「はっ?八神の誕生日パーティー?」
「うん。それのサプライズ版」
「それをなのはの家でやるから」
「慧君もちゃんと来てね。後、プレゼントとかも用意してね」
思わずむっとした顔になる
今はあの忌まわしき?魔法の事故から巻き込まれてようやくの平穏を掴めたある日である
あの年増の魔女との舌戦とか
あの年増の女狐艦長との舌戦とか
あの頑固というか融通効かない黒いのとか
あの最初は覚悟もしていないフェレットだったが今はマシになっているユーノとか
あのイタイ子全開の高町とか
あの金髪ツインテールボケ殺しのフェイトとか
あとあの柔らかい唇のか━━━━━
思考強制停止
駄目だぞ
俺
その先を思い出したらいけないぞ
じゃないと━━━━━
「ねぇ、慧君━━━━━今、素敵な事を思い出さなかった?」
隣の素敵な吸血鬼にぶっKILLされるぞ
「やだなぁ、すずか。俺の頭は何時も素敵な君の事しか考えてないさ」
「あはは、やだ。慧君。もう、恥ずかしいよ~━━━━━今、変なルビを入れなかった?」
「HAHAHAHA.すずか━━━━━それはきっと君の悪い夢だ」
「何だ~、そうだったの~。じゃあ、私の脳内の慧君がこんな風に返事をするようになるくらい現実の慧君が酷いってことかな?」
「その切り返し方は想定していなかった…………………」
「ていうか、慧君。すずかちゃんには甘いよね」
「きっとアレよ、なのは。すずかが将来、自分好みの女になるって予測しているから、今のうちに飴を与えているのよ」
「OK.その小学生では有り得ないその思考を止めろ。そしてその話を真に受けて俺に迫ってくるな、すずか」
最近
余裕がないと思う生活である
これならば、魔法の方がマシかもしれない
嫌な人生だ
もう少し優しくしてくれてもいいと思う
別にどうでもいいけど
「脱線している、脱線している。ほら、なのすずけい。話を戻しなさい」
「何て不名誉な省略だ」
「色々と語弊があるよね」
「アリサちゃんのネーミングセンスは少しレベルが高過ぎるよ」
「…………………風雷とすずかはともかく。なのは、アンタまで…………………」
「「「嘘は言ってない(よ)」」」
しばらく、お待ちください
「…………………話、戻しましょうか」
「…………………そうだな」
「うにゃぅ~」
「…………………何だか私。段々と悪い子になっている気分」
乱闘を終えて一息
ちなみに上手い事痣とかそういうのは残さないのはプロの手口
将来
こいつらがドメスティックバイオレンスを起こしても気づかないだろう
何て最低な技術だ
「え~と。何の話だったっけ?」
「うちの学校の教師陣の遺伝子には何かえげつない遺伝子。そうオカシニウムという遺伝子が入っているのではないかという話だ」
「…………………一瞬。誤魔化せそうな遺伝子だね」
「どちらかというと成分ぽいわ」
「否定はできないだろう」
「とりあえずその遺伝子はアンタとすずかとなのはとはやてにも入っているわね」
「ああ、そうかもな」
「??意外ね。すんなり受け入れるなんて」
「ああ━━━━━その代りバニングスには暴力遺伝子パワフルニウム、マッシグラーという遺伝子がある」
「きっと命日って命が尽きる日の省略の言葉なのよね…………………!」
本日二回目の乱闘
俺の昇○拳を受け止めるとは
化物め
「はやての誕生日パーティー。出なさいよ、アンタ」
「バニングスよ。俺が何て答えるかなんて解っているだろう?」
「ええ。長い付き合いだもの」
ニコッとバニングスは笑い
俺は笑わなかった
「だが、断る!!」
「すずか!!やっておしまい!!」
「くすくす笑ってゴーゴー!!」
「何の!高町シールド!」
「うにゃげふっ!」
「なのはちゃん、退いて。慧君を押し倒せない」
「高町、頑張れ。今、お前の真価が試されている…………………!」
「肋骨が…………!肋骨がきりきり軋んでいる…………………!これ以上は耐えることはできないって訴えているよ…………………!」
「臨界点まで残り六秒と見た」
「冷静に…………言ってないで……………助けてよ…………………!」
「4、3、2、1」
「うにゃーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
以下略
正直、このメンバーは真面に話そうという気を起こす人がいない
またもや一息
「でも、アンタ。そんなこと言いながらちゃっかり誕生日パーティーの日はいつも来ていてじゃない」
「口ではこう言いながら慧君は優しいんだよね」
「うんうん」
あ
不愉快な発言
しかし真相は
「何時も高町父が脅してくるんだが。前は足の腱を切って無理やり連れだすとか言っていたが」
「「「…………………」」」
あの時はやばかったなぁ
ガトリングガンを忍ばせていなかったら流石に防げなかった
生活の知恵とはこの事か
「ふぅ…………………偶には平和な平日を過ごしてみたいなぁ~」
「じゃ、じゃあ!今度私とデー━━━━━」
「一人で」
「一人デートなんて!そんなのさせない…………………!」
「俺、将来。すずかに殺されそうだ」
「アンタも大変ね」
「ご愁傷様なの」
「他人事だと思って…………………」
「「だって他人事だもん」」
「話が進まないぞ」
お前らも話逸らしているじゃないか
女三人揃えば姦しいっていうやつか
傍迷惑この上ない
ちなみに当の八神は
「は~~~~い、今日はいつもよりもよ~~く回っています~~━━━━━士郎さんが」
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!桃子の為ならえんやこ~~~~~~~らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「素敵よ~~~~、士郎さ~~~~~~~~ん!!」
「桃子は俺の百倍素敵さーーーーーーーーー!!!」
「…………………(くるくる)」
「もっと!もっと!私、士郎さんとお義母さんの良い所もっと見たいな~~~~」
「ならばはやてちゃん!俺の事はパーパと呼んでくれ!!」
「そんなお義母さんだなんて~~~。マーマでも良いのよ~~」
「…………………俺は何時まで番傘をまわしとけばいいのだ…………………(くるくる)」
色々と時間稼ぎをしてくれているらしい
体を張って
馬鹿ばっか
「大体、そんなものはお前ら仲良しお人好し器量良し暴力良しだけですればいいじゃないか。俺みたいな奴は楽しい雰囲気を台無しにするだけだと思うぜ」
「んん?何か一つだけ変な良しがあった気がするけど…………………」
「気にしちゃ負けだよ、なのはちゃん」
「そうよ。この馬鹿げた暴言遣いを相手にするにはそれがベストなのよ」
「…………………何時の間に俺に暴論遣いという二つ名がついているのだろうか?」
どこぞの○言遣いか
ファンに知られたらリンチを受けるぞ
別にどうでもいいけど
はぁ
「わかったよ、わかったさ。行ってやるよ」
「え?珍しいね。何時もなら結局は士郎さんか恭也さんの手によって拉致じゃなくて連行されなきゃ来てくれないのに?」
「その行為が嫌だからこう言ってんだ。仕方がない。いい加減無理矢理気絶されて拉致られるのは飽き飽きだ。それならば、まだいっそのこと自分から行った方が肉体的ダメージが少なくて済む━━━━━その分、精神的ダメージがありそうだが」
「にゃはは。それでもよかったぁ。はやてちゃん、喜ぶよ~」
「ま、これで後はパーティーの準備とプレゼントの用意だけね━━━━━サプライズ作品は例年通り忍さんが作製だし」
「…………………この前家に唐突に癇癪玉が投げられたのだが」
「ああ、それは忍さんが前言った秘技☆癇癪ミラクル!その光は美しかった…………じゃない?」
「ああ。何故癇癪玉なのにタイトルに光が付いているのかというツッコミは保留がするが━━━━━破裂した瞬間レモン汁が飛び散って暫く○スカ大佐ごっこをする羽目になったんだが。アレを投げた奴は誰だ」
「確か━━━━━はやてちゃんだったよね」
「プレゼント。良いものにしてやらなきゃな…………………」
「何だか物凄い良いセリフを言っているような感じだけど、嫌な予感が物凄いプンプン…………………」
そんな馬鹿な
俺はアイツの為に素敵な狸料理をプレゼントしてやろうと思っているだけなのに
んん?
