滝の上救急病院。 全国で救急患者の受け入れ拒否が問題となる中、救急患者の常時受け入れを標榜して設立された、滝の上町の中央病院である。ほむらも入院していた見滝原の総合病院などとも連携し、一刻を争う患者の命を守る事を使命としている。 この方針は都心での救急医療に不安を抱いていたお年寄りなどを引き寄せ、見滝原を中心とした地区の発展に大きく寄与した。負担は大きいが、それによる安心感は代え難いものだったらしく、今の見滝原周辺は、行政が多少税金を上げても許容されるという、空転しがちな某議会から見ればうらやましい状況が続いている。 それはさておき。 杏子がほむら達を案内してきたのがここだった。 その邪気の強さは半端ではなく、ここが病院である事を考えれば、それはとてつもなく恐ろしい事であった。 「杏子、あなたともあろう者がこんなヤバそうな所を放置していたの?」 「何とかしたかったけど、ここはさっきのヘラとは別の意味でヤバかったんだ」 「別の意味、ですか?」 「ああ、ここは別名が『魔法少女殺し』。あたしが知ってるだけでも、ここで七人やられてる。さすがにあたしでも単身踏み込むのはちょっと遠慮したかったんだ。おまけにここは、こんだけヤバイ割りには、不思議と中の人間が死んだりはしないんだけどよ」 杏子の言葉に、ほむらは首を捻る。これだけ強い邪気を放つ魔女がいたら、この病院の入院患者が死に絶えていてもおかしくは無いのだ。 「ずいぶん変わっているのね」 「ああ、これで人死にが出てたら、あたしだって覚悟を決めて突っ込んでいるさ。だが、ここは邪気がどんなに強くなっても、都市伝説が増えるだけで死人は出ない。だからつい後回しになってたんだ」 「その都市伝説ってなんですか?」 ちえみが質問をしてくる。 「ああ、この病院にはお菓子は持ち込むな。特にチーズ味は最悪だ。こっそりお菓子を持ち込むと、それを手放すまで病院から出られなくなるってな」 杏子の言葉に、ほむらとちえみは思わず顔を見合わせた。 病院、お菓子、チーズは最悪。 二人は知っていた。このキーワードは、ある魔女の特性にきわめて一致している事に。 だかあの魔女は、見滝原の病院に出現したはずなのだ。 ほむらとちえみは、目と目だけで会話していた。ちえみが近くのコンビニに駆け込んでいく。 そしてほむらは、杏子に向かって言った。 「ちえみが戻ってきたら突入するわ。確認しないといけない事が出来た」 「なんか相当訳ありっぽいな。いいぜ。あたしもいい加減潰したくはあったんだ。一人じゃちょいとおっかないが、あんたとちえみもいれば、何とかなりそうだしな」 程なくちえみも戻ってくる。その手にぶら下げられた袋を、ほむらは回収して異空間に収納する。 「なんだいそりゃ」 「お守りよ」 一つだけ取り出して置いたそれを、ほむらは杏子に投げ渡す。 「ん? ブロックチーズ? まあありがたく貰っとくよ」 杏子はその場で銀紙を剥くと、中身を口に放り込んだ。 「こいつは昔っから変わんねえな。行くかい?」 「……やっぱり」 「ん? どした?」 侵入しようとした結界の入り口に掲げられた魔女の紋章。 それは間違いなく、あのシャルロッテの紋章だった。 内部の結界も、少し様相は違ったが、お菓子と医療器具という点では共通していた。 違うのは、使い魔が全くこちらを襲ってこない点であった。 数も少なく、たまに見かける使い魔は何かを捧げ持ったまま急ぎ足で奥へと向かって行ってしまう。 「……なんか拍子抜けだな。邪気の強さと使い魔の強さが合ってない感じだぜ」 「油断は禁物よ。でも、ここの魔女の特徴は、既に知っているわ」 「お菓子の魔女シャルロッテ、その性質は執着。お菓子が好きで、どんなお菓子でも出現させられるけど、大好物のチーズだけは出せなくてそれをひたすらに求めるって言う魔女です。得意技は脱皮。ダメージを受けたり、拘束されたりすると、脱皮してそれを逃れようとしますので、間断無い攻撃が基本です」 「ただ、チーズを見かけるとそれに執着して他は見向きもしなくなるから、それを囮にすれば撃破は難しくないわ」 「ひょっとして、分体かなんかと戦ったか?」 「ええ。既にちえみの事典に載っているわ」 やがて着いた最深部への入り口は、ほむらとちえみには思い出のあるものだった。 「間違いないわ、この奥にいる。小さい人形か、大きな蛇かナマコみたいか、どちらかの姿だと思うわ」 「一応私が再確認はしますね」 これだけの邪気だ。魔女が進化していないとは限らない。 