家に帰ると、お父さんが鬼の形相で待っていた。お母さんと、心配そうな顔した浩太までいる。うん、一方的にやっぱり泊まりは一か月にします、携帯連絡通じませんは怒るよね。
「萌子、お前、年上の恋人が三人もいるってどういう事だ。お父さんに紹介しなさい!」
「あ、あはは……なんで知ってるの?」
「萌子、お母さんは萌子をそんな子に育てた覚えはありませんよ!」
「だ、だーい丈夫だって! 三人ともいい人だから」
「萌子っ!!」
「萌子!!」
二人に同時に怒鳴られて、私は肩をすくめる。仕方なく、私は集合写真を出した。
それを見て、母さんが顔を輝かせる。
「なんて……美形!」
「えへへ、でしょう? 遠距離恋愛でね。一年に一度、一緒に遊びに行くのが精々なんだ。お互い、詳しい事は教えない様にしてるの。あ、もちろん、物やお金のやりとりとかも無いよ!」
「それで、ちゃんと清い仲なんだろうな」
心配したお父さんの言葉に、私は顔を赤くした。
「や、そりゃ、まあ……。全部曝け出せる仲ではあるけど、そんな生々しい関係じゃないよ。そこまで持ち出すと、関係が変わっちゃいそうだし、うん……」
「じゃあ、友達なのね? もったいないわー。一か月も何してたの?」
「お前!」
お父さんはお母さんにストップを掛ける。
「勉強を教えてもらっていたのです! エルーシュ、あ、これはネットで使ってる名前なんだけどね。凄く頭がいいの。私ももう二年生なんだし、受験に備えて、ね。といっても来年の夏休みは遊び倒す予定だけど!」
「まああ。お母さんに、どんな人達なのか教えて?」
「僕も知りたい!」
その日、私は何とか危機を乗り越えて楽しく会話する事が出来た。
問題は、学校である。
雅が私の机の所にやってきて、大声で言い放ったのだ。
「お願い! 櫻崎さん! あの金髪碧眼の素敵な御方の名前を教えて下さいませ! さ、三人も恋人がいるんですから、その一人の名前を教えて下さるぐらいいでしょう?」
ざわっと教室がざわめく。
「あ、あの、雅、落ち着いて……貴方には好きな人が他にいるはずよ、そうでしょう?」
「嫌ですの! 大勢の内の一人なんて! 何人にも思われるなんて、卑怯ですわ、ずるいですわ、お名前と、御趣味と、好きなタイプと、好きな食べ物と、普段の写真でいいですから!」
「多いよ! ……まあ、写真くらい渡してあげてもいいけどさ」
私が写真を取り出すと、雅は奪い取る。
クラスメイトが寄ってきて、その写真を見て声を上げた。
「すげー!」
「かぁっこいい……」
「やだ、凄い大人な人ばっかり……」
「それで、本命は誰ですの!?」
すごい剣幕で言ってくる雅に、私はつい、ぽろっと言ってしまった。
「カリュートかな……」
指差したのは、陰気な男。
雅はあからさまにほっとした顔をして、クラスメイトは驚きの声を上げた。
「な、何よ! カリュートって、凄く頼りになって格好良くて、それで……」
「それは全員でしたわ」
「ま、まあそうだけど……」
その後、当たりさわりのない話をする。どうしよう、一年後の密会に雅がついてくる勢いだ……。
でも、久々のクラスメイトとの会話は楽しかった。
その後、授業を受けていると、急に空が暗くなった。
『ホーピアスの祝福を受けた人間に告ぐ! 今日、三時間後に森が丘公園で決闘をしよう。もしも来なければ、女を一人ずつ浚っていく。まずは萌子、お前だ』
嫌な事に、フラグはしっかりと立ってしまっていたらしい。私は、ゆっくりと立ちあがり、準備をする。
「あの、萌子さん、まさか……」
「戦わないと浚われちゃうみたいだから、行きます」