狸が食べるものって何だろう?
「まぁ、いいや━━━━━ところで」
「何よ。後半部分だけマジになって」
「━━━━━八神の誕生日って何時だっけ?」
「OK.記憶を復活させるには頭を何回殴ればいいかしら。出来れば教えてほしいわね━━━━━私に余計な手間をかけないために」
「俺の優秀な記憶能力を揺さぶろうとするとは━━━━━どこぞの山猿と似た存在だね」
「ほう、聞き間違いかしら。長年付き合ってきた知り合いの誕生日を忘れている人間が自分の記憶能力の事を優秀とか言っているように聞こえたのだけど。寝言は寝てからではなく命が尽きてから言うべきね」
「馬鹿な事を言う。死んでから話せるわけないというのに━━━━━テレビの見過ぎだね。夢見がち小娘君」
「大丈夫よ。だって貴方。悪夢のような存在なんだもの━━━━━まさしく夢見を悪くするようなね。だからそれぐらいしそうじゃない」
「ふぅ、やれやれ。とんだじゃじゃ馬な事だ━━━━━どうやら力づくが好みのようだな」
「あら?だってその方が簡単に決まるじゃない」
「上等。遺言を残したらどうだ?どうせ直ぐに語ることが出来ない体になる」
「お生憎様。私はそんな未練たらたらで女々しい女じゃないの。」
「成程。そこだけは好感を持とう」
「ふふ、ありがとう━━━━━じゃあ」
「ああ、決めようではないか━━━━━どちらが最強か!!」
「「話がすり替わっているよ!!」」
高町はバニングスにタックル
すずかは俺にアッパー
どっちも結構効いた
というか拳に愛が感じない
「じゃあ、口で━━━━━」
「勘弁してください。いや、本当に」
俺の人生はこんなんばっかだ
命がいくつあってもたりゃしない
「で、結局、何時だっけ」
「…………………本当に覚えてないの?」
「覚える必要がなかったという事だろう」
「アンタにぴったしなセリフね…………………」
「はいはい。どうでもいいから、教えないなら別に無視するけど」
「今、教えるからちょい待ちなさい。今度は忘れるんじゃないわよ」
「後ろ向きに善処出来たらしてやる」
「物凄い前向きネガティブ発言だね…………………」
「言葉を選ぶ前に早く答えなさい。もうそろそろ八神がここに来るころではないか?」
「それもそうだね。じゃあ言うよ。はやてちゃんの誕生日は━━━━━」
この頃は知らなかった
それが約束された闇の誕生日とは
呪いに呪われ闇の名を得た書の事を
俺達は残念ながら知らなかった
「6月4日だよ」
「いやーー。お待たせなーー。お義母さんと士郎さんの芸が面白くてつい遅れたわーー」
「なぁに、気にするな八神。その分、ここで食べた代金はお前につけといた」
「え、ホンマにーー。あははは━━━━━嘘やろ!!?」
「八神…………………俺がそんな下らない嘘をつく男だと思っていたのか。だとしたら俺は悲しいぞ。俺は何時だってお前には嘘をつかなかったというのに」
「何でやろう……………かなり嬉しくなりそうなことを言ってくれているのに全然嬉しく感じひんのは…………………」
「それは嬉し過ぎて心が追いついていない証拠だ」
「ああ、成程~。私、今、喜んでるんやな~~━━━━━絶対無理」
「安心しな。ここは翠屋だ。酷い事にはならないだろう━━━━━多分」
「最後に余計な事言った!!」
「気のせいだ。とりあえず俺を信じろ(高町母のスィートルームにご招待されるぐらいはされるかもな)」
「今、心の中でかなり最悪な未来予想図を考えていたやろ!」
よし
とりあえず八神の俺達の集まりを不審に思わせないように出来た
後ろの3人に八神には見えない位置で親指を立てる
3人も八神に見えない様に親指を立てた
ちなみに後ろの3人は
流石暴論遣い
言葉だけなら人類最強━━━━━!
