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No.27726の一覧
[0] 【習作】神様 = In QB(かみさまはいんきゅべーたー)【魔法少女まどか☆マギカ】[ZACK](2011/05/11 03:24)
[1] 序章 - 前編 - 【投稿日:2011/05/11】[ZACK](2011/05/20 05:54)
[2] 序章 - 後編 - 【投稿日:2011/05/12】[ZACK](2011/05/20 05:56)
[3] 第1章 - 魔法少女達の出会い - 第1話 【投稿日:2011/05/13】[ZACK](2011/05/20 05:57)
[4] 第1章 - 魔法少女達の出会い - 第2話 【投稿日:2011/05/20】[ZACK](2011/05/22 06:17)
[5] 第1章 - 魔法少女達の出会い - 第3話 【投稿日:2011/05/25】[ZACK](2011/05/26 08:10)
[6] 第1章 - 魔法少女達の出会い - 第4話 【投稿日:2011/05/25】[ZACK](2011/05/26 08:11)
[7] 【NEW!!】第1章 - 魔法少女達の出会い - 第5話 【投稿日:2011/05/26】[ZACK](2011/05/26 08:21)
[8] 番外編 その1 - 神様 ≠ In QB - 【投稿日:2011/05/15】[ZACK](2011/05/20 05:58)
[9] 番外編 その2 - 世界で最も美しい奇跡(前編) - 【投稿日:2011/05/22】[ZACK](2011/05/25 07:16)
[10] 番外編 その2 - 世界で最も美しい奇跡(後編) - 【投稿日:2011/05/22】[ZACK](2011/05/25 07:17)
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[27726] 序章 - 後編 - 【投稿日:2011/05/12】
Name: ZACK◆b2515568 ID:a929a545 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/05/20 05:56
特別なことなんてないと思っていた。
必要以上の金も名誉もほしいとは思わなかったし、
意味もなく罪を犯す必要は無いと思っていた。
平凡に生まれ、平凡に生き、平凡に死んでいく。
特別に憧れることはあっても、特別になることはないと思っていた。
それでいい。……そう、思っていた。

心変わりでもしなければそれができると思っていた。
いや、それができないなんて考えたこともなかった。
それどころは自分はなんて謙虚な人間なんだろうとすら思っていた。

気付かなかったのだ。
そんな平凡な人生すらも送ることができない可能性が有るなんて。
考えないようにしていたのかもしれない。無意識で。


『自分の思う通りに生きるためには、そのための力が必要だ。
 力無き者はより強い力に押し流されてしまうから』


よく聞く言葉だ。
誰でも一度は考えつく程度には。

俺には力が足りなかった。
そう、『神』という名の絶対的な力に対抗するだけの力を持っていなかった。
だから平凡に生きることすらできなかった。


――ただ、それだけの話しなのだ。






魔法少女まどか☆マギカ 二次創作小説
 神様 = In QB   序章 - 後編 -






「それでは君に、判決を下す」


完全に混乱していた俺に、『神』が告げた言葉はそんな言葉だった。
判決。
つまり俺は、罪を犯し、それに対して罰を受けるらしい。

――混乱して思考がまとまらない。

罪ってなんだ?
罰ってなんだ?
俺が何をしたって言うんだ!?

『アイツ』は運命を変えたことが罪だと言っていた。
死にそうな女の子を助けたことが罪?
ふざけるなっ!!

罰ってなんだ?
転生してもらうって言ってたな。
転生することが罰なのか?





――落ち着け。

…そうだ。落ち着け。
判決を下すってことは、これからそれが説明されるんだろう。
冷静になれ。


「少しは落ち着いたようだね。
 君自身で気づいたようだけど、君の罪は個人的な理由から運命を改ざんしたこと。
 たった1人の命のために、世界に負担を掛けたんだ。
 情状酌量の余地はないね」


(……クッ)


冷静になれたと思った瞬間にこれだ。
今度は怒りで頭が沸騰しそうだ。
全神経を集中して、なんとか怒りを漏らさないようにする。


「君に与える罰は、さっきも言ったけど転生だ」

(……、転生することがなんで罰になるんだ?)

「安心していいよ。ボクには人間の価値観はわからないからね。
 罰は人間の価値観に沿ったものさ。」


「畜生道って知っているかい?」




…ちくしょうどう、……畜生道だと!!?


「そう、君たちが仏教っていう宗教で決めたものだね。
 重い罪を犯した人間を、獣に転生させるってやつだね」


理解したくなかった。
理解してしまった。
確かに全てが繋がった。
それならば確かに転生は罰になるだろう。


(…………、うそだ)


茫然自失としているのは、自覚していた。
だって現実味がまるでない。
まるで他人事のようだ。
だってそうだろう?
俺は人を助けたんだ。
自分の命を掛けて女の子を助けたんだ。
なのになんでこんなことになるんだ?