私は先生に告げ、教室を出る。
準備の時間があるのは有難い。
私は着替えをして、その上を覆うように夢想石の衣服をまとい、公園に向かった。
「うええ。やっぱりマスコミが来てる」
「あ、また一人、祝福を受けた者らしき学生が来ました! ゲームに出てくるような可愛らしいローブの上に薄いカーディガンを着ています!」
「お姉ちゃん!」
アナウンサーが喋り、浩太が走って来る。
「こらっ浩太! 危ないから、帰りなさい」
「嫌だっお姉ちゃんが戦うのを見てる」
まあ、白閃もいるからちょうどいいか。
「気をつけて見てるのよ。お巡りさんが来てるわね。あの人の言う事をちゃんと聞いて、逃げろって言われたら逃げるのよ。それと浩太。こうなったらもう手遅れだから、事情がを聞かれたら話しちゃって構わないわ」
「う、うん……」
浩太の頭の上にポンと手を置き、私はダークに声を掛けた。
「随分派手な真似をしてくれるのね、ダーク? 今度こそ、約束してくれない? 貴方を倒したなら、ホーピアスから手を引くって」
焚かれるフラッシュ。
ダークは、目の覚めるような笑みを浮かべる。
「ああ、来たな。萌子。恋人三人衆はどうした」
「あの人達は、一年に一度しか会えないの。ロマンチックでしょ?」
「あの三人なしで、この私に勝つつもりか?」
「勝つわよ」
私は魂具を出す。やたらと短い双剣……ううん。短剣が私の魂具。名を、双牙。
一見すれば弱そうにしか見えないそれに、ダークは、面白そうな顔をした。
「ほう……なるほど。それがお前の本来の武器か。萌子、お前は会う度に、違う面を見せてくれる」
「魅力的な女でしょ?」
「くくく……全くだ。すぐにでも組みふせたいが、役者がそろうのを待とう。正々堂々、力強き乙女たちを物にしたい」
よりすぐれた女を浚い、一族全体でかわるがわる孕ませてよりよい遺伝子を持つ子を生みだすのもダークの役目なのだ。こちらとしては、溜まった物ではない。
「ねぇダーク、それで、約束の件はどうなのよ」
「そうだな。私を殺せば、部下達は撤退するだろう。それで満足か?」
「……復讐に来たりしない?」
「それはないさ」
そうしている間にも、人は集まって来る。
雅が、柊君が、仲間達が集まってきていた。
「ダークを倒せば部下が撤退するそうよ。そう言う事で私はダークを狙うわ」
「気をつけろよ、萌子」
柊君の言葉に頷き、私は双牙を構えた。
引き絞られるように、飛び出して行くと、皆が目を見張る。
身体強化と剣技の魂具だ。
双牙はダークの変わった形の剣と真正面から激突した。
受けられたらこちらの物! 雷の宝玉!
双牙から雷撃を発生させると、剣を弾き飛ばされる。
「……驚いた。この一か月で、何があった?」
「ああ……手を抜いてたの、わからなかった?」
不敵に笑って見せれば、何故かダークはごくりの喉を鳴らした。
双牙で切りかかり、謳うように呪文を唱える。夢想石で作った雷の雨で、邪魔をする。
出し惜しみしない。私はそう決めた。
闇の触手でダークの足を掴み、私は思い切りダークに切りかかった。
明らかな手応え。
けれど、それはダークの腕を裂いただけだった。
「私を……傷つけた……だと……? は、ははは……ははははは! よもや、こんな極上の女がいるとは思わなかった。しかもその力、夢想石だけではないな!? 未知の力! 萌子! お前は絶対捕えて見せる!」
エイリアンの一部が、のんきに見ていた野次馬に向かった。
狙いは、浩太!
でも、私は決めた。出し惜しみしない。
「白閃」
浩太の影から出た小さな竜が、可愛らしい口を開ける。
そこから出るのは、凶悪な光のレーザー!