等と考えていた
ちなみにお金は実はちゃんと払っている━━━━━ツケで
「さて━━━━━じゃあ私の家に行こ」
「行ってらっしゃ━━━━━待て、すずか。何故俺の両手両足の関節を外す。これじゃあ動けないじゃないか」
「慧君の一番の長所の口は動かせれるよ?」
「やだなぁ、動けなくする理由になってないじゃないか」
「大丈夫だよ。なのはちゃんの家について逃げる心配がなくなったら嵌めてあげるよ」
「出来れば俺は今すぐに嵌めてほしいな~。嵌めてくれたら俺、すずかに良いことしてあげるかも~」
「う~~~~ん」
「すずかちゃんすずかちゃん。迷っちゃ駄目、迷っちゃ駄目、きっと慧君の事だから直ぐに嘘をつくよ」
「そうよ。アイツにやられてきたことを思い出しなさい。思わず敵意が……………殺意が溢れてくるわ」
「あ、アリサちゃん。最後だけマジなのはやめてーな」
「お前ら実は俺の事嫌いだろ」
「私は普通だよ」
「私は嫌い」
「私は好きかもしれへんでーー」
「私は愛の概念では足りないくらい好きだよ」
「とりあえず、すずかには聞いていない。そしてバニングスは予想通りで八神はただ面白がっているだけだろうが」
「ふふ~~ん。わからんで~~。はやてちゃん。実は大分前から慧君の事をアイタっ!!」
「はやてちゃん。その件については詳しくハナソウネ」
「じょ、冗談やで…………………」
「ヤンデレすずかか……………見慣れてきたら面白くなくなるわね」
「アリサちゃんはかなりセメントな性格になってきたと思うの…………………」
「変人の末路だな…………………」
「五月蠅い」
とそんなことはどうでもいい
とりあえず
「離せ」
「やだ」
「断る」
「いやや」
「拒否」
「せめて揃えろや。いや、ある意味揃っているけど」
お願いだから離して
はーなーしーて
離せやこの野郎
「「「「だーめ」」」」
「可愛く言ったからって許さんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
ずりずりと引きずられていく
死刑場に
「じゃあ、フェイトちゃんの為にビデオレター新しく録ろうね」
失礼ながら私
フェイト・テスタロッサはわくわくしている
「うわぁ……………フェイトちゃん。凄いわくわくしていますね」
「ふふ、そうね。でも、子供らしさが出ていいじゃない」
「…………………ま、そうですね」
「もう、クロノは相変わらず固いわね~」
「これでも周りに合わせているつもりです、艦長」
「はぁ。これじゃあ孫の姿を見るのは当分先ね」
「まったくですね~」
「…………否定はできませんから受け入れますけど、失礼な言い方です。そしてエイミィ。君は無礼だ」
なによーーという騒ぎが聞こえるけど私の意識にまでは届かない
まだかまだかと待つ
こういうのを恋焦がれというのだろうか
それならば、何て素晴らしい思いなのだろうか
ただの退屈な時間も私にとっては薔薇色に見える
「ふぇ、フェイトから凄い幸せ感情が……………あのプレシアの時には一度も感じなかった感情が物凄くリンクを通してぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「ああ、そっか。アルフはフェイトの使い魔だからフェイトの感情が少し感じれるんだっけ」
今度は耳に入ってきた