――ワケガワカラナイ


「嘘じゃないよ。
 君はこれから本来君が生きるはずだった時間の分だけ、
 獣として生きてもらう」

(いやだ、そんなのイヤダッ!!)

「ただし、獣として悠々自適に暮らしてもらっても困るんだ。
 正直ボクらにとってみれば、君も君が飼っていた犬も大して変わらないからね」

(…嘘なんだろ?嘘って言ってくれよ!?)

「だからね」


「君には家畜に転生してもらうよ」


(――カチク?)

「そう、家畜」
「安心していいよ。
 食用の家畜だから何度も死んじゃうと思うけど、
 さっきも言ったとおり、君の元の寿命分生きるまで、
 何度も転生することになるから」

(…うそだ。こんなの嘘だ。
 そうだ、こんなの絶対おかしいよ)

冷静になんてなれない。なれるわけがない。

(きっと全部夢なんだ。
 そうじゃなきゃおかしい。
 そうだよ、俺がこんな目にあうわけないじゃないか。
 あはっ、アはは、アははハハ、アハハハハハハハハハハハハハハッ!!!)


もはや現実逃避しかできない。
頭の何処かで夢ではないと理解しながらも、
目の前の現実から全力で目をそらすことしかできなかった。


「それじゃ、さようなら、だね。
 短い間だけど、楽しかったよ。
 自分以外の存在と話したのは、数万年ぶりだったからね」


そして、俺を地獄のドン底へとたたき落とす張本人は、
最後までそのことを気に掛けることもなく、
無慈悲に別れの言葉を紡いだ。



――こうして、俺の人間としての生は、終わりを告げた。






*






そこは安らかな温もりに満ちた世界だった。
微睡む意識の中で、なにかを考えることすらできなかったが、
自分が無条件に護られていることだけはわかった。

一体どれほどの時間をこうしていたのだろうか?
1時間、1日。あるいは1年以上こうしているかもしれない。
一体後どれほどの時間をこうしていられるのだろうか?
いつまでもこうしていたい。
外の世界は怖いんだ。


――ふと、外から何かが聞こえてきた気がした。


「…も…少……。…張…」

「脚…出て…ぞ」

「よ…、…っぱ……だ」


何の音かはわからない。
しかし不思議とその音は、この幸せな時間を終わらせてしまうことがわかった。


(イヤダ!!)


相変わらず微睡んだままの意識では、何も考えることはできないのに、
心のどこかで確信していた。

幸せでいられるのは、この世界だけなのだと。
そして、この世界から出てしまえば、そこには絶望しかないのだと。

だから、必死で抵抗した。
仮初の幸せだとしても、その幸せを手放したくなかった。
しかし、抵抗したのは心だけ。
実際には、抵抗することもできず…、


「出てきた!産まれたぞ!!」


俺は畜生道は歩み始めた。
――始めてしまったのだった。






*






そこからは、まさに地獄としか呼べない時間が続いていった。


最初の生は牛だった。
モンゴルの遊牧民に飼育される雄牛。

考えることは生前と同様にできたが、所詮は牛。
本能のままに動くことしかできない。
あるいは、自分の意志で動かすことはできないようにされていたのかもしれない。
どちらにしても大した違いはないが。

最初の生は、2年と続かなかった。
死因は考えるまでもない。
俺は食用の家畜だったのだから。

その2度目の死は、間違いなく俺を絶望にたたき落とした。
これが日本の家畜だったらそうでもなかったかもしれない。
俺の産まれた集落は、少し変わった屠殺方法を採用していた。

家畜の胸をナイフで切り裂き、そこから手をいれて、直接心臓の血管を引きちぎる、というものだ。



その日はよく晴れた日だった。
男がナイフを片手に近寄ってきた瞬間に、
俺は死ぬのだと悟った。


(逃げたい)


当然だ。
牛の身体は自由に動かすこともできない。
その癖、五感を感じ取ることはできた。
つまり痛みもそのままに感じるということだ。
逃げたいと思うのは、当然だ。
しかし、身体は動かせないのだから、結局逃げることなどできはしない。


そして、俺の2度目の死が、死神たるその男がやってきた。


(ヒィッ!!!
 来るな!ヤメロ、来るな!!)


男の持つナイフが煌めいた。


(イヤダ!!イヤダ!!!)


男の持つナイフが俺の胸を切り裂いた。


(――ぁグゥッ!!
 いたい…。痛イィィィ!!!!)