「やだ、アキレス腱をそのままにしておくと思った? ダーク、貴方、私がそんなにずぼらな女だと思っていたの?」
そう言って見せれば、エイリアン達が歓声を上げた。
明らかに欲情に濡れた瞳と、言葉がわからなくとも感じ取れる卑猥な野次。
追いつめれば追いつめるほど、ダーク達のテンションが上がって行くのは何故だろう。
「まあいいわ。貴方好みじゃないし。この場で首を落とさせてもらうわ」
双牙をしっかりと握りしめ、走る。
激闘は一時間ほど続いた。そして、ダークの上に馬なりになり、双牙を振りあげたその時、お巡りさんの声が私の耳に届いた。
「君! 待ちなさい! その男は重要参考人として国で預かる!」
私はため息をついた。殺人罪にされては、浩太が大変な目に会う。
「命拾いしたわね、ダーク。でも、負けたんだから手を引きなさいよ」
「ああ、ホーピアスからは手を引く」
ダークは素直にそう告げて、警察の人しょっ引かれていった。
柊君達が、駆けよって来る。
「櫻崎さん、凄いよ! いつのまにそんなに強く!?」
柊君のキラキラした瞳に、私は引く。あのエロゲの内容を知って以来、柊君は苦手だ。今も順調に進んでいるなら、雅以外の全員と肉体関係にあるはずなのである。
「女は秘密を持って美しくなるのよ。ま、夢想石数個使っただけなんだけどね」
一応、そういう使い方が出来ない事も無い。適当に嘘を言って、私達は政府の人達に保護された。
……ここまで大ごとになると、しょうがないよね。
私達は精密検査を受け、警察に簡単な尋問を受けた。
と言っても、悪い事をしたわけではないので、取調室に閉じ込められて……と言う事はない。その代り、子供達だけで危険な事をしていたと、凄く怒られた。
お父さんとお母さんも来ていて、説教は深夜まで及んだ。
翌朝、起きるとアパートがまたしてもマスコミに取り囲まれており、私はため息をついた。
この分だと、学校も危うい。今日はテストだから、絶対にさぼれない。
私は両頬を叩き、気合を入れてドアを開けた。
「学校に行くんだから、通して下さい!」
「ぜひインタビューさせて下さい!」
「それは学校のテストが終わった後で、リーダーの柊君に言って下さい!」
「それはないでしょ。相手の首領と話していたのは君だよね?」
「私達、学生です。学業優先ですから」
ぐいぐい人の波を掻きわけ、学校へ着いた。
クラスメイトが集まって来るのに、手を合わせて断る。
「悪いけど、テストで良い点取らないと内申がやばいの。わかるでしょ? 私、留年してるし」
そして、勉強に集中した。
数学はエルーシュに教えてもらったが、数学や物理以外にも、国語や歴史、政経、英語と色々な科目があるのだ。
翌日。不良っぽい人に絡まれた。
「お前、色んな奴と付き合ってるらしいな。俺らも楽しませてくれよ」
「あのね。エイリアン相手とは言え、殺しをした事のある人間をナンパする事が出来るなんて、脳みそお花畑なんじゃない?」
「なんだと!?」
殴りかかろうとした不良の真横に雷が落ちて、不良は腰を抜かした。
どうやら、好ましくない形で私の噂が広まっているらしい。
学校で、雅が話しかけてくる。
「あ、櫻崎さん! 大変でしたのよ。昨日の放送、酷いものでしたわ。櫻崎さんを攻撃するような事ばかり……。しかも、マスコミの方達、インタビューを受けないから、どんな子かわからないし真実を流してるだけだって。しかも、私達に対してもインタビューを受けなければそういう放送をするって脅すような事を言うんですのよ」
「そうみたいね。そういうやり方、好きじゃないわ。まあ、その内飽きるでしょう。ねえ、雅。私は貴方に雇われているから、忠告するわ。そういう方法を使ってくる人達って、何してくるかわからないから気をつけた方がいいかもしれない。盗撮とかは平気でしてくると思うわよ。柊君達とか、まずいんじゃないかな」