一人は私の家族のアルフで
もう一人は
「や、フェイト。調子はって聞かなくても大丈夫そうだね」
「ユーノ。うん。私は大丈夫だよ」
友達のユーノ
なのはやアルフと一緒に助けてくれた人
勿論、彼も私を助けてくれた人だけど
あの助け方は何だかなぁと思い少し、苦笑する
何せ私を助けるどころか逆に罵倒してきたのだから
でも、それのお蔭で立ち直れた
別に一人でももしかしたら立ち直れたかもしれない
ううん
今だから言うけど多分立ち上がることだけは出来たと思う
でも
その代り、私の生き方は変わらなかったと思う
母さんの代わりにまた依存先を探す人形
そんな感じになっていたのではないかと思う
このまま管理局に就職するだけして、そのまま意思というには薄弱な生き方をしていたかもしれない
多分、なのはの生き方を真似ていたのではないかと思う
ある意味、彼女の生き方は鮮烈だから
私は直ぐに影響されていただろう
今は違う
自分の意思だけで自分の将来を掴もうという気になっている
管理局も勿論、道の一つだけど、それだけじゃないことは彼が示してくれた
あの無表情の彼が
今では将来の選択肢を広げるため裁判をしながらその合間にエイミィやリンディさんに頼んで料理の練習もしている
これが面白いのである
何時か、彼に食べさせてあげたいなぁと思っていると
「ん、来たみたいだよ。フェイト」
「え!ホント!?」
「もう、フェイトったら。そんな事で嘘は言わないよ」
「ご、ごめん。アルフ」
「良いってフェイト。毎回毎回楽しみにしている出来事だもんねぇ」
クスクスと笑うアルフ
見るとユーノや周りの人も笑っている
あぅ
少し自粛
恥ずかしい
顔の赤面を見られない様に少し俯く
「じゃあ、画面に出すねー」
が、直ぐに顔を上げることになる
モニターに光が灯る
光はそして形になる
そこには
『『『『『『『元気!?フェイトちゃん!!』』』』』』』
大量の人達が
そこにいるのはなのはの家族となのはの友達と
そこには
『ちょっと!風雷!!アンタ!挨拶ぐらいしなさいよ!!』
『誰がそんな恥ずかしい挨拶ができるか。ここにいるだけでも感謝が欲しい立場なのに』
『へへーーん!そんな恰好で言われても怖くないもん!!』
『ふわぁ~~、幸せ夢気分~』
『離せ、すずか。そしていい加減に俺の関節を嵌めろ。そろそろ、腕に後遺症が出ないかが心配になってきた』
『だ~め。もう少し見せつけてから~』
『…………………本当にすずかちゃんのキャラ崩壊は酷いな~。いや、でも、元々猫属性はあったから、素質はあったんか…………………』
『……………すずかちゃん、まぁ、気持ちはわかるが、そこで止めといてくれ。男として少しその状態に同情する気持ちもあるし、何よりも手紙をしている最中だ。あんまり相手に無礼に見えないようにしなくてはな』
『むぅ。わかりました』
『………………恭也さん。貴方に感謝を』
『君はどこぞの騎士か』
『でも、意外と似合うわね~』
初っ端からこちらを無視した雰囲気になっている
ある意味、何時もの事だ
ケイがかき乱し
なのは達がそれに乗り
なのはの家族がそれを収める
見ていて本当に面白い
…………………少し、嫉妬するけどね
彼━━━━━風雷慧
出会った時と変わらない無表情の彼
それを後ろから抱き抱えていた少女
月村すずか…………だったよね?
