あり奇跡は有り得る

―――『firing』

白衣 深紅の携帯 電子音
ズパンッ!! “岡部の五指が発射”され魔女の頭を突き刺し、抉り、――――貫いた

『―――!――』
「ああああああああああああああああっ!」

魔女の右腕は岡部に放たれること無く震え、二つの顔を一つ潰され悶える
着地 これが最後 踏み込み 叩きつける

ズンッ! 指無き拳を魔女に叩きこむ 魔女の体がくの字に曲がる

(―――右腕 どのみち時間切れだ―――― くれてやるっっ!!)

「バージニアーーーーーーーーーーーーッ!!!」
―――『burst』

その叫びと炸裂する光と音が、世界を白く包みこんだ












「オカリン!オカリン!」
「・・・・う・・・・・・・あ・・?」

ゆさゆさと体を揺らされ、痛む体の痛覚と、まどかの呼び掛けに岡部は目を覚ます
気絶していた そう頭が理解した瞬間体をはね起こす

「魔女はっ!?――――ッぐぅ・・・・・ぁ・・・・・がっ?」
「駄目だよオカリンッ!もういいんだよっ!・・・・・・このままじゃ死んじゃうよぉ」

激痛に倒れる岡部の背中をまどかが支える
が、身長差があってまどかは岡部と共に後ろにそのまま倒れる
まどかは小さな悲鳴を上げたがすぐに体を起こし岡部に縋りつく、もう彼が動かないように 傷つかないように
まどかは倒れた岡部の頭を優しく、でも強く抱きしめた
叫びに答えてくれた彼を 助けに来てくれた こんなになるまで戦ってくれた彼を

「・・・・・っ・・・・・まどか」

その温かい感触に岡部はまた気を失いそうになるがなんとか耐える
本当はすべて投げ出して眠りたい 魔女がいないなら結界は解けて元の空間に戻る 後のことは知らん 頭は休息を要求している
―――でも

「さっきのオバケならもう動いてなっ・・・・いよ・・・・・・オカリンがやっつけたんだよ・・・・・・・だから、だからもう動かないでよぉ、オカリンいっぱい血が出てるんだよ?右腕だって・・・・・うっ・・・・うっ、ぐすっ・・・・・うぅ~~~~~~」

額に温かく、熱い水滴がぽろぽろ落ちてくる まどかが泣いている
ならば岡部倫太郎にはまだやることがある
体の様子を確認する まどかに目立った外傷はないようにみえる
視線を横にずらせばほむらがさやかの体を支えながらこっちに向かってくるのが見えた。
泣きそうな、こちらを心配するような視線を向けている
さやかもちゃんと確認はできないが動かせる程度には傷は塞がったのと判断する
・・・・・とりあえず三人共無事らしい
―――なに、問題無い
そう言いたかったが右腕に違和感を感じ視線を向ける
すぐに逸らした。
今、右腕には弾け飛んだ甲冑が戻ってきていて失った肉体の部位を再生・修復していた
それはいいことだ だが欠けた黒の甲冑の隙間からは血が絶えまなく流れ続けピンクと白の筋肉のようなぶにぶにしているモノが見えた
感覚がまるで無いが、意識すれば痛みを感じそうで怖い
それに蛆が這い上がってくるあの独特の感触は正直嫌いなので痛覚、感触が感じられないのに場違いの安堵
呪いも気になるが今呪い【バージニア】を解除すれば余裕で死ねるだろう

(・・・・・・・・・・右腕の肉のほとんどが持っていかれたな)

最後の攻撃 装甲を炸裂させて相手に叩きこむ純粋な力技 一時的に火力を上げる捨て身の攻撃 岡部が独自で編み出した本来のノスタルジア・ドライブでの使用を想定されていなかったグリーフシードでの攻撃方法 
一応前方に向けて炸裂するが基本的に無理やり装甲している(肉体に直接打ち込まれている)ので、炸裂させれば肉ごと弾ける

(・・・・・・まぁみんな生きているし、覚悟の上・・・・といえば恰好もつくが・・・・結局は俺の力不足なんだよな)