そして踏み込んだ先にいたのは、マミの油断を誘った、あの小さな人形姿の方だった。 「アレッセ・アナリーゼ!」 確認のため、ちえみが魔法を使う。 「先輩! 性質その他は同じです! ただ、これが『オリジナル』です! タフですから気をつけて!」 「杏子、私が牽制をするから、追撃をお願い」 そう叫ぶと同時に、まずは人形形態のシャルロッテを容赦なく銃撃でぼろぼろにする。 抵抗できずに吹き飛ぶ人形。だが油断してはいけない。隙を見せた瞬間、こいつは脱皮して本来の姿をさらす。 シャルロッテをたたきのめしながら、ほむらはかつてのループで引っ掛かっていた違和感がなんであるのかをようやく理解した。 シャルロッテに関する違和感、それはまどかの発見したグリーフシードであった。さやかが頻繁に訪れ、自分も入院していた見滝原の総合病院。もしそこに魔女の気配が有れば、自分どころかさやかでさえも何かを感じないわけがないのだ。 だがシャルロッテのグリーフシードは、孵化寸前の状態で壁に刺さっていた。 まどかを見続けていたほむらの目を盗んで。 そう、ほむらの目を盗んで、だ。 そこにひっそりとでもグリーフシードが存在して、病院から絶望の気を吸収していたのなら、ほむらの目をかいくぐれるわけがない。 ループのさなかはそんな事は気にしている余裕がなかった。だが、こうしてちえみが『オリジナル』と断言したシャルロッテがいたとなると、これには何かがある。 多分、これでは終わらない。 ほむらは気を引き締めた。 戦いそのものは楽勝だったと言えよう。 脱皮して正体というか中の姿を見せたシャルロッテに、ほむらはチーズ+手榴弾という、極悪のコンボ攻撃を仕掛ける。チーズを見かけたシャルロッテは思わずそれに食らいついてしまい、一緒に手榴弾も呑み込んでしまう。当然口の中で大爆発だ。そうして隙だらけになった所に杏子が遠慮無く攻撃を掛ける。切り刻まれたシャルロッテが脱皮をしたら、またこれの繰り返しだ。 「おーおー楽勝楽勝。敵のパターン見えてると、噂の強敵もこんなもんかよ」 「油断はしないで。私の知っていたシャルロッテなら、とうに倒れているわ」 実際異様にこちらのシャルロッテはタフだった。10回以上脱皮してもまだ底が見えない。 「かなり削ってはいます! もう少し頑張ってください!」 サポートするちえみの声に、ほむらはちらりとそちらの方を見る。 ちょうどその瞬間だった。突然ちえみの胸から血が噴き出し、とさりとその体が倒れる。 『困りますう。あみちゃんを倒されると、私が迷惑なんですう』 それと同時に響き渡る、謎のテレパシー。 『誰だか知らないけど、あなたこそが魔法少女殺しの元凶ね』 ほむらの問いに、謎の声は答える。 『そうですよう。あみちゃんが死んじゃったら、私はあみちゃんの子供から、グリーフシード取れなくなっちゃいますしぃ』 その声と同時に、ほむらの心臓に激痛が走った。おそらくは鋭いもの剣で言うならレイピアのような、針状のものによる刺殺攻撃。 反射的に傷を塞いだが、それなりの魔力を持っていかれた。 『あら、一撃とは行きませんでしたあ。タフなのか、それとも再生能力持ちですかあ?』 「ほむら、大丈夫か!」 杏子がシャルロッテの攻撃をくぐり抜けながら、杏子の側にやってくる。 「誰だてめえ! それになんだよ、今の言いぐさは!」 そう、今の言葉は、どう考えても魔女を意図的に増やしているとしか思えないような言葉だった。 『あらあ~、佐倉杏子さんともあろう方が、そんな事言うんですかあ? あなただって、使い魔がグリーフシード孕むまでは平気で見逃していたじゃないですかあ』 「っ、まあな。だけどてめえがやっているのは、そんなもんじゃねえだろ」 杏子の叫びに、あざ笑うような声音で謎の魔法少女のテレパシーが響き渡る。 『ええ、あみちゃんはそこそこ強いけど、チーズがあるとおばかさんになっちゃいますから、私でも倒せる貴重な魔女なんですの。だからこそ、本体であるあみちゃんは、倒させるわけには行きませんの。それに使い魔から生まれた餌と違って、これは大切なあみちゃんなんですもの』 その言葉を聞いてほむらは直感的に彼女の行為の意味を悟った。 おそらくあみというのは、シャルロッテのかつての名前だ。そしてこの魔法少女は、あみという魔法少女がシャルロッテに変わるのを、おそらく見てしまったのだ。 だが、杏子はそんな事は知らない。 「自分の事を棚に上げてこんなことを言うのはなんだがなあ、ふざけんじゃねぇ! 