私が言うと、雅が頷いた。
「ええ、気をつけるように言っておきますわ」
それから一か月。私はインタビューを断り続け、女の子達はアイドルにスカウトされたりした。雅は断っていたけれど。マスコミは騒ぐ一方だが、私はそれを無視し続けた。
そんな時、私は警察に呼ばれた。そこには浩太と、にやにやしたマスコミの人もいた。
「どうかしましたか?」
「ああ、君の夢想石? の作りだした竜が、人を襲ったんだよ」
おまわりさんが、苦笑して言う。
「精々威嚇射撃でしょう? それも、正当防衛の」
「まあ、そうなんだが……ほら、君の竜は少し強すぎるだろう?」
「力の加減ぐらい教えてあります。正当防衛で非難される筋合いはありません。正当防衛の範囲を過ぎているというなら、前例と法的根拠を示して下さい。そもそも白閃が怪我をさせたんですか?」
「いや、しかしね……」
「話はそれだけですね。行きましょ、浩太。今度、変な人が近づいてきたら、ちゃんと110番するのよ」
「うん、お姉ちゃん」
「おい、調子に乗るなよ。今回の事、報道してもいいんだからな!」
マスコミの人が脅すように言う。
「どっちにしろ報道するつもりでしょう? その上、警察で脅しですか? 一般人だから訴えられないと思ってるんでしょうけど、浩太にまで手を出すなら裁判を覚悟して下さいね」
「この人達、僕をむりやり車に入れようとしたんだ」
私は、冷たい目でマスコミの人を見つめた。
「お巡りさん。浩太はこう言ってますけど。ちゃんと両者の意見を聞いたんですか?」
「どういう事ですか? 私には、インタビューを迫ったらいきなり竜がレーザーを出したっていいましたよね」
「もちろん、目撃者の話を聞いてくれるんですよね。私だってわざわざ呼ばれて調べられたくらいだし」
私が畳みかける。
「お嬢さん、お嬢さんからもお巡りさんに言ってもらえないかな、なんでもありませんて」
そして、そっとアイドルになった女の子が奉仕させられている写真を見せる。
私はさっとそれを取り上げ、お巡りさんに見せた。
さすがに私がそんな行動をするとは思わなかったらしい。
「すみません、たったいま、私は脅されました。これ、証拠写真です。どうみても犯罪ですよね、この写真。実は私達、インタビューを受けなければ酷い報道をするって言われてたんですけど。アイドルになった子達って、騙されるか脅されて皆こんな事させられてるのか知りたいんですけど。少なくとも浩太を人質にとって私にこう言う事させようとしていたのは確定ですよね?」
「これは……! ちょっと話を聞こうか」
「い、いやこれは……!」
さすがエロゲ世界。罠はどこにでも転がっているのね。白閃は絶対に浩太から外せない。
私もその子に悪い気はしたが、正直ここで言う事を聞いたら私まで泥沼である。
私が守れるのは浩太だけだ。
後日、学校に調べが入り、結構な騒ぎとなった。
割と大きな犯罪が明らかになり、何故か個人が悪い事になり、私の叩き報道は加速した。
被害者の女の子に対する報道も酷い。
柊君と雅は仲間の女の子達を守る事が出来なかった事を酷く落ち込んでいた。
「俺達、善い事をしていたはずなのに、どうしてこうなるんだろうな……」
「まあ、世の中、力より権力って事ね。柊君、女の子達、しっかり守ってあげなさいよ。口封じあるかもしれないし」
「!! そんな……」
『僕達も守るよ。君達には助けてもらったからね』
ホーピアス達が言い、それぐらいはしてもらわないとね、と私は呟いた。
『とりあえず、犯罪の証拠映像流してみちゃう?』
「あら。意外と頼りになるのね。それなら、毒牙に掛かる前に助けてあげればよかったのに」
『まだこの星の犯罪基準は勉強不足なんだ。教えてくれればその映像を流すよ』