幸い、この使い方は本来の使用方法よりも肉体の再生、修復が驚異的に高い、魔女様々だ
三十分もしないうちに完全に回復するだろう
だから心配無いと、まどかに声をかける

「・・・・・・大丈夫、心配するな」
「う~~っ」
「いや痛い、痛いから」
「う~~~~~~~~っ」
「あーあれだ、見た目はヤバいがすぐに治る。英雄をみてみろ、今頃背中の傷は塞がっているはずだ」
「う~~~~~~~~~~~~~~~~~っ」
「ちょっ、ほんとに、まどかさん?ロックしすぎだ・・・・・後頭部にアバラがあたって痛いんだがっ」
「・・・・・・先生、それはセクハラです」

岡部はう~う~唸りながら岡部を抱きしめるまどかを何とか宥めようとし、近くまで来たほむらから注意を受ける
ほむらは気絶したさやかを横にし、う~、と泣き続けるまどかの頭を優しく撫でる
ほむらの姿は三つ編みにした髪がほどけてストレートに伸びていた

「・・・・・大丈夫か?」
「美樹さんなら大丈夫です、少なくとも背中の傷は完全に塞がってます」

おちついた表情でまどかをあやすその姿に岡部は違和感を覚える

「ほむほむ」
「ほむほむ言うなっ!・・・・・・いえ・・・・・・なんですか?」

岡部の呼び掛けにほむらは強気に返事を返す
このほむらはお昼に紹介された時に感じた知らない人間の雰囲気じゃない
岡部の知っている少女に似ている 似すぎている

「お前に聞きたいことがある」
「ええいいですよ、「私」も貴女に聞きたいことがあります」

この世界線でほむらは魔法少女になっていない
この世界線にほむらはタイムリープしていないはずだ
アイツはいっていた、自分の時間逆行は転校してくる 退院時にしかしたことがなかったと
この短時間で魔法少女になった?なら戦っていたはずだ キュウべえは見当たらないし変身もしていない

「・・・・・疑問は多々あるが今は・・・・・・まどか」
「う~~~~~」
「・・・・・てい」
「――ひゃん!?」

いつまでもくずっているまどかの脇を左手でつつく
突然の感触にまどかは普段はだしたことのないレアな声を出してしまい
ほむらはそんなまどかの姿に目を奪われながら岡部に拳を放つ
岡部は殴られながらもふらつく体で立ちあがろうとする

「あっ、オカリン駄目だよ!」
「先生まどかのいうとおり横になっていた方がいいですよ」
「・・・・・そうしたいのはやまやまなんだがな」

岡部はよろつきながらも立ち上がりまどかを引き剥がす
右腕からの血はまだ流れ続けているが指先の感覚は戻りつつあった

「オカリンッ!」
「なら―――」
「結界がまだ解けない、遅すぎる」
「「え?」」

―――ずるずる   ―――ずるずる

再生され、両目が使えるようになった岡部は気づいた いまだに解けない結界 それはつまり魔女がまだ生きているということ そして視界の先に見つけた異形の存在と重い物を引きずる異質の音

「離れてろ、今度こそ「――――だっだめだよ!」―――ほむほむ」
「・・・・はい」

岡部の声をまどかが遮るが岡部はまどかを無視しほむらに声をかける
ほむらは一瞬躊躇したがすぐに行動に出た
さやかを抱えまどかの手を引き、さがろうとする 魔女から

――ずるずる

岡部の、ほむら達の視線の先には、腹から内臓を垂らしながら図太い裁縫糸で無理やり収めようとボトボトと血を流しながらこちらに近づいてくる猫の魔女
その二つの顔のうち一つから脳みそのようなものをたらしながらもギラギラと血走った眼を岡部に向ける

「・・・・・・・・・・・・・やれやれだ」

はぁ とため息をついた岡部は魔女にむかって歩く
右腕は動かない 体に力が入らない 

「オカリンッ!!はなしてほむらちゃん、オカリンが!」
「・・・・・・・」
「まどか」

魔女に向かう岡部をまどかは止めようとするがほむらがそれを許さない。まどかの手を引きさやかを支えながらのためゆっくりだが、それでもその場から離れようと努力している

「あまりほむほむを困らせるな」
「~~~でもオカリンは!」
「・・・・・・英ゆ・・・・・・・・さやかはどうする?二人と一緒に隠れてろ」

まどかの叫びの意味を岡部は拒否する
友人をそのままにするのかと、ある意味脅迫じみた言葉でまどかを引き離す
何も言えないまどかを、ほむらにいやいやながら引きずられるまどかに視線をむけず歩く
岡部は魔女の目の前に立つ 