悪いがあたしはてめぇみたいな外道は大っ嫌いだ!」 『ふふふ、でもあなたに私が倒せるかしら』 再び彼女のテレパシーが響き渡る。そう、『響き渡る』のだ。 気配はかすかに感じるものの、その姿は全く見えない。物音一つ立てず、テレパシーもどこから出ているのか皆目見当が付かない。 異様に隠密性に長けた魔法少女だった。 「杏子!」 そこにほむらの叫びが重なる。 「シャルロッテは私が抑える! あなたはこいつに集中しなさい!」 「わりぃ! 頼んだ!」 杏子は少し息を入れる。幸い近接型の杏子は、姿の見えない謎の魔法少女であっても、攻撃してくる瞬間位は何とか察知できた。相手も近接型で、おそらくは刺突剣に属する武器を使っている事は見当が付いた。だがほんの少しでも距離を取られると、もう杏子には相手の気配がわからなくなる。判るのはほぼ零距離のみ。 これでシャルロッテと同時に攻められたら、いくら杏子でも持つわけがない。 (本気で助かったぜ。ほむら。ちえみの敵は取ってやるぜ!) そう、気合いを入れた瞬間だった。 ぱあん、という一発の銃声が、あたりを貫いた。同時にドカッという、重い音がする。 そちらを見た杏子は、開いた口がふさがらなくなった。 腕を押さえ、剣を取り落とした少女の頭に、巨大な本がめり込んでいた。 「うわ~、やっぱり鈍器にもなるんだ」 のんきな事を言うちえみの姿に、杏子は気合いが抜けていた。 「おい、おめぇ、刺されたんじゃ」 「魔法少女は、あれくらいで死んだりしませんよ? この人はその辺知らないみたいでしたけど」 気絶した謎少女をつつくちえみ。 「杏子、それより今はこっちよ」 どこから取り出したのか、手にしていたライフルをしまうと、ほむらは素早く取り出したチーズと手榴弾を投げた。 そのままパターンで嵌め殺すのに、あと七回ほどかかった。 結界が消え、グリーフシードを回収した後、謎少女を拘束して物陰に連れ込み、改めて結界を張る。 「便利だな、それ」 「私の魔法特性のちょっとした応用よ。だからあんまり真似できる人は少ないわ。物入れ位なら簡単だけど」 「マミさんも紅茶しまってたりしますしね」 それを聞いて杏子は是非教えろとほむらに迫る。おおかた食料をしまうつもりだろう。 ほむらは時間が出来たらとごまかしてとりあえずの問題に集中する事にした。 「さて、どうしたもんかな」 問題の魔法少女は、網状の黒い上下黒ずくめという、時代劇のお色気くのいちのような姿だった。武器はエストック。刺突専用の針のような剣である。 そして彼女の身につけていたポーチには、数十個のグリーフシードが入っていた。 「お、こいつはありがてぇ。悪いが頂きだな」 「まあ、止めはしないけど」 何故かほむらの言葉の歯切れが悪い。おまけに妙な殺気がする。 杏子がその微妙にぬるい殺気の方を見ると、燃え上がったちえみがいた。 「おい、これは戦利品だろ! 一応正当な権利はあると思うぞ!」 「グリーフシードはそういうものじゃありません! 悪い魔法少女でも、根こそぎは駄目です!」 「ちえみ、とりあえずここは杏子の顔を立てなさい」 ほむらが取りなすと、ちえみは不満げながらもおとなしくなった。 「なあ」 そんなちえみを見て、杏子はほむらに言う。 「ずいぶん真面目だけど、よく扱えるな」 「悪い子じゃないから。それとね」 そこで何故かほむらは視線を下に落とす。 「このままだと、本気で添田杏子になるわよ」 「……少し考えてみるわ。あ、養子になるかじゃねえぞ」 「判ってるわよ」 結界の中に、しばし笑い声が響いた。 「さて、冗談はこれくらいにして、この子に話を聞かないとね」 「大体の見当は付いていますけど」 「あたしには半分くらいしか想像できねえけど、なんでこいつ、この魔女にこだわってたんだ?」 杏子は一人首を捻る。そんな彼女に、ほむらは言う。 「それを知ると、いろんな意味で後戻りできなくなるわよ。あなたなら大丈夫だと思うけど。それでも聞きたい?」 「当たり前だろ」 実に男前な表情で答える杏子。 その時、気絶していた魔法少女が目を覚ました。 「う~ん、あれ、あたし……」 「おい、目が覚めたばかりの所悪いんだけどよ」 目覚めた魔法少女の首根っこを、杏子はつかみ上げる。 「いろいろ聞かせてもらえねえかな」 ところが、少女は辺りを見回すと、突然蒼白になる。 「ねえ、あみちゃん、あみちゃんは?」 「あみちゃん? あのシャルロッテって言う魔女か? あいつならブッ倒したぜ」 杏子がそう答えた瞬間、少女の顔から文字通り血の気が引いた。 