篠ノ之家に着いた。そこは問題ない。だが、
「この私が道に迷うとは!」
この篠ノ之家であるがかなり広い。ジャパニーズ武家屋敷のような風貌を見て感動しているうちに姉上に置いて行かれてしまった。気付いた時には一人で孤立無援状態。必死に走り回った挙句こんな醜態を晒すとは…
「ワンマンアーミーとも言われたこの私が孤立状態をさみしく思うとはな…」
致し方あるまい。次に見つけた部屋に入り、人に道を尋ねようではないか!
「ここか……」
次に見つけた部屋であるが、なんだか危険な香りがする。この軍人としての勘を信じるか、
「ええぃ!迷うなど私らしくもない!それに男に二言はない!」
次に見つけた部屋に入ると決めたのだ。ならばそれを実行しないでどうする!
「失礼!」
そう言って飛び込むと、そこにはウサギの耳がつき、ドレスのような服をきた少女がいた。その少女はパソコンの前で何かをやっている。
「なに、私は暇じゃない。さっさと出て行って」
「失礼と言ったはずだ。すまないが道を教えてほしい」
そう言いながら私は近づいて行く。ここで道が聞けなければ、また私は路頭に迷うことになってしまうではないか!
「はぁ?そんなの自分で考えれば。私が知ったこっちゃないね」
どうも、この少女は不機嫌らしい。理由などは知らんが。
「ふむ、それは困るのだ。早く姉上と合流しなくては心配されてしまう」
姉上は少し過保護なのでな、と付け加えて言い、ある程度近づいたところでそれに気がついた。
「なっ!MSだと!」
その少女のパソコンには機動兵器の設計図があった。
「MS?何言ってんの?これは束さん特製のISだよ」
「IS?ふむ…とりあえず、この部分の装甲はいらないだろう。それでは関節の稼働範囲が狭まってしまう」
「えっ」
そう言って私が指したところの設計を見直す。その様子はとてもではないがすごい速度のタイピングで、同時にこのISとやらが特製らしいからこの少女が天才だとこともわかってしまう
「本当だ…」
そう言った少女はしばらく驚愕していたが、しばらくするとこちらに目を向け笑顔になろうとした微妙な表情でまた止まった。
「こ、子供…」
「むっ、一般的に見ればあなたも子供ではあるが?」
「そ、そうだけど…じゃなくてどうしてここの装甲がいらないって思ったの?」
「いや、単に昔乗っていた機動兵器の基本構造を思いだしただけだ」
とりあえず、フラッグは試験機であったからな。構造はしっかりと把握してできる行動とできない行動、無茶がどれくらい通じるかも確認しなければならなかったからな、テストパイロットとして。
その他の機体の構造もカタギリがうれしそうに語るのでな…ある程度は覚えている。
「へぇ、まさに『中身と外見が合ってない』だね、おもしろいな~。なんでこの世界にいるのかな?かな?」
「まぁ、致し方あるまい。私は幸せになると誓ったのだからな。どこの世界でもどうでもいい」
「ふぅ~ん。まぁいいか。束さんでも流石に転生はわかんないし、どうでもいいしね。でも、君には興味があるな~」
「そんなことは、どうでもいい。この機体にぜひ乗せてもらいたい」
やはり私は生粋のMS乗りらしい。このような機動兵器を見たときセンチメンタリズムな運命を感じた。この気持ち、まさしく愛だ!
「う~ん。乗せたいんだけどね。ISって女性しか動かせないんだよね。それにこの機体はちーちゃんのだしね」
「なんと!」
まさに無念!私は乗れないというのか……………
「ならば技術顧問にしてくれ、私は生粋のMS乗りだが盟友のおかげで少しは詳しいぞ。それに私は機体にうるさかったのでな。何が必要で何が必要じゃないかはわかっている」
「OKだよ。束さんも君に興味があるし、それに兵器は専門じゃなかったからね。君の意見が役に立つかもしれない」