ズギュル

魔女の腕が絡み合い8本あった腕を2本にし振りかぶる
大振りで その姿は隙だらけで でも効果的だった 岡部はもう動けない
ならば小細工無く殴った方がいい 相手は避けないのだから
内臓を露出させ、腐臭をまき散らしながらもその目ははっきりと岡部をみている
岡部に出来ることは時間稼ぎ
まどかのように
1分でも1秒でも時間を稼ぐ
違うところは死ぬ気が無いということ
自分が前にでたのはこの中で一番死ににくいから
この状態では誰が出ても一撃で死んでしまうだろう
3人はもちろん、岡部も きっとあの腕の一撃で潰される
魔女の甲冑はもう傷の再生と破損個所の修復しかできない
右腕は動かず身体強化も無い状態 ただの生身 ただの人間

『――――――――――――――――』
「来いよ“弱虫”」

それでも振り落とされる腕を岡部は歯を食いしばって睨みつける
負けるかと 負けてなるものかと

岡部倫太郎は知っている。自分が弱いことを
何度経験しても慣れない
何度戦っても怖い
何度死にかけても強くなれない
きっと、一生この弱さと共に生きていくんだろうと

それでも耐えてみせる 彼女達が助かるまで
もしかしたらその間にマミが助けに来てくれるかもしれない
キュウべえが来るかもしれない
はやければ岡部も助かるかもしれない
それは希望的願望で楽観主義で現実逃避といえた
マミが来る可能性はあまりにも低く
キュウべえがきてもそれは彼女達がこの先戦いの人生を歩むことを意味する
「できれば」それは避けたい

もっとも、世界はそんなにも優しくは無い

「やだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

叫び、まどかがほむらの腕を振りほどいて岡部にむかって走りだしたのと

ぐしゃりっ

という肉が潰れた音が響いたのはほぼ同時だった
その音は 見たたとおり肉が潰れた音。聞こえたとおり肉が潰れた音
体をくの字に曲げながら背骨を折られ、そのまま地面に叩きつけられた音
まどかの叫びが岡部にすべて届く前に














            「コルノ・フォルテ」




ただ、それよりも先に聴こえた静かな声が魔女の体を潰した音

「え?」
「「なっ!?」」

まどかが驚き、岡部とほむらは戸惑う
魔女を潰したのは闘牛のようにデカイ鹿・・・・・だろうか
上から、岡部のように空から降ってきた新たな異形
猫の魔女を叩きつぶし暴れる魔女をズンッ!と踏みつける

とん 岡部の前に先ほどの声の持ち主が空から降りてきた
その声は

「シャイニング・・・・・フィンガー・・・・」
「ユウリだ」

金色のツインテール
血の様な、紫とも赤ともいえる色彩を主体にした衣装
三角の尖がり帽子 手と足に赤と白のシマシマのリストバンドとハイソックス 水着の様な体にピッチリとしたボディースーツ 両腰を包むようにおおきな花をつけたスカート状のものが二つ 全体的にまだ幼さを残す容姿に関わらず確かな意思を宿した鋭い瞳

「言ったはずだ、危ないから近ずくなって」
「・・・・・・そうだな、せっかく忠告してくれたのに・・・な」

彼女は、飛鳥ユウリは岡部に告げる

「ユウリの知り合いみたいだから忠告したのに・・・・・無視してこのざまか、私とは違う力を使うみたいだけど――――弱いな、お前は」

金色の輝きを放つソウルジェム
インキュベーターと契約した魔女を狩る奇跡の使い手
魔女と違い、呪いではなく希望の奇跡を担う者
『魔法少女』
戦いつづける人生を背負う人間
その少女は今だに地面に倒れ伏している魔女に背を向けボロボロの岡部を―――身長の差により―――見上げ、告げる、お前は弱いと
その言葉に岡部が苦笑する

「しってるさ、嫌というほどにな」
「そう、無様ね」
「くく、厳しいな」
「真実よ」
「違いない」
「ボロボロね」
「弱いからな」
「当然ね」
「おまけに臆病だ」
「男のくせに」
「しまいに何度繰り返しても一人じゃ魔女の相手は慣れない」
「情けない」
「まったくだ、基本的に一人で戦うお前達を尊敬するよ」
「他の連中は知らない、私は一人で戦うわ」
「強いな」
「お前らが弱すぎるんだ」
「おまけに可愛い」
「―――ふん、ユウリだからな」
「ときに指圧師よ、お前は自分のことをユウリと呼ぶのだな?」
「―え?ちがっ、ユウリは私ってちゃんと、私はユウリの―――――あ?」
「ん?意味がわからんぞ、ちゃんと日本語で頼む、今血が足りなくてな」
「うっうるさい!だいたいシアツシってなんだ!?」
「くくく、一人称が名前と言うお子様なお前に教えてやろう、お前のニックネームだ」
「ユウリの?き、聞いたこと無い」
「まあこの世界線でまだ知りあってないようだし当然だな」
「?意味が解らないぞ、お前はユウリの何なんだっ?私はユウリからお前みたいな奴の話は聞いたこと無いぞ」
「・・・・・・なんか文面がおかしいぞ?」
「ふぇ?」