「うそ……あみちゃんがいなくなったら、私も『なっちゃう』……いや、なりたくない、助けて、白巫女様、お願いします……」 「杏子ッ!」 様子のおかしくなった少女に、ほむらはいきなり銃撃を加えた。杏子がまだ首を掴んでいるのにもかかわらずである。 さすがに杏子も彼女を手放す。そうした杏子を、今度はちえみが引っ張って彼女から引き離した。 「おい、なにすんだよ! 危ねえじゃねえか!」 だが、ほむらはそんな杏子の声に耳も貸さなかった。ちえみも、 「先輩! 間に合いますか!」 「遅かった……今、『変わってしまった』わ」 そう言うと、彼女の抱えていたグリーフシードを、いくつか杏子とちえみに放り投げる。 「おい、何事だこりゃ」 同時に発生した邪気の噴出と、ほむらの結界を押しつぶして広がる魔女の結界に、杏子が不安そうに言う。 「今教えようとしていた事よ。魔法少女最後の真実」 「魔力を使いすぎてしまったり、心が折れて絶望して、ソウルジェムを濁り切らせてしまった魔法少女は」 ほむらとちえみの言葉かが重なる。 「ソウルジェムをグリーフシードに変化させて、魔女になってしまうのよ」 「それが魔法少女の、末路です」 思わぬ事実に、心が麻痺し掛かる杏子。その時、唐突にひらめいた事があった。 「おい、ひょっとして、こいつがあの魔女を『あみ』って呼んでたのは……」 「おそらく、魔女になる前の彼女は、あみという魔法少女で、多分彼女の相棒だったんでしょうね」 ほむらは、そう言いきった。 「先輩、もうすぐ実体化します! 私が見切りますから、対処よろしく!」 「任せなさい、ちえみ。杏子も呆けている暇はないわよ」 そして目の前の魔法少女から発生した黒い瘴気は、見る間にその形をおぞましい姿に変えていった。 林立する城、寺社、ビル。 どれからも異様な圧迫感と敬意のようなものを感じる。 そんな中、歌舞伎の黒子を思わせる姿の使い魔が、次々と出現してくる。その中心に現れた魔女は、忍びのマスクに執事服、だがその胸部ははっきりと盛り上がって身体特徴が女性である事を強調している。 だがその被服に包まれているのは、実体のないスライムのような、どろどろとした粘体であった。 下僕の魔女アンナ=バルバラ、その性質は依存。一見忠節に見えるその態度は、相手に頼る事の裏返し。うかつにその身を許せば、彼女は依存した相手に寄生し、喰らい尽くす。 だがもし彼女の真の主君となれれば、その全てを彼女はあるじに捧げるであろう。 「粘着してくるタイプですから、接近戦は不利です! 弱点も特殊防御もないから、遠距離から力ずくで叩きつぶすのが一番かと」 「こういうことね」 そうほむらが言った瞬間、魔女はあっけなく炎に包まれて消滅した。 「なんか今日は疲れたぜ……」 結界が晴れた後、杏子はぐったりと腰を落とした。 そのままほむらが投げた角チーズの残りをむさぼり食う。 「どうやら滝の上の異変、只事じゃねえみたいだな」 そう呟く杏子に、ほむらも頷く。 「あなたも魔法少女の真実を知った以上、思い当たる事はあるでしょう?」 「ああ……噂を聞かなくなった魔法少女、増えた魔女……そう言う事かよっ」 「でも、あの人、気になる事を言ってましたよね」 「そういえば、『助けて、白巫女様』とか……」 あの少女は魔女化する前、確かにそう言った。 「気になるな……調べてみるか」 「他にもいろいろ話す事があるわ。こうなると今日は泊まりね」 「仕方ないですね。家には後で電話しておきます」 そう言うとがっちりと杏子の腕を捕まえるちえみ。 「そうそう、魔法を使ったただ泊まりなんか許しませんよ。お金は私が出しますから、きちんと泊まってください。大体お風呂とかはどうしているんですか?」 「いや、滝の上にはまだ銭湯とかもあるし」 「どうせこっそり入っていたんでしょう。お金なら貸しますから泥棒生活は控えてください」 「んなこと言われても返す当てなんかねえぞ」 「10年後にでも返してくれればいいです。魔法少女やってて生活できないなら、それこそお姉さんになっていただければ」 「返す! 絶対に返す!」 「ちなみに家の会社なら魔法少女でも就職できますよ。というか私がそうします」 「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だあ」 「ハムレット? 思ったより教養があるのね」 「わりぃがそこには突っ込むな」 最後に少し尖った言葉に、ほむらは杏子の父が徳の高い宗教家だった事を思い出した。