凛とまどかを包み込んだ桃色の光の中を掻い潜りランサーへ向かって一本の矢が飛来した。
その矢はランサーでは無く、その光を放つ杖へと一直線へ向かい魔方陣に当たるとその魔方陣の向きを僅かにずらす。
「やるね!」
確かに魔力量の桁違いからまどかの矢では押し返すすべはない。
だが、物量で時間稼ぎ、光線を放つ杖にホーミングして矢を放つ事で狙いを逸らす事なら可能だと瞬時に判断したのだ。
そして、逸れたのを目視で確認するとまどかは素早く凛を拘束する輪を射ると校庭へと飛び降りる。
「なんなのよ! あの拘束! 魔術回路に魔力が流せないし、力も入らないしあの子の能力?」
「わからないけど、真正面から戦うのは危険だと思う……でも、向こうも簡単には逃げられそうにはないね」
そう凛に告げるとまどかは急いで背後のランサーの方を振り向いた。
まどかの目線の先には膨大な数のスフィアを待機させてまどかに狙いを定めているランサーの姿が目に入ってくる。
それに対して、まどかも弓を絞り小規模な魔方陣を展開して対抗する。
「面白い魔法だね! 膨大な量のホーミング性能の矢を放てる弓……でも、それだけじゃないよね?」
なのはがこの戦いを楽しむように笑いながらそう尋ねるが、まどかは首を横に振りそれを否定した。
「私に出来るのはコレだけ……貴方みたいに、多種多様の魔法が使える訳じゃ無いから」
「まどか! 何で手の内を明かすのよ!」
背後で凛がまどかに呆れながら叫んだ。
手の内が弓しかないことを晒せばそれだけ接近戦に不利だという事を教える事になる。
特に目の前にいるランサーは推測でも中遠距離型……どう考えてもレンジでは分が悪いからだ。
だが、そんな凛の言葉は矢とスフィアの衝突による爆音でまどかには一切届かない。
拮抗し、激しくぶつかり合い、粉じんが辺りを覆い隠す。
そんな中でそのスフィアの嵐を掻い潜ったまどかの矢がランサーの背後から飛来し、ランサーを襲った。
しかし、その死角からの攻撃をまるで視えていたかのようにランサーは身体を逸らせるだけで難なく躱して見せる。
その際にランサーは僅かにまどかから目を逸らしてしまう。
その僅かに視線が逸れた隙にランサーへ向かってまどかは走り込んだ。
互いの距離が縮まったことにより発射から、被弾までの時間が徐々に短縮され、まどかの矢がランサーのスフィアの生成量を追い越し、拮抗は崩壊し始める。
その状況にまどかは戦況が傾いた事を確信すると矢を放ちながら、ランサーに向かって懇願した。
「私は誰も傷つけたくない! だから、退いて!」
「言ったよね? マスターによる命令だって! それに、これは聖杯戦争だよ? 最後の一人になるまで殺しあわないといけないの!」
そのランサーの答えに凛はすぐに令呪による強制の可能性が頭に浮かび上がった。
そうなると、令呪使用により本来の実力以上を発揮している可能性すらありうるのだ。
今のまどかではこの実力差を覆せないと判断した凛はここは生き残るためには令呪を使うべきだと判し、令呪を発動させようとする。
「学校から脱出……えっ! 嘘! なん、令呪が使えないの!」
だが、令呪は発動どころか一画も消費されることは無かった。
そんななかでランサーの保有する直観がここアーチャー以外にも、サーヴァントがここにいると感じ取る。
それも、令呪の使用を阻害できるクラスの何か強大なモノが……
大き過ぎる気配にランサーは辺りへの警戒を強めるも気配以外には感じ取れずサーチャーにすら引っかからない。
だが、次の瞬間急速に魔力を奪われるる感覚にまどかとランサーは見舞われる。
それにより、魔力により構成されたモノは全て分解されてしまい、先程まで押していたまどかの矢とランサーは展開していたスフィアが徐々に消滅していく。
同じようにマスターである凛の持つ魔力もまた減少し始めていた。
「何なのコレ! まどか、何かわかる!」
「分からない……けど、何か不味い何かがここにいる……多分、この真下に……」
真下、そうなると地面の中だ。
確かに霊脈は流れているがここはさほど重要な霊脈ではない。
そんなモノが真下に本当にいるのかは疑問に感じてしまうのだが、本当に存在しているのならソレは今後の戦いの上で相当厄介な存在となるだろう。
だが、そんな事を考えているような暇などなかった。
その時、背後から小枝の折れる音が聞こえたのだ。
凛が振り返った先にいたのは衛宮士郎だった。
英雄達の人智を超えた死闘……
魔術師でもなくとも誰もが目を奪われる光景だった
そうたとえば
誰かがそこに居合わせてしまう可能性を忘れてしまうくらい