まどかとほむらが呆気にとられるなか岡部とユウリは視線を合わせながら話す、会話に飢えていた人間同士がようやく話し相手を見つけたように、互いの存在を確かめあうように
実際それに近いのかもしれない
岡部倫太郎はこの世界線に来てから魔法と言う存在を知る者とまともな接触をとれていない、通常通りなら暁美ほむらがいた。しかし彼女はまだ魔法少女でも魔法の存在も知らないし(先ほどの様子から現段階は解らないが)、巴マミとは何の因果かまともに話ができない・・・・・世界線の収束だろうか?魔女のこと、未来を勝ち取ることの相談を誰にもできず過ごしてきた、わずか二日とはいえほむらが魔法を知らない状況に焦りがあったのも確か、もしかしたら巴マミすら魔法とは関わっていないかもしれない。ゆえにこれまでの世界線漂流に出会えたことはほとんどないが、それでも自分の知っている敵では無い魔法少女に出会えたことは嬉しかった。
飛鳥ユウリ、彼女は正確には飛鳥ユウリ「本人」では無い、本名は「あいり」。岡部が知る飛鳥ユウリとは別人。彼女はある事情により魔法少女になった、その願いが「ユウリの命を引き継ぐ、私をユウリにして」という内容で彼女はユウリになった。しかしそれは「ユウリ」でも無く「あいり」でも無い存在、ユウリが生きがえったわけでもなく、しかし姿はユウリのどっちつかずの存在、ユウリの家にはもちろん、自分の家にも帰れない。周りは誰も信用できず日々魔女を狩り、同じ魔法少女とは敵対の関係、そんななかユウリ、自分のことを――たとえそれが「あいり」のことではないけど――知っている人物にあえた。それも魔法関係で、興味が無いといえば嘘になる。

「とにかくなんでもないん――――」
「くるぞっ!」

だらだらと会話していると牛鹿の異形に潰されていた魔女が潰されながらもユウリに腕を、その爪をむけてきた
ボッ!と、もはや今の岡部には視認できない腕の伸縮による攻撃を彼女、魔法少女のユウリは

「コルノ・フォルテ」
『―』

ズンッ!

その一声にまるで重量がましたかのように牛鹿がさらに魔女を地面に叩きこむ
それにより魔女の腕はユウリに当たらずユウリのすぐそばの地面に刺さる、命中することはなかった

ズンッ!ズンッ!ズンッ!

牛鹿が魔女を地面に叩きこむ度に8本の腕が牛鹿を、ユウリや岡部を攻撃するが牛鹿はまったく意に関せず、ユウリはいつの間にか出現していたショットガンで魔女の腕の軌道を逸らす

「・・・・・・器用だな、普通は壊れるかと思うが」
「軌道をそらしているだけ、それにそれほど速くない」
「・・・・・・・・・」

ユウリの言葉に岡部はまた苦笑する
岡部はユウリの魔法少女としての姿を見たことが無い
彼女には魔女との戦闘の際死にかけていたところを助けてもらった
その頃の岡部にはまだこの世界に『因果』がなく、まどかの幼馴染という肩書も無くただ携帯片手に魔法少女と魔女の調査を行う日々だった
その際岡部は気絶していてそのまま彼女に介抱され、その礼に宿にしてた廃墟で食料と寝床を提供し、3日ほど共に過ごした程度の関係だ
それっきり、しかしあだ名、それも元の世界のラボメンと同じ閃光の指圧師【シャイニング・フィンガー】の称号を与えるほどの仲はあった
彼女の力は治癒 その際掌が輝くのでそれが決め手だ

「俺の知り合いの魔法少女が強いのか、それとも基本これぐらいが普通なのか悩みどころだな」
「どういうこと?」
「俺の弱さを再確認したってことだ」
「・・・・・・・ほかにもいるんだ」
「なにが」
「魔法少女の知り合い」
「こっちの一方的な知り合いだがな・・・・・そういう意味で言えばお前が初めてだ」
「?」
「この世界線でのファーストコンタクトはお前だ」
「世界線?・・・・・・ううん、どうでもいいよ」

鋭すぎる目つきを一時的に年相応な、くりっとした目にしてたユウリは思い出したように会話を断ち切る
たん! 地面を蹴る軽い音
しかしそれでユウリは魔女の頭の方まで跳躍した
そこには ひゅー ひゅーと息が絶え絶えな魔女の顔

『――』
「さようなら」

ジャコンッ!        ドンッドンッドンッ!!