男の手が傷口に差し込まれた。


(イヤダやめて痛い助けて痛い死にたくない怖い痛いいやだなんで俺が痛い痛い助けて痛い怖いイヤダもういやだこんなの嘘だどうしておがぁざんジにたくないタずケテイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ――――――――――――――!!!!)


男の手が心臓に達し…、
――血管を、引きちぎった。





それからも俺は、幾度も生まれ、幾度も死んでいった。


ある時、俺は豚として生まれた。しばらくして食べられるため、炭酸ガスで殺された。
ある時、俺は犬として生まれた。しばらくして捨てられて、保健所で殺された。
ある時、俺はガチョウとして生まれた。しばらくして子供のイタズラで殺された。
ある時、俺はラクダとして生まれた。しばらくして砂漠で遭難し、飼い主共々死んだ。
ある時、俺はモルモットとして生まれた。しばらくして試験用の薬を投与されて殺された。
ある時、俺はカエルとして生まれた。しばらくして学校の教材として、身体を切り刻まれて殺された。
ある時、俺はまた牛として生まれた。しばらくして流行病にかかり、殺処分された。


――あぁ、こんな身体にされて、始めてわかった。
――現実世界[ここ]は地獄で、人間[ひと]は鬼なんだ。






*






『それ』は求めていた。。
『それ』はとある目的のため、その目的を叶えることができる存在を求めていた。


――熱力学の法則に縛られないエネルギー
――そして、それを得ることができる、エントロピーを凌駕するほどの祈りを持つ者を。


『それ』がここに来たのは、もちろん偶然ではない。
とても、とても強い想いを感じたからだ。
深く、暗く、強い絶望。


本来『それ』が求めていたのは、絶望ではなく希望だ。
希望から絶望への相転移。
それが熱力学の法則に縛られないエネルギーを得るために、最も効率のいい方法だからだ。
しかし、これほどの絶望。

一度希望に相転移し、そこから絶望へ相転移することが出来れば、
……あるいは、『それ』の目的を達成するにたるエネルギーを得ることが出来るかもしれない。
家畜の身体であることなんて関係無い。
『それ』にとって、肉体は魂の付属に過ぎないからだ。

故に『それ』は今ココにいるのだ。
深く、暗く、強い絶望をもった存在の前に。






*






「君は極みつけのイレギュラーのようだね。
 まさか、家畜の身体に人間の魂を宿らせているとはね」


その声を聞いたのは、何度目の生になるのだろうか。
もうそれすらもわからなくなった頃だった。
既に自我も薄れかけ、だれが話しているのか、
なぜ俺に話かけることができるのかもわからない。


「僕は君の想いをたどってここまで来たんだ。
 とても、とても強い想い。
 君にはどうしても叶えたい願いがあるんじゃないのかい?」


…願い、叶えたい願い。
今の俺に取って、叶えたい願いは1つだけ。


――この地獄から抜け出したい。


「その願いは君にとって、魂を差し出すに足る物かい?
 …もし、そうであるなら、僕は、君の願いごとをなんでも1つ叶えてあげられる」


…願いが、…叶う?


「そう。なんだってかまわない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ。
 ――だから、」






「僕と契約して、魔法少女になってよ!」




*





――それは、1つの地獄の終わり。
――それは、新たな地獄の始まり。


絶望に染まった男は、その日1つの希望を手に入れた。
その希望は仮初のものなのか。確かな希望と成り得るのか。
希望を得た男は、運命に囚われた少女たちと出会うことになるだろう。
男は、少女たちは、望まぬ運命を打ち破ることができるのだろうか。


斯くして、物語の幕は開かれた。






次章 神様 = In QB   第1章

  - 魔法少女達の出会い -



これは、絶望と闘う少女たちの物語。






■後書き

【使用テンプレ】
・トラックに轢かれそうな女の子
・助けたせいで死亡
・死後の世界で神様と遭遇 → 転生させてあげるよ
New!! 転生後の体験のせいで、トラウマ(暗い過去)を持つオリ主
New!! 転生 オリ主 TS → 魔法少女化フラグ

これにて序章完。です。

原作では基本的に希望から絶望への相転移で、エネルギーを取得していましたが、
絶望から希望への相転移でエネルギーを取れるかは不明でした。
本作では、絶望から希望への相転移では、エネルギーは取れないという設定にしたため、
QBは絶望に落ちた主人公に希望を与え、その後に絶望に落ちてもらうというスタンスをとっています。

ようやく少し原作キャラが登場しました。
次章から原作に突入していきます。お楽しみに。



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