「柊君、お願い」
「あ、ああ。やってみる!」
こうして、報道合戦が始まった。
私達ホーピアスの祝福を受けた者たちに危害を加える者の犯罪映像を放映したのである。
二、三ヶ月不審者に襲われたりだの報道の叩きだの脅しだのがあったが、私達は励まし合って撥ね退け、ついにホーピアスとその他の勢力に休戦協定が結ばれた。
その間に私達は三年生になった。これだけ色々あって退学にならなかったのは、ホーピアスの根回しのお陰である。
ようやくマスコミにつけまわされる事の無くなった私は、浩太と雅を誘い、深夜、某アニメ会社に潜入していた。と言っても、会社の前の広場に来ただけだけど。
「ここで何をしますの?」
「ふふん。見てなさいよ」
魔法の鞄から大きなSGRを取り出し、「ファンです。受け取って下さいV」とプリンタで書かれた紙を張り付け、私は言った。
「逃げるわよっ」
「え、ええ!?」
「すごーい。でかーい。本物のSRG?」
翌日、思った通り凄いニュースになった。
試しに乗ってコックピットを面白半分にいじっていたら動いたとの事で、慎重に一度解体・研究される事となったらしい。
エルーシュへのいい土産話になりそうだ。
さらに、テレビでは捕虜になったダークに対する観光案内や、オタク文化と言う事でSGRの紹介など、色々されていた。
その後、ダークへのインタビューが行われる。
『我々の目的は新たな可能性の探求だ。ホーピアスは諦めるが、我らと戦った戦乙女達はぜひ、我が星に来て子を産んで欲しい。強い女は強い子を産む。だから、強い女は何よりも尊ばれる。特に私に勝った萌子には、複数の部族が求婚に来るだろう。このSGRについてだが、これもまた興味深い。これはエルスの部族が調査に来る事になると思う。これを作った者が年頃の女なら、求婚が為されるはずだ』
……ちょっと待て。
ホーピアスからは手を引くけど、私達からは手を引かないって事?
ぬかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
結局、地球で色々と報道されてしまった子達は、地球にいる事に耐えられずにダークの所に嫁入りする事になった。
犠牲にならなかった子も一人いるので、柊君には彼女だけで我慢してもらおう。
政府間で話がとんとん拍子に進んでいるので、私には今更止めようも無い。
私の手は、浩太しか守れないのである。
一応、雅には絶対にエイリアンに嫁入りするなと言っておいた。
私の所にはまたマスコミと、今度は政府関係者まで日参するようになった。
曰く、嫁に行って異星人外交の礎になれと。
絶対に嫌である。
……逃げちゃおうかな……。でも浩太がいるしな……。
一応、高跳びの用意はして魔法の鞄につめているが、踏ん切りがつかない。雅もフーデルにプレゼントなんて買って、一か月お泊まりセットと共に私の鞄に詰めてるし。
夏休みが始まる直前。悩んでいた私は、学校の上を飛ぶ円盤達に気付いた。
多い、多いよ!
しかもダークより強そうな人が続々と!
「先生! ちょっと大変そうなのでちょっと長い夏休みに入ります!」
私は白閃を呼び、教室を駆け出る。足早に走りながら、両親に謝罪のメール。
雅もまた、走ってきた。
「大丈夫ですの!? いっぱい来ましたわよ!」
「ちょっとカリュート達の所に高跳びするわ」
屋上につくと、近くの小学校から、白閃に引っ掴まれて浩太がやってきた。
「浩太! ごめん、一緒に来て。カリュート達の所」
「ほんと!? 僕会いたい!」
「フーデル様の所なら私も行きますわ!」
雅はしっかりと私に捕まって離さない。
ああ、やっぱりこの展開。
「後悔しても知らないからね、雅!」
そして私達は、この世界から消えた。
とほほ、いつ戻ろう……。戻れるのかな……。