ランサーは即座に魔術師同士の暗黙の了解である目撃者排除にターゲットを変えて動き始める。
凛はそれを追いかけランサーを止めようとするが、魔力消費は少ないまでも別の要因での消費があってか少し弱ってしまっているまどかに無理をさせる訳にもいかず、ランサーを追うことは出来なかった。
そして、凛はまどかを抱えると一端、何かいるであろう学校の敷地を後にしてまどかの回復を待った。
衛宮side
なんなんだアレは……
ただ、これだけは分かる
アレは見てはならなかった
だから……
逃げなけば殺される……
そう考えると急いで、学校を飛び出した。
だが、そう簡単にランサーから逃げられる筈が無く、その存在に先回りされてしまう。
「ごめんね……私はこんなことしたくないんだけど……」
目の前に現れたのはどんなに見積もっても小学生高学年の少女なのだが、その子が持つ杖が先程の戦闘を行っていた人間であると証明していた。
そんな中で、自身の周りに何か違和感を感じた士郎は急いで右へ跳ぶ。
その咄嗟の判断にその少女は驚愕の表情を浮かべていた。
「嘘! バインドの位置が分かるの!」
バインドと言われても士郎には何の事か分からない。
急いでその少女の横を急いで通り抜けると良く分からないがバインドと呼ばれるものがあるであろう位置を直感を頼りに避けて走り抜けた。
「はぁ……はぁ……」
家に辿り着き、安心して座り込んでしまうがすぐにこんな事をしている場合では無い事を思い出す。
生きている以上は口封じのためにここへやって来る可能性があるからだ。
その時、背後に何か不味い気配を感じた。
その桃色の光線は士郎を包み込み、窓を破壊してそのまま庭へと士郎を放り出す。
そして、転がって倉の壁に叩き付けられた士郎に立ち上がる隙を与えず、ランサーは杖を突きつけた。
「ごめんね……」
泣きそうになるのを必死に堪えながら、杖の先に現れた魔法陣に魔力を通していく。
死ぬ……?
俺はここで死ぬのか……?
冗談じゃない!!
俺はまだ誰一人として救えていない
俺はまだ正義の味方になれていない!
衛宮士郎はまだ死ぬわけにはいかない!!
その時、左手の痣が輝き、蔵の中に紫電が走った。
マミさん道場
さやか「どうも!時報女こと、さやかちゃんでーす」
マミ「随分、吹っ切れたのね?」
さやか「気にしないでください!では、サーヴァント紹介行ってみよー!」
クラス ランサー
マスター 不明
真名 高町なのは
性別 女性
属性 秩序・中庸
筋力C 耐久A+ 俊敏C 魔力A++ 幸運A 宝具A+++
クラス別保有スキル
対魔力C
保有スキル
???
???
直感 A 戦闘時、常に自分に有利な状況を感じ取る能力
宝具
???? A+++
???? ???
さやか「マミさん? なんか、優遇され過ぎじゃありませんかね? Aばっかりじゃないですか!」
マミ「まぁ、根っからの主人公属性だし、参加メンバーの中で一番主役っぽいじゃない?」
さやか「まぁ……そうなんですが、ことごとく赤毛のお兄さんに魔法避けられてた気がするんですけど……」
マミ「あれは彼が世界の異常に敏感だからよ! 魔法陣の発動を直感的に感じて避けてたの!」
さやか「そうか……まぁ、いいや! ところで、なんで令呪が使えなかったんですか?」
マミ「それは後々判明するわ。ただ、使用不可になった訳じゃ無いから注意してね?」
さやか「へーって事は、まどかの言った下にいる何かの影響の可能性が大きいのか!」
マミ「そうなるわね? この聖杯戦争の中で最もイレギュラーな事よ」
さやか「まどか、生き残れるのかな? このキャラクター表見たら心配だよ……」
マミ「私達に出来るのは応援だけよ! それに、まだ宝具は使ってないわ!」
さやか「あれ? Zeroの必滅の黄薔薇は名前言わなかった気が……」
マミ「あれ? そうだったかしら?」
さやか「それに、まどかの弓って真名解放したらどうなるんだろ…………」
マミ「そう言えば、本来の能力失われて弱体化してたわよね…………」
END
追伸
あどかの真名解放は現時点では存在しません。
つか、Zeroランサーと同じと思っていただいて構いません。
あれ? なんか、まどかが他に比べて見劣りしてしまう……
キャスター、アサシン、ギルポジが異常なだけなんだけどねwwww
因みに、士郎君は活躍することになりました!
無限の剣製VS狭間の武器庫←名前は仮
夢の対決みたいな!
私的にはほむほむが好きです。
因みに、ほむほむは麻婆恐怖症です。
そのうち、その他版に移す予定