ショットガンのレバーを引く音と次いで銃特有の発砲音と火薬の臭い
ここからは牛鹿の影になって見えないが魔女の頭が破裂したように見えた
同時、景色が揺らぐ

「なっなに?」
「落ち着けまどか、心配無い。こんどこそ終わった、帰れるぞ」

魔法少女の手にかかれば本当に一瞬
己の弱さを岡部は噛みしめる

(しかたがない・・・・といえばその通りだが・・・・・な)

揺らぎが消えた時、岡部達は駐車場にいた

「駐車場?・・・・・ああ、だから落ちたのか」
「私達がいたのは三階だった」

ユウリの言葉に岡部は頷く、岡部がユウリの忠告を無視し結界に飛び込んだ際、場所は巨大な棚の上だった。まどか達を探すためあたりを捜索しながら武器(ハサミ)を調達、恐らくあの魔女の結界は駐車場から三階付近までを覆ったんだろう。まどかの声が聞こえなければさらに捜索に時間がかかるほど巨大だった。もっともその巨大さのおかげで結界の存在に気付いたが、結果はだけみれば巻き込まれた人間は多いがまどか達は無事だ。同情はするが見知らずの人間に今の岡部は力不足だ、割り切る。

「指圧師よ」
「ユウリだ」
「嫌なのかっ!?」
「ん」

頷かれた。
ガーン!
岡部は項垂れる
「ああ、あのときは喜んでくれたのに」とか「これが世界線移動による改変の影響か」とか「そういえば性格が怖くなって」とぶつぶつ呟く、
落ちているグリーフシードを拾いユウリは岡部の元に近づく

「ねえ名前教えて、憶えてない」
「くっ、仕方が無い。あだ名はいつかまた定着させてやる」
「断る」
「俺の名は――――」
「オカリーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!」
「ごふぉっ!?」
「ちょっ?まどか危ないよ」

ユウリに名を告げようとした瞬間まどかが腰に突っ込んできた
限界に近い体力に不意打ちでのタックルは効果が絶大で岡部はそのまま地面とディープなキスをすることになった
ほむらはそんなまどかに注意するが時すでに遅し、さやかの容体を確認することにした
岡部はユウリの足もとで痛む体をなんとかひっくり返しお腹の上に馬乗りになったいるまどかに声をかける

「いきなり何を――――「オカリンのバカーーーーーーーーーーーーッ!!」」

まどかの大声に台詞を失う岡部

「オカリンのバカバカアホ、スケベエッチ変態女たらしっ!」

馬乗りになりながら、まどかは岡部の胸に握った拳を何度もぶつける
ぽかぽかと、それはとても相手に苦痛を与えることはできないほど弱く
でも傷ついた岡部には少なからず痛みを与え
それ以上に、体以上にまどかの顔をみると心がいたんだ

「あほ・・・ばか・・・ぐすっ・・・・う・・・く・・・・ばかぁ」

ぽろぽろと岡部の胸に大粒の涙が零れ落ち続ける
ぽかぽか叩いていた手はいつしか止まり白衣を握りしめ、まどかは岡部の胸元に顔を乗せしゃくり続けた

「・・・・・・心配をかけた・・・・すまない まどか」
「ほんとうに・・・・しんぱいしたんだから・・・・」
「ああ」
「オカリンがし・・・・しんじゃうかもって」
「大丈夫」
「けがっ・・・いっぱい」
「もう塞がってる」
「くるしそうで・・・・・」
「明日には元通りだ」
「わ・・・わたしっ・・・・なにも、なにもできなくて――」
「そんなことないさ」

岡部は胸の上で泣き続けるまどかを抱きしめ髪をそっと撫でた
右腕は感覚を取り戻しつつあるがまだ動かせない
だから左腕をまどかの背中に乗せながら桃色の柔らかい髪に指をとおし、くしゃくしゃと、できるだけ自分が生きていることを伝えられるように
泣き続ける優しい幼馴染を安心させるように