火を見るよりも明らかで、きっとケイに恋している少女だ
見せつけているという言葉通りに彼女は何時もケイに抱き着いていたり、何かしらの事を彼にしているのである
思わず
「むぅ~」
膨れるのは仕方がない事
「あらあら。毎回見ていて飽きない光景ね~」
「ふん、アイツの愉快な光景を見れてという意味ならば確かに飽きない光景ですね」
「クロノ君ったら。そんなに慧君をライバル意識しちゃったりして~」
「誰があんな奴をライバルだなんて……………!それならば、まだそこのフェレットもどきをライバルにした方が千倍マシだ」
「あっはっはっは、クロノ━━━━━どうやら今日こそ、その生意気な舌ごと頭を握りつぶしてほしいようだね」
「ふん、君如きにそんな芸当ができると思っているのか。ああ、すまない。夢を見る権利はフェレットにもあったな。すまないな、差別
表現だった。お詫びに今度ペットフードを奢ってやるさ」
「上等だよ、クロノ。僕だって伊達や酔狂で魔法を習得しているわけではない。何より━━━これでも慧に勝手に師事しているからね。だから負けるわけにはいかない…………………!」
何だか熱いバトルを向こうで繰り広げているみたいだけど今はそんな事をしている場合ではないのです
『そら、慧君。君も何か言いたまえ』
『…………むぅ。こういうのは苦手なんですけど』
『こういうのは言葉ではなくて気持ちだ』
『俺の苦手分野です』
『堂々と胸を張る言葉じゃないわね~』
『い・い・か・ら!やりなさい!!男でしょう!!』
『男女差別とは恐れ入る。流石は暴力の申し子』
『誰が暴力超人よ!!』
『答えは貴方の中に…………………』
『すずかーーー!!アンタって人はーーーーーーー!!』
『この馬鹿アリサちゃーーーーーーーーーーーーーん!!』
『どこぞの○ンダムーーーーーーーーーーーー!!?』
『駄目やアリサちゃん!!それは死亡フラグやーーーーーーーーーーー!!』
『まぁ、後ろのコントは無視しとこうか』
『ああ!!アリサちゃんの腕があんなことに…………………!』
『無視しとこうか』
無表情のままぶっきらぼうに告げる彼
後ろの風景は大惨事なのに…………………
『まぁ、とりあえず━━━━━むぅ、こういう時は元気にしているかぐらいでいいか』
「うん!元気にしているよ!」
返事が来ないのは解っているけどつい、やってしまう私
彼はそれを解っているかのように言葉を続ける
彼の周りは温かい目で彼を見守っている
『フェイトの事だから返事してそうだが、まぁ、いいや。何か足りないモノとかあるのならばそこにいるであろう女狐艦じゃなくて女狐と頑固一徹の黒いのに任せるがいい。なぁに、遠慮なくこき使ってやれ以上』
「…………………相変わらずの悪役っぶりねぇ」
相変わらずで安心した
と言っても定期的に連絡しているのだが
ここで私を喜ばせるような言葉を吐いているようで吐いていないのが彼らしい
『ふむ。では、達者でぷぉっ!貴様ら何をするか!!』
『黙れーーーーーーーー!!ぐれてやるーーーーーーーーー!!!』
ぷつんといきなり切れた
暴れ過ぎの結果だろう
思わずお腹を押さえるぐらい笑ってしまった
「ふふふ。あちらは相変わらずねぇ」
「…………………ふん」
「元気そうでよかったよ」
「あたしはフェイトが嬉しそうでよかったよ」
「うん」
「じゃ、こちらも返信をしようか、フェイトちゃん」
「あ、はい」
これが今の私の日常
裁判をしながらも楽しめる私の日常
それが本当にかけがいのないもんだという事を知っている
私が欲しくてたまらなかった素敵な日常
「ふふふふふ。フェイトちゃーーん。ちょっとこういうポーズっとってくれない~」
「え?何で、エイミィ?」
「そうすればきっと慧君も喜ぶと思うわよ~」
「!!わかった!」
後日
フェイトからのビデオメールが送られた
内容は自分の現況
それだけならばよかったんだが最後に
「…………ん」
目を閉じて唇を前に出すという謎のサーヴィス
「「「「「…………………」」」」」
言葉はいらなかった
拳を握る音が聞こえる
果たして俺の体は吸血鬼の一撃を受けても大丈夫なのか
それを試すことになりそうだ
あとがき
ついにA’Sに入りました
そして遂にチラ裏から移行を決意!
出来ればリンチは遠慮していただきたい!!