「まどか」
「・・・・・なに、オカリン」

髪を撫でていた指を耳の裏に移動させ、まどかの耳を形を確かめるようになぞる
まどかはその感触がくすぐたかったのか ん、と押し付けていた顔を横にずらし問う なに?と

「あたたかいな」
「・・・・・うん」

小さく頷いたまどかの、耳から頬に指をさらに移動させ、その温かさと柔らかさに笑顔を浮かべ、岡部はまどかの目尻にたまった涙を拭き取りながら伝える

「あのとき俺を呼んだだろう?その前に魔女に立ち向かっただろ?そのどれもがなかったら俺は間に合わなかった」

今だ興奮収まらない体にその手の感触は心地よかった ぐりぐりと無意識に擦りつける
まどかは頬に感じる感触に身をゆだねながら彼の言葉を聞く
怖かった 動けなかった ただ泣きながら震えているしかなかった
さやかとほむら
二人の友達がいなかったらきっと殺されてた 壊れていた
だからそんな二人のために動くことができて嬉しかった
動くきっかけを 行動の選択を与えてくれた彼に感謝していた

「お前は逃げてもよかったのに、戦った。魔女相手に、その身一つで・・・・・俺ですら借り物の力に頼っているのに」

その彼が認めてくれている まるでさやかとほむらのように立ち迎えたと
褒めてくれた
それが嬉しくて嬉しくて涙がまた零れ始めた

「私なんかが・・・・・・奇跡だね。でもそれはオカリンが―――」
「違う。奇跡なんかじゃない、『そんなもの』じゃない」
「え?」

まどかの体を支えながら岡部は身体を起こし床に座り、頬を撫でる指で顔を上げさせ視線を合わせる

「お前は戦って戦って戦って戦い続けた、だから―――――――だから俺が間に合った。そこにはお前の意思があった。お前の勇気がなければ確実に誰か死んでいただろう。そうなっていたらきっと俺は泣くぞ、そして呆気なく魔女に殺されたんだろう、そうならなかったのはお前が、まどかがいてくれたからだ」

岡部は伝える

「それは奇跡なんて偶然の産物じゃない、奇跡なんて与えられたもんじゃない。お前が自分の意思で、行動で俺達三人を守ったんだ」

―――がんばったな まどか

「無理かもしれない、無茶だったかもしれない、でも絶対に無駄じゃ無かった」

それはこの場にいる全員にいえる
さやかも、ほむらも、まどかも、岡部も、誰か一人でも諦めていたら、動くことができなかったら、きっとみんな死んでいたから 誰も諦めなかった 戦った だからここにいる

その言葉を聞いてまどかは岡部の首に腕を巻きつける
震える唇ではうまく言葉を発せる事ができないから
できるだけ正確に伝えるために近づく

「・・・オカリンは」
「ん」
「もう・・・・無茶しないで」
「無理だな」
「う~・・・・・こういうときは頷くんだよ?」
「普通はな」

お願いを即答で断られた、もっともそれは予想していた 知ってるから
彼はきっとまた傷つくんだろう 死にかけるんだろう
私が心配してもきっとやめない 泣いても 怒っても
彼が戦う理由はきっと誰かのため
あの二人のように 彼もまた優しい強さをもっているから

「俺は狂気のマッドサイエンティストだからな」
「うん知ってる」              ―――そう彼はマッドサイエンティスト
「だからこれからもきっと無理もするし無茶もする」
「うん」                  ―――そして
「だからまたまどかに心配をかける」
「うん」                  ―――いつだって
「でもちゃんと帰ってくるよ」
「うん」                  ―――どんなときだって

体を後ろに傾ける 彼が支えてくれる     ―――私を助けてくれる
互いに笑顔をむける

「たたいま、まどか」
「おかえり、オカリン」           ―――私達を助けてくれる

『正義の味方』なんだから

「大好きだよ、オカリン」
「俺もさ、まどか」
「うん、知ってる。幼馴染だもん」










微笑ましい家族愛を展開しているなか


「大丈夫よ美樹さん、空気扱いされてても私達はまどかの親友よ。あとであの男は然るべき罰を与えるわ」
「人の足下でなにやってるの?結局名前はオカリンでいいの?ばかなの?しぬの?」
「「「え?」」」
「え?」













前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